取締役・役員報酬の開示に関するSEC提案 [ March 11, 2006 ]
こちらも、とりあえず備忘のために紹介だけです(リンク先はPDFですのでご注意を)。
SEC Proposed Rule:Executive Compensation and Related Party Disclosure
一つ特徴的なのは、定量的な開示だけではなく、報酬制度の設計の意図や内容について文章による説明を義務づけるというところでしょうか。
既に、財務情報について導入されているManagement Discussion & Analysis (MD&A)の開示を報酬にも応用しようという発想のようです。
報酬分野は、有名なDisney事件もありますし、つい最近もHPの前CEOへの退職慰労金の支払いに関して訴訟が提起されたりと今後株主訴訟のターゲットになっていくことも予想される分野ですので、開示のあり方については、企業側も相当に神経を尖らせていると思われます。
また、日本への影響もあり得る話ですので、引き続き注目していきたいと思います。
SEC規則改正案(Best Price Rule etc.) [ December 15, 2005 ]
SECが昨日公表した規則案について、備忘代わりに。
一つめは、TOBにおける"Best Price Rule"の取り扱いについて (SEC Press Release 2005-176)
アメリカのTOBルールでも、いわゆる買付価格の平等原則と同様のもの(Best Price Rule)があり、TOBをいったん開始した場合には、特定の株主を優遇する価格を提示することはできないわけですが、従来、取り扱いについて疑義があったのが、対象会社の経営陣や取締役に対して買収者が高額の報酬パッケージを提示する場合でした。
アメリカの場合、ほとんどの取締役や経営陣は、なにがしかの株式を持っているために、これが株式の対価として取り扱われると、とんでもないことになるわけです。
この点について、新しく提案されたルールでは、一定の報酬パッケージは証券の対価には当たらない=Best Price Ruleの適用を受けないことを明確にするということになりました。
これは、結構画期的といえば、画期的。
もう一つは、SECの正式リリースは、まだ見あたらないのですが、日本企業にとって重要かも知れないSOXのRule404適用範囲の緩和(NYTの記事)
この記事によるとMarket Valueが700M未満の企業については、悪名高いSOX404(内部統制のcertification)が免除になる予定とのこと。
もう一つ、外国企業については、アメリカでの流通量が5%未満で、かつ、アメリカ在住の株主の割合が10%未満の場合には、registerationを廃止できるということも提案されているようです。
直近で日本企業にどのぐらいの影響があるのかは分かりませんが、ちょっと注目しておく必要がありそうな話です。
知的資産経営開示ガイドラインの公表 [ October 16, 2005 ]
前に「裏側」情報の開示は投資家を救うか?と「経営・知的資産小委員会中間報告書(案)」の公表についてでとりあげた経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会経営・知的資産小委員会がまとめている知的資産経営の開示ガイドラインが公表されました。
財務情報以外の情報で投資家にとって、より有用な情報を提供しようというプロジェクトの趣旨そのものは賛同できるのですが、その手法としての開示の内容やその責任関係といった技術論的な部分では、依然疑問が残ることも確かです。
例えば・・・
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「経営・知的資産小委員会中間報告書(案)」の公表について [ June 10, 2005 ]
前に「裏側」情報の開示は投資家を救うか?というエントリーで触れた産業構造審議会新成長政策部会経営・知的資産小委員会中間報告書(案)が公表されました(・・・長い名前・・・)
企業価値研究会と違って、本体は6ページのコンパクトな意見書なので、気軽に読めると思うのですが、内容は、ちょっと考える必要があるんじゃないかという気もします。
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SOXのお値段 [ June 08, 2005 ]
Economistの記事より
A price worth paying?
The cost of all this is steep. According to one study that has attracted a lot of attention, the net private cost amounts to $1.4 trillion. This astonishing figure comes from a paper by Ivy Xiying Zhang of the William E. Simon Graduate School of Business Administration at the University of Rochester. It is an econometric estimate of “the loss in total market value around the most significant legislative events”i.e, the costs minus the benefits as perceived by the stockmarket as the new rules were enacted. In principle, this ought to reflect all the anticipated costs and benefits, direct and indirect, that impinge on company values. If this number were true, SOX would have to prevent an awful lot of unforeseen losses due to fraud before it could be judged a good buy.
"million"とか"billion"じゃなくて、"trillion"というと、普段使う機会がないので、ぴんとこないのですが、要は1.4兆ドル・・・1円100円計算でいうと・・・104兆円・・・
このリサーチの数字を信じていいのかどうかという問題が大きいわけですが・・・もう一つのお値段のお話として
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米国企業年金制度の「抜け穴」 [ June 07, 2005 ]
(6/8追記あり)
日本の年金問題と同じく、アメリカでも社会保障(social security)問題が第2期ブッシュ政権の最大の課題の一つとして重要視されていますが、このニュースは、ひょっとしたら企業年金のあり方にも多くの問題を投げかけるきっかけとなるかも知れません。
Pension Loopholes Helped United Hide Troubles (New York Times)
Loopholes in the federal pension law allowed United Airlines to treat its pension fund as solid for years, when in fact it was dangerously weakening, according to a new analysis by the agency that guarantees pensions. That analysis is scheduled to be presented at a Senate Finance Committee hearing today
この記事によれば、倒産によりUnited Airlineには830億ドル(8~9兆円)の積立不足があったことが判明したにもかかわらず、倒産までの間の財務報告では積立は十分で追加資金は不要とされており、それを可能としたのが、ここでいう抜け穴(loophole)だということです。
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「裏側」情報の開示は投資家を救うか? [ June 05, 2005 ]
上場企業、経営の「裏側」開示を・経産省が導入促す (NIKKEI NET)
経済産業省は上場企業に対し、経営実態や成長戦略を細かく開示する「知的資産・経営報告書」の作成を促す。客単価の推移や受けつけたクレームの数など有価証券報告書ではわからない経営関連指標の公開も求め、投資家が企業の将来性を判断する目安にする。開示基準案を10日にも公表し、まずは企業による自発的な導入を目指す。
この記事だけからではよく分からなかったので、METIのサイトを見てみると、どうやら、これは6月10日に開かれる産業構造審議会新成長政策部会知的資産小委員会で審議される「知的資産経営開示ガイドライン(案)」のことを指しているようです。
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