US Lawへの誘い? (2)

前回、テストの話をしたのですが、授業はどうだったかというと・・・いわゆるソクラテス・メソッドと呼ばれる手法で、宿題の範囲にあるケース(判例)を使って、学生に「原告側ならどういう具合に主張を根拠づけるのか?」とか「今の原告の主張に対して被告なら、どう反論するか?」といったことを発言させていくような感じです。
噂には聞いていて、日本人には賛否両論という話は聞いていたのですが、受講者がLLMの学生だけということもあって、結構、皆ちゃんと予習してきているので、余り的外れな方向に議論がいくことはなく、割合ケースに沿った感じで議論が進むので、これ自体はいいのですが・・・辟易したのは、学生との質疑応答です。
入門編ということで、なるべく質問を受け付けようというポリシーがあったのかも知れませんが、ともかくところどころで"Any questions ?" と教授がいうと、途端に質問の嵐・・・それ自体は、そんな責められるような話でもないと思うのですが、何せ米国法を勉強したことがない学生への米国法全般のイントロダクションですから、トピックはいくらでも拡散可能です。
しかも、LLMの学生というのは、基本的に母国で法学の学位を持っていて、なまじ法律知識があるので、「自分の国では○○だけど、アメリカではどうなのか?」ということを始めたら、ほとんど無限に質問は続けることが可能です。しかも、いろんな国から来ているわけで・・・
1時間ぐらい本筋と関係のない質問が続き、結局、アサインメントの範囲のケースのディスカッションは15分ぐらいで終わり・・・とかいうことが起きたりして、几帳面な日本人としては「なんだかなぁ・・・」という感じもあるところです。
まあ、これが米国ロー・スクールの洗礼ということなんでしょうが、分かっていても多少面食らいました。

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US Lawへの誘い? (1)

実は先週からロー・スクールの授業が始まって、その予習に追われたりしています(汗)。
私のとっているのは、LLMというコースなのですが、英米法の国で学位をとっていない学生はIntroduction to U.S. Lawというカリキュラムを受けなくてはいけないことになっています。
今回、教科書に使ったのはAmerican Law In A Global Context: The Basicsという本です。
600頁ぐらいある割には、お値段も(この手の本としては)手頃で、内容的にも憲法から、契約法、不法行為法、民事手続法、刑事法・・・と一通りカバーされているので、(多少くせはあるのですが)最初のとっつきとしては悪くない本です。
もっとも、多少問題なのは、NYUの場合には、この600頁余りある本を月曜日から木曜日の4日間でカバーし(もちろん、スキップするところはあるのですが、それでも7割ぐらいはアサインメントの対象になっています)、金曜日には、こんな感じのテストがあるというところです。(なお、問題文は回収されてしまったので、以下は私の記憶にある範囲のことを適当に訳したものですので、いろいろと細部に違いはあるかも知れません)

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NY運転免許事情(1)

私は渡米してから1年以上になるのですが、実は、まだこちらでの運転免許をとっていません。
実際、マンハッタンに住んでいると地下鉄やバスが発達しているので、免許がなくても余り不便は感じなかったのですが、さすがに2年間NYに住んでいて、地下鉄とバスで行ける範囲のところしか見ないというのもつまらないので、さすがに免許をとることにしました。
・・・もっとも、今まで免許をとらなかったのは、免許取得が「かなり」面倒くさいということも理由の一つにあります。他の州はよく分からないのですが、ニューヨークでは外国人が免許を取得するのは、かなり面倒くさいというのも、結構大きく・・・

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村上氏は取引所の株主として不適格?

村上氏の大証株20%以上取得、月内にも却下・金融庁方針 (NIKKEI NET)

金融庁は17日、大阪証券取引所の株式について20%以上の取得認可を求めているMACアセットマネジメント(東京・港)の村上世彰氏の申請を却下する方針を固めた。
(中略)
金融庁が懸念しているのは、上場審査や不公正取引の監視など大証の「自主規制機能」に村上氏が影響を与える恐れがあるという点だ。たとえば村上氏が未公開企業の株式を購入し、大証の大株主としての立場を利用して優先的にこの会社を上場させるといった事態を想定している。

私は、どちらかというと村上氏の行動に対しては厳しい見方をする方なのですが、この「金融庁の懸念」については、さすがに首を傾げざるを得ませんでした。

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郵政民営化 pro or con ? (4)

このシリーズは(3)で終わりにして、別のことを書こうと思っていたのですが、Sさんから素晴らしいコメントをもらったので、コメント欄に留めておくのはもったいないので、ご紹介いたします。

結局のところ、何で民営化(逆に公社維持)が必要かという議論に尽きるのではないかと思うのです。
ユニバーサルサービス維持という観点からも、公社という形態を維持することが必要か否か自明ではありませんし。
そもそも公社であればなぜユニバーサルサービスが維持されることになるのか、私には理解できません。
例え公社であっても、高コスト地域でのサービス提供コストがあまりにも大きくなった場合、当該地域の切捨てをしないとも限りません。
それを避けるためには、ユニバーサルサービス提供義務を課したり、取締役の選任を認可制にするなど公社の経営をコントロールする必要がありますが、かかる義務を課すのであれば、公社でなくとも日本郵便株式会社でもユニバーサルサービスの提供は確保されるわけです。

公社or民営の議論はさておき、郵便局にユニバーサルサービス義務を課すことの是非については、47thさんご指摘のエッセンシャルファシリティ(不可欠設備)に関する議論が参考になるかと思います。(ただし、エッセンシャルファシリティとユニバーサルサービス義務は直接的にはリンクしていないと思います。)
エッセンシャルファシリティ(不可欠設備)の開放義務を独占的事業者にのみ課した結果、当該事業者の設備投資インセンティブ(例えば光ファイバ設備に関する投資)を阻害されると主張しているため、米国では、ブロードバンド設備に関し、独占的事業者の他事業者に対する設備開放義務を撤廃する方向で制度改正が進められているところですが、ユニバーサルサービス義務についても同様に、事業者のユニバーサルサービス提供インセンティブに関する議論はありました。
ユニバーサルサービス提供義務については、赤字地域の採算を確保するため、ユニバーサルサービス基金を創設、固定電話サービスに係る全事業者は一定の金額を拠出し(利用者から回収されています。電話の明細にUSFと書かれた費目があるかと思います。)、基金から赤字地域において電話サービスを提供している事業者に赤字分が補填されるという仕組ができています。(実は近年のIP電話等の出現により、拠出金が不足してきているという難点はありますが。)
日本でも同種の法的仕組みはありますが、まだ不採算地域の赤字が顕著にはなっていないので、基金の発動はしていません。(現在制度改正中で直に発動されるでしょうけど。)

郵便サービスについても、ユニバーサルサービスの提供の確保(不採算地域へのサービス提供確保)は、市場原理では担保できない問題ですので、民営か公社かという問題とは別に、補助金又は基金で担保する必要があるのではないかと考えております。

要すれば、以前のコメントの繰り返しになりますが、
-公社とする必要性が感じられないので民営化自体は消極的賛成。(特段、メリットも感じられないという意味で消極的。)
-ユニバーサルサービスの確保は、民or公とは別の議論。田舎で本当に必要なサービスが提供されない事態になれば、補助金やユニバーサルサービス基金等の仕組みを創設すべき。(使われない公衆電話を多数設置することや、空席だらけの電車を田舎で運行させることがユニバーサルサービスの確保か。)
ということです。
ただし、ユニバーサルサービス基金の発動には、郵便サービスに参入する黒字事業者(いいトコどり(クリームスキミング)事業者)の存在が必要なので、郵便サービスに新規参入が認められないという現状認識に立てば、ユニバーサルサービス制度は機能しないかもしれません。
(その場合は、単一の郵便事業者が独占利潤を確保できるのでユニバーサルサービス基金は不要となり、むしろ必要なのは料金規制(プライスキャップ・公正報酬率規制等)になります。)

蛇足ですが、低サービス高コストの米国の郵便局(USPS)こそ民営化すべきだと心から思います。

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郵政民営化 pro or con ? (3)

前回前々回で、郵政民営化について経済的な側面からみていって、どうも郵政民営化には賛成できないという話をしたのですが、では小泉さんのいう郵政民営化は廃案になった方がいいかというと・・・

これまで書いてきたように、私自身は民主党のいうように郵便事業と郵貯・簡保事業を分離して考えて、前者については公社形態を維持しつつユニバーサル・サービス維持を可能な範囲で合理化をめざし、後者については段階的な縮小化を目指すというのが、合理的な筋道だと思っているのですが・・・では、それが既存の政治状況の中で可能なのか、という話があるわけです。
これは私の知識の話なので、ひょっとしたら状況は変わってきているのかも知れませんが、地方での選挙を勝ち抜く上で、絶対に押さえておかなくてはいけない「地元の有力者」というのがあります。いろんなパターンがあるんですが、特定郵便局の局長さんというのは、この「地元の有力者」の中でも、かなり重要で、選挙ということになると、各地の郵便局長さんにちゃんと支援してもらえるかがキーになっています・・・と、ここまで書いてググってみると特定郵便局に関しては、WEB上に色々情報が載っているのを発見しました。例えば、集英社新書の辛坊治郎さんのコラムに、こんなことが書かれています。

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郵政民営化 pro or con ? (2)

前回は、郵便事業の話で終わってしまったので、今回は金融保険事業についてです。
またまた色々と書いていますが、要は「思いつき」の話なんで、「そういうことを言っている奴もいたね」なんて頭の片隅に置きながら、ちゃんとしたところは各政党のマニフェストやマスコミなんかの解説を見ていただくという、そのぐらいのものとして見ていただくこととして、まずは民主党の考え方を見てみると・・・

⑧ ・・・当面は預入限度額の上限を引き下げ、徐々に規模縮小を図るとともに、国債管理政策の観点から現実的なソフトランディングを図るべきだと考える。具体的にはプライマリーバランス均衡までの間は、公社の経営改革の継続に加え、預入限度額の上限引き下げによる段階的規模縮小を図る。

要するに「郵貯・簡保は段階的に縮小すべし」ということなんですが、これも私的には納得間の高い考え方です。
昔の記事でも書いたんですが、この部分についての私の最大の疑問は、資金運用やリスク管理のノウハウのない郵貯・簡保が、民営化で競争すれば成功するなんていうバラ色の未来を想像できるのか、全く理解ができないということです。

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郵政民営化 pro or con ? (1)

8/15 追記あり <\p>

衆院総選挙とか郵政民営化絡みの話は、あんまり色々と書くと政治的知識やセンスの不足がばればれになってしまうので、深入りは避けておいた方が賢明とは思いつつ、とはいえ、自分なりに考えていることもあるので、批判を歓迎しつつ、ちょっと思いついたことを書き留めておこうかと思います、

民主党の政策って、どうなんだろう?

・・・ええと、実は今回選挙という話になって初めて民主党の公表している「郵政民営化に関する考え方」(の要約版)を拝見したんですが・・・これ、想像以上によくできているような気がするんですが、巷の評価というのはどんなものなんでしょう?
特に私的には納得間が高いのは、「基本的なポイント」の中で挙げられている次のあたりです。

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これで終わりなんですかね?

夢真の公開買付けの結果が出ています。

公開買付けの結果に関するお知らせ

結果としては応募件数は14件、株式数にして1,399,000株、割合にして3.6%程度ということのようです。
結果として、買付後の持株割合は10.59%・・・短期差益返還請求権の対象となる10%をクリアーしてしまったわけで、何とも中途半端というのが率直なところです。
・・・で、これで終わりなのか?・・・というところで、起死回生の言ってとしてはエイトコンサルタントに対するTOBに切りかわるということも考えられないわけではないのですが・・・どうなるんでしょうね?

この記事は投資判断の提供や投資勧誘を目的としたものではありませんので、そころのところはなにとぞ宜しく。ま、念のために。

ゲーム理論と衆院解散

さて、私は政治の世界にはトンと疎いのですが、こちらで得られる断片的な情報から見ながら、今回の小泉さんと造反議員の方々の行動について、ゲーム理論的に見てみると面白い状況だなと思ったことがあったので、思いつき程度に。
さて、まずは小泉さんが、参院での決議に対して衆院解散をちらつかせるのが「筋」としていいかとか、「フェア」かと言われれば、全然そんなことはないと思いますが、郵政民営化法案通過ということを目的としてみれば、戦略としては極めて有効だったわけです。
ゲーム理論的にみれば、小泉さんが「参院否決の場合は衆院解散+造反議員は非公認」という「脅し」をかけたことによって、造反衆院議員にしてみれば、「参院否決」「参院ぎりぎり可決」「参院余裕可決」という3つの状況のペイオフの中で「参院ぎりぎり可決」辺りが造反議員のメンツを保持しつつ、党内混乱に対する執行部の責任追及の口実を与えるというところで、当面の落ち着きがいい状況というのが生まれていたように思うのですが・・・
どうも造反議員の方々は、小泉さんの用いた「脅し」に対して、「参院否決という逆風の中で党内の反発を更に買うような解散まではしないだろう」と高をくくってしまったんじゃないかというようにも見えます。というのも、何だか衆院解散が決まってから「新党結成か、いやそうじゃない」とか慌てている様を見ていると「参院否決の場合は衆院解散+造反議員は非公認」というシナリオをメイン・シナリオとして備えていなかったような感じを受けるからです。
でも、これまたゲーム理論的にみると、小泉さんの政治手法の中心というのは、「抵抗勢力」に対する「脅し」による目的の達成なわけですから、「脅しの信憑性」を失うことは自らの政治力の喪失を意味することと同義なんじゃないかという気がするわけで・・・そうすると、「脅しを実現しない場合」には「自らの政治力の喪失」という結果がほぼ確実に生じる一方で、「脅しを実現する場合」、つまり衆院を解散すれば、選挙の結果次第では自らの政治力を高めるという結果もあり得るわけですから、そうしたギャンブルにうって出る方が小泉さんにとって「期待値の高い選択肢」ということになりそうです。
・・・なので、ゲーム理論的に考えると、今回の小泉さんの決断というのは極めて合理的なわけで、更にいうと、こういう具合に「脅しを実現することが合理的な行動」となっている場合には、その脅しには信憑性があることになるので、造反組の議員の方々がゲーム理論的な意味で合理的であれば、ちょっと違う結果になったのかも、などということを思ったりしたわけです。

ところで、背水の陣の戦というのは、一面で見ると非常に戦いやすいわけで、今のところは、小泉さんの思い切りのよさに対して、造反組も民主党も後手後手に回ってしまっているような印象があります。
不謹慎かも知れませんが、いろいろと深い考えがあったとしても、一度けんかになった以上は、まずは「勝つ」ためになりふりを構っててはいけないわけで、造反組の方々も昔の新自由クラブの時のように思いっきりでかい旗を振って新党を結成したりとか、民主党も「郵政民営化選挙」上等で、正面から受けて立つとか、造反自民党議員を取り込むぐらいの気迫が欲しい気がします。
政権交代というのは、そのぐらいエネルギーの必要なことだと思うんですが・・・まあ、在外投票登録をしてこなかった私に、そんな偉そうなことを言う資格もないんですけどね。

夢真のTOBは予定通り終了・・・だけど

今朝のエントリーで、夢真が予定通り12日にTOBを終わらせるかどうかが一つのポイントだという話をしたのですが、どうも予定通りに終了するようです。

夢真の日本技開へのTOB、12日に終了(NIKKEI NET)

夢真ホールディングスが7月20日から日本技術開発に実施していたTOB(株式公開買い付け)が12日終了する。応募結果は夢真が15日、関東財務局に開示する。日本技開にしかけた敵対的買収に対して、夢真に賛同する株主がどの程度いたかが明らかになる。

相当数の応募があったということになると、ホワイトナイトであるエイトコンサルタントも色々と方針を考え直さないといけないところが出てくるでしょうし、9月の定時株主総会の運営もやりにくくなりそうです・・・が、普通に考えれば一方で118円のTOBがかかっているわけで、夢真のTOBに応募する株主は多くないと思われるのですが・・・どうなんでしょうね?
ちょっと喉の奥に刺さった小骨のように気になるのは、今回のTOBでは株券がなくても応募ができるわけで、株式分割後の新株券が手許に来た段階でエイトコンサルタントの公開買付けに応募する可能性を理論上は払拭できないというところです。
もちろん、そんなことをすれば株主側の契約不履行で損害賠償という話になるので、敢えてそんなリスクをとって応募する株主が多いとも思われないのですが・・・今回のスキームにおいて不可避的に生じるこの決済リスクの部分が何か不思議な現象をもたらさないか・・・若干気になるところです。
というわけで、15日の公開買付報告書がどうなっているか引き続き注目していきたいと思います。

ホワイト・ナイトは囚われの姫(?)を救えるか?

日本から無事にNYに戻ってきました。
・・・が、ブログの更新はごぶさた気味となりまして・・・m(_ _)m・・・
時差ぼけに苦しんだり、1か月不在にしている間にたまったちょこまかしたことを処理したりというのもあったのですが、ほとんどオオカミ少年状態となっている論文をさすがにここで完成させないと永遠に日の目を見ないだろうということで、ちょっと気合いを入れたりしておりました(おかげさまで(上)は今度の商事法務に掲載されるかと・・・)。
まあ、共著の形態なので、ところどころトーンとかについては個人的見解と100%一致しない部分もありますが、ブログを読んでいただいている方には、その辺りのトーンというかニュアンスの違いを読み比べて頂くのも、また一興かと思います。
で、その論文を書くに当たっても、ある意味「生きた教科書」として非常に興味深い夢真vs日本技開の件ですが、ちょっと速報性はないのですが、「遂に」というか「やっぱり」というか、ホワイト・ナイトが出現したようです。

株式会社エイトコンサルタントによる公開買付け賛同に関するお知らせ(8/8)

株式会社エイトコンサルタント(以下「エイトコンサルタント」といいます。)は、本日、当社株式に対する公開買付け(以下「本件公開買付け」といいます。)及び本件公開買付けによりエイトコンサルタントが当社株式の50.10%を買付けることを条件に当社と業務提携を行うことを公表いたしました

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法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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