Litigation の全エントリー

遵法闘争の前に証拠づくりはいかがでしょう

先日「悪法への挑戦と戦略」にコメントを頂いた新小児科医のつぶやきのyosyanさんが、その後、「遵法闘争の方が前向き」、「やっぱり勝算は乏しい」というエントリーを立ち上げておられます。

法的にいえば、今回の件で厚労相の通達を直接に訴訟対象とすることは、行政訴訟における有名なハードルの二つである原告適格と通達の処分性の問題があるために難しいことは確かなののですが(※)、たとえ、実際に訴訟という形で争えなくても、今回捜査された医師の方や、今後、何らかの不利益処分を蒙った方のために、側面支援的に医師の方ができることは色々とある気がします。

もちろん、署名や訴訟費用のための募金といった直接的な支援もあるのでしょうが、弁護士の立場からすると、「証拠づくり」の面でのサポートというのが非常に重要です。

裁判官、検察官、弁護士という実務法曹は、「主張」と「立証」というのを、かなり厳格に分けて考える思考法を持っています。
なので、いくら「言い分」(=主張)が正しくても、それが「証拠」で裏づけられない限りは、その言い分を正しいものとして受け容れません(※2)。
余談になりますが、「裁判所は世の中を理解していない」という批判がなされるときに、時々、この「主張」の問題と「立証」の問題の混乱が原因になっているんじゃないかと思うものも見られます。例えば、「言い分」はもっともかも知れないけど、それを裏づける「証拠」を提出できなかった場合に、裁判所が、その「言い分」自体を理解していないかのように扱われる場合ですが(※3)。


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Posted by 47th : | 15:03 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Litigation

サーベラスによるForum Shopping

米投資ファンド、「名誉棄損」と毎日新聞を提訴・メディア報道 (NIKKEI NET)

ロイター通信など欧米メディアは19日、米投資ファンドのサーベラス・キャピタル・マネジメントが、傘下企業による東京都内での土地取引に暴力団関係者が 関与したとの疑惑報道により名誉を棄損されたとして、毎日新聞社に1億ドル(約115億円)の損害賠償を求めてニューヨーク連邦地裁に提訴した、と報じ た。
毎日新聞は今月12日付朝刊の1面トップ記事で、東京・南青山の土地取引に絡み、サーベラスの子会社が暴力団と親しい関係者に仲介手数料を支払ったとの 疑惑を報道。ロイター通信が入手した訴状によると、サーベラス側はこれについて「悪意に満ちた中傷記事」で、企業評価を引き下げたなどと主張している。

これだけだと分かりにくかったので、少し見てみるとBloombergにもう少し書いています。まあ、とりたてて目新しい話があるわけではありませんが、「地揚げ」って"land-Sharking"っていうんだ、へぇ、とか思います。

この話には、いろいろなインプリケーションがあるんですが、とりあえず、まずは、かなりあからさまなForum Shoppingが目につきます。"Forum Shopping"というのは「法廷地漁り」と品のない言い方をすることもありますが、要するに自分の有利なところで訴訟を起こすというお話です。

余談ですが、これと似て非なるものが「準拠法選択」の話です。英文契約書とかだと、ニューヨーク州法準拠みたいなものが結構あるんですが、準拠法と法定地は必ずしも一致しません。変な話と思うかも知れませんが、日本の裁判所なのに準拠法はニューヨーク州法とか、その逆とかもあったりします。

どこで訴訟を起こすかが、最終的な準拠法にも影響を及ぼすことはあるのですが、アメリカ企業が日本企業を訴える場合にアメリカの裁判所を使うのは、むしろ原告にとっての手続的なメリットが大きいことがあります。「手続的なメリット」というのは、まず、英語が標準語であるというのが一つ。
実務的には、これは馬鹿になりません。例えば、ある申立が出てきて、10日以内に反論しろと言われても、間に翻訳という作業が入ってきたりすると、内部でのミスコミュニケーション発生の確率は格段に高くなります。

まあ、これは逆もまた然りで、日本で訴訟をやるとなると、間に全て翻訳を介在させないといけないので、今度は原告側が大変になります。ちょとドライに見れば、基準となる言語が違う当事者の間で訴訟が起きる場合には言語の違いによる取引費用の増加は不可避的に起きるので、要はどちらがそのコストを負担するかという、押し付け合いの話で、全体の効率性とは関係ないといえそうです・・・まあ、当事者にとっては死活問題ですけど・・・

もっと深刻なのは、アメリカの裁判所で認められているディスカバリー(証拠開示)という手続です。 


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Posted by 47th : | 16:46 | コメント (8) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Litigation

「対策会議」押収はどうなんだろう?

ちょっと前の記事になりますが・・・

公取委立ち入り後に対策会議・橋梁談合

国発注の鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事の入札談合事件で、公正取引委員会が立ち入り検査に入った後の昨年10月末、談合組織の幹事社の担当者らが「対策会議」を開き、善後策を話し合っていたことが6日、分かった。これら談合にかかわる会議のやりとりや発言者は、横河ブリッジの担当者が詳しくノートに記しており、東京高検は家宅捜索で、このノート七冊を押収したもようだ。

この入札談合事件の実体面をどう考えるかということは別として、こうした捜査・調査機関の立入調査に対する「対策会議」の資料を捜査・調査機関が制限なしにアクセスするというのは「あり」なんでしょうかねぇ


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Posted by 47th : | 18:35 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Litigation

裁判員制度≒社外取締役?

陪審制度は「合理的」?について、いろいろとコメントを頂いたのですが、その後で拝見したtoshiさんの裁判員制度(弁護士の視点から)やはいじゃんぷ@よろずもめごと論さんの裁判員制度を読んでいて、私が勝手に感じたのは「市民感覚」というのは「世論」とか「民意」とか、そんな大層な話ではなく、言い方は悪いのですが、「独善的な裁判官にお目付けをつけなあかん」という、もうちょっと世俗的な話なのかなという気がしてきました。
というのも、toshiさんは刑事裁判をやる中で「裁判官というのは、検察・警察の捜査手法を否定することに消極的だ」とか、はいじゃんぷさんは「公共事業等に絡む事件では裁判官は「お上」に配慮しすぎだ」という問題意識が根底にあって、これを直すには「市民の監視の目」が必要だということなのかと思ったので・・・私の勝手な誤解だったら、大変に申し訳ないのですが<(_ _)>(ちなみに、はいじゃんぷさんは、刑事事件については裁判員制度導入には否定的なので、その点にはご留意を)
こういう意味での「監視の目」とか「外部の視線」という意味なら、確かに何も法律の専門家でなくてもいいのかも知れません。逆に、そういう「法曹界の常識」に染まっていない人をきちんと説得できないと判決が書けないとした方が、小難しいテクニカル・ワードや法律家同士の阿吽の呼吸で何とかするという「ごまかし」が効かない分、いいところもあります・・・で、この構造って、何かなじみがあるなぁと思ったら、「社外取締役だよね、これ」という気がしてきました。


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Posted by 47th : | 13:15 | コメント (13) | トラックバック (5) | 関連エントリー (0) | Litigation

「陪審制度」は合理的?

ニレコ事件とか敵対的買収絡みの話というのは、私にとっては、余りにも身近過ぎる上に、少なからぬ利害関係?もあるので、生臭くなりそうなので、ちょっと全然門外漢な分野・・・裁判員制度の方へ話をシフト。
直接のきっかけは、札幌からニュースの現場で考えることの高田さんの「法廷ショー」の時代?です。

酒場で彼らは「こうだな」「そんな感じで両手を広げて」と大笑いしながら、法廷パフォーマンスの真似事で笑いを取っていたけれど、これは笑い話ではないのだ。それほどまでに、この制度は問題を抱えすぎているのだと思う。「刑事事件の審理に市民の感覚を持ち込む」とは、いったいどういうことなのだろう? 理念は正しいのかもしれないが、日本の刑事司法をきちんとした姿にするのならば、たぶん、裁判員制度よりも先に、取り調べの可視化(つまり「密室司法」「人質司法」の解消)が優先されるべきだったと感じている。

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Posted by 47th : | 17:42 | コメント (5) | トラックバック (5) | 関連エントリー (0) | Litigation

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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