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クイズ:もしあなたが○○だったら

何か最近重い記事が多かったので、ここらで息抜きを。

今学期受けている授業で実際にやったことをアレンジした、ちょっとしたクイズです。

P大統領とJ君の会話

さて、あなたは、とある国の大統領です。
先ほど、あなたは、C○Uの有能すぎるぐらい有能だけど、上司の指示は全くきかず、大統領のいうことしかきかない困ったちゃんなエージェントJ君から、テロリストがとあるビルで細菌をばらまいたという報告を受けました。

J君「大統領。我々は、このビルの封じ込めには成功しました。このビル以上に細菌が広がるおそれはありません。」
P大統領「そうか。ありがとうJ君」
J君「ええ。でも、今このビルには10000人の人間がいます。彼らはもう全員細菌に感染してしまっています。Damn It !」
P大統領「まあ、落ち着きたまえ。何か手はないのか?」
J君「もちろん、あります。これまでのところ、有効と思われるワクチンが2つあることがわかっています」
P大統領「おお、そうか」
J君「しかし、問題は、Aワクチンの方は効果は人によって違うのですが、細菌のタイプは選びません。こちらなら、2000人は確実に助かります。」
P大統領「そうか。もう一つの方は?」
J君「Bワクチンの方は、強力なワクチンですが、タイプが合致していないと効果はありません。これまでのところで、細菌のタイプは5種類までは特定できたのですが、そのどれにあたるかわかりません。ワクチンがそのタイプに該当すれば、確率は1/5ですが、全員助かります・・・ただ、当てはまらなかった場合は、誰も助かりません。」
P大統領「全員確実に助かる手段はないわけだな?」
J君「ええ。そうです。大統領、あなたの決断が必要です。AワクチンとBワクチンどちらを使いましょう」

・・・さて、あなたはどちらを選びます? 迷っている暇はありません、5つ数える間に答えてください。

黄色いタクシーと緑のタクシー

とある雨の激しい真夜中、家路についたAさんの運転する車が四つ角の信号のある交差点にさしかかりました。
信号待ちをして、信号が青になったことを確認してAさんは交差点に入ったところ、直行する道路から凄い勢いで車が飛び込んできました。
慌ててAさんがハンドルを切ったところ、衝突は免れましたが、車は交差点の信号機につっこんで車は大破しました。
Aさんは、雨の夜で、真横から車が飛び込んできたために、車の特徴などはとても分かりませんでしたが、たまたま近くのコンビニの店員のBさんがスキール音と何かがぶつかる物音をきいて外に飛び出したところ、走り去る車をみかけました。
Bさんの証言によると、ナンバーは確認できなかったものの、車の屋根にタクシーであることを示すランプがついていたので、タクシーであることは間違いなく、色は緑だったということです。
幸か不幸か、Aさんに怪我はなく物損だけだったので、警察も捜査には余り乗り気ではなく、Bさんの証言の他には何も証拠となるものはありません。
その町では2台のタクシー会社、イエローキャブとグリーンキャブがあり、それぞれ黄色いタクシーと緑のタクシーを使っています。使っている車は全く同じで、違うのは色だけ。ただ、運行しているシェアでみると、イエローキャブが85%なのに対してグリーンキャブは15%に過ぎません。
腹の虫が治まらないAさんは、Bさんの証言を頼りにグリーンキャブに損害賠償を請求しました。
なぜか、その町では民事事件でも陪審制度がとられていて、あなたはこの事件の陪審に選ばれました。
訴訟でも、Bさんの証言以外の証拠はありません。グリーンキャブは、雨の夜の中、街頭を頼りに色をどれだけ判別できるものか実験すればBさんの証言の信用力を薄めることができると考えて、裁判所に鑑定を申請しました。
その結果は、グリーンキャブの期待とは裏腹に、雨の夜でも80%の確率で緑か黄色かを確実に識別できることが分かりました。ただ、20%の確率で、緑と黄色を間違えることもあるということです。
さて、今、裁判官は、あなたに対して、
「本件では、唯一の争点は、走り去った車が緑か黄色かだっただけです。もし、あなたが50%以上の確からしさで、事故を起こしたタクシーが緑だと考えるのであれば、Aさんの請求を認容、そうでなければAさんの請求を棄却してください」
という指示をだしました。
さて、あなたはどう判断するでしょう?こちらはごゆっくり。


P大統領とJ君の会話その2

なぜか任期中に巨大なテロばっかり起きるP大統領のところに、今度は原子力発電所ジャックテロの報告が入りました。
今回も最前線でいろいろとやっているのは、C○Uをクビになったはずなのに、何故かいろいろやっているJ君からまた電話がありました。

J君「大統領。不幸中の幸いですが、原子力発電所が暴走した場合の影響範囲には1つしか町がありません。ただ、もし暴走したら、間違いなく致命的な影響を受ける距離です。町には8000人が住んでいます。」
P大統領「なんてことだ。どのぐらいの被害が予想されるのかね?」
J君「今から、全力をあげて住民の避難を開始しても、時間的な関係からいうと、6000人は避難が間に合わず取り残されてしまいます。」
P大統領「他に手は?」
J君「テロリストの手から発電所が奪還できれば、暴走は防げます。ただ、テロリストも十分な備えをしているでしょうから、成功率は25%です。」
P大統領「25%の確率で成功すれば被害者は出ないが、75%の確率で8000人全員が被爆するということだな」
J君「そのとおりです。」
P大統領「2つのプランを並行することは?」
J君「リソース(とシナリオの都合)的に無理です。大統領時間がありません。決断を!」

さて、あなたがP大統領なら、どうします?これまた、迷っている時間はありません、5つ数える間にどうぞ!

(なお念のためですが、テロのたとえは密かにマイブームのテレビドラマ24(Twenty Four)のパロディのつもりですが、設例が不適切だと仰る方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。ただ、単におもしろがっているだけということではないところがありまして・・・その辺りも解説編で)

Posted by 47th : | 12:53 AM

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» もし私が○○だったら from とっくりばー
ふぉーりん・あとにーの憂鬱: クイズ:もしあなたが○○だったら 47thさんのブログでナゾナゾ大会(?)が始まっていたので勇気を出してエントリー。冒頭に... [続きを読む]

トラックバック時刻: January 20, 2006 03:36 AM

» こんなところかねぇ from はぐれバンカーの呟き ~人生マルチンゲール~
47thさん のところで、面白い質問があったのでやってみた。 クイズ:もしあなたが○○だったら なんか、無性に「24」が見たくなってきた... [続きを読む]

トラックバック時刻: January 20, 2006 08:15 AM

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いつも勉強させていただいている,47thさんのブログで面白いクイズが。 ちょっとやってみた。 リンク先:クイズ:もしあなたが○○だったら 以下答え。... [続きを読む]

トラックバック時刻: January 21, 2006 12:24 AM

» [misc]もしwebmasterが○○だったら from bewaad institute@kasumigaseki
47thさん謹製「クイズ:もしあなたが○○だったら」に参加いたします。 P大統領とJ君の会話Bワクチンを使います。というのも、Aワクチンを使ったところで... [続きを読む]

トラックバック時刻: January 22, 2006 12:46 AM

コメント

1:全員助かる方を決断しそうです。
 2:Aの請求を棄却しそうです。
 3:これまた、全員助かる方を決断しそうです。

 期待値と標準偏差の関係において、不確実さに頼ってしまう人間心理を加味するのって、面白いですよね^^ これから必要な研究だとも感じています。

Posted by Taejun : January 20, 2006 06:14 AM

面白いですね。チャレンジしてみます。
見たくない人は見ないでください。

まず、2.は確率の問題なので、
a.黄であり、見間違わない確率:0.85×0.8=68%
b.黄であり、緑と見間違う確率:0.85×0.2=17%
c.緑であり、見間違わない確率:0.15×0.8=12%
d.緑であり、黄と見間違う確率:0.15×0.2= 3%
で、b.とc.の中で見ればc.の確率は12/39で50%未満。だから棄却。

1.と3.は、すべて期待値は同じなので説明責任(民衆受け)の問題?
ア.1/5の確率で1人が助かる試行を10000回繰り返す。
イ.1/5の確率で10000人が助かる試行を1回だけする
ウ.2000人助け、8000人助からないと確定する。
の3通りの比較と考えればいいのかな?(1.はアとイ、3.はイとウの比較。3はちょっと数字が違うけど本質には関係ないと思う)
まず、ウの助かる人数を確定してしまうのは、「最善を尽くしていない感」を感じさせてしまうので、ワーストチョイスだと思います。
次に、アとイでは、アのほうが責任が各人に分散する(イだと、タイプを決めた人(=政府側)に責任が集中する)ような感があるので、アのほうが政府に対する批判は薄まると思います。
ということで、

1.Aワクチンを使う
2.請求棄却
3.奪還作戦を試みる

が私の答えです。どうでしょう!?

Posted by Apricot : January 20, 2006 09:14 AM

1 Aワクチン
  A・B併用不可との前提ですが、確実に2,000人助かる方を選び、誰も助からないリスクを避けます。
  いちかばちかへの誘惑は強いですが。
 
2 請求棄却
  証拠不十分のため追加の証拠などが必要。
  確率的にも判断出来る内容ではないように思いました。
 
3 奪還作戦
  個人的には避難作戦を選択したいのですけれど。
  大統領との立場を考えるとテロリストには強攻策を取らざるを得ないと思いました。
 
 
ここは行動ファイナンス的な観点から合理的に確率を比較するところでしょうが、ちょっと違う観点も加味して判断すべきと思われました。

Posted by HardWave : January 20, 2006 09:15 PM

>皆様
コメント、TBありがとうございます。
既に出題で失敗したという予感もあるんですが、引き続き皆様のコメント、TBを待ちつつ、今夜か明日の朝辺り、解説編をアップさせていただく予定ですので、宜しくお願いいたします。

Posted by 47th : January 21, 2006 11:26 AM

こんにちは。

こんな私でも過去に一度だけ、「大統領」と呼んでいただいたことがあります。飲み屋のカラオケのイントロ。「よっ、大統領!」って(笑)。

冗談はさておき、クイズの趣旨としてまず、同じ確率に関する数字でも、それぞれ数字の「堅さ」というか信頼度が異なるよ、と。そういうテーマの存在を感じました。また、1.と3.は期待値が同じなのでリスク選好に関連するお話ですね。大統領(ないし一般の行政の長)がリスクを回避しやすい理由を研究する文脈でできた問題でしょうか。

1.大統領の行動原理として支持率極大化を採用します。国防に関する重要事項ですから、PとJが得た情報全てを、国民に開示する義務はありません。そうした場合には、何か処置して全く効かなかった場合の支持率低下リスクが大きいと考えますので、Aワクチンを使い、Bワクチンの存在(ないしその使用可能性)は極秘事項にします。

余談ですが、さらに後日どうするかというと、引退後、Bワクチンの存在を自ら某国営局に自ら垂れ込んで、「某国営局スペシャル・もうひとつの細菌テロ対策があった」の制作に協力し、取材協力費を・・・(笑)。


2.与えられた条件通りに85台の黄色と15台の緑色の計100台を走らせて、何色に見えるのか雨の日にやってみますと、29台について「緑だ」というはずで、緑と言われた29台が実際に何色か調べてみれば、17台が黄色、12台が緑色になっているはずですね。なんだ、黄色の方が多いじゃないですか。

50%未満につき請求棄却。

3.1.と同様の理由で、避難命令を出し、奪還作戦の可能性を否定します。PとJの手が余りますが日本だったら犯人のおふくろさんを探しに行くところですか(古い? 笑)。

実際問題として、2.や1.とは違い、Jのいう奪還作戦の実現可能性というのは一回限りの事象に関する主観確率ですから、冒頭で申し上げたとおり数字の堅さが違います。額面どおりに受け取れません。Jのもたらす情報の信頼度(還元すれば「日頃の行い」ということでしょうか)を加味して再評価する必要がありますが、「母」の確率はGod Only Knowsですね。

Posted by bun : January 21, 2006 09:12 PM

いつも拝見させていただいております。また、時折TBさせていただいており、誠にありがとうございます。

さて、この問題ですが、どれも実に悩ましい問題ですね。無い知恵を絞って考えてみましたので、私なりの解答を寄せさせていただきたいと存じます。(1,3についてはいずれか一方のみを必ず選択しなければならないという前提とします。)

(1)Aを選択
Aの場合は「100%の確率で20%が助かる」、Bの場合は「20%の確率で100%助かる」ということですので、確実に20%が助かるAを選択せざるを得ないのでしょう。
一人の人命が失われたときの損害をXとすると、Aの選択肢では損害は8000Xの損害となりますが、Bの場合では最大で10000Xの損害となってしまうので、「可能な限り損害を最小限に食い止める=最大に起こる損害を最小限にする」と考えて、Aとしました。

(2)請求受容
ここでは、単純に“ある特定の1台の車が黄色か緑かということを識別すること”が「50%以上たしからしい」かどうかということであれば足りるということだと思います。すると、「雨の夜でも80%の確率で緑か黄色かを確実に識別できる」ということですので、その瞬間に通った車が緑であった確率は80%であり、認容水準にあると思われます。(緑か黄色かに問わず、この通行した車は「特定」されていますので、通行シェアは関係ないと判断しました。)

(3)避難を選択
こちらも(1)と同様の判断です。避難したときには最大損害が6000Xとなる一方、奪回作戦では最大損害が8000Xとなってしまうので、奪回作戦は選択できないと判断しました。ただ、この場合には“可能な限りリソースを子供避難に集中させる”などの配慮は必要かと思われます。

以上、つたないながら私見でした。

Posted by Swind : January 22, 2006 07:40 AM

1. だけを書いておきますが、中心極限定理を信じて A ワクチンで助かる人数の最低値 2000 人よりも平均値はずっと高いだろうと予測し A ワクチンですかね。
という訳で 1. と 3. については確率分布が変わると答えが変わる訳ですが( 1. と 3. の分布が違うことはほとんど明らかでしょう) そう言う事を報告できない(特に 1. については疫学調査を行った上で最低 2000 人となっているのでしょうから) エージェント J 君に有能すぎるぐらい有能との形容がつくのは... という茶々を入れてみます。

Posted by 小僧 : January 22, 2006 09:10 AM

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