« 郵政民営化 pro or con ? (4) | メイン | NY運転免許事情(1) »

村上氏は取引所の株主として不適格?

村上氏の大証株20%以上取得、月内にも却下・金融庁方針 (NIKKEI NET)

金融庁は17日、大阪証券取引所の株式について20%以上の取得認可を求めているMACアセットマネジメント(東京・港)の村上世彰氏の申請を却下する方針を固めた。
(中略)
金融庁が懸念しているのは、上場審査や不公正取引の監視など大証の「自主規制機能」に村上氏が影響を与える恐れがあるという点だ。たとえば村上氏が未公開企業の株式を購入し、大証の大株主としての立場を利用して優先的にこの会社を上場させるといった事態を想定している。

私は、どちらかというと村上氏の行動に対しては厳しい見方をする方なのですが、この「金融庁の懸念」については、さすがに首を傾げざるを得ませんでした。


金融庁の見解に対する村上氏の反論は、M&AコンサルティングのHPで公開されています。その一部をちょっとみてみると・・・

しかしながら、認可申請者の議決権行使により、対象会社のコーポレート・ガバナンスの確立が図られるのであるから、対象会社の業務の健全かつ適切な運営を損なうおそれは全くなく、それどころか、対象会社の健全かつ適切な運営に積極的に寄与するものである。証券取引所の業務の健全かつ適切な運営を損ねているのは、前記のとおり、対象会社の現経営陣の方である。
これに対して、貴庁は「認可申請者と当局の間では対象会社のコーポレート・ガバナ ンスについての認識が必ずしも一致しておらず」と述べているが、「当局のコーポレー ト・ガバナンスについての当局の認識」が如何なるもので、認可申請者の認識は、どのような点で当局の認識と異なるのか、明らかにしていただきたい。
また、貴庁は「処分の原因となる事実」の中で、「認可申請者の関係法人である投資顧問会社等の活動と対象会社の自主規制業務の間には利益相反の可能性が認められる」という。認可申請者は、関係法人である投資顧問会社の投資先が対象会社に上場するときに上場審査に影響力を行使しようとしたり、対象会社に上場中の投資先が信用取引銘柄になるように働きかけたりなどする意図は一切ないし、公的な存在である対象会社にそのような働きかけをするなど事実上不可能であることは明らかである。関係法人を対象会社に上場させるつもりも一切ない。万一、対象会社経営陣が、大株主の関係法人等に対して情実により各種審査の公正を害する取扱いをするなら、公平を期すべき証券取引所の経営者としての資質にそもそも欠けることになる。

まあ、金融庁の処分理由についての村上氏のまとめ方が正しいかどうかは分からないので、多少は割り引いて考えないといけないとしても、ここに書いてある限りのことでいえば、ごくまっとうな話だと思います。
特に新聞記事でもあげられているような、「利益相反のおそれ」が、この程度で認められるとすれば、およそあらゆる機関投資家による20%超の株式取得は禁じられるべきですし、村上氏が、いみじくもこの後で指摘しているように、証券会社が取引所の大株主であるという状況そのものが問題視されるべきことになります。
・・・どうも、日本ではこの「利益相反」という問題への対処が下手というか、あるところでは、重大な利益相反関係が全く問題視されずにまかり通っているかと思えば、今回のように、いくらでも弊害防止のステップがあって、実際には弊害が実現化する可能性は低い状況に対して過剰な反応を示したりするところがあります。
この辺りは、私が実務をやっていたときにも、しばしば感じたことで、利益相反問題というアナログ的な問題に対してデジタルな判定と処理ができるという意識を持っている人を、結構みかけたものです。
まだ、金融庁の最終的な処分は出ていないようですから、最終的にどういう形になるかは分かりませんが、ルールとその透明性を取引所に対して求めている金融庁自身が、自らの許認可権限の行使についてのルールとその透明性が問われることになっていくのではないかという気がします。

Posted by 47th : | 21:38 | Corporate Governance

関連エントリー

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://WWW.ny47th.COM/mt/mt-tb.cgi/125

このリストは、次のエントリーを参照しています: 村上氏は取引所の株主として不適格?:

» 株を100人で持てばOKで、100人が託すと駄目!? from Cazperのつれづれ日記
村上ファンドが大証株を大量取得しようとしてる件について金融庁が"待った"をかけているようです。 村上氏の大証株20%以上取得、月内にも却下・金融庁方針  金融... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年08月18日 11:02

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
このブログをご覧になる際の注意点や管理人の氏素性についてはAbout This Blogご覧下さい。