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取締役・役員報酬の開示に関するSEC提案

こちらも、とりあえず備忘のために紹介だけです(リンク先はPDFですのでご注意を)。

SEC Proposed Rule:Executive Compensation and Related Party Disclosure

一つ特徴的なのは、定量的な開示だけではなく、報酬制度の設計の意図や内容について文章による説明を義務づけるというところでしょうか。

既に、財務情報について導入されているManagement Discussion &  Analysis (MD&A)の開示を報酬にも応用しようという発想のようです。

報酬分野は、有名なDisney事件もありますし、つい最近もHPの前CEOへの退職慰労金の支払いに関して訴訟が提起されたりと今後株主訴訟のターゲットになっていくことも予想される分野ですので、開示のあり方については、企業側も相当に神経を尖らせていると思われます。

また、日本への影響もあり得る話ですので、引き続き注目していきたいと思います。
 


Posted by 47th : | 12:31 AM

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コメント

実は、渡米してから、久しぶりに、久しぶりに、アメリカの役員報酬をめぐる規制の動向と学界の議論をサーベイしました(サーベイのまとめは、某大学の紀要に掲載する予定)。アメリカでは、1992年に役員報酬についての証取法開示が抜本的に拡充されたものの、1990年代を通じて、役員報酬は急激に増加したんですよね…。渡米直後に Eisenberg 先生とお話したときにこの話題になり、開示規制は全く効果がなかったとおっしゃったこと、役員報酬は法規制ではコントロールしがたく、結局は社会規範によって決まってしまうものだ(アメリカでは"CEO is the king")とおっしゃったことが強く印象に残っています。

Posted by いとうY : March 11, 2006 12:54 PM

>いとう先生
よく、経営者市場ということが言われますが、本当の意味で市場メカニズムが働いていれば、投資家への開示の有無にかかわらず価格は適正なものに集約していくわけですが、実際には、どうも市場は失敗しているんではないかという気もします。
反トラスト法をつっこんでやるようになって、会社法の議論では「市場が存在していること」と「市場が機能していること」が余りにも簡単に等値されていることが多いような気がしています。

Posted by 47th : March 12, 2006 01:26 PM

アメリカでも内部昇進の経営者は多いですし、経営者によって提供されるサービスの客観的な価格というものがそう容易に決定できるとも思えませんので、「経営者の市場」というものが「存在」するといえるかどうかすら、やや怪しいようにも思われます。また、仮に「経営者の市場」というものがあるとしても、それが、経営者に業績に連動しない報酬が与えられることをどこまで制約できるかは、相当に怪しいですよね。そうなると、結局は取締役会によるガバナンスに頼らざるをえないわけですが、これがまた問題があるわけでして…。

Posted by いとうY : March 12, 2006 04:52 PM

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