再生プレミアム分配の難しさ (2)

前回は債権者間の利益移転問題について説明しました。

これを解消するために、例えば債権放棄や金利減免のようなリストラクチャリングが実施されるわけですが、問題は債権だけではなく、エクイティ・ホルダーとの間でも生じ得ます。

例えば、先ほどの会社Aの例に戻ってみましょう。

今、会社Aは既存債権者に対して現状に見合った状況になるために500億円の債権放棄を依頼したとしましょう。こうすれば、新債権者は安心して入ってくることができます。
しかし、既存債権者はこれでは面白くありません。なぜなら、自分たちが500億円放棄したことによって、余剰キャッシュフローが20億円(270-150-100)発生するわけですが、これは株主のものになってしまうからです。

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再生プレミアム分配の難しさ (1)

まず、最初に誤解のないように書いておきますと、個別の事案において、ある処理が妥当かどうかということを判断するような情報は私は持っていませんし、それについて再生の文脈だから何でもありと形式的に割り切るつもりはありません。

また、今回の某再生中の会社でのスクゥイーズ・アウトにおいて一般株主に提示された価格が適正なものであるかどうかについては、何ら判断する材料も持っていません。さらにいうと、最近のエントリーで繰り返す書いているように、たとえ法的に違法ではないとしても、そのことが当然に法律以外の公平さに対する観念やモラル、倫理に照らして許されることになるとは思っていません。
むしろ私自身がこれまでの経験の中で感じていることは、法律の技術論以上に、利害関係者の(必ずしを賛同ではないとしても)「納得」を得るための努力の積み重ねが重要だというもので、その意味では件のスクゥイーズ・アウトに多くの一般株主の方が納得できないと考えているとすれば、そうした過程に問題がなかったかは批判的に検討されるべきであり、再生に携わる者としては他山の石としなければならないと思います。

ここまで予防線を張ってまで、敢えてセンシティブな問題に立ち入るべきでないという気もしたのですが、toshiさんのブログを拝見していて、余り文献などでは触れられない(ように見える)けど、再生案件における一般株主の利益に関する問題を考える上では、通常のMBOにおける支配権プレミアム(一般株主から支配株主への利益移転)ではなく、再生プレミアム(債権者・スポンサーから一般株主への利益移転)の分配のあり方が実質的な面で大きな問題となり得るということについて視点を提供することは有用ではないかと考えエントリーを立ててみることにしました。

(ちなみに今回の記事と合わせて、(長いんですが)以前に書いたシリーズ「ダイエー支援決定を読む」もご覧頂けると、再生の場面における債権者と一般株主との利益配分の難しさについて、感覚を掴んでいただけるかも知れません)

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宣伝:「企業買収防衛戦略2」&「会社の値段」(再アップ)

(3/31:アマゾンのリンク等を追加して再UPしました。)
Takeover_Defense_2.jpg

日本では発売になったようで、アマゾンでもお求めになれます。(・・・でも、また著者名が・・・orz)
商事法務のHPでは、詳しい目次とはしがきも見られますので、こちらもどうぞ^^

(以下元記事です)
商事法務のメルマガからの引用です。

上場企業の適正な買収防衛戦略はどうあるべきか。最新の立法動向を踏まえた最先端の実務と理論を紹介!
『企業買収防衛戦略2』武井一浩/中山龍太郎 編著(487頁 4,620円)

ということで、3月下旬から4月上旬にかけての発売を予定しているということで宣伝です。

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自賠責の支払基準否定の経済学的インプリケーション

自賠責、支払い基準超える賠償命令可能・最高裁 (NIKKEI NET)

死亡自動車事故の損害賠償を巡り、裁判所が自賠責保険の支払い基準を上回る賠償を判決で命じられるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第一小法廷(横尾和子裁判長)は30日、「基準にかかわらず賠償を命じることができる」との初判断を示した。・・・
判決理由で同小法廷は「国が定めた自賠責保険の基準額は、訴訟外で保険金を公平、迅速に支払うための基準にすぎない」と指摘。「訴訟では個別事案の結果が尊重されるべきで、基準と違いがあっても不合理でない」と述べた。

判決文の一部を引用します(それにしても最高裁のHPの新しいデザインは分かりにくいですね。いとう先生のブログの記事がなければ、探すのを断念するところでした)。

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「法」への幻想 (番外編)

(3/30 追記あり)

巷で話題になっているPSE法のことについては、私には正直よく分からないので、全く触れていませんし、これからも触れるつもりもないのですが、「法」に対する観念や「悪法」に対する対応のあり方として、非常に勉強になったのが名古屋大学の大屋雄裕先生の「おおやにき」ということで、ご紹介いたします。

コメント欄も含めると結構膨大になるのですが、これまでのこのブログでの「法」への幻想シリーズを面白いと思ってい頂いた方は、是非ご一読をお薦めいたします。

大屋先生は、一貫して、(a)「裁判所がどういう解 釈をとるか」ということと、(b)それが「法として望ましいかどうか」を区別した上て、(a)の問題として「中古品の販売」を含まないという解釈を裁判所がとる可能性は低いことと、そして、そうした裁判所の判断に対する客観的な予測を前提として、PSE法に対して、それを「悪法」だと考える人々がどういう形で対応することが(PSE法反対者のみならず社会的なシステムとして)望ましいかを議論されている(ように見える)わけです。
これは、法律家にとっては極めて自然な思考様式なのですが、一般の人々の持つ「法」のあり方(あるいは、あるべき姿)の観念との間には齟齬があり、それがコメント欄のやりとりの中で浮き彫りになっているように思われます。

今回のPSE法においてどのような対応や解決が望ましかったかは、私自身は答えが出ていませんし、(坂本)教授のような声の上げ方もあっていいとは思っているのですが、そうした点を措いて、大屋先生の根気強い丁寧な対応と明晰な分析には本当に感銘を受けました。

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サックスとアンジェリーナ・ジョリーの重荷 (3・完)

講演の後は、質疑応答の時間がとられました。

正直、余り真面目に聞いていなかったので手控えもとっていなかたのですが、一つ興味深かった質問がありました。

歪んだ”FIA"

Easterlyは、Plannnerには"FIA"-Feedback, Incentive, Accountabilityがないと嘆いたわけですが、質問者は、問題はFIAの欠如ではなく、むしろ援助国と被援助国の意思決定者、つまり政府には歪んだFIAがあるからではないかと指摘します(以下はメモに基づくものではなく、記憶に基づくもので適宜私の解釈で補足しているものである点でご注意下さい)。

-例えばアメリカにとって資金援助は被援助国の貧困のためになされているのではなく、アメリカ自身の、あるいはアメリカ国民にとっての利益を達成するための手段として用いられている・・・例えば、1980年代までは対共産圏対策として反共政策をとる政府を支えるために援助がなされていたし、その後も資源国における米国企業の利権確保のための補助金として用いられたり、米国からの輸入物品購入と紐付きで援助がなされたりもした。
これはアメリカ政府は、被援助国の国民に対してではなく、アメリカ国民に対して責任を負っているからであって、その責任を果たすために途上国の発展を犠牲にしてもアメリカ企業の輸出拡大や利権へのアクセスを拡大する方策がとられることになる。
その意味では資金援助は被援助国の経済発展には役立っていないが、アメリカ企業、あるいはアメリカ国民の利益としては還元されているのではないか?
また、こうした援助国側の事情に鑑みれば、被援助国の支配者は、援助額の一部をスイス銀行の隠し口座に預け、あとはアメリカ企業の利益のために用いることが適切な戦略となる。アメリカにとってみても、自らの意向に従う限りは、完全な民主的政権よりも、こうした独裁的政権の方が望ましいことになる。
援助国も、ひいては被援助国も、援助資金の使途についてフィードバックを得て、それが「適切に」用いられることを監視する強いインセンティブを持っているし、「適切に」用いられなかった場合にはその責任をとらなくてはいけない。その意味で、そこには”FIA”は存在している。ただ、問題は、その”FIA"は途上国の発展という目的に向けられたものではなく、アメリカ-援助国の有権者に向けられている点が問題なのではないか?-

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NYUよいとこ一度はおいで?

3月も半ばになると、そろそろ上位校も含めてロースクールの合否も出てきます。
アメリカのロースクールの合否というのは大学の成績の占める割合がかなり高く、複数の上位校から入学許可が出るものです。どこを選ぶかというのは実に贅沢な悩みで、脇から見ると「その中ならどこでもいいじゃん」とも思うのですが、本人にとっては結構深刻なものです。
一番簡単なのはランキングですが、これは基本的にJD(学部生の3年コース)を意図したものであったり、ランキングで重視されるポイントに偏りがあったりということで、特に上位校の間ではランキングだけでは決め手にならないこともままあります。

というわけで、最近メールをくれた友人を含めて「贅沢な悩み」を抱える方々の参考までに、私の通うNew York University(NYU) Law Schoolを念頭に置きながら、Law School選択のポイントについて。

何をしたいのか?

やはり基本は、留学中に「何をしたいのか?」というところです。
もちろん、学生の本分は勉強なんですが、学校で学ぶことだけが勉強とは限りません。
英語でコミュニケーションをとる能力を向上することも大事ですし、そもそも異文化の中でそこに溶け込んで生活するということも留学の一つの大きな醍醐味です。
また、実務家になってからの激務で疲れ切った心身を癒したり、家族との時間を持つということも大事でしょう。

こうした色々な目標のバランスや優先度を考えてみることは大切です。
さらに、そもそも異国での生活というのは、それなりに大変です。環境の変化への耐性とか社交性とか、食べ物の好き嫌いとか、そういう日常のストレスに対する自分の適応能力とも相談しないといけません。
向上心に富んでいても、生活の負荷が大きすぎて体調を崩しては元も子もありません。

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DRAMカルテルと外国籍社員への実刑

THREE SAMSUNG EXECUTIVES AGREE TO PLEAD GUILTY, SERVE JAIL TIME FOR PARTICIPATING IN DRAM PRICE FIXING CONSPIRACY (DOJ Press Release)

Three executives from Samsung Electronics Company Ltd., the world's largest manufacturer of a common computer component called dynamic random access memory (DRAM), have agreed to plead guilty and to serve jail time in the United States for participating in a global conspiracy to fix DRAM prices, the Department of Justice announced....
"True deterrence occurs when guilty individuals serve jail terms, and not just when corporations pay criminal fines," said Attorney General Alberto R. Gonzales. "These pleas should send a clear message that we will hold accountable all conspirators, whether domestic or foreign, that harm American consumers through their illegal conduct."...
"These are the first executives from Samsung to plead guilty to fixing prices in what is still an active investigation into antitrust violations in the DRAM industry," said Thomas O. Barnett, Assistant Attorney General in charge of the Department's Antitrust Division. "We will continue our efforts to bring to justice other domestic and foreign-based executives who were involved with fixing DRAM prices."...
The Samsung executives are the third wave of individuals to agree to prison sentences in the DRAM investigation. On March 15, 2006, four Hynix Semiconductor Inc. executives--Dae Soo Kim, Chae Kyun Chung, Kun Chul Suh and Choon Yub Choi--pleaded guilty to the DRAM price-fixing conspiracy. The Hynix employees have been sentenced to serve jail terms ranging from five to eight months and to pay a $250,000 fine. In December 2004, four Infineon executives--T. Rudd Corwin, Peter Schaefer, Gunter Hefner and Heinrich Florian--pleaded guilty to the DRAM price-fixing conspiracy. The Infineon employees served jail terms ranging from four to six months and each paid a $250,000 fine....
Four companies have been charged with price-fixing in the DRAM investigation. Samsung, the world's largest DRAM manufacturer, pleaded guilty to the price-fixing conspiracy and was sentenced to pay a $300 million criminal fine in November 2005. Hynix, the world's second-largest DRAM manufacturer, pleaded guilty and was sentenced to pay a $185 million criminal fine in May 2005. In January 2006, Japanese manufacturer Elpida Memory agreed to plead guilty and pay an $84 million fine. In October 2004, German manufacturer Infineon pleaded guilty and was sentenced to pay a $160 million criminal fine.

ということで、DRAMカルテルに参加した外国企業4社のうち3社について罰金だけでなく、その社員に対する実刑が合意されたということになります。残る1社は日本のエルピーダ・メモリーです。会社としては、既に950万ドルで和解が成立していますが、個人責任はそれとは別の話になるので、現在司法当局と激しい綱引きが行われているのかも知れません。

2年前に日本企業の社員がソルビン酸カルテルで初めて実刑を受けることになりましたが(DOJリリース)、反トラスト法の問題、とりわけカルテルは非常に大きなリスク要因ということで、企業としてのコンプライアンスを考える上で念頭に入れておくと宜しいかと。

こちらは、NYTの記事です。

3 to Plead Guilty in Samsung Price-Fixing Case (New York Times)

 

サックスとアンジェリーナ・ジョリーの重荷 (2)

前回は、Easterlyが、Angelina JolieもといJeffrey SachsmもといPlannerに対してどこぞのオーナーも真っ青なぐらいに「5年後の常勝軍団の夢なんていいから、Bクラスの責任を誰かとれ」とか「ギャラクティコなラインアップよりも結果を出せ」と怒っているというところまで行きました。

悪いのは自分たちではない

・・・といったかどうかは分かりませんが、EasterlyはPlannerたちの典型的な言い訳と処方箋を、こう描写します。

問題は、自分たちの側にあるのではない。
プランは素晴らしい。資金もある。
なのに、うまくいかないのは、資金提供を受けた途上国の政府の能力の問題だ。

となると、処方箋は、いかにそうした途上国を正しい方向に持って行くかということになります。

まず試みるのは、資金提供に一定の条件を付けることです。ただ、Plannerの仕事は貧困にあえぐ国に資金を提供することです。いくら悪い政府であっても、資金提供を止めてしまえば、その国の貧困層はますます貧窮する・・・この時点で、いくら条件を付けてみても、これを履行させることはできなくなってしまいます。

いくら条件を付けてみても、一向にその政府がよくならない。
そこで、次にPlannerが考えることは何でしょう?

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フランスにおける反iTMS法?の成立

とりあえず分析はおいておいて、クリップだけ。

「国が海賊行為を後援」――Apple、仏法案を批判 (IT media News)

「この法案がフランスで施行されれば、国家の後援による海賊行為につながるだろう」とAppleの広報担当者ナタリー・ケリス氏は語る。「海賊行為に代わ る合法的な手段が顧客の支持を得つつあるという時に、もしこのようなことが起きれば合法的な音楽売り上げは落ち込むだろう」
(中略)
しかしAppleはこの法案に反対しており、これは実際にはiPodの売り上げを伸ばすだろうと指摘している。「ユーザーは十分なプロテクトをかけられな い『互換性のある』音楽をiPodに自由にアップロードできるようになり、iPodの売り上げは増えるだろう。iPodに対応した無料の映画も遠からず出 てくるはずだ」とケリス氏は述べている。

JUST印象だけですが、後段のシナリオは「iPodがデジタル・ミュージック・プレイヤーとして他に比べて十分に魅力的である」限りにおいて正しいのでしょうね。

但し、勿論のことながら、将来的にデザイン・機能・価格の面でiPodと競争力を有するプレイヤーが生まれた場合には、i Tunesによる囲い込みは競争制限的になり得ます。

もっとも、やや悩ましいのは、少なくともAppleにはDRM(デジタル権利管理)システム開発に対する強いインセンティブがあり、これがデジタル音楽市場の成長を促進している面もあるところでしょう。それぞれの著作権者も違法コピー対策のインセンティブを有しているとは言ってみても、各社でDRMを開発しなければならないとすればコストの重複の問題やフリー・ライド問題発生の可能性もあります。また、そうした投資水準が下がることは、単に違法コピーが増えるというだけではなく、ちょっと前にSonyがやらかしたように(あれはCDでしたが)、ソフトのセキュリティ・ホールを利用され副次的被害が広がる可能性もありそうです。
その意味では、圧倒的な市場シェアを背景とした強固なDRM開発のインセンティブを有するAppleの存在がデジタル音楽市場のインフラを提供してきたという側面も無視できないような気もします。

フランスのような形ではないにせよ、アメリカでもiPodとi Tuneの組み合わせによる独占化の動きについては議論があるわけで、色々と考える材料になりそうな話です。

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サックスとアンジェリーナ・ジョリーの重荷 (1)

花粉症のせいか、何か昨日ぐらいから、また目がしょぼしょぼして頭が痛くて、予習もはかどらない・・・と、ブログでぐちをこぼしてもしょうがないんですが、そんな中、昨日の夕方、同時刻帯に行われた予備校によるNY Barの説明会をぶっちして、行ってきました。

何に?・・・前にもこのブログで紹介したWilliam Easterlyが"Elusive Quest for Growth"に続く新刊"The White Man's Burden: Why the West's Efforts to Aid the Rest Have Done So Much Ill And So Little Good"を発表したということで、その発売記念講演会です。
(なお、Foreign AffairsでSenがMan without Planという書評を書いています)

そらまめさんによると、タイトルの"The White Man's Burden"という言葉は19世紀末の詩ということです。wikipediaで見てみると、一見すると帝国主義を称揚しているようで、実は、それを韜晦した詩ということのようです。

昨日のBook Eventで買ったばかりなので、もちろん、まだ読んでいないのですが、プレゼンの内容からは、帝国主義(?)を称揚しているのはタイトルだけで、あとは徹底的にこきおろしているようです(笑)。

この本についての、ちゃんとしたレビューは専門家の梶ピエール先生の続稿を待つとして、私は、プレゼンの中身についてメモと感想を。

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遅ればせながら、ソフトバンク・ヴォーダフォンについて (2)

前回は今回のディールの基本情報を見たわけですが、今回はLBOの基本的な法的ストラクチャーについて見てみましょう。

LBOの基本的構造は下の図のとおりです。

 

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祝世界一!

"We are the Champion"をバックに、紙吹雪の中、日の丸が揺れ・・・キューバの選手が、満面の笑みのイチローと肩を組んで写真を撮っている・・・

色濃い商業主義から始まった大会を、参加した選手たちの真摯さが素晴らしいものに変えてくれた気がします。

荒川静香の金メダルも素晴らしかったけど、この初代WBC王者(・・・っていうとプロレスみたいだけど)のトロフィーは野球ファンにはまた格別のものがあります。。

とりあえず、今日のところは、この感動と感謝を胸に眠りにつきますが・・・いや、やっぱり野球っていいね。

(ところで、アメリカまで行って一度も投げるチャンスをもらえなかった久保田はちょっとかわいそうじゃない?)
 

あせった・・・

きっかけを話し出すと長くなるのでやめますが、ある特定のプラグインがうまく動作しないことから、色々といじくっているうちに、管理画面にログインできなくなってしまうという状態が発生してしまいました。

ぐぐってみると、こういう状況を改善するにはMT-medicというcgiが有効ということを発見したのですが、何とこのMT-medicがうまく機能せずに(AuthorにもBlogにも誰も何も表示されない!)、新しい管理者を設定することもできない状態になってしまいました。

で、結局、MT本体を再インストールすることに(涙)・・・ただ、こういうこともあろうかとログは出力しておいたので、テンプレート等を元に戻すのが多少手間でしたが、何とか一応復帰することができました。
いや、素人が分を過ぎたことをやってはいけませんね。

ただ、転んでもただでは起きたくないということで、ついでにphp化などもしてみました。
正直、どのぐらい意味があるのか今ひとつ確信が持てないところもありますが、これも、まあ一つの修行ということで・・・

何か閲覧やコメント時にエラーが出るようであれば、ご報告下さい。
それにしても、疲れた・・・

遅ればせながら、ソフトバンク・ヴォーダフォンについて (1)

正直、これを典型的なLBOと呼んでいいのかは微妙なところもあるんですが、とりあえずスキームとしてはLBOですし、規模としてもLBOとしては空前の規模ということもあり、一応、時流にのって、このブログでも触れてみようかと思います・・・って、自分でも何故かよく分からない後ろ向きさ加減ですが、とりあえずデータの整理から始めてみましょう。

ディールに関する基本情報

まずは、公式情報として両社のプレス・リリースです(以下、ソフトバンクを「SB」、Vodafone Group PLCを「VD」、ヴォーダフォン株式会社を「VDJ」、買収用のソフトバンクの100%子会社("Bidco")を「BC」と略します)。

もう一つ重要な情報源としてR30さんの起こした孫社長のインタビューとQ&Aの速記録と同氏のインプレッションもあげておきます。

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復帰&こもごも

しばらく南の島に行っていました。
南の島といっても、絶海の孤島ではなく、典型的リゾートなのでネットぐらいつながるだろうと高を括っていたら、全くのネット未開地で(まあ、モデムを使えばいけたのかも知れませんが、そこまでの根性もなく)、久々にパソコンに全く触れない日々を送っていました。

そんな南の島でも衛星放送は入るということで、水曜日のWBC日韓戦はちゃっかりと観戦。
疲れの見え始めた杉内を引っ張った時点でいやな予感が湧き、1アウトランナー2,3塁、クリーンアップというしびれる場面での登板を余儀なくされた球児に同情し、前進守備の間を抜かれてしまうという采配の悪循環や、松中の執念のヒットの意義を理解していないかのように見える多村と新井の大振りに、大いなる絶望を感じて、勝手にWBCは終わったと思っていたんですが・・・昨夜NYに戻ってきて、久々にネットをチェックすると、何とまた日韓戦。

というわけで、10時間以上の移動とその間のどたばたに疲れ切りながらも、最後までテレビ観戦。

上原を引っ張りすぎたり、青木への見切りが早かったりと、個別の不満はありつつも、それを帳消しにしてくれる大勝で、ようやく溜飲を下げることができました。

一夜明けて、本日は、リゾートぼけと明日から再開の授業の予習もしなければならないのですが、とうとう件のビッグディールも公表されたようですので、リハビリがてら、そちらの方にも触れていこうかなと思っていますので、引き続きご愛顧?のほどを宜しくお願いいたします。

かくしてアメリカの尊厳は守られた?

To Japanese, California Scheming; to U.S., a Good Call (New York Times)

 The scene unfolded like something from baseball's growing file of worst nightmares. An American umpire made a disputed call that helped the United States beat Japan, 4-3, in front of a pro-American crowd of 32,896 at Angels Stadium. If baseball did not have enough questions to answer about performance-enhancing drugs, now it will inevitably hear charges of favoritism.
・・・
The United States appealed, claiming Nishioka left early, but such appeals are generally considered formalities after Little League. They are rarely granted and are often considered acts of desperation. Brian Knight, the second-base umpire, who had rushed over to third, rejected the appeal and signaled that Nishioka was safe. 

・・・というわけで、New York Timesでは、こんな感じで昨日の判定について、「最悪の悪夢」であり、「favoritism」(まあ「身びいき」というところでしょうか)の罪を免れないと、で、あんな抗議はリトル・リーグ並の行為だ、と・・・

と、ここまでNew York Timesが言ってくれているのに、日本のメディアは何か大人しくありません?
サッカーとかオリンピックとか、こういうときぐらい挙国一致のナショナリズムに走っても、誰も文句は言わないし、守備位置に就くのを拒否した選手達をサポートしてあげても罰は当たらないと思いますよ。
トリノの時の、アメリカの偏向コメントといったら、それはひどいもんで、ヨーロッパ人と笑いの種にしていたんですが、何だかんだスポーツでそうやってお国が熱くなるのは悪いことじゃないと思うんですが・・・なんか後味は思いっきり悪いんですが、ともかくメキシコ、韓国に勝って、何とか決勝リーグで雪辱を果たして欲しいものです。

自己株買付とROEの微妙な関係

GMによるスズキ株式放出に関して、Apricotさんから非常に興味深いコメントを頂きました。

まず、Apricotさんの「スズキは6日はむしろ下がっていて、7日に大幅反発しています」というコメントをきっかけに、確認してみたのですが、日本時間の6日朝の段階ではGMによるスズキ株式放出はアナウンスされておらず、その後、日本の場が閉じたあとで買取方式が自己株式買付であることが発表され、翌朝までにToSTNET2で買付が完了しています。

ということは、7日のスズキの株価の上昇は、GMとの提携解消に反応したというよりは、自己株式取得という手段に反応したと見るのがいいようです。

まず、自己株式取得には一般に株価を押し上げる効果があるという実証研究の結果があるので、その意味では、自己株式取得に反応してスズキの株価が上がることは不思議ではないように思われます。

ただ、この株価上昇の効果は、自己株式取得が、現在の株価が企業の潜在的な収益性に比べて割安な水準にあるという経営者の認識を示すというシグナリング効果で説明されるのが一般です。今回の自己株式取得は、スズキ経営陣のイニシアティブではなく、GM側の意向を反映したものであることは明らかなので、この説明は難しいように思われます。

で、そこでApricotさんのコメントの中に見られる説明が出てくるわけです。

私は、(少なくとも日本の)市場関係者での主流な見方は、ROEの上昇とか、資本コストの低減(株式の益回りより負債の調達金利が安い)といったあたりだと思っていたのですが。

motherskyさんも、同様の趣旨のコメントを下さっていますが、このROEと自己株式買付の関係の話は、平成6年の自己株式買付規制緩和の頃に話題になったんですが、理論的に考えると、ちょっと不思議なところがあるんですよね。
(・・・といっても、私が不思議に思っているだけで、何か勘違いしている場合には、教えて頂けると幸いです)

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GMスズキ株放出

(3/8 初出 3/12 追記の上、再UP)

とりあえず、後でもう少し解説を加えるかも知れませんが、参考になりそうなリンクとチャートです。

コングロマリット・ディスカウントの解消 

GMがスズキ株式の大部分を放出しました。

こうした事業部門の放出(divesture)は、一般に企業価値を向上すると言われています・・・というと、分かっている人には自明のことなんですが、日本では「会社の切り売り」は悪とかいったことが人口に膾炙していますし、読者の中にはM&A業界でない方も多いんで、まずはそっからおさらいしていきましょう。

コングロマリットというのは、一つの企業体の中で様々な事業分野を持つ企業形態を意味しますが、アメリカでも日本でも大企業が色々な分野の事業をやっていることは、そんなに不思議な話ではありません。
少し考えても、複数の事業をばらばらの会社でやるよりも、一緒になって重複している間接部門を統一すればコストは安く上がりそうです。また、事業が多角化している方が景気の波にも強く、安定した経営ができるようにも思えます。

というわけで、1960年代、70年代のアメリカ企業の多くが多角化経営に走ったわけですが、結果は、余り芳しくなく80年代には、コングロマリット・ディスカウントという言葉が聞かれるようになりました。これは、一つ一つの事業をばら売りした方が、全体の企業価値よりも高いというもので、つまり、1+1+1が3ではなく、2.5になっている状態が生じてしまったわけです。

このコングロマリット・ディスカウントの理由として言われるのが次のようなものです。

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Coming Age

さて、実は来週は春休みということで、今日はある意味その初日。

一応、週の後半には疲れをとるため南の島に逃亡予定ですが、この1週間で春学期前半予習で遅れた分や、気になっていたけど忙しさに追われて手をつけられなかったものに手をつけなくてはいけないので、決して暇というわけではないんですが、それでも、やはり1週間授業がないというのは、気分的には楽なものです。

折しも、New Yorkは昨日から春の陽気に恵まれ、気温も摂氏で15度ぐらい。
長閑な陽射しの中をCentral Parkを散歩したりもしたんですが、今日は、随分前にある人から送って頂いた未発表論文へのコメントに集中していました。

中身や執筆者については、まだ未公表のものですので口外できないのですが、実に知的興奮を誘う論文でした。

アメリカの会社法では、経済学的なアプローチで政策論や解釈論を展開するのは当たり前で、今では、自分で回帰分析をはじめとした実証分析もやってなんぼという世界になりつつありますが、日本でも、近い将来そういう状況になっていくのかも知れません。

セントラル・パークの木々の蕾と合わせて、何か新しい時代の足音を感じる、そんな一日でした・・・って、読んでいる人には何のことか分かりませんね(笑)

もてすぎて困っちゃう・・・LSEの場合

(3/11 追記あり) 

London Rejects Bid by Nasdaq (New York Times)

The London Stock Exchange, Europe's biggest stock market, announced yesterday that it had received and rejected a $4.1 billion informal cash offer from Nasdaq, an indication that the arms race among the world's leading exchanges is escalating.

ということで、アメリカの三大取引所の一つNASDAQがロンドン証券取引所に対して41億ドル(4700億億円)相当の買収オファーを出したところ、LSEは丁重にお断りを申し上げたようです(LSEのプレスリリース)。

LSEによれば、現在の株価に対して僅か8%のプレミアムでは、全くもって不十分ということのようです。

これに対して、NASDAQは、1株950ペンスのオファーは十分に魅力的なはずだと主張しています(NASDAQのプレスリリース)。とりあえずは、今後ともLSEの経営陣と交渉を続けて、友好的な買収を目指すといっています。まあ、敵対的買収も考えられないわけではありませんが・・・8%のプレミアムでは、いきなり勝負を挑むにはちょっと分が悪い気もします。

何れにせよ、LSEはここ1年ぐらいEU圏内の他の取引所からも狙われてきた歴史がありますので、今回のNASDAQの動きが、またそうした動きに火をつける可能性もありそうです。

今回の買収の遠因は、上場によって資本市場での資金調達力を身につけたNYSEに対してNASDAQとしてもEU取引所との統合で生き残りを図ったという図式だとも言われます。

とりあえずは、週明けのマーケットの反応が興味深いところです。

また、長期的にみれば、日本の取引市場の立ち位置を考える上でも、示唆に富む状況ではないかと思いますが、とりあえず眠いので、速報までということで^^

(3/11 追記)

neon98さんが、「証券取引所の戦略」というエントリーの中で、今後の取引所の方向性について考察を加えていらっしゃいますので、是非ご一読を。

取締役・役員報酬の開示に関するSEC提案

こちらも、とりあえず備忘のために紹介だけです(リンク先はPDFですのでご注意を)。

SEC Proposed Rule:Executive Compensation and Related Party Disclosure

一つ特徴的なのは、定量的な開示だけではなく、報酬制度の設計の意図や内容について文章による説明を義務づけるというところでしょうか。

既に、財務情報について導入されているManagement Discussion &  Analysis (MD&A)の開示を報酬にも応用しようという発想のようです。

報酬分野は、有名なDisney事件もありますし、つい最近もHPの前CEOへの退職慰労金の支払いに関して訴訟が提起されたりと今後株主訴訟のターゲットになっていくことも予想される分野ですので、開示のあり方については、企業側も相当に神経を尖らせていると思われます。

また、日本への影響もあり得る話ですので、引き続き注目していきたいと思います。
 

「法」への幻想 (3)

<前回までのエントリー> 

 

今回は、こんな記事の紹介からです。

第2次大戦中に中国から強制連行され、長野県内の水力発電所建設現場で過酷な労働を強いられたとして、中国人の元労働者3人と死亡した元労働者4人の遺族 が国と建設会社4社に約1億4000万円の損害賠償などを求めた訴訟の判決が10日、長野地裁であった。辻次郎裁判長は原告の請求をいずれも棄却した。原 告側は控訴する方針。
・・・判決言い渡し後、辻裁判長は「個人的な感想」と前置きした上で、「我々の上の世代は本当にひどいことをしたという印象を受けた。一人の人間として救済しな ければと思ったが、判例を覆すにはきちんとした理論が立てられないとやむを得ない。この問題は裁判以外の手段で解決できたらと思う」と述べた。

判決言い渡しの後に「個人的な感想」を述べることの当否には、いろいろな考えがあり得ると思いますが、辻裁判長の言葉は、実際に「法」を扱う者が直面する葛藤を表現しているような気がします。

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かくして、アメリカの平和は守られた

(3/11 追記あり) 

Dubai Company to Transfer U.S. Ports to American Company (New York Times)

DP World, the United Arab Emirates state-owned company that had agreed to buy several port terminals in the United States, said today that it will transfer those properties to an American-owned company, bowing to a political groundswell against the acquisition.
The decision came just hours after a delegation of Republican leaders in Congress told President Bush in an Oval Office meeting that Congress would act within days to block the company's acquisition of the United States port terminals in the name of national security, lawmakers present said.

ここしばらく話題になっていた、アラブ系企業(DP)による米国の港湾運営会社の買収は、結局DPが買収をあきらめることで落ち着いたようです。

DP側としても、これ以上こじれるのは得策でないと判断したようです。
が、この問題が起きた当初、私は、正直、まさかこんなことが起きるとは思っていませんでした。

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ラジオ・チャートと株式市場

純粋にへぇと思ったのと、色々と含蓄が深かったので。

Spitzer Sues Radio Chain as Part of Music Inquiry (New York Times)

The New York attorney general, Eliot Spitzer, accused the radio giant Entercom Communications
In papers filed at the New York Supreme Court in Manhattan, Mr. Spitzer's office said Entercom also created programs to sell advertising time to record companies in a scheme that was used to inflate the performance of songs on charts monitored by other programmers...
Since the early days of rock 'n' roll, it has been against the law for broadcasters to accept cash or anything of value in exchange for playing a song unless the transaction is disclosed to listeners. But for years, music executives have sidestepped the law by currying favor from programmers in less direct ways...

つまり、ラジオでのオンエア回数を多くするため(あるいは多く見せかけるため)にレコード会社がラジオ局に裏リベートを払っていたのを、NYの名物Attorney General、Eliot Spitzerが訴えたという話のようです。

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コメント1000件御礼

さて、昨年5月にこのサーバーにブログを移行してから、約10か月、本日、めでたくコメント数が1000件を超えました。(移行前を含めると、とっくに超えているわけですが、向こうはスパムの嵐に耐えかねてコメント欄をとじてしまったので)

自分のレスポンス分があるので、正味でみると、若干減るとは思いますが、それでも1か月平均100件のコメントを頂いた計算ということになります。

ブログをやっていてよかったと思うのは、自分の考えたことについて、意見をもらったり新しいことを教えてもらったりできるところです。

今後とも、どうか宜しくお願いいたします。

ちなみに、めでたく1000件目を踏まれたコメントは・・・

neon98さんのこのコメントです。

何も設定変更してませんが、直りました。オフィスでも遊べます^^。お騒がせしました。

ユーザーフレンドリーでありたいと願うこのブログに何とも相応しい記念になる素晴らしいコメント、ありがとうございました。 

ATT-BellSouth Merger

こちらも分析はとりあえず後回しですが、忘れないようにメモだけ。

合併比率はBLS株1株に対してAT&T株1.325の割合となっており、前日の終値をベースにすると1株当たり37.09ドル、総額670億ドルのディールということです。

ちなみに、Form 8-Kに添付されている合併契約書をAntitrustの授業で学生の一人が演説を始めた隙にスキミングした範囲では、このケースでのディール・プロテクションは、次のようなものです。

  • No-shop
  • No-talk
  • Termination Fee ($1.7B) 

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「法」への幻想 (2)

<前回までのエントリー> 

 

「法」(あるいは「違法である」「適法である」ということ)を内心的価値観に関する議論において「権威」として用いることを危険だと思う2つめの理由に入る前に、議論において、相手に「それは違法であって、許されるものではない」というときに、ここでいう「違法」という判断はどうやって下されるんでしょう。

次の2つの事件を比べてみましょう。

  • 私立中学による松本被告の次男に対する入学拒否
  • 私立大学による松本被告の三女に対する入学拒否 

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M&Aの株価への影響

最近、しばしば本職が不明な状態になりつつあるので、久々にM&A関係の記事を。
といっても、木曜日にあるM&Aのテストのために、ごく簡単にM&Aが株式リターンに与える影響について表をまとめただけのものです。
表の中の数字のほとんどは、合併のアナウンスメントの42日前と126日後(又は上場廃止)の株価を比較したものです。
対価がStockの場合には、Bidderの株価はネガティブな反応を見せている辺りとか、ポイズン・ピルがある場合のTargetのリターンがそうでない場合のリターンを上回っている辺りが注目でしょうか。

授業で使ったパワーポイントの内容をテスト用にまとめただけで、原典の確認はしていないので、これに関する難しい質問はご勘弁を(笑)

type

target

bidder

Overall Average

25-30%

1-3% (public company deal)
   2-3% (private/ subsidiary)

Tender Offer

36 %

2.5%

Mergers

17% (MBO: +19%)

3.4%

Auction

31%

3.5%

No Auction

22%

0%

Cash

28%

0.7%

Equity

17%

4.5%

Poison Pill

30% (otherwise 23%)

N/A

Insider Trading

40% (otherwise 21%)

N/A

「法」への幻想 (1)

「法」の限界には、いろいろな形があると思うのですが、まず議論における「権威としての法」の役割を考えてみましょう。

そもそも他人を説得する場合には、色々な手法がありますが、その一つに「権威」を用いて説得するやり方があります。
小学生の口喧嘩で相手を負かすときに「先生がいけないことだと言っていた」と、「先生」という権威を持ち出すことに始まり、「権威」は、そのときに応じて出版物であったり、権力者であったり、学者であったりとさまざまですが、本質的な特徴は、「それがおかしいと思うなら、先生に言ってくれ。言えないのなら、それ以上ごちゃごちゃ言うな」という形で議論に一つの決着をつける力を持っていることです。

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「法」への幻想 (intro)

先ほどのエントリーに小飼弾さんから、早速レスポンスのエントリーを頂きました。

「信念」の問題として、親が被疑者というだけで入学を拒否するべきではないということには、私は、ほとんど異論はありません。自分の子供でも友人でも、あるいは自分自身ですら、それを理由に人の見方を変えるというのであれば、私は、それに異を唱えると思います。

でも、私は、そのときに「それが違法だから許されない」とは言わないと思います。

おそらく、大筋の発想では、小飼さんの仰ることが非常に健全な考えであり、更にいえば、「正しい」と思っているにもかかわらず、私が異を唱えたくなったのは、その「正しさ」の拠り所を「法」に求めようとされたからなのかも知れません。

私はこう言いたかったかのかも知れません。

・・・「法」というのは、そんな偉いもんではないし、「正義」に代替できるようなものではないんですよぉ。裁判所にいって「違法だ」って言ってもらっても「慰謝料30万円」で終わりかもしれない。
言い方を変えれば、裁判所とか法なんて、人の権利を侵害するときの値段を決めているようなもんでしかないかもしれないし、裁判所だって、30万円なら気軽に「違法」と言うかもしれないけど、30億なら「違法」とは言わないかも知れない・・・
よくも悪くも、「法」というのは、そのぐらいの代物かも知れないじゃないですか。
そんな危ういものに頼るよりも、小飼さんの言説というのは、もっと人の心の根っ子に届くじゃないですか?
そんなに、「法」を偉いものに見立てたりしないでくださいよ。「法」なんて、もっとあやふやで、そこから何か「答え」を導き出せるような、そんな偉いものではないんですよぉ・・・

ライブドアへの強制捜査の時にも同じように、私は、「「法」は、そんな偉いもんじゃなくて、世の中に起きることの、ほんの一部をコントロールしているだけに過ぎないんだから、「法律違反」があれば、8000億円の会社と22万人の株主に生じる不利益を考える必要がないなんて、そんな偉そうなもんじゃないんだ」と言いたかったわけです。

そして、また、これは「開発」の文脈で、経済発展において、法的権利の確立や「法の支配」こそが重要だという考え方に対する反感にも通じていくわけです。

法律家のくせに、「法」の意義を否定するかのような発言かと思うのかも知れませんが、法律家だからこそ、いつも「法」の限界が気になってしょうがないわけです。

・・・でも、ひょっとしたら、これは「逃げ」なのでしょうか?
「法」は、もっとちゃんとした役割を期待されていて、それを果たさないといけないんでしょうか?

とりあえず、小飼さんとのやりとりの中で、そんなことを思いました。これは何となく私にとって、非常に大きな宿題のような気がしますんで、また、何れ折りに触れ、考えていこうと思いますが、とりあえず今日のところは頭出しだけ。

「法的議論の何たるか」を考えてみる

法学の多重人格性の続きみたいなものですが、法的議論が何かということを考える上で、何となくヒントになりそうな材料が小飼弾さん(404 Blog Not Found)の書かれた以下の記事とそこへのコメントであったので、これをベースにちょっとつらつらと考えてみたいと思います。

まず、この件に関する個人的な「好き嫌い」でいえば、親が被疑者であるという理由で入学を拒むことは「好きではない」ですが、それが「違法かどうか」と言われると、非常に微妙だろうという感覚を持っています。その根拠は、やはり春日部共栄中が「私立」であり、これは私人間の問題だからである・・・というと、小飼さんには、「法の何たるかを全く理解していない」とお叱りを受けてしまいそうです。

「想定の範囲内」だったのは、賛否両論のありよう。特に反論のほとんど全てが、「春日部共栄中は私立であり、『受け入れざるを得ない者』は公立へ」というものだった。

申し訳ないが、諸君は法が何たるかを全く理解していない。

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Online Music危うし?

U.S. Inquiry on Online Music (New York Times)

さほど驚きというほどのことはありませんが、とりあえず、こういう動きがあるということでメモ代わりに。

Justice Department officials have begun serving subpoenas on the four major music corporations as part of a broad inquiry that is expected to encompass pricing and licensing policies, according to music executives who spoke on condition of anonymity....

The prices for songs from the major companies can run from 70 cents to 80 cents a song, executives say. Digital music services such as Apple Computer's iTunes then sell the songs for a retail price of 99 cents.

まあ、音楽業界は反トラスト法とはなじみが深い業界ですから、いくら何でもdistribution company同士がダイレクトに通謀しているという証拠が出てくると期待するのは甘すぎるので、頭にあるのは、(A)黙示の共謀(tacit collusion)か、(B)川下のデジタル音楽配信業者、特にアップルをハブとしたハブ&スポークによる共謀といったところでしょうか?

まあ、まだ調査開始したばかりですので、結論が出るのは先になるのでしょうが、デジタル音楽配信業界におけるアップルの立ち位置なども含めて考えると、なかなか興味深い論点のありそうな話です。

SEC内部の不協和音?

S.E.C. to Issue Guidelines on Subpoenas to Journalists (New York Times)

Dow JonesのコラムニストとCNBCの"Mad Money"(経済番組?)の司会者に対して、ヘッジ・ファンドと共謀して株価操縦を行ったという嫌疑で、サピーナ(Subpoena:一種の捜査令状)が出されたことに関連して、修正憲法1条で保障された表現活動への萎縮効果が生じるという批判が噴出したため、SEC委員長のCox氏が、ジャーナリストに対してサピーナを発する場合のガイドラインを早急に策定すると発表した・・・というお話です。

いろいろな意味で日本で起きている現象と対比すると興味深いのですが、特に次の下りは注目に値します。

The enforcement of the S.E.C. subpoenas was suspended, at least temporarily, after reporters called the commission on Friday to prepare articles about them. Mr. Cox issued a statement Monday that rebuked the enforcement division for failing to inform him and other officials about the subpoenas.
Mr. Cox told reporters on Thursday that he did not intend for his Monday statement to chill the enforcement division from acting aggressively in prosecutions, and he took issue with critics who have said that the subpoenas illustrate that staff lawyers have been overly zealous. He also expressed strong support for the work of financial journalists, saying they had a "similar mission" to that of the commission.

元々、Cox氏は、前委員長のDonaldsonが余りに規制強化に傾きすぎだったという批判を受けて昨年選任された委員長ですから(関連記事「SEC委員長の退任」)、そういう観点から眺めると、単にこの事件だけなのか、それとも、今後、こうした形でSECの執行方針に何らかの歯止めをかける方向にいくのか・・・なかなか興味深いところです。

気分転換

こちらに移転してから9か月ということで、気分転換がてら見た目を大幅に変えてみました。

文字の大きさは、以前よりも若干小さめにしています。ここは好みが分かれるかも知れませんが、エントリーの性質上、長い文章が続いたりするんで、1行当たりの行数が少ないと却って読みにくいということもあったので、今回少し調整してみました。

前のデザインではウインドウの大きさを変えたときに表示領域が調節されるようにしていて、これも迷ったんですが、チャートなどで横長のファイルを貼り付けるときにデザイン的に迷うことが多いので、固定してしまいました。
ただ、サイドバーを右側に設定しているので、本文を読む範囲ではスクロール・バーの出番は少ないんじゃないかと期待しています。

今後の課題として、RSSフィーダーのコメント対応化とカテゴリー・ページへの目次貼り付けがありますが、こちらはぼちぼちとやっていきたいと思います。

(追記:Modern Syntax: MTのコメントをRSS化を参考にして、無事コメントのRSS化を完了しました(nagasawa様、ありがとうございます。)。コメント専用のフィードのURLは、http://WWW.ny47th.COM/fallin_attorney/comments_RSS.xmlですので、コメントもRSSでチェックしたいという奇特な方は、これをフィーダーに登録してくださいませ。)

たまには音楽で癒されてみる

何か、先週から今週にかけて、かなりお疲れです。

M&Aの最終宿題の提出とゼミの担当が重なったのに加えて、Law & Developmentも興味のある部分について、結構な量のアサインがあったからではないかと思います。

まあ、何とか一段落・・・でも、なくて来週木曜日はM&AのExam・・・とりあえず週末に過去問を解いて復習しなきゃね。
知っていることが多いと思って油断していると、こういうときが危ないし、バリュエーションの計算問題も出るんで、一応、練習問題もどっかで手に入れて解いておかないと不安だし・・・ふぅ

と、こんな時こそ音楽を聴きたくなるものです。

 ・・・というわけで、NYUの図書館の椅子にもたれて聴いているのが、平原綾香さんの「誓い」。

日本ではトリノ・オリンピックのテーマソングだったということなので、聴いたことのある方も多いんではないかと思います。

私が平原さんの曲をブログでとりあげるなんて意外と思われる方もいらっしゃるかと思います。

っていうか、私も意外なんですが、しょうがないんです。

なぜなら、この曲は、ほとんど2年ぶりの小林建樹の新曲だからです。

多分、小林建樹を知っている人は、すごく少ないと思うんですが、私にとっては、日本人男性ボーカルでは、文句なしに一番で、多分、ここ数年でFrancis Dunneryと並んで、最も好んで聴いているアーティストです。

2003年12月に、密かな名盤Shadowをリリースしてから、なかなか新譜が出ずに飢えていたんですが、ひょんなことから平原綾香さんの「誓い」を作詞・作曲していることを知り、早速入手して、ひたすらリピートで聴いているというわけです。

期待に違わぬシンプルかつ繊細なメロディで、歌詞もトリノにあざといぐらいに(笑)、はまっていて(でも嫌みがないのがさすがは小林建樹!)、何だかホントに疲れ切った心と体が癒してくれます・・・

しかし、人間とは、いやロイヤーとは?、欲の深い生き物で・・・

メロディのシンプルさを邪魔してしまう、このオーバープロダクションは何とかならなかったんだろうか・・・アコースティック・バージョンとかピアノ・バージョンをカップリングで入れてくれればよかったのに・・・とか、あまつさえ、平原さんの声もいいが、やはりこの癖のあるブリッジや緩急のコントラストは、小林建樹本人のバージョンが聴いてみたいとか、そういう罰当たりなことも考えてみたりします。

ただ、それを差し引いても、ホントに癒されるいい曲です、ELTの「きみのて」と並んで、しばらくは私の癒しソングになることは間違いありません。

というわけで、だらだらと何が言いたかったのかをまとめてみると、

  • トリノ・オリンピックのテーマソング?だった平原綾香さんの「誓い」はロースクールの予習で疲れ切った心と体を癒してくれる大変にいい曲である
  • そのいい曲を書いたのは、小林建樹という、私が勝手に認定する日本最高のソングライターである。
  • 最新アルバム「SHADOW」のタイトル曲SHADOWは、イントロのピアノだけで鳥肌が立つ名曲である。
  • スマッシュ・ヒットとなった「祈り」も泣きそうになるぐらいの名曲である。
  • というわけで、興味を持った人は、ベスト盤のBLUE NOTEからどうぞ、と。



嗚呼、りぷとんよ・・・(紅茶ではありません)

既にNYUの同級生のNY Lawyerさんのブログで触れられているように、明日は元デラウェア衡平法裁判所判事で、現NYU Corporate Law DivisionのDirectorで、ワクテル・リプトンのオブ・カウンセルでもある(長い・・・)Allenによる特別講義があります。

というわけで、さっきの記事を書き終わった後で、ようやくReading Assignmentとして指定されていたMartin Lipton, Twenty-Five Years After Takeover Bids in the Target's Boadroom: Old Battles, New Attacks and the Continuing War, 60 Bus. Lawyer 1369 (2005)を読み始めました。

Martin Liptonといえば、ライツ・プラン(ポイズン・ピル)の発案者として知られる会社法分野では伝説の領域に入りつつある大弁護士で、3年前にMartin Lipton, Pills, Polls, and Professors, Redux, 69 U.Chi.L.Rev. 1037 (2002)の日本語訳を商事法務に3回連載(1641号(2002)80頁、1643号(2002)26頁、1644号(2002)23頁)で載せて頂いたりしたんで、勝手に親近感を抱いていたりしたわけです。

Pills, Polls, and Professors, Reduxは、BebchukやFishelといった並み居る(敵対的な)学界の論客を前にした講演が元になっているだけあって、反対派の立場にも注意深く配慮しながら、Bebchukの主張は委任状勧誘を通じて株主意思を反映するという現在のライツ・プランの枠組みと矛盾するものではないという形で、うまく反買収防衛派?の意見を止揚する形で、現在のアメリカの買収防衛実務は、実務的な観点と理論的なバランスの一つの調和点にあるという主張を展開しており、おそらく、細かいところではツッコミの余地はありつつ、全体としては非常にバランスのとれた意見だったからこそ、日本語訳を紹介しようということになったわけですが・・・正直、25 Years Afterは、way too beyondです。

掲載紙がBusiness Lawyerという比較的実務家寄りの雑誌ということで油断?があったのかとも思ったのですが、同じBusiness Lawyerに掲載されているAllenと現役デラウェア州衡平法裁判所判事のStrine,Jr.によるWhen the Existing Economic Order Deserves a Champion: The Enduring Relevance of Martin Lipton's Vision of the Corporate Law, 60 Bus. Lawyers 1383 (2005)を読んで、何となく「これか」と思ったのが、NY Lawyerさんも触れていたJensenの転向の話。

Allen=Strine, Jr.によると、リプトンも参加した2004年11月のロンドンの学会でJensenが、証券のミスプライシングは制御不能なスパイラルに入る場合があるという話をしたことが、Allen=Strine, Jrの表現によると「その朝、反対派のオピニオンリーダーが、その立場を変え、25年にわたる公開論争においてリプトンを勝者の立場に押し上げたことは、リプトンにとって望外の喜びであった」と・・・

邪推するに、2002年のシカゴのシンポジウムの段階では、リプトンは理論的には自分の立場が弱いということを意識して、反対派を必要以上に刺激するのを避け、むしろ現状の追認という形での妥協を考えていたところ、思いがけず買収防衛策反対派の理論的拠り所であるエイジェンシー問題の始祖であるJensenが、その立場を崩したということで、理論的にも自分の勝利を確信したということではないかと・・・

しかし、「なんか変だな」と思って、ちょこっと調べてみたところ、件のJensenの講演原稿を発見(The Agency Cost of Overvalued Equity and the Current State of Corporate Finance)。とりあえずAbstractだけ見てみると、問題としているのは株式のOvervalue(過大評価)で、少なくともManagementの方が企業価値に対する情報を持っているとか、無形的な価値が株価には反映されていないとかいったUndervalue(過小評価)ではないようです(なお、OvervalueとUndervalueでは、発生のメカニズムが異なり、過小評価についてはミスプライシングを是正しようとするインセンティブを持つ者がたくさんいるが、過大評価に関しては誰もバイアスを修正するインセンティブを持たないのでミスプライシングが増幅されるという理屈(のはず)なので、過大評価も過小評価も市場が効率的でないという点では同じ・・・というのは乱暴な理屈ですね)。しかも、この問題そのものは、別にそれほど目新しい話でもなく、Behavioral Financeでは古くから取り扱われている問題の一つではないかと思いますし、こうしたOvervalueされている企業は普通M&Aのターゲットにはならないんで・・・これがリプトンの立場を支えると思ったとすれば(あくまで邪推ですが)、ちょっと早合点ではないかと思うんですよね。

ただ、このJensenの転向に刺激されたのか、リプトンの筆は絶好調です。エイジェンシー・コストはばかげている(ridiculous)と切って捨て、しまいには「ビジネスは科学として取り扱うことはできない」と、およそ理論的なアプローチを全て否定するかのような歯切れのよさは抜群です。

しかし、そうしてリプトンの歯切れがよくなればよくなるほど、私の中でのリプトンへの憧れが、何か苦いものに変わっていくのを感じざるを得ません。

リプトンは、1981年の論文の中で触れたMcGraw-Hillの買収について$40のオファーを断ったのは正解であり、その後McGraw-Hillの時価総額は8億ドルから170億ドルまで増加していると述べ、1985年頃から急激に右肩上がりになっているMcGraw-Hillのチャートを自信満々に「証拠」としてつきつけます。

そこで、私も、その自信満々のチャートにS&PとDowのトレンドも追加して、いかにリプトンの言葉が正しいかを検証してみました。

 

 そうです。ついここ2,3年ほどS&Pこそ上回っていますが、1990年代においては市場のインデックスを遙かに下回っている青い線が、リプトンが自信満々でチャートをつけたMcGraw-Hillの株価です。

私は買収防衛策は必要だと思っていますし(その理由について整理した企業買収防衛第2巻は3月発売予定です^^(宣伝))、リプトンの実務家としてのセンスは今でも尊敬しています。
ただ、訴訟やM&Aの交渉ではなく、こうして政策論を語ろうとする場合には、やはり学問的誠実さというのは必要だと思うわけです。ところどころ、うなずける主張もあるのですが、その論理展開については、Pills, Pollsにはみられた学問的誠実さを余り感じることはできませんでした。

何というか、昔からファンのアーティストの新譜が昔の名曲のできの悪いイミテーションばかりだったような感覚というんでしょうか、何とも、寂しい思いを感じずにはいられませんでした・・・

マイクロファイナンス雑考(1)

書くネタはたくさんあるのに、書く時間がないという苦しい(?)状態が続いています・・・

とりあえず忙しさの原因であったゼミでのグループ・プレゼンテーションが終了。

マイクロファイナンス(microfinance)の専門家とのQ&Aセッションのリードを担当することになっていて、その準備のために論文を読んだり、頭を整理したりしなくてはいけなかったのですが、まあ、実際にQ&Aセクションに入ると、積極的な学生は自分の担当でなくてもガンガン発言するので、十分に時間はとれなかったんですが・・・(そうはいっても、貴重な質問の時間を結構消費したという面もあったりするんですが・・・英語でM&A以外の話をするって難しい・・・)

というわけで、ゼミで専門家に聞けなかった鬱憤を含めて、せっかくなので、ブログ上で色々と勉強したことを吐き出しておこうということで、マイクロファイナンス雑考シリーズの始まりです。

マイクロファイナンスって何?

英語版のWilipediaにはmicrofinanceという項目で、結構充実した解説があるのですが、残念ながら日本版では「マイクロファイナンス」「マイクロクレジット」の何れでもヒットしませんでしたので、ここから始めてみましょう。(ちなみに、Wikipediaの該当頁は一応紹介しましたが、この記載をどこまで信用していいか分からないので、以下の記述においては全く引用していません。このソースと記述の信頼性という問題はWikipediaの一つの課題だと思っていて法学版を作る場合にはその問題が大きくなりそうな気がしているんですが、この辺りはまた別の機会に)

マイクロファイナンスという言葉は、厳密な定義を持っているわけではありませんが、大まかにいうと貧困・低所得の家計と彼らによって運営されている極めて小規模な企業に対する金融サービスの総称ということができます。この金融サービスの中で一番有名なのは貸付(マイクロクレジット)ですが、最近は預金・送金サービス、保険の提供なんかも行われるようになっています。
もう少し、分かりやすい言い方でいえば、普通の銀行や保険会社が相手にしない貧困・低所得者層に対していろいろな金融サービスを提供する活動ということです(・・・って、あんまり分かりやすくなってないか)。

もっとも、銀行がないということと低所得者層が金融サービスを受けられないということはイコールではありません。知人・親類間での貸借や高利貸しといった存在もあれば、信用組合のような互助組織も存在するわけで、単にマイクロファイナンスが提供されるようになったというだけでは、社会的にみて意味はありません。

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法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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