White Zombieにキーボードを入れて100倍楽曲をつまらなくした死にそうなほど退屈なオープニング・アクトには辟易しながら、待つこと2時間!
ようやくステージの上に現れたニイちゃんは、何だか少し丸っこい(失礼)。
タッカンは、スキンヘッドで異様な眼光の鋭さと相俟って、まるでボクサーのようで、昔の肩までかかるヘビメタ兄ちゃんの面影は薄い。
まずは、再結成後の曲からスタート・・・だが、正直、再結成後の曲についてはTHE BEST OF REUNIONをつい最近仕入れたばかりで、予習不足の感は否めない。
ただ、再結成後の曲はCDで聞いているよりも、ライブの方が遙かにいい。
何よりもキレが違う。樋口・山下のリズム隊は小刻みなビートのリズム感を維持しつつ、ハードロックとしての重厚さを決して失わない。そこに、思いっきり歪ませながら歯切れのいいリフが絡むと自然と体が動く。
・・・しかし、それでもなおNew Yorkのオーディエンスが20年ぶりに聞きたがっているのは、これではない。
3曲ほど進んだところで、ニイちゃんのMCが入る。
23年ぶりに戻ってきたと呼びかけて、始まったのは、体に染みついたリフ・・・CRAZY NIGHT!
まさか、この曲を生で聞ける日が来るとは・・・
アレンジは8186 LIVEのバージョンそのまま。ギターソロの一音一音まで完全に体に染みついた曲が目の前で完璧に演奏される・・・体の中と外から同時に音が湧き上がってくる。
その興奮も醒めやらぬまま、ハイハットの連打から始まったのはCRAZY DOCTOR
アメリカであることなどお構いなしに堂々と日本語で歌い上げる。
これも、8186バージョン。ギターソロに入る前の余りにも有名なフレーズも完璧。
この名曲2連発だけでもノックアウト寸前なのに、畳みかけるように始まったのはIN THE MIRROR !!!
もう笑うしかないっていうぐらいの組み合わせ。
会場内も白人のオヤジどもが異様な盛り上がりを見せる・・・何なんだ、この光景は?
さすがに、このペースでいったら倒れるかも知れないと思ったところで、再び再結成後の曲にいき、ちょっと落ち着きを取り戻す。
再結成後の曲も悪くはないし、センスはいいと思うんだが、やはり往年の名曲で感じるようなアドレナリンは出ない。
曲の完成度は今の方が高い・・・ただ、何というのか、「異様に上手い」という点を除けばラウドネスでなくても出来るんじゃないかという印象は拭えない。
もっとも、この「異様に上手い」のレベルは突出している。
リズム隊の凄まじさもさることながら(樋口さんのドラムソロがなかったのが残念!!)、タッカンは既に「神」の域に達している。
まさに変幻自在。恐ろしくトリッキーなことを笑いながら、時には全く暗闇の中でほとんど打ち込みのごとく正確にこなしている。
タッカンの指先を見ているだけで飽きない・・・と、思っているうちに、あっという間に本編も終わりに。
照明が一瞬暗くなり、樋口さんの凄まじい手数のフィルインが・・・全身を電流が走る。
夢にまでみた、この名曲を誰が聞き間違えようか?
S.D.I. !!!!!!!!!
バッキングに両手タッピングを入れ込む・・・お遊びでスタジオで弾いていたりはしたが、とてもライブでこなすことは無理だと思った超人技を、いとも簡単にこなすタッカン。
凄まじいスピードと手数でありながら、全く乱れのないリズム隊。
・・・そして、誰にも真似できないニイちゃんの存在感のあるボーカル。
ほとんど夢の中のような陶酔感を得ながら本編は終了。
こうなると、俄然アンコールへの期待は高まる。
再び現れた4人が演奏したのは、これまた往年の名曲ROCK SHOCK!
これがデビューアルバムの曲とは到底思えない。
これが来るんだったら・・・と、やはりあのアンセムを期待しながら二度目のアンコールを待つ。
始まったのは、今までの流れからは意外な選曲。
軽快でポップなリフは・・・LET IT GO
これはこれで嬉しい誤算だが、今日のライブの締めには若干物足りない・・・そんな気持ちを察してか、最初のコーラスが終わったところで、そのままメドレー形式で聞き慣れたリフが・・・
体は覚えているのに、曲名が一瞬出てこない・・・あんなに必至で耳コピしたのに・・・
しかし、サビに入り疑問は氷解する・・・LIKE HELL だ !
Thunder in the EastからのCrazy Nightと並ぶ名曲も、原曲通り忠実に再現される。
オーディエンスも皆"LIKE HELL"のところで声を合わせ、手を掲げる。
-まだまだ聴きたい・・・余韻と飢えを残しながらショーは幕を閉じた。
・・・それから1週間以上が経ったが、こうして思い出すとまた鳥肌が立ってくる。
この日の公演はDVDに収録され発売される予定らしい。それが出たら、また余韻に浸ることにしよう。