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ヤボとは思いつつ・・・再び離婚率とワールドカップについて

昨日の「読み物」と「科学」の境界について、団藤さんから離婚「減少」現象を科学っぽくしてみましょうというTBをもらいました。
読む人が読めば、私の問題意識と団藤さんの関心が実は噛み合っていないことも分かるでしょうし、それもまたブログ界のワビサビということで、これ以上踏み込むのは「ヤボ」というものだというのは分かっているのですが・・・昨日から、何だか「直球勝負」モードなので、思いっきりストライクゾーンを外れてしまうかも知れませんが、敢えて投げ込んでみましょう。


団藤さんは「今回の仮説を実証するのが困難であることは最初にお断りしています」と仰るのですが・・・手間はかかりますが、統計学的にアプローチすること自体は、そんなに難しい話ではないんじゃないかという気がします。
例えば、(今もやっているかどうかわからないのですが)ブロードキャスターという番組にあった「お父さんのためのワイドショー講座」というコーナーで、1週間のワイドショーのトピックを分単位で集計するという企画がありました。例えば、雅子妃御出産やタマちゃんなど団藤さんが相関を持つと考えている類のニュースのワイドショーでの露出頻度(放映分数)と離婚数(この場合、タイミングについて当事者の裁量の余地が大きい協議離婚の数値をとるのがいいと思いますが)との間に統計学的に有意な相関が見られるかを観察するというのは「お父さんのためのワイドショー講座」の過去の集計データが入手できれば、それほど難しい話ではありません。
仮に「お父さんのためのワイドショー講座」のデータが入手できなければ、例えば、任意の日刊新聞の社会面記事での露出度を数値化して相関をみるということも(こちらは生データから収集しなければいけないので、手間がかかりますが)、考えられますよね。
もちろん、結果として仮説をサポートするものが出てくるかは分かりません。ただ、ある手法による結果が直感と反するものだあった場合には、例えば標本のとり方を変えるとか、露出度の計り方を変えてみるといった応用をすることも可能ですし、そこから新たな発見が生まれることも、よくある話です。
たとえば、新聞の社会面での露出度では見られなかった相関が、女性週刊誌の見出し記事との間では見られるということがあれば、離婚のタイミングは女性が主導しているという仮説が立てられるかも知れません。あるいは、協議離婚との間では相関が見られないが、調停離婚の成立件数との間では相関が見られるというような結果が得られれば、実は世相は離婚当事者よりも調停委員のインセンティブに影響するのではないかといった別の仮説が生まれるかも知れません。
私自身、今勉強中なので偉そうなことは言えませんが、現在の統計学さらには計量経済学というのは、ある事象とある事象が「偶然」なのか「必然」なのか、一見関係のなさそうな出来事の間に何か関係はないのか、あるいは、誰もが関係があると思っていることの間に本当に関係があるのか・・・そうしたことを見極めるための豊富なアプローチを提供してくれます。

そういう目で見ると、谷の存在と世間で起きるトピックが連動している点だけは認めるべきだ、となるかもしれません。逆に、全てが偶然であると片づける訳にはいかないのは明白です。どなただったかの感想「説得力があるが、むしろ信憑性は50%とみたい」が中庸になるのかも知れません。

団藤さんは、エントリーをこのように締め括れられていますが、「全てが偶然であると片づける訳にはいかない」かどうかこそが、「科学」や「学問」として解決すべき命題です。そして「偶然であると片付ける訳にはいかないことが明白」であれば、標本が限定されていても有意な相関が見られるはずです。逆に相関を探そうとすると、なかなか発見できない・・・ということは、というところが、次の発見につながったりするわけです。逆にいうと、「科学っぽく」いくというのは、一見自分から見るともっともらしいことが、一般に合理的な手法として受け容れられている手法による検証に耐えられるかどうかということなんじゃないかという気がします。

・・・もっとも、そうは言っても、団藤さんがそうした統計学的な手法にこだわらなければいけない理由はどこにもありません。新聞記者の方が、あるいはブログを書いているときの団藤さんは一ブロガーだとして、ブロガーがおよそ「科学」や「学問」に根拠を置いたものしか書いちゃいけないとしたら、ブログ界なんで息苦しくてつまらない世界になってしまいます。
ましてや、前のエントリーでも書きましたが、「ワールドカップが離婚率減少のきっかけとなっている」というような話は「読み物」に、統計学的手法がなくてはいけないというつもりもありません。こういう直感とか着想みたいなものに基づいた「読み物」は非常に楽しいですし、それが科学としての裏付けを持っていなくても害をもたらすわけではありません(離婚率が高くなったときに、「最近暗い話題しか放送しないマスコミがけしからん」などという使われ方をすれば別ですが^^;)。
私にとって、団藤さんの離婚率とワールドカップorヨン様(それとも雅子妃をあげるべきか?)エントリーは、普段ぼんやりと考えていたそんなことをちゃんと考えるいいきっかけだったので、ここまで絡むのは「ヤボ」と知りつつ、絡んでみました。
あと、FREAKONOMICSじゃないですけど、「ニュースの癒し効果」と「離婚」や、ひょっとしたら「自殺」って、ちゃんと統計学的にデータとってみたら、意外と色々な発見があったりするんじゃないかという気も・・・団藤さん・・・は、お忙しそうですが、誰かやってくれませんかね?
経済学部や社会学部の学生さんの卒論なんかにも、結構、いいテーマという気もするんですけど^^

Posted by 47th : | 08:34 PM

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