既にふぉーりん・あとにーの憂鬱の方でも紹介しているが、もうちょっと真面目なレビュー。
こういうタイアップ曲というのは、詩や曲に予めしばりがかけられることがあるんだろうし、タイアップ先がNHKということも考えれば、いやでも日本選手団応援歌という色合いは必要になる。
しかし、そうした制約の中でも、手に入れたものと失ったものとの間での葛藤を描き出すところに、小林建樹の天才を見せつけられる。
風が走るよ、生まれたての明日に胸が高鳴る
ふりかえらずに、このまま歩きだそう、新しい舞台へ
このシンプルな歌詞とメロディを、平原綾香が極めて丁寧に歌いあげる。
実は、最初は小林建樹の独特のメロディに、どうしても本人と比較をしていたのだが、聞き込むにつれ、違和感は消えた。
それだけに惜しいのが、大仰なプロダクションだ。平原綾香が、一つ一つの言葉とメロディに表情をつけようとしているのを、ステレオタイプなアレンジが逆に細かい起伏を塗りつぶしてしまう。
アルバムに収録されるときに、シンプルなピアノ・アレンジ(小林建樹本人だとなおよし)の追加を望みたい。