コントロールとキャッシュ・フローの分離雑考(イントロ)

今週は金曜日にMPREなるBar関係の試験があるのと、来週月曜日はコーポレート・ファイナンスの2回目の試験があるので、ちょっと重い記事を書く時間はなさそうなんですが、紅の牛さんの「市民球団が危ない」と磯崎さんの「タイガース上場(等)と種類株式の活用(「多様なガバナンス」の可能性)」で種類株式を使った球団上場の可能性について触れられていたので忘れないうちに、この問題について、考えなきゃいけない話を五月雨式にメモしておきましょう。

ベンチャー・ステージと公開会社での意味の違い

ベンチャー・ステージで種類株式を使ってキャッシュフローに対する権利割合とコントロールに対する割合を変えるというのは、特にアメリカでは珍しい話ではないんですが、ここでは議決権を有しない(or少ない)資金提供者は、非常に洗練された少数の投資家や金融機関が想定されているので、予めどういう状況が生じた場合にはコントロール権が復活するかとか、どういう行動規制を加えるかということについて、契約でかなりきちんと合意しておける状況があります。なので、「コントロール権がない」というのは、予め当事者が合意した範囲や条件の下でベンチャー起業家の経営に干渉しないことを意味するだけで、経営状況とかについての情報はちゃんと入手できるし、ある条件にひっかかればコントロールを奪ったり、とりわけ追加資金の調達なんかについては拒否権を有したりといった形で「無議決権投資家」も実質的に自分の権利を守る手段は持っているわけです。

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サマータイム終了

今日の午前でサマータイムは終了して、通常時間に切りかわり。
午前2時のはずが午前1時・・・何か1時間得したみたいで嬉しいんですが、逆にサマータイムに切りかわるときは、損した気分になるのが不思議なところです。
この週末は、(また)買収防衛策絡みの論文を仕上げ中。ただ、こっちで仕上げても日本側の都合もあるので、いつ日の目を見るかは分かりませんが、テスト前とかに修羅場が来るのは避けたいところ・・・というわけで、とりあえずワープロ稿はこの週末で仕上げてしまおうかなと思っています。
敵対的買収といえば、世の見方は楽天はライブドアの時よりも不利という見方強いようですが・・・何ででしょうね?
あんまりつっこんで考えているわけではないんですが、ニッポン放送には、フジテレビという後ろ盾があったので、最後の落ち着きどころははっきりしていたわけですが、TBSは、そういうのはないわけで・・・20%近くの持分を持たれてしまった今や、何れは条件闘争の世界じゃないかと思うんですが・・・
まあ、先のことをいって外れると恥をかくし、当たったら当たったで、どっかから情報を得ているんじゃないかと思われると困るんで(笑)、このぐらいで。

預保の方針転換は何をもたらす?

預保機構、公的資金返済で新ルール・自主判断で売却も (NIKKEI NET)

預金保険機構は28日、大手銀行などに注入した公的資金の返済に関する新ルールを発表した。機構が保有する銀行の優先株について、銀行から申請がなくても自主的な判断で普通株に転換、売却できるようにする。株価上昇で保有株の時価総額が注入額を大幅に上回っているうちに株を売却して公的資金を着実に回収し、国民負担を抑えるのが狙いだ。
(中 略)
新ルールは株価上昇などで優先株の処分が「極めて有利な状況にある」場合、機構が自主判断で処分できるとした。

金融庁のプレス・リリースと預金保険機構の発表した考え方を見てみると、「極めて有利な状況」の判断状況は次のようなもののようです。

優先株式等の商品性や株価の状況等から見て、適正な価格による処分により確実に利益が見込まれ、かつ、その時点で処分を行うことが極めて有利な状況にあること
(注)優先株式については、普通株式の株価が転換価格の150%程度以上で概ね30連続取引日推移していれば、処分により確実に利益が見込まれる状況にあると判断することとする。

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「経済物理学(エコノフィジックス)の発見」を読んで

昨日、日本から本や雑誌をまとめて送ってもらったのが届きました。3か月分ぐらいの商事法務もまとめて届いたのですが・・・何か余り興味は惹かれず、真っ先に手にとって、早速読み終わってしまったのが高安秀樹『経済物理学の発見』(光文社 2004年)です。

Econophysics_image.jpg

アマゾンの評価なんかも高かったので楽しみにしていたのですが、個人的には2つの点がもの凄くツボでした。

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「優しい経済学」で頭の体操

ゴーログの「優しい経済学」は本当に優しいのか?というエントリーに書かれていた話について、ちょっと思うところがあったのでコメントを。経済学に興味のない人にはつまんないかも知れませんが・・・
元ネタは喜八ログさんの記事なのですが、高橋伸彰氏の「優しい経済学」という本にあった市場原理に関するコップの水に関する次のような話です。

のどが渇いて死にそうだけれどコップ一杯の水に対しては一〇円しか払えないという貧しい人よりも、二日酔いで頭が痛いので一〇〇〇円払ってもよいという金持ちのほうが市場では優先されるのです。こうした市場の原理を公共サービスの分野にまで可能なかぎり拡大しようとしているのが、「構造改革」の名の下で進められている民営化にほかなりません。

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日本版産地認証制度?

日本酒にも「産地ブランド」・国税庁が新制度 (NIKKEI NET)

国税庁は10月から、日本酒の産地ブランドづくりを後押しするねらいで新しい制度を設けた。仕込み水を地元で調達するなどの条件を満たした商品に限って産地名を冠したブランドの使用を認める。・・・製造地域、仕込み水、酒米、精米歩合などのブランド基準を国税庁が認定する。白山菊酒では「水は白山水系の井戸水」「1等以上の酒造好適米を使う」などが条件になる予定だ。国税庁は年内にも認定する。

ワインとかを飲む人なら知っている人も多いと思いますが、ヨーロッパでは産地認証制度ということで、産地や製法で名乗れる銘柄が決まっています。ハムとかチーズとかも、この産地認証制度の適用があって、何でもかんでもプロシュートと名乗れるわけではないわけです。
私の知っている限りでは、日本ではこういう官製の産地認証制度というのはなくて、「魚沼産コシヒカリ」とか「関サバ」とか、産地名を商標登録して、実質的に産地管理をやろうとしてきたんじゃないかと思います。
確かに民間の商標登録で管理をすると、例えば安い価格で出荷しようとする業者には商標使用を認めないといった形での競争排除とかが起きる可能性もあるので、その辺りに問題なしというわけでもありません。その意味ではこういう「官製」の産地認証制度の導入も検討する価値は大きいと思います。
・・・ただ、それを「国税庁」がやるというのは、どうなんでしょう?
確かに酒税法は、何を「酒類」として課税するかという観点から、いろいろと要件を定めているので、その延長という考え方もあるかも知れませんが、租税回避の逋脱という観点から外延を定めるのと、消費者利益の観点から産地認証を定めるのでは、政策目標や基礎となるデータの種類も変わってくるんじゃないかという気がします。
くれぐれも産地認証を受けた日本酒の税率を高くしたりとかいう方向で、税収確保の道具に使われないといいのですが・・・

「阪神タイガース上場」の意義と可能性

プロ・スポーツ・チームと上場についてというエントリーで触れた商事法務さんのメルマガに投稿したコラム記事なんですが、せっかくなのでブログに転載です。

阪神電鉄株式の40%弱を取得した村上世彰氏の主催するM&Aコンサルティングは、阪神電鉄の経営改革の一環として阪神タイガースの上場を提案したようである。
ヨーロッパでは、一時期に比べれば少なくなったとはいえ、中村俊輔の在籍するセルティックやイタリアのユベントスをはじめとして尚多くのサッカー・クラブが上場している。しかし、同じくプロスポーツの盛んな米国では、そもそも上場したプロスポーツ・チーム自体がごく僅かな上に、それらもまたここ数年で再び非公開化している。
ヨーロッパにおいては、各クラブがスタジアムの建設費用を負担しなければならないために資本市場へのアクセスが必要になったという事情があった。これに対して、自治体がスタジアムを提供する米国においては、上場は寧ろオーナーの持分換金手段の一つに過ぎず、それだけでは情報開示のコストに見合うだけのメリットが見出せなかったことが、こうした状況の違いを生んだとも言われる。
上場はファッションではない。コストに見合うベネフィットが得られなければ、上場を断念することは、ビジネスを営むオーナーとしては当然の判断である。阪神タイガースの上場にあたっても、まずは、こうした視点からの検討がなされるべきであろう。
もっとも、仮に上場することがオーナー側にとってメリットがあることになった場合でも、果たしてプロ野球球団が資本市場から評価されるかという問題もある。昨年のパ・リーグの球団売却騒動を持ち出すまでもなく、親会社に依存しなければ成り立たないビジネス・モデルのままでは、上場したとしても普通の投資家にはそっぽを向かれるだけである。
村上氏は上場後の株主層として球団のファンを想定しているとも報道されているが、企業としての本質的な価値を無視したところで価格形成がなされれば、投機相場で株主となったファンが被害者となることすらあり得る。「普通の」投資家による適切な評価があるからこそ、「ファン」株主も安心して株式市場に参加できるのである。 今の日本のプロ野球球団が、「普通の」投資家に評価されるかどうか、あるいは、そのためには何が欠けているのか、そうした視点で「上場」について考えることは、「企業」としてのプロ野球球団のあり方を見直す契機となり得る。球団の宣伝広告や、あるいは一時的な世間の耳目を集めるためではなく、本当の意味で球団上場の意義と可能性が検討されることを、一プロ野球ファン、あるいは一阪神タイガースファンとして願ってやまない。

・・・私のコラムはともかくとして、商事法務さんのメルマガは、法律関係の重要なニュースが参照資料のリンク付で紹介されているので、何かと重宝しています。こちらから登録できます。無料ですので、まだの方は是非お試しになってはいかがでしょう?

スポーツ選手の代理人のお仕事って・・・

ライブドア、スポーツ選手代理人業務に参入・まずテニスの中村(NIKKEI NET)

ライブドアはスポーツ選手の移籍やスポンサー契約などを代行するビジネスに参入する。・・・ライブドアは選手の移籍やスポンサー契約で発生する契約金の一部を手数料として受け取る。ライブドアのポータル(玄関)サイトで選手にブログを執筆してもらったり特集を組むなど、本業のネット事業でも選手は優良なコンテンツ(情報の内容)になりうると見ている。

代理人というよりも、一種のマネージメント代行業として考えれば、ビジネス・モデルとしては、いろいろと可能性のある領域だとは思うのですが・・・ふと、気になったのが弁護士法72条との関係です。

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企業価値を高めることは買収防衛の「王道」?

toshiさんも紹介されていた、日経新聞に載っていた鹿子木判事のインタビュー記事を読みました。
なかなか耳に痛いお話も・・・

「企業防衛に関する紛争では、やや法律事務所主導で紛争が拡大している傾向が見受けられないでもないようです。小手先の防衛策に頼るのではなく、真摯な経営努力により企業価値の向上を図ることが重要。防衛策フィーバーのような状況には疑問を禁じえません。」

別に紛争を意図的に拡大しているつもりはないんですが、買収防衛策の導入に法律事務所がそれなりに大きな役割を果たしていることは否めないところです。
それに対して、「王道ではない」と苦々しく思われる方が多いのも、もの凄く分かるんですが、ただ、「企業価値を高めることが買収防衛の王道」みたいな論調には、必ずしも納得できないところが・・・

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「ジェット・ストリーム・アタック」はworkableか?

昨日のゲーム理論に続いて、今日もちょこっとそんな感じのネタで。
磯崎さんがTBSの例に学ぶ買収防衛策は機能するか?(その2)で、toshiさんのコメントを引用されながら「ジェット・ストリーム・アタック」対策について、次のような疑問を呈されています。

(toshiさんのコメント引用部分はじまり)
あと、共同ではないけれども、15パーセント保有者のうしろで、二人目が15パーセントを保有して「待っている」ようなケース、ライツプランだとどうやって防衛するのでしょうか。二人目には丸腰で戦えというも問題じゃないか、とたしか東大の神田教授が夏ころに発売された「商事法務」の座談会で発言されていたように思います。(ちょっと記憶があいまいですが。間違いがございましたら、またどなたかご指摘ください)
(toshiさんのコメント引用部分終わり)
「黒い三連星によるジェットストリームアタック」対策をどうするかですね。(「マチルダさーん!」)
要するに、新株予約権という弾を撃った後に、授権枠の「弾切れ」が発生しちゃうということですよね?

この3匹のドムがガンダムを取り囲んでいるというシチュエーションは、現実では決して珍しくなかったりするわけで、その意味では確かに心配しなきゃいけない話だろうと思います。
これを何とかするには、もう会社がニュータイプに脱皮するしかないわけですが、重力に縛られている地球人には、それもよう叶わんところです。
ただ、そもそも3匹のドムがいれば、当然にジェット・ストリーム・アタックは成立するんでしょうか?

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買収防衛とゲーム理論

楽天とTBSの件には、種々のしがらみがあるんでコメントできないんですが、色々と人のブログを見ていると勉強になります。
ただ、ふと思うのは、技術論的なところで議論もさることながら、全体のパッケージで考えれば、NPIが2000円で引き受けても、その後3000円で楽天に株を売れるなら、別にそんな決定的な障害にはならないわけで・・・まあ、あんまり個別案件に踏み込むのはやめますが、敵対的買収のように各プレイヤーのとる戦略によって利得が変わってくる状況には、ゲーム理論がかなり有効な分析用具として機能するわけです。
例えば、ゲーム理論のごく基礎的な知識を使って、ある防衛策が「機能する買収防衛策」として備えるべき「最低限の条件」は何かということを考えてみましょう。

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「クイーン」

「クイーン」

・・・というわけで、先ほどQueen with Paul RodgersをContinental Arenaで見てきました。
既にライブの音源はCDで発表されているので、その意味では予備知識はあるわけですが、やはり「生」のPaul Rodgersは違います。
Queen_Return_of_the_Champions.jpg

おそらくQueenのコアなファンからいうと、色々とあるのかも知れませんが、Paul Rodgersはどう転んでもFredieの「物まね」にはならないという意味で、むしろ潔い選択ではないかと思います。
実際、We are the Championsの出だしなんかは、ほとんど鳥肌ものだし、Fat Bottom Girlなんかも、Paulの方が純粋に合っているような感じがするわけです。
・・・(以下若干ネタバレがあるので、日本公演に行かれる方はご注意下さい)

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知的資産経営開示ガイドラインの公表

前に「裏側」情報の開示は投資家を救うか?と「経営・知的資産小委員会中間報告書(案)」の公表についてでとりあげた経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会経営・知的資産小委員会がまとめている知的資産経営の開示ガイドラインが公表されました。
財務情報以外の情報で投資家にとって、より有用な情報を提供しようというプロジェクトの趣旨そのものは賛同できるのですが、その手法としての開示の内容やその責任関係といった技術論的な部分では、依然疑問が残ることも確かです。
例えば・・・

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プロスポーツ・チームと上場について

今日発行の商事法務のメールマガジンに阪神タイガース上場に絡むコラムを寄稿しました。短いコラムですが、さすがに書く前にちょっと色々とデータや議論について調査もしたりしたんですが、意外な発見だったのですが、ヨーロッパではサッカー・クラブを中心に結構上場しているところが多いということです。
コラムにも書きましたが、有名どころでは中村俊輔の在籍するスコットランド・プレミア・リーグのCelticやSerie AのJuventus。他にもイングランド・プレミア・リーグでは、New Castle, Aton Villa, West Ham, Manchester City, Tottenham Hotspur, Southampton, Birmingham City, Charlton Athleticといったところも上場しています。
対してアメリカはといえば、90年代にはMLBのIndians、NBAのBoston Celticsあたりが上場していたのですが、21世紀に入って相次いで非公開化しています。
この差は何なのかという辺りに、プロスポーツ・チームの上場にまつわる課題が潜んでいるような予感が・・・
コラムでは、資金調達のインセンティブと市場からの評価の面について触れましたが、よりつっこんだところで見れば、放映権や知的財産権の取り扱いとか、プレイヤーの移籍市場の形態なんかも影響を及ぼしているような気がします。
関連する文献も収集し始めているので、時間ができたら、ちょっとつっこんで検討してみたいところです。ただ、結構、大きな制度設計論なんかにも踏み込まないといけない話なんで、ちょっと「重い」のが難点ですかねぇ・・・

Movable Type 3.2Ja-2へアップデート・・・疲れた・・・

木曜日の朝の授業が終わり、今週はこれで上がり・・・ということで、楽天関係で思いついたことをエントリーしていると、Movable Type 3.2のアップデート版のリリースが開始されていました。
最近スパムコメントも多くなってきたので、スパム排除機能の強力なVersion3.2を入れたいと思っていたのですが、どうも色々と問題があるという情報もあったのでアップデートを控えていました。しかし、改善版が出たということで、早速アップグレード。
configuration fileの設定で、若干手間取ったものの、順調にアップグレードは進み、噂に聞いていたデザイン一新の管理画面にもお目見え。
ところが、サイトの再構築をしようとしたところ、500エラーの連発・・・念のためcgiのパーミッションを全部チェックしたけれど、やはり症状は治らず・・・で、過去のVersion 3.2関係の問題点を改めて見てみると、ロリポップのBerkley DB環境下でrecent_comment_onのスクリプトを使っていると、この症状が起こるらしい・・・全然、問題改善されてないじゃん・・・
テンプレートを修正するのも面倒くさいし・・・ということで、MT関係の情報の充実しているこのサイトを参考に、これを機にSQ Liteに移行することに・・・これが、またsix apart純正のDB変換スクリプトがうまく動かず一苦労。
最終的にOgawaさんの提供しているスクリプトを使わせてもらって、一見落着。
というわけで、現在、このブログはSQ Lite環境下で運営中・・・もっとも、DBの違いなど本当は全く理解していないのですが・・・まあ、とりあえず500エラーは出なくなったので、よしとしよう^^
アップデート中にコメントやTBをしていただいた方には、ご迷惑をおかけしたかも知れず、申し訳ありません。
そうそう、肝心のスパム・フィルターの方は早速活躍しているようで、既に3つぐらいの海外からのスパムをはじいています。
とか言っているうちに、もうこんな時間・・・予習、予習。

(追記)
スパム設定が厳しいのか、スパムでないコメントまで排除されることが、まだあるようです。
妥当なレベルに落ち着くとまで、コメントやTBが即座に反映されないことがあるかも知れませんが、ご容赦下さい。(Hard Waveさん、すみませんでした)。

新しいフェーズ到来の予感(気のせいか?)

磯崎さんHardwaveさんのブログをチェックしていて気づく。そうか、楽天がTBSにねぇ・・・
まだ、全然分析もしていないし、そもそも、そんなに深くつっこめない事情もあるのですが、楽天のプレスリリースからすると、楽天はこれまでにもTBSと提携協議を進めてきていたという話もあるようで・・・今回の楽天の究極の目的は本当に提携なのかも知れません。
もちろん、提携というのは力づくではできません。
ただ、他方で相手の顔色をうかがうだけでは、交渉はできません。
友好的に進めようとしても、相手方がのらりくらりとしているのであれば、相手を前向きにさせるためのカードが必要です。
今回のように水面下の交渉経緯を、突然パブリックにされてしまうと、対象会社の身動きは結構とりにくくなるもので、アメリカでは、こういうのをBear Hug(要するに抱え込んで身動きがとれなくしてしまうという意味ですね)といい、アメリカでは一つの常套手段となっています。
M&Aの実務をやっている弁護士によると、このBear Hug Letterのドラフトというのが、一つの醍醐味ともいいます。というのも、相手の態度を必要以上に硬化させることなく、それでいて、確実にプレッシャーを与えることができるかどうかというマニュアルやひな形の存在しない世界で、状況判断能力や創造力が試される領域だからです。
日本では、若干誤解されて紹介されているような気もしますが、敵対的買収と友好買収の境界は非常に曖昧です。実際には、コストや不確実性の高い敵対的買収は(何か隠れた目的でもない限り)誰も望みません。むしろ、敵対的な手法は、「最終的に友好的な買収を実現させるための戦略の一つ」という位置付けです(オラクルとピープルソフトですら、最終的には両経営陣が合意の上で合併契約が調印されたことを思い出してみましょう)。
これまでの、いくつかあった「敵対的」買収というのは、どこか「敵対的」であることに意義を見出しているような、その意味で、何が買収者の目的なのかが非常に分かりにくいものでしたが、今回の楽天の行動は、「TBSとの友好的提携」という最終目標を実現するための、「戦略的敵対的買収」とでも呼べるものではないかという気がしています。
ちょっと気が早いのかも知れませんが、敵対的な買収手法が戦略的に用いられるというのは、また一つ日本のM&A市場が新しいフェーズに入っていく兆しのような気もします。
もちろん、こういう新しいフェーズでは、単なる形だけの買収防衛「策」は、それほど大きな意味合いを持ちません。「防衛」自体も交渉の上での一つの選択肢でしかなく、買収対象となった会社にとっても、大事なのは、全体として達成したい目的、あるいは、守りたい価値をきちんと見据えて、そこに着地するための全体戦略を立てることです。
・・・というわけで、今後の両社の対応には要注目です・・・(ただし、残念ながら、私の方では、諸般の事情により、(多分、)これ以上個別につっこむことは支障がありそうですが・・・)

このCorporate Financeを、如何せん

秋学期も始まって1か月以上が経ち、授業のペースも大分つかめてきた感じです。前に話したQuantitative Methodは、今週からいよいよregression analysisに入ってきたのですが、その前段階のHypothetical Testingまでのところが、まだ完全にものになっていないせいか、若干消化不良気味です。一度、ここらで時間を見つけて、自分向けに内容をまとめたペーパーでも書いてみようかなと思案中・・・題して「弁護士のためのQuantitative Method」ということで^^;。
・・・と、こちらは消化すべき内容が豊富なので苦労しているという話ですが、対極にあるのがCorporate Finance。
1か月経つのに、まだCapital BudgetingとBond and Stock Pricing・・・しかも、Stock Pricing といっても、CAPMとかには、まだ全く入らないままに、これで1/3を消化・・・一応、期末までにはオプションにも入る予定ということですが、本当かいな?という感じもあり・・・
教授がビジネス・スクール(Stern)の人とということで期待していたのですが、逆にLawの人間をなめているのか、異様なまでに丁寧に授業を進めていくため、全く予習しなくても授業に出ていればOK・・・

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Quebecの秋

週末にCanadaのQuebecに行ってきました。
別にNYが危険だからというわけではなく、有名なメイプル街道の紅葉を見たいというパートナーの強い要望により、Montrealまで飛んで、レンタカーを借りてQuebecへ。
道中は前も見えないような土砂降りで、周りをトレーラーに囲まれると水飛沫で何も見えず、果たして無事に辿り着けるのかもあやぶまれたのですが、ノンストップで走ること3時間、Quebecに着くと雨は小降り。
フランス文化の影響を色濃く受けた城塞の残る街並みは、かなり私のツボ
Quebecの街並み~首折れ階段

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タイガースよりスバルを救って。。。

<米GM>富士重工株の4割をトヨタに売却へ (毎日新聞)

トヨタ自動車は5日、米ゼネラルモーターズ(GM)が発行済み株式の20.1%を保有する富士重工業の株式について、8.7%を取得すると発表した。取得額は約350億円で、筆頭株主になる。
(中略)
GMは99年、富士重と包括提携を結び、00年に筆頭株主になった。同様に出資するいすゞ自動車、スズキと合わせ、GMグループのアジアの拠点に位置づけたが、提携効果が出せず、富士重の05年4~6月期は11億円の最終赤字になった。自らの経営が悪化しているGMは、富士重との提携を続けても効果が上がる可能性は少ないと判断し、関係解消に踏み切る。
 トヨタと富士重の提携の具体的な内容は未定。「生産・開発面で協力したい」(トヨタの木下光男副社長)としており、カーナビを使った次世代通信技術の開発や富士重独自の「水平対向エンジン」、ハイブリッド車技術などが軸になるとみられる。

日本にいるときは4年間インプレッサに乗ってました。戻ったら、またインプレッサかレガシーと思ってるのに・・・誰か、どっちかというと、スバルを救って・・・
いや、トヨタが悪いといっているわけではないけど・・・同業だし、何かちょっと車に対するポリシーが違うような気がするし・・・いや、これこそ単なる感情論なんですけどね。

でじゃ・びゅ~その2

(18:30 追記あり)
大量保有報告書を見てみると、bfsさんやneon98さんの指摘されているように、33.3%越えは市場取引のようです(neon98さんの指摘のように、取得単価の記載がないものは市場取引のはずなので)。
まあ、時間外取引が使えなくなったところで、コロンブスの卵的に市場内クロスに戻るという途も残っているような気もしますが、これ以上は海の向こうからネットをちょこちょこと見ているだけでは調べようもありません。買収観測がある中で、「普通の」市場買付で、1日で発行済株式総数の5%強の買いが実現できるというのは、やはり何か「カラクリ」がないとしっくりこないのですが、まあ、あんまり色々憶測をしてみてもしょうがないので、このぐらいで許しといたるわ、と、池野めだか風に終わらせておきます。
で、問題は、村上さんの考えていることは何なんだろう、というところです。
大量保有報告書によると取得資金総額は936億なので、一株当たり平均で580円・・・600円弱というところ・・・
対する阪神電鉄の株価は過去5年間で見ても、28年ぶりのタイガース優勝を挟みつつも300円程度で安定しているわけで、少なくとも過去のこの安定的トレンドの2倍でようやくトントンという水準なわけです。

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阪神電鉄株、いきなり38%取得・・・何かどこかで・・・

村上ファンド、阪神電鉄株の38%取得 (NIKKEI NET)

旧通産省(現経済産業省)OBの村上世彰氏の投資ファンドは3日、阪神電鉄株の38.1%を取得したとの報告書を関東財務局に提出した。同ファンドは9月 26日に約27%を保有したと報告していた。保有株が全体の3分の1を超えたことで、合併や定款変更など阪神電鉄の株主総会の重要案件への拒否権を確保した。
(中略)
「村上ファンド」は先月26日から30日までの間に市場で4526万株を買い増したほか、転換社債型新株予約権付社債の株式への転換で3601万株を取得。10月1日に阪神百貨店が阪神電鉄の完全子会社になったことで、保有する百貨店株を1425万株の阪神電鉄株に交換した。

さて、愛する阪神の危機をどうするかというのもあるのですが、何か気がついたら一夜にして33.3%を超える持分を取得していたというこのパターンは、何か今年の2月ぐらいにも聞いたような話ですね・・・あのときは時間外取引ということでしたが、今度は転換社債ということなんでしょうか?
ただ、転換社債もエクイティ性証券なので、その取得に際してはTOBルールはかかるはずなのですが。。。大量保有報告書の閲覧もネットでできるようになったようですし、どういうカラクリを使ったのか、ちょっと興味があるところです。
今、Corporationの授業中ですので、今日は取り急ぎ、このぐらいで

事業信託制度の目的は?

企業の事業信託制度を創設・政府、2007年にも

政府は企業が一部の事業を他社に信託して運営を委ねる「事業信託」の仕組みを2007年にも設ける方針だ。企業は特定の事業のリスクを分離できるほか、不振事業を他社に預けて再建することも可能になる。医薬品や先端技術開発など多額の費用がかかりリスクを伴う事業分野の展開や、同業他社に競争力で劣る生産部門の再生に役立つとみている。

・・・ということなんですが、「特定の事業リスクの分離」や「不振事業の再建」は、別に株式会社を使った子会社化やJV化でも可能だと思うんですが・・・
少なくとも、アメリカのビジネス・トラストでも事業を実質的にコントロールしている人間は無限責任を負うとしている州が多いようですし、その意味では事業リスクの遮断というレジームの点で株式会社よりも有利といえるかどうか・・・
「不振事業を他社に預けて再建」するといっても、アップサイドが出たら事業を取り戻すなんていう都合のいいディールが可能だったら、現行法でも営業の賃貸でも何でもできるんで、普通は、そんなうまい話はないので、資源を投じて不振事業の再建をしようという場合には、その相手に一定の持分を与えてJV化したりするんだと思うんですよね・・・
というわけで、何か法的に考えると、ちょっと眉唾なところが・・・あとは、会社ではなく「信託」なんでということで、会計上、連結のときの取り扱いを変えることができる(リスクの高い事業や不振事業を簿価で連結から外せる?)とか、税法上の取り扱い(パス・スルー)を狙うという途はあるのかも知れませんが・・・個人的には、実質的なリスクや経済的利益の所在が同じものについて会計や税法上の取り扱いが異なる(制度間arbitrageを認める)というのは、合理性があるのか?もあるところです。
まあ、新聞記事で見ているだけですし、企業に選択肢を与える方向での改正であれば、あとは使うか使わないかは企業次第ということで、(もっと検討すべき課題が他にあるんじゃないかという機会費用の部分は別として)とりたてて強く反対するほどのことでもないんですが・・・ちょっと不思議な感じがしたので。
どなたか、具体的なメリットやニーズについてご存じの方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。(ちょっと、自分でも調べてみるかも知れませんが)

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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