Competition Law の全エントリー

クラブ・ディールと競争法

harryさんが紹介されていますが、PEのクラブ・ディールにアメリカの競争当局が興味を示し始めているという話が昨日のWall Street Journalでとりあげられていますが、New York Timesでも関連記事がとりあげられています。

もっとも、こうしたウォール街で見られる金融機関同士の協調行動と競争法の緊張関係は必ずしも新しい話ではありません。
NYTの記事では株式公募の際の共同引受けに関する1950年代のMorgan事件が紹介されていますが、買収における協調行動ということでいえば、(私訴ですが)1990年にWilliams法の開示規制の下でSECがレビューしたビッドについては反トラスト法違反とならないことを示唆する判決を第2巡回裁判所が出しているようです。

もっとも、この判決に対しては学界からの批判が強いようですし、90年代にはゲーム理論に基礎をおいた暗黙の協調行動(tacit collusion)に関する理論も目覚ましい発展をとげていることからするとウォール街的には安閑としているわけにはいかなさそうです。

もっとも、NYTの記事を見る限りはSubpena(正式な情報提供手続のための令状)が出されたわけではなく任意の質問レベルに留まっているようですから、何れにせよ結果が出るのはまだまだ先になりそうな気配ですが、競争法的にポイントになるであろう点についてメモ程度に。


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Posted by 47th : | 11:33 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

国益と競争法?

少し前になりますが、ろじゃあさんの「JALとANAの合併話?:やっぱりさすが東スポ(^-^)・・・国策的企業救済合併と独禁法?」というエントリーを拝見して、ふと思ったのが、「国益」と競争法の微妙な関係です。

東スポだけのネタのようですので信憑性は大いに薄いわけですが、要は航空会社の経営の厳しい折り、外資に乗っ取られる前に両社を合併させてしまいましょうという発想のようです。
これとは若干パターンは異なりますが、例えば、海外市場における競争力を確保するために国内企業同士の合併を認めるべきだという主張も、これに近い発想があります。
つまり、国内の競争が厳しすぎると日本企業の海外での競争力が失われてしまうから、「国益」の観点からは余り合併規制を厳しく運用すべきではないというものです。

もちろん、この主張のロジックに誤りはないわけですが・・・例えば、こうした「国益」重視の主張に共感を覚える方は、次のような主張にはどれぐらいの共感を覚えるんでしょうか?

昨今の国内○○業界の競争の厳しさに鑑み、○○料金に一定比率の目的税を賦課することとし、その税収は等分して国内○○業界最大手2社に分配することとする。
これにより得られた収益により国際的な○○業界の競争力を確保すべきである。

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Posted by 47th : | 23:49 | コメント (2) | トラックバック (3) | 関連エントリー (0) | Competition Law

メモ:METI「競争政策研究会報告書」公表

ろじゃあさんのところ経由で知った話ですが、経済産業省から「競争政策研究会報告書」というものが公表されています。

とりあえず備忘までなんですが、概要をみる限りは、非常に荒っぽく言ってしまうと「(日本国内ではなく)海外における日本企業のシェアを確保するために、独禁法の企業結合審査基準を緩和せよ」という主張のようです。

何となく在りし日の産業政策論のリバイバルのような香りがしないわけではないのですが、これだけ見ると「日本国内の競争確保と消費者保護」を主目的とする独禁法のあり方とは、根本的な発想において相当の差があるわけで公正取引委員会がどう反応するのか非常に興味深いところです。


Posted by 47th : | 09:01 | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Competition Law

開発におけるPrivate Normsの可能性と限界 (3)

前回までのエントリー

製品市場による規律の限界と制度設計へのインプリケーション

とりあえず私が文献を渉猟した範囲なんですが、製品市場による規律メカニズムについては、後述の認証制度における集合行為問題の解消を除いては経済学的なモデルを使って分析したものは見かけませんでした(もしご存じの方がいらっしゃいましたら、教えていただけると大変に助かります)。

余りにも自明だからということかも知れませんが、念のために確認しておきましょう。

基本的な発想は、例えば「途上国での生産活動において労働条件に関する一定の規範を守る」ということが、一種のブランドと同じ効果を持っており、「規範を守る」ということによって、より高い価格で製品を販売できるというものです。本格的にモデルをつくろうとすると、元々の製品の市場へのフィードバックも考慮しないといけないのですが、ひとまず、「規範を守る」ということによるメリットは、本体の製品自体の価値に比べれば十分に小さく、短期的には本体製品の競争条件(各生産者による製品自体の生産量)には影響を与えないということにしましょう。更に、単純化のために、「規範を守ること」を本体とは異なる独立した財Xとして扱い、本来の製品の生産者が十分に低い投資で市場に参入退出できる状況を仮定します。

ここで、製品1単位辺りのXの価格(p)は供給量(y)と消費者のXへの選好の強さ(u)に依存するものとします。
Xの生産、つまり規範を遵守することによる限界費用を一定(C)とすると、ある企業が規範を守るかどうかは、pCの大小関係に依存し、p>Cであれば、企業は自発的に規範を遵守することになります。

ある意味当たり前のことですが、①製品市場における規律が有効かどうかは、規律を守ることに対する消費者の評価の高さとそのためのコストの大小によって定まり、②価格は供給量に対する減少関数で与えられるので、多くの企業がこの規範に従うにつれその価値は下がり、一般にはp*=C*となる生産量y*で釣り合うことになります。
(②については解釈が難しく、規範に従うかどうかは、本体の製品自体の競争条件に全く影響を与えないとすれば、全ての製造者が規範に従うとは限らないことを意味します。この場合に、各企業が純粋戦略だけしかとれないとすると、誰も規範に従わないという選択肢が均衡として成立する可能性もあるわけですが・・・実際には、何らかのフィードバックがあると考えられることと、混合戦略的な対応(工場の一部についてのみ規範を遵守するとか?)もあり得ることからすれば、今回はこれ以上詰めて検討するのはやめておきます)

これだけなら何ということのほどもありませんが、少しモデルを拡張して、製品市場が分断されている状況を考えてみます。典型的には、アパレルメーカーが中国の工場で製品したスニーカーが、日本やアメリカなど複数の地域に出荷されている状態です。このとき、コストは出荷先によらず一定(C)ですが、選好の強さが市場によって異なるとすると・・・長期的にみて、本体製品の生産条件にも影響を及ぼすとすれば、(規範に従わない、市場による選好の弱い市場への出荷を増やす)(規範に従う、市場による選好の強い市場への出荷を増やす)という分化が進む可能性があります。この場合、途上国における規範遵守による効果は、選好の弱い市場の存在によって希釈化されることになります。実際には、規範の内容によっては、例えば労働基準の場合、途上国内部での賃金相場の上昇という形で明示に規範を採用しなかった企業に対するスピル・オーバー効果が生じる可能性もあるので、必ずしも希釈化がそのまま起きるわけではありませんが、単独市場による規律付けは必ずしも十分な効果を持ち得ない可能性があるという点は心に留めてもいいように思われます。


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Posted by 47th : | 00:27 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

阪急・阪神の統合の行方?

阪急、阪神株取得を確認 村上氏側と交渉へ (asahi.com)

阪急ホールディングス(旧阪急電鉄)は24日、臨時取締役会を開き、村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が持つ阪神電気鉄道株(発行済み 株式の約46%)を取得する方針を確認した。株式公開買い付け(TOB)を想定しており、阪神との経営統合を打ち出したことになる。阪神電鉄も25日に臨 時取締役会を開き、賛同を確認する予定。実現すれば大手私鉄同士では戦後初の再編となる。ただ、村上ファンド側は売却するかどうかについてコメントしてい ない。
 阪急は臨時取締役会の内容を明らかにしていないが、阪神株の買い取り価格や投資総額の上限を議論した模様だ。今後も必要に応じて随時、取締役会を開くと 見られる。村上ファンド側と価格面で折り合えば、TOBを実施して取得する。TOBは、対象企業の発行済み株式の3分の1超を取得する場合に義務づけられ ている。

球団名はどうなるんだとか、そういう話もあるんですが、そもそも独占禁止法的にも興味深い事例です。

私は関西の土地勘がないので、よく分からないんですが、関西出身の友人によると結構競合している路線が多いという話も聞きますので、市場の画定とか競争減殺の危険とか正当化事由といった辺りで、公正取引委員会の企業結合規制に対するスタンスを見る上で一つの試金石となるのかも知れません。

また、仮に村上ファンドと買付価格について合意が成立した場合に、公開買付けによる買付を行う場合に買付価格もさることながら、最低買付数・上限買付数をどうするかといった辺りも注目ではないかと思いますが、とりあえずメモだけということで。

 


Posted by 47th : | 14:08 | コメント (5) | トラックバック (1) | 関連エントリー (1) | Competition Law

開発におけるPrivate Normsの可能性と限界 (2)

そもそもPrivate Normsとは?

まず、Private Normsということを議論する上では、定義と議論の射程を明らかにしておく必要があるでしょう。

消去法的に定義すると、まず、国際慣習法も含めて国家によって制定され履行が確保される「法」は除きます。(もっとも、制定あるいは履行の何れかに関して国家が関与することは考えられます)

次に、ここでいうNorms(規範)は、その規範の名宛人となっているプレイヤーの行動を「規制」する効果を持つものであり、いわゆる"Obligational Norms"を対象にします。また、規範の名宛人としては、途上国に直接投資を行う多国籍企業(Transnational Corporation(TCN))、あるいは、途上国へのファイナンスを行う国際的金融機関(Transnational Financial Institutions(TFI))を念頭に置くこととします。

最後に、この規範が義務的(Obligational)であるメカニズムとして、内部化された義務感(internalized duty)は検討の対象外とします。
このペーパーで分析したいのは、ある一定の政策目的の達成との関係においてPrivate Normsの意義を考えることです。もちろん、「環境に配慮すべき」というスローガンを長期にわたって訴え続けることによって、環境に対する意識が内部化されるといった過程も考えられますが、こうした心理的な義務感の内部化の過程は極めて複雑で予測やコントロールも困難です。
従って、可能性として、民衆レベルでの反対運動やNGO、マスメディアの働きかけが、ある種の義務感を内部化する可能性は否定はしませんが、このペーパーでの分析対象からは意図的に外します。

従って、このペーパーで検討されるPrivate Normsとは、「法」以外のものであって、何らかの外部的なサンクションの畏れによって、TCNあるいはTFIによる途上国への投資活動行動に一定の規律効果を有するものということになります。


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Posted by 47th : | 20:06 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

開発におけるPrivate Normsの可能性と限界 (1)

上限金利厳格化問題については、消費者金融において見られるBehavioral Biasとその法的規制へのインプリケーションと、上限金利規制よりも弊害の少ない政策対応手段の可能性についても書きたいんですが、そんなことをやっていると卒業が危うくなるんで、とりあえず学生の本分に戻ってペーパーの執筆とテスト準備に復帰します。

で、ペーパーなんですが、また、こうやってブログに書きながら、構成をまとめてみることにします。

今回ペーパーを書かなくてはいけないのは、Kevin Davis教授のFinancing Developmentというゼミです。発展途上国の開発金融の現状と課題について資料を読み、議論をして、実務家の前でグループ・プレゼンテーションをした上で議論するというゼミでした。教授の問題意識や議論の組み立てにたまに?がつくことがあったりはしましたが、全体的に見れば、今まで知らなかった開発金融について色々と勉強することができたので、非常によかったと思います。

ただ、何せ土地勘のない分野なのでペーパーのアイディアには一苦労。Microfinance関係で何か書こうかなとも思ったんですが、それこそMicrofinanceに上限金利規制は必要かとか回収手法に規制を設けるべきかみたいな議論をしても、途上国におけるライフラインとしてのMicrofinanceの重要性にまで踏み込まないと説得力がないんでボツ。

結局、これまでの知識と連続性を保ちながら扱えるテーマということで着目したのが、Equator Principlesです。

Equator Principlesというのは、途上国へのプロジェクト・ファイナンスによる融資におけるIFC(International Financial Corporation)の定める環境に関するセーフガードの遵守等を国際的な主要金融機関の協調によって達成しようとする枠組みです。

途上国に対する開発国からの投資の場面では環境や労働に関する問題がいろいろとあるわけですが、これを公的な枠組みで規制することについては、そもそも国家的なコンセンサスが難しいことや、たとえ一定の合意ができたとしてもそれをエンフォースすることが難しいことなどから、なかなか進展しません。そこで、最近は民間主体によるイニシアティブが重視されている・・・ゼミで紹介されたときには、こうした説明と共に一つの疑問が提示されました。

それは、こうした民間主体のイニシアティブによる国際的な規範の実効性はどう確保されるのか?という点です。

これが国際的にも有数の主要金融機関同士の合意であることから、このEquator Principleが大規模なプロジェクト・ファイナンスにあたっての取引費用を削減する効果を持っている限りにおいては、参加金融機関は相互に監視のインセンティブを持っており、また、違反した金融機関に対してはその後のシンジケートへの参加を拒否するなどの制裁手段も有していることから、一種のカルテルと同様の実効性を持ち得るのではないか-ゼミの場では、そう思いついて発言をしたのですが、それが結構印象に残っていました。


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Posted by 47th : | 11:10 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

「自主規制」強化と競争法 (1)

昨日に引き続いて業界団体(事業者団体)の活動と競争法の関係するお話です。

上場企業監査、登録制に 会計士協会が自主規制強化 (asahi.com)

日本公認会計士協会(藤沼亜起会長)は6日、上場企業を監査する監査法人や公認会計士の個人事務所に、07年度から登録制を導入すると発表した。一 定の水準に満たない事務所は登録リストから除名し、上場企業の監査を続けることが事実上難しくなる。・・・
 ・・・監査法人の評価などを担当する同協会の品質管理委員会に新組織を設け、上場企業の監査を手がける全事務所に登録を求める。登録事務所には、品質管理体制について文書で提出させ、要求水準に達しているかをチェックする。
 申告した水準の業務を実行できなかった事務所には協会が改善を勧告するが、不十分な場合は除名を含めた処分を出す。
 監査法人や会計士は法律上、上場企業の監査を手がけることに特別な制限はない。しかし、協会の登録から除名されると評価が低下し、投資家の信頼を重視する上場企業の監査からは、事実上排除されるとみられる。

さて、「上場企業の監査水準の向上」は、少なくともそれ自体は社会的にも望ましくみえる目的ですし、現に与謝野金融相も「自分たちの力と判断で運営し、不祥事を少なくしていこうという努力は高く評価したい」「(登録制の)運営を暖かく見守っていかなければならない」と評価しているようです(NIKKEI NETの記事より)

こういう善意に満ちた創意工夫をしようとしているときに水を差すようなことを言うので弁護士は嫌われるんですが、動機としての善意は結果としての善を何ら保証するものではありませんし、ある行動の持つ負の側面を見つめることが社会的にみてより望ましい結果をもたらし得ると信じて、この取組において生じ得る競争法上の問題に触れてみたいと思います。


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Posted by 47th : | 11:23 | コメント (3) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

牛乳減産「指導」と競争法

全酪農家に生乳減産指導へ 生産過剰で北海道農協中央会 (asahi.com)

牛乳消費の低迷などで過剰になった生乳約900トンが北海道で廃棄処分された問題で、生産計画を立てる北海道農業協同組合中央会などが今年度、道内酪農家 の全7800戸に生産量を一律で減らすよう指導することを決めた。指導は13年ぶり。指導に応じなければ、買い取り価格に一定の「罰金」を盛り込むことが 検討されており、各農家にとって事実上の減産の「縛り」となる。12日に各農協に伝える。

一見、どこにでもありそうな話なんですが、競争法的には興味深い論点を含んでいるので、とりあげてみましょう。

独占禁止法8条
事業者団体は、次の各号の一に該当する行為をしてはならない。
 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。

「事業者団体」の正確な定義は避けますが、大まかにいうと事業者が自主的に形成している団体のことで、農協なんかの業界団体はその一つの典型です。


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Posted by 47th : | 15:54 | コメント (2) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Competition Law

フランスにおける反iTMS法?の成立

とりあえず分析はおいておいて、クリップだけ。

「国が海賊行為を後援」――Apple、仏法案を批判 (IT media News)

「この法案がフランスで施行されれば、国家の後援による海賊行為につながるだろう」とAppleの広報担当者ナタリー・ケリス氏は語る。「海賊行為に代わ る合法的な手段が顧客の支持を得つつあるという時に、もしこのようなことが起きれば合法的な音楽売り上げは落ち込むだろう」
(中略)
しかしAppleはこの法案に反対しており、これは実際にはiPodの売り上げを伸ばすだろうと指摘している。「ユーザーは十分なプロテクトをかけられな い『互換性のある』音楽をiPodに自由にアップロードできるようになり、iPodの売り上げは増えるだろう。iPodに対応した無料の映画も遠からず出 てくるはずだ」とケリス氏は述べている。

JUST印象だけですが、後段のシナリオは「iPodがデジタル・ミュージック・プレイヤーとして他に比べて十分に魅力的である」限りにおいて正しいのでしょうね。

但し、勿論のことながら、将来的にデザイン・機能・価格の面でiPodと競争力を有するプレイヤーが生まれた場合には、i Tunesによる囲い込みは競争制限的になり得ます。

もっとも、やや悩ましいのは、少なくともAppleにはDRM(デジタル権利管理)システム開発に対する強いインセンティブがあり、これがデジタル音楽市場の成長を促進している面もあるところでしょう。それぞれの著作権者も違法コピー対策のインセンティブを有しているとは言ってみても、各社でDRMを開発しなければならないとすればコストの重複の問題やフリー・ライド問題発生の可能性もあります。また、そうした投資水準が下がることは、単に違法コピーが増えるというだけではなく、ちょっと前にSonyがやらかしたように(あれはCDでしたが)、ソフトのセキュリティ・ホールを利用され副次的被害が広がる可能性もありそうです。
その意味では、圧倒的な市場シェアを背景とした強固なDRM開発のインセンティブを有するAppleの存在がデジタル音楽市場のインフラを提供してきたという側面も無視できないような気もします。

フランスのような形ではないにせよ、アメリカでもiPodとi Tuneの組み合わせによる独占化の動きについては議論があるわけで、色々と考える材料になりそうな話です。


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Posted by 47th : | 15:16 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

Online Music危うし?

U.S. Inquiry on Online Music (New York Times)

さほど驚きというほどのことはありませんが、とりあえず、こういう動きがあるということでメモ代わりに。

Justice Department officials have begun serving subpoenas on the four major music corporations as part of a broad inquiry that is expected to encompass pricing and licensing policies, according to music executives who spoke on condition of anonymity....

The prices for songs from the major companies can run from 70 cents to 80 cents a song, executives say. Digital music services such as Apple Computer's iTunes then sell the songs for a retail price of 99 cents.

まあ、音楽業界は反トラスト法とはなじみが深い業界ですから、いくら何でもdistribution company同士がダイレクトに通謀しているという証拠が出てくると期待するのは甘すぎるので、頭にあるのは、(A)黙示の共謀(tacit collusion)か、(B)川下のデジタル音楽配信業者、特にアップルをハブとしたハブ&スポークによる共謀といったところでしょうか?

まあ、まだ調査開始したばかりですので、結論が出るのは先になるのでしょうが、デジタル音楽配信業界におけるアップルの立ち位置なども含めて考えると、なかなか興味深い論点のありそうな話です。


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MTAスト突入

ここしばらくNY地域のトップニュースは「MTAスト突入か」だったのですが、先週金曜日を空振りさせてごにょごにょした挙げ句、本日、とうとうストに突入しました。
MTAはニューヨーク市内の地下鉄・バスの大部分をカバーしており、これが全面ストに突入すると大量輸送交通機関はほとんど麻痺状態になってしまいます。東京でいえば、地下鉄とバスが止まって、JRも埼京線と京葉線だけが動いているという感じかも知れません。
・・・で、何が起きるかというと、摂氏零度を切る寒さの中、通勤のためにマンハッタンにかかる橋を歩いてわたる人の群れということになります。
自動車についても、厳しい交通規制が敷かれ、マンハッタン内に入る車は4人以上の乗員がいないとだめとなっており、タクシーの運賃もメーター制ではなく、ブロック料金が敷かれています。
報道を聞いている限りでは、ことの起こりは、MTAの剰余金が数千億規模になっていて、それを従業員に還元しろという声が高まったところにあるようです。
これに対して、市側は、この剰余金は今後の新路線の開発などに用いるのであって、決して金が余っているわけではないと反論。両者の言い分は平行線を辿ったまま、今回の全面ストに突入したわけです。


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Posted by 47th : | 10:35 | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Competition Law

「値下がり防止策」の「業界としての検討」の先にあるもの

奥田経団連会長、値下がり防止策「業界で検討を」 (NIKKEI NET)

日本経団連の奥田碩会長は21日の記者会見で、三洋電機やパイオニアの経営が悪化していることに関連して「値引きをしないような方策を業界全体で考えないとマージンを取れない」と述べ、デジタル家電などの値下がり防止策を家電業界として検討する必要があるとの認識を示した。

 奥田氏は「販売価格を大手の小売業者にコントロールされており、新しい製品を出してもあっという間に値段が下がる」と指摘。家電メーカーが製品の価格政策を協議すれば談合と受け取られかねないが、奥田氏は「構造的な問題を皆が意識をしないといけない。(価格に関する)具体的な話をしなかったらよいのではないか」と述べた・・・

・・・さて、「(価格に関する)具体的な話をしなかったらよいのではないか」・・・というのは、もちろん、そんなことはありません。価格を維持するためには、何らかの形でアウトプットを制限しないといけないわけですが、販売数量の制限や地域分割も典型的なカルテルですし、川下業者に対して共同で取引拒絶するのもアウト・・・というよりも、「業界としての値下がり防止策」をさせないのが、独占禁止法の最大の目的といっても過言ではないので、この取組を許してしまうのは、独占禁止法の自己否定みたいなもの。
内心はどうであれば、この前のマイクロソフト事件の話でもあったように、こういうことを公で発言してしまうと、逆にあらぬ疑いをかけられないかという心配も・・・
ただ、奥田会長は、以前にもアメリカの自動車メーカーを救済するために日本車の値上げを考えるべきだといった発言をされているので、ひょっとしたら、奥田会長はかなり確信犯的にこの発言をしているのかも知れないという気もしてきました。
独禁法の世界では、競争により退出する企業が現れても、それは社会全体で見れば、最適な資源分配達成の一過程と見るわけですが、実際には企業の退出というのは、ものすごーーいエネルギーを必要とするわけですし、その資源が適切により必要性の高い産業に割り当てられるとも限りません。特に人的資源というのは、そんな容易に調整できるわけではありませんし、歴史からみれば、10年は一瞬でも一人の人間にとっての10年は極めて大きいわけで、資源分配の再調整のタイムスパンが人間の時間感覚と一致しているというわけではありません。
結局、アメリカを見ていても、競争を激しくやった後で企業が淘汰されても、他の産業への資源の分配が促されるわけではなくて、債務だけ整理されてすぐに再生されて、同じ産業に資源が再投入されているだけのようにも見えます。それでも、長期的にみれば、資源分配の調整はなされているのかも知れませんが、果たして市場に頼った調整が他の調整に比べて常に優れているのかは、一概に言えないような気もします・・・
ただ、他方で、「和をもって尊し」は、「馴れ合い」と紙一重なわけで、そのバランスをどうとるかも悩ましいところ。
まずは、今の競争法の枠組の中での分析能力を身につけるべく勉強しているわけですが、奥田会長の発言に、「その先」に考えなくてはいけない問題をつきつけられたような気がしました。


Posted by 47th : | 22:30 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Competition Law

競争の方向性

国債や投信販売、「おまけ」を競う・証券各社 (NIKKEI NET)

証券各社が景品や懸賞を使った営業戦略を競い合っている。野村証券が国債を買った個人客に商品券をプレゼントしているほか、大和証券は取引に応じてポイントが増え、食事券や宿泊券に交換できるサービスを提供中。インターネット専業証券では自動車が当たる懸賞も登場した。「おまけ」を付けて投資意欲をかきたて、個人マネーを取り込む狙いだ。

証券会社の顧客にとっては、一見、競争が激しくなって得したという話にも見えるのですが・・・こうした広告宣伝費で勝負ということになると、兵糧勝負になって、法人営業からの収益も見込める大手証券会社が個人投資家向けの専業証券会社を駆逐してしまうということになってしまわないかというのは、どうなんでしょう?
しかも、サービス自体の価格は一度下げたものを値上げすることには、顧客からの抵抗も強いのですが、こうしたキャンペーン的なものというのは、一時的・恩恵的なものという位置付けも可能なので、長期で見たときに純粋な価格競争よりも消費者にとっては望ましくない結果となる場合もあり得るようにも思われます。
競争法上は、略奪的価格設定とか不当廉売と言われるものと、同じような経済的効果を生み出すようにも思うのですが・・・何だか、こういう方向でいいのか気になったので、備忘のためにクリップしておきます。


Posted by 47th : | 11:25 | コメント (5) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Competition Law

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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