« イスタンブールへ | メイン | 「間に合いません」のそのときに »

ガイドライン公表~これでひと段落?

カッパドキアは素晴らしいところでした。
林立する石灰岩の岩山?をくりぬいて棲んでいる人たちの様子は、リアル風の谷で、どっかに巨神兵の卵でも転がっているんはないかと思いました。
しかし、イスタンブールの夜は寒かった・・・9時45分キックオフという、明らかにイギリスを意識した開始時間もさることながら、魔の6分間(・・・っていうか、2点目はちょっと目を離した隙に入ってたし・・・)でドローになった後のPKまで、無数のチャンスを作りながら、なぜかゴールが生まれないほとんど悪夢のような時間・・・で、夜中の12時を回ったスタジアムは「ここはどこ?」という感じでリバプール・ファンの声しか聞こえない。
あのブーイングの中でPK決めるのは、それは無理だわ・・・というわけで、案の定の結果・・・肩を落としながら、シャトルバスに乗り込むところで打ちあがる花火を見上げる虚しさは格別の趣でした。
で、戻ってくると、これまた山のような仕事(翻訳)が待っていて、Bloglinesをチェックする時間も余りなく、ましてや落ち着いてブログを書いている時間もないのですが、皆さん既にご存知かも知れませんが、経済産業省と法務省が連名で「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」が公表されました。
あわせて、こちらのページで論点公開に対するパブコメへのレスポンスや、それを踏まえて改定された企業価値報告書も公表されています。
とりいそぎ指針を見たところ、前に紹介した経済産業省と法務省とのバトルの末かどうかは分かりませんが、株主総会決議型以外にも取締役会の決議により防衛策を導入することも可能となっているようです(事後的なチェックは必要なようですが)。
これで、ひとまずは防衛策の「型」については、一つの方向性が示されたことになるわけですが、具体的な設計のあり方については、まだまだつめなくてはいけない点も多く残っています。
また、ひょっとしたら、意図的に個別の買収防衛策の「弱点」をついてくる買収者や買収手法も発達してくるかも知れません。
買収防衛策というのは、万能の砦ではありません。「買収防衛策」という一見強固な鎧に頼る者ほど、鎧の重みに耐え切れず、気がつくと敵陣に一人取り残されて、緩やかな死を待つだけという状況にもなりかねません。
というわけで、これからは、この新しく与えられた「買収防衛策」という「ツール」をどう使いこなしていくのかというところで、その企業のセンスのような試されるような時代が来るのではないでしょうか・・・というよりも、そういう具合になっていって欲しい、という気がしています。


Posted by 47th : | 01:27 PM

このエントリーのトラックバックURL:
http://WWW.ny47th.COM/mt/mt-tb.cgi/31

コメント

いつも勉強させていただいています(初コメントです。)。本当は指針を全部読みたいところですが、Bar受験中のため、やめておきます。現在の日本の状況で買収防衛策の必要性と言われてもさほどピンと来ないので、防衛策そのものに若干疑問がないではない(米国の1980年代と比較するとどうかという議論をしたいのですが、データを拾うところまではできていません。)のですが、それよりも行政がガイドラインを作ることの方が抵抗感が大きいです。立法によるのでなければ、本来司法によるべきところを、行政がガイドラインを作成してしまって、裁判所がどんな根拠でどう扱うのでしょうね。仮に裁判所がガイドラインに従う(ないし尊重するとして)、どういう根拠になるのでしょうか。やっていることが行政法規の解釈指針を示すということを超越している(文言解釈にとどまらない。)ので、裁判所としても対応が難しいように思います。他方で、裁判官の専門家育成みたいなことも制度的に考えないといけないような気もします。弁護士任官制度は、人権擁護的な意味での議論からはじまっているように思いますが、一定のビジネス法分野からの需要だって十分あるように思います。弁護士任官制度が必須とは思わないまでも、裁判所内でもっと一定の分野を意識した人事配置があってもよい気がします。

Posted by neon98 : May 28, 2005 01:34 AM

>neon98さん
はじめまして。今回の「ガイドライン」の位置付けについては、私も違和感を感じていますが、その一方で、裁判所に委ねるべきと言い切れないものも感じています。仰るように裁判官の資質の問題も絡む話なのでしょうが、方向性としてはビジネスのことが「分かる」裁判官を育てるよりも、「分からないことは分からないことを前提に判断枠組みを設定する」ことのできる裁判官を育てるということもあるのかも知れません。
本当に印象だけなのですが、米国の訴訟指揮をみていると、いい意味でも悪い意味でも、裁判官に後者の割り切りがあり、自分の分からないことについて、いかに代理人弁護士や第三者専門家というリソースを活用したり、プロセス的な判断枠組みを設定して当事者にそうした専門的知見を利用するインセンティブを与えるといった手法を使うことで乗り切っているような気もしています。
Barの勉強大変かと思いますが、これからも息抜き程度に是非遊びに来て下さい。

Posted by 47th : May 28, 2005 07:36 AM

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
このブログをご覧になる際の注意点や管理人の氏素性はこちらにありますので、初めての方はご一読を。