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パブコメのススメ (3)

サーバーの移転もさることながら、本業の方がかなりばたばたしていて、ちょっと尻切れトンボ気味の「パブコメのススメ」ですが、パブコメの期限も迫ってきたので、駆け足でこの論点公開の中で、ある意味で一番大事な第4章第3節[工夫]防衛策の合理性を高め、市場から支持を得るための工夫を見ていきましょう。

その前に~ご紹介

といいつつ、私がさぼっている間に見かけたパブコメに際して参考になると思われるサイトのご紹介を。


論点公開の提案する「工夫]

非常に長い論点公開ですが、この論点公開の提案する合理的な防衛策の要件は、第4章第3節(101頁以下)でまとめられていますので、簡単にまとめてみましょう。

  1. 平時に導入され、開示・説明責任が果たされること
  2. 防衛策は、1回の委任状合戦で解除が可能なものであること
  3. 経営陣の「自己保身]に用いられないような仕組みを備えていること
    1. 独立性の高い社外取締役(社外監査役)の判断を重視する枠組み(第三者チェック型)
    2. 解除要件を客観的に設定すること(客観的解除要件設定型)
    3. 導入時に株主総会の承認を経ること(株主総会授権型)

少しだけ補足すると、A、B、Cの要件はその全てを満たす必要がありますが、Cの要件の中でのa,b,cの類型はいずれか一つの選択でよいとなっています。
あと、論点公開の中の書き方では、Bの要件とC-cの要件はどちらも「株主総会」での承認を問題としているので、少し分かりにくいかも知れませんが、Bの要件は買収が具体化した後で株主総会で買収に抵抗する経営陣を信任する機会が与えられることが必要だという意味です。具体的には、買収者が委任状勧誘で自分の推薦する取締役候補者の選任を求めることになるので、上では「1回の委任状合戦で解除が可能」という言い方にしています。
これに対してC-cは、平時に防衛策を導入する際に株主総会の承認を得ることの要否を問題としています。
ここは混乱しないようにしましょうね。

パブコメのタネの見つけ方

さて、これだけ見ると「うんうん」と頷いて終わりになってしまうかも知れませんので、パブコメになりません。大切なのは「考えてみること」です。
以下、私自身の立場とは全く切り離して、「例えば」こういう考え方もあるかも知れないな、という、ことで思いついた例をあげてみます。
例えば、Aの要件ですが「平時導入」を要件とすることの裏返しとして、「有事」になると、一切の防衛策は許されないということにならないかという気もしますが・・・それは仕方ないということで割り切ることができるのか、それとも、何か例外があってもいいのか、例外があるとすれば、どういう場合だろう?・・・とか・・・
小文字のa,b,cの3要件は選択性という形になっていますが、本当に選択性でいいんだろうか?株主総会の事前承認があれば、消却段階での第三者の関与はいらないんだろうか、とか・・・
あるいは、株主総会の承認は必ず「導入時」でないといけないのか?導入後最初の株主総会で(いわばお試し期間の後で)存続させるかどうかという形の承認ではまずいんだろうか?承認の要件は通常決議でいいんだろうか、それとも、特別決議を要求すべきだろうか、とか・・・

パブコメはお得?

こんな形で考えていきながら、時には論点公開の他の部分に書かれている外国の制度の話なども見比べながら考えていくと、自分の頭が少しずつ整理されていって、「自分の意見」がまとまってくるような気がします。

こうやってパブコメのタネを見つけたら、それをブログにコメントを書く気分で(顔文字とか使うかは好みですが)、言葉に落としてみてください。夜書いたものを朝見直して、まあOKかなと思ったら、それでコメントしてみましょう。
深夜ラジオみたいなもので、自分のコメントしたことが反映されるかもと思ったら、今後発表される予定のガイドラインにも興味がわくでしょうし、各企業が採用する防衛策についても、いろいろと自分なりに考えることができるようになって楽しめるので、きっと「お得感」はあると思いますよ。

Posted by 47th : | 03:09 PM

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コメント

47thさんこんばんは。オススメに沿って少しずつ勉強しています。素人が一からやってみるのとは大違いの充実感があって楽しめます。ありがとうございました。欲を出して現在募集中の民法についてもお願いできませんでしょうか・・・なんて(笑)。「国際私法の現代化に関する要綱中間試案」に関する意見募集http://www.moj.go.jp/PUBLIC/MINJI57/pub_minji57.html

Posted by bun : May 7, 2005 09:42 AM

国際私法ですか(汗)・・・
こちらの改正案は詳しくないんですが、準拠法選択の問題は意外と身近な問題もありますし、あと、最近、国際会社法といわれる分野で会社法とのクロスオーバーも進んでいる領域ですから、直接というよりは、搦め手でとりあげるのも面白いかも知れませんね。

Posted by 47th : May 7, 2005 01:45 PM

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