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株式交換の税制改正-現金への課税が問題?

今日は、何かネタが多い日ですが、まあ、こういう日もあるんでしょう・・・

株式交換方式の企業再編、株主の税優遇見直し (NIKKEI NET)

企業が別の企業の株式を取得する場合、株主から保有株式を受け取る代わりに自社株に加え現金を渡すことが難しくなる見通しとなった。現行税制では一定額の現金までは課税を免除しているが、政府は2006年度中にも株主が現金を受け取れば課税対象にする方向だ。年末の与党の税制調査会で決定し、来年の通常国会に提出する税制改正法案に盛り込む。

ちょっと、この説明には?が・・・
私の記憶が確かなら(っていうか、1年以上前の知識になってしまうのですが)、現行税制でも、現金の交付額は一定割合まで(5%?)、それを超えると特例の適用はないので、会社法現代化で可能となるような端数調整分ではなく、正面から対価の相当額を現金で支払うようなパターンは、元々特例ではカバーされなかったはず。
多分、今回の改正というのは、平成13年の組織再編税制導入の時からの国税庁悲願の株式交換の法人税法本法への組み込み(組織再編税制による統一的処理)の話ではないかと思うのですが、そうだとすれば、端数調整の範囲であれば、従来通りOKなんじゃないでしょうか?
組織再編税制への編入のインパクトは・・・というよりも、実務家として一番心配だったのは、今まで問われなかった同一事業要件が問われるようになることだったんですが、そこはどうなるんでしょう?
なぜ、これがネックかといえば、持株会社が株式交換を使って他の会社を買収しようとするときに、同一事業要件を充足できない可能性が高いからです。(まあ、他にも、いろいろあるんですが、税務当局からみると「邪道」と言われそうなんで)
まあ、それこそが国税の狙いでもあるんでしょうが、少なくとも完全子会社の営んでいる事業はカウントできるようにするか(今はカウントしませんよね?)、完全子会社との合併に際して親会社の株式を交付するような三角合併の場合にも子会社レベルで共同事業要件が満たされていれば、適格を認めて欲しいところです。
何れにせよ、会社法現代化で組織再編の手法が多様化しても、税法が今のままでは、いろいろと不都合がでるところが多いので、その辺りも含めて見直しがなされるといいですね。


Posted by 47th : | 11:04 PM

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コメント

まあ、株式交換についてのこれまでの税制が、なんか法の抜け穴的であったので、法人税法にちゃんと組み込まれ、その結果、同一事業要件に服するのもやむなしかなと。それよりも、そもそも、企業組織再編税制全体を、もっと使い勝手の良いものにしてほしいと思ってます。

一点、不勉強のため、よく分からない点があるので、教えていただきたく。株式交換で、同一事業要件に服すると、痛い場合って、具体的にどんな場合なんですかね?つまり、株式取得にすぎず、ターゲットはそのまま温存されるのだから、一見すると、同一事業要件を既に満たしているようにも思うのですが。(おそらく同一事業要件について自分は不十分な理解をしているのかなと思うので、そこを教えていただきたく。三角合併のご指摘の点は、かなり共感できるのですが。)

Posted by ぶらっくふぃーるず : November 22, 2005 12:49 AM

>ぶらっくふぃーるずさん
おそらく、アメリカの税制を念頭に置かれているので継続事業要件というか事業の同一性要件を考えていらっしゃるんではないかと思うんですが、日本の組織再編税制のうちの共同事業要件というのは、「対等合併」のドグマから生まれた「ぬえ」みたいな奴なので、「対等合併は、同じ規模同じ業種の会社で行われるはず」という発想の下に、取得会社と被取得会社が「同一の事業を営んでいなければならない」という要件が設定されたという経緯だったような記憶です(途中の議論では合併比率が1対1に近いものでなくてはならないなんていう「とんでも」要件まで出てたような記憶が・・・)。というわけで、このまま何の手当もされないと、同一事業要件は完全親会社と完全子会社で見られるんじゃないかと予想したところです。それだと、子会社管理営業^^;しかやっていない持株会社と事業会社では同一事業要件が充足されないんではないかと・・・まあ、何せ記憶が頼りなんで、勘違いがあるかも知れませんが。

Posted by 47th : November 22, 2005 01:47 AM

47th先生のブログをまだ読んでいる途中に速くも回答いただきありがとうございます。おかげでクリアーになりました。組織再編税制は、①100%の資本関係の中での再編、②50%超の資本関係の中での再編、③共同事業関係企業間の結合の三種類を対象としてますが、アメリカのCOBEを反映した要件(従業員がどうのこうのとか、事業継続見込み等)が②にもあることから、その話をしているのかなあと捉えたので誤解したようです。③の共同事業性の話ということですね。

Posted by ぶらっくふぃーるず : November 22, 2005 02:33 AM

遅ればせながら、税務通信2887号(9/26)に以下の記述があります。

:株式交換・移転税制は企業結合に結びつくものでありながら、税法では企業組織再編税制とは異なり租税特別措置法に規定が設けられている。これについて18年改正では、「共同事業要件」等、組織再編税制と同じ概念を持つ税制として改正が行われることになりそうだ。

ソースは不明ですが、記事が事実だとすれば、47thさんが懸念する事態が進行していることになります。

Posted by KOH : November 24, 2005 08:28 AM

>KOHさん
ありがとうございます。
まあ「懸念」といっても、株式交換を噛ませるのとそうでないので、税務上の効果が大きく異なるというのは、中立性の観点からは望ましくないので、統一の方向はいいと思うのですが、今の組織再編税制のあり方がいいのかという部分の議論もちゃんとして欲しいところです。

Posted by 47th : November 27, 2005 01:53 PM

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