M&A の全エントリー

村上氏 v 検察の第2ラウンド?

村上被告側、起訴事実の根幹否認 公判前整理手続き開始(asahi.com)

証券取引法違反の罪に問われた村上ファンド前代表の村上世彰(よしあき)被告(47)に対する第1回「公判前整理手続き」が16日、東京地裁で開かれた。 弁護側は、「インサイダー情報を認識した時期は04年11月だった」とする起訴事実の根幹を否認し、検察側と全面的に争う姿勢を明確にした。
・・・
検察側は、前代表が、ライブドア側からニッポン放送株を大量取得する方針を「04年11月8日」に聞き、直後の同月9日から05年1月26日までに計約99億5000万円で約193万株を買い増したとしている。
これに対して、前代表側は、検察側から開示された供述調書など証拠を分析した結果として、五つの争点を提示。(1)ライブドアは「04年9月15日」に 大量取得の方針を決定していない(2)「11月8日」段階では取得方針が前代表に伝達されていない(3)インサイダー取引の故意はない(4)重要事実を 知って買い集めたわけではない(5)買い集めのすべてが前代表の指示ではないとし、「買い増しはインサイダー取引にあたらない」と主張した。
・・・
弁護団によると、「検察側の主張する取得方針の決定時期はあいまい。この前提でインサイダー取引を認めれば実務にも影響する」と弁護団が説得し、前代表も「裁判所の判断を仰ぐべきだ」との考えに傾いたという。

ということで、やはりというか、村上氏が検察側の主張に大人しく従うということではなく、公判で検察側主張の弱点を徹底的に衝くということになるようです。
こうなると、最近特捜に異動されたあの方との対決も(あるのか知りませんが)楽しみになってくるところですが、ご参考までにということで村上氏逮捕関係の過去エントリーを今一度ご紹介しておきます。

ところで、私の勝手な戦前の予想からすると、新聞報道の限りでいうと、①情報を聞いた時期が1月28日まで引っ張られていることと、②共同買付者の点については争っていないというところに注意が惹かれます。

まずは事実関係で勝負できるシンプルな構成でいくという方針ということではないかと勝手に推測しますが、この辺りは弁護団の今後の戦略的にも注目したいところです。

先行する?堀江氏の公判も、弁護団と検察の間でのガチンコ勝負が繰り広げられているようですし、この訴訟も日本の今後の実務に色々な意味で影響を与えるものになるんでしょうね。

と、ごく簡単ですが、こんなところで。


Posted by 47th : | 20:48 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

有限責任と「親」の責任

GoogleによるYouTube買収に関して、YouTubeの抱える訴訟リスクはGoogle本体にどのような影響を与えるかが色々なところで議論されているようです。

より一般的にいえば、偶発債務を抱えた企業やリスクの高い事業を営む企業を買収する場合に、その影響をどう見積もるべきかという問題で、これは企業買収にあたってなされる典型的なQAの一つですので、ごく簡単に要点をまとめておきましょう。

有限責任の原則

まず、最初のスタート点は「有限責任」です。

つまり、法人格が別である限り、たとえ親子であっても、子供の責任を親が負うわけではないという原則です。

これが、Danさんが子会社の賠償責任は親会社に及ぶか?で指摘されている次の部分です。

もちろんGoogleを別個に訴えることは可能ですが、あくまでその場合はGoogleが被告であってYouTubeを被告にすることで自動的にGoogleのポケットに手が届くと思うのは間違いかと。

なお、当然ですが、Mergeしてしまった場合は話は別ですし、たとえ「単なる子会社」でも、YouTubeのB/SはGoogleのB/Sと連結されさ れます。YouTubeが損失を出せば、当然それはGoogleのB/Sにも響きます。が、もしYouTubeが損害賠償で債務超過になった場合、破綻さ せてしまえばGoogleはそれ以上の損害を被らないのではないでしょうか。

 また、磯崎さんが指摘されているように、スキームを組む上でも、こうした偶発債務の遮断は重要な考慮ファクターの一つであり、アメリカでは「合併」という言い方がなされても、実際には「三角合併」と呼ばれる、日本の株式交換類似のスキーム(※)が使われ、少なくとも「合併」後しばらくは法人格の独立は維持されることが多いわけです。

では、「有限責任」があれば「親」は「子」の負の財産を心配する必要はないんでしょうか?


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 11:57 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

Going Privateのメリット?

1週間、ネット環境から切り離されていると、自分のブログが更新できないのは勿論のこと、他の方のブログも見ることができないので、その溜まったエントリーを拝見しているだけで、あっという間に夕方になってしまうわけで(笑)、本当にインターネット時代の情報量たるや恐るべしですね(※)。

色々と興味深い話はあったのですが、個人的な関心からいうと、やはり米ヘッジ・ファンドAmaranthの巨額損失事件に関する話(※2)が面白かったところです。そもそもヘッジ・ファンドをどう捉えて、どういう形で規制の枠組みをつくっていくのかという辺りは、それ自体として非常に興味深いテーマなわけですが、とりあえずこの辺りは実際に現場で活躍されている方々の考え方を拝見しているところで(※3)、まだアウトプット段階にはないのでパスします(笑)。

次に興味深かったのは、harry_gさんのウォールストリート日記でのMBO(LBO)関連記事3連発。

harryさんが書いているように、キャッシュフローが不安定でLBOには不向きというのが教科書的定説であったIT企業にLBOマネーが向かっているというのは、非常に興味深いのと同時に、若干の不安も感じないわけでもありませんが、何れにせよ、数か月前にharryさんとソフトバンクによるヴォーダフォンのLBOは謎が多いという話をしたのが思い出されます。

続いて、harryさんは、LBOによるGoing Private (非上場化)が増えた要因として言われていることのうち、「(短期の業績ばかりに注目する)ウォールストリートが嫌いだから」という理由と、「監視されるのはコリゴリだから」という理由に着目して、「現実はそんなに甘くはないのでは」ということを指摘されています。

harryさんが指摘されているように、私も非上場化によって経営者がより大きな自由を手に入れる、とか、よりのびのびと経営できるといった類の話は、かなり眉唾だと思います(※4)。

ただ、他方で、マネッジメントが自らの懐を潤すというのが主たる動機というのも、ちょっとシニカルに過ぎる気もしますし、非上場企業の増加はSOX法の施行による上場費用の増加とも相関関係があるという話もあるので、もう少し別の角度から、あり得るGoing Privateのメリットについて考えてみたいと思います。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 17:49 | コメント (2) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

MBOの危険性への対応

(追記あり) 

harry_gさんのウォールストリート日記で、New York Timesの記事について「MBO」の違法性?という興味深いエントリーを書かれています。
詳しいことについては、harryさんのエントリーを読んで頂くこととして、その記事の中でNYTの記者がMBOについて、①経営者の義務違反の可能性、②利害相反の可能性、③ディスクロージャー違反の可能性、④インサイダー取引の疑いをあげ、MBOには違法の疑いがあるということを指摘しているわけですが、ルールという面からみれば、こうした問題は古くは1970年代から意識され、SECによる証券取引規制と判例の積み重ねで一応の線が引かれているところもあります。

というところで、私の理解している範囲で簡単にMBOに関するアメリカのルールの現状を。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 09:33 | コメント (3) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

共同買付者と167条

ワールド・カップネタにうつつを抜かしている間に、村上氏は起訴に至ったようです。朝日新聞の記事を見ていても、検察のストーリーというのは、村上氏がLDを引き込んで「一緒にニッポン放送株式を買おうじゃないか」、と、けしかけたという話のようです。

このストーリーに関する?なところは、磯崎さんが素晴らしい整理をされていますんで、そちらをご覧頂くこととして、前から気になっている「共同買付者に対する167条の適用」について、余りブログ向けのネタでもないだろうと思って積み残しにしていた非常にテクニカルな点について見ておきましょう。

というわけで、以下の議論は、いつものようなローエコとかではなく、極めて実務家的なテクニカルな条文解釈の話ですので、興味のない方は、また明日ということで、法律家のやるテクニカルな条文解釈というのは、どんなものなのか怖いもの見たさと思う方は、続きをどうぞ。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 23:31 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (6) | M&A

インサイダーとネット社会?

昨日の記事について、弾さんから「サイバースペースにおけるインサイダー定義の憂鬱」というTBをいただいたですが、その中で面白い話が。

問題は、何をもって「あなたしか聞いてない」のか、「一般株主も聞いているのか」が判定されるか、にあります。
例えば、上の製薬会社の社員が、このことをblogに書いた場合はどうなのか、SNSに書いた場合はどうなのか、ということです。
例えばblogの場合。これはblogという不特定多数、すなわち一般株主も見れる場所に書いてあるのだから、書かれた時点でインサイダー情報にな るのかならないのか。そしてSNSだったら、基本的にはインサイダー情報だけれども、それが書かれたのが日記ではなく株主コミュニティだった場合どうなる のか?

まず、問題を整理すると、ひとたびインサイダー情報になった情報は、(インサイダーではなく)上場会社自身が一定の定められた方法で公表措置をとらない限りは、たとえテレビのニュースで広められてもインサイダー性は解除されません。この一定の方法というのは、大きく分けると、①臨時報告書など証券取引法所定の開示書類の登録、②新聞など報道機関に対する公表、③取引所を通じた開示(東証の場合はTDNet)に分かれます(※)。
逆にいうと、自社のホームページにプレス・リリースを掲載しても、そのプレス・リリースが報道機関や取引所に渡されなければ「公表」にはなりませんし、マスコミにスクープされ全国版のニュースで報道されても会社自身が正式な開示をマスコミに行っていない限りは、たとえ日本中の半分が知ることになっても、依然として「未公表」事実です。

というわけで、「公表事実かどうか」=「インサイダー情報かどうか」というレベルでは、その情報がどの範囲に開示されたかは問題とはならないわけです。
上のルートで開示されていない重要事実は、全てインサイダー情報です。

では、(それが摘発されるリスクがどの程度あるかはひとまず措いておいて)掲示板やブログに書き込まれたインサイダー情報を見て、取引をしたら即インサイダー取引かといえば・・・ネットを通じた情報取得という面では、「重要事実の伝達を受けた」という要件との関係がポイントです。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 00:20 | コメント (2) | トラックバック (2) | 関連エントリー (5) | M&A

「聞いちゃったら」だめです

村上氏が残すもの」には、多くのコメントとTBを頂きありがとうございました。
で、頂いたTBを拝見させて頂いて補足した方がいいかなと思った点について、少しずつフォローアップをしようと思うんですが、まずは、念のため、この点から。

「聞いちゃったら」だめです

おそらく、弾さんの「聞いたもの負け」というキャッチフレーズが余りにも強烈だったんだと思いますが、21世紀生活研究所さん(「聞いちゃったインサイダー?」)のように「聞いちゃっただけでインサイダーというのは厳しすぎる」という具合にとられた方もいらっしゃったかも知れません。
 しかし、「こっちから聞いたんではない」とか、「儲けるつもりがなかった」とか、「そんな情報は使っていない」という類の言い訳はインサイダー規制では一切認められません。これは、現行法上、もっともクリアーな点の一つであって、その意味で村上氏が会見で「儲けるつもりがなかった」というのは通用しませんし、通用させる必要もないと私も思います(※)。

私が気になっているのは、仮に村上氏のリリースにあるような事実関係だとすれば(但し、この辺りは後述のように検察の主張は大分違うようですが)、聞いちゃったときの状況からすれば現実味の薄い話や、単なる願望レベルの抽象的な話であっても、インサイダー情報になるのか(※2)、という話です。
「聞いちゃったかどうか」が問題なんではなく、あくまで「聞いちゃった内容が何だったのか?」が問題ということです。 

なので、例えば、製薬会社の社員の友人と飲んでいて、「実はこの前発表した新薬の欠陥が分かって回収しなくちゃいけなくなりそうで、そのせいで首が飛びそうなんだよね。ローン組んだばっかしなのに、やってられないよ」と聞いてもいないのに一方的に愚痴られたとしても、その話を「聞いちゃった」以上は、その会社の株の売買はできません。持っているその会社の株は塩漬けです。
たとえ、「前から売るつもりだった」とか「結局、業績の上方修正と一緒の発表だったから株価は下がらなかった。むしろ上がって損したぐらいだ」と言うのは、何ら言い訳になりません。

なので、その意味で「聞いたもの負け」は、証券取引の基本的なルールであって、これ自体は言い訳は効かないので、その辺りは、どうか誤解しなで下さい。
極端なことを言えば、そういう気の置けない友達がいるとかで、インサイダー情報が望まないのに入ってしまうかもしれない会社の株は持たない方がいいと言ってもいいぐらいです。
(この辺りの、実務における心構えについては、ぐっちーさんが書かれているので、そちらも是非ご参照下さい。私も全面的に同意します(※3)・・・が、日本の場合、証券取引等監視委員会に相談してもノー・アクション・レターはもらえないので、結局、塩漬けにしたまま、インサイダー情報が公表されるまで待つか、どこかで委員会の感触を掴みながらリスクをとらざるを得ないというのがイタイところですが・・・)
その意味で、検察が「聞いちゃったこと」を問題視するのは、全然不思議なことではありません。 

問題は、それでも親から相続してしまったとか、職業がファンドマネージャーという因果な商売でポートフォリオを組むために仕方なく持ってしまっていて、友達にも微妙な話はやめてくれよ、と常々言っているのに、数か月前に新薬開発の功績で昇進したと喜んでいた友人が「うーん、もしかしたらだけど、おれ飛ばされるかも知れないんだよね」とため息をついているのを聞いてしまって、「あ、何かあるらしい」と思ってしまったとか、夢はビル・ゲイツ越えという新興IT会社の社長が「おれの夢はトヨタのオーナーになることなんだよね」と聞いたら、どうなんでしょうね、というところです。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 22:38 | コメント (4) | トラックバック (7) | 関連エントリー (6) | M&A

村上氏が残すもの

(追記あり) 

今頃、日本では凄い騒ぎなんだろうなと思いつつ、村上氏が日本時間午前11時からの記者会見で「インサイダー取引」を認めたという報道をネットで見ているところです。

M&AコンサルティングのHPには、早速村上氏個人名義で「ニッポン放送株式の売買について」と題するリリースが掲載されています(このPDFのファイル名も泣けます)。

これによると、村上氏の「認めた」事実経緯は次のようなものであったようです。

・・・2004 年11月と2005 年1月にライブドアの堀江社長(当時)をはじめ とする方々が弊社を来訪された際、同社がニッポン放送株式を5%以上取得したいとい う意向をお持ちであると伺いました。
・ただ、当時のライブドア社の財務状況に鑑みれば、ニッポン放送株式を5%以上買い集めることは不可能だと考えており、当該意向は、ライブドアの単なる願望だとしか受け止めておりませんでした。・・・
・しかしながら、上記のライブドアによる株式取得の意向は、証券取引法167 条、同法施行令31 条に規定するインサイダー情報としての5%以上の株式買い集め行為について の決定であると解釈されるものであり、このような情報を知った以上は、MAC アセッ トマネジメント社の実質的なオーナーであり、非常勤取締役である私は、同社によるニ ッポン放送株式の買付けを停止させる義務がありました。
・十分な注意を払わずに上述の義務を怠ってしまったことは、職業として株式投資に関わ る者としては失格であり、ファンド出資者の方々にご心配をお掛けするとともに、皆様 をお騒がせしたことにつきまして、ここに深くお詫び申し上げます。

村上氏が、何故この段階で認めたのかという点については、いろいろな憶測が可能でしょうが、事実については認めて勾留の長期化を避け、情状を確保しつつ、公判では弁護士を前面に立てて「村上氏立件へのハードルとその影響」であげた167条の構成要件解釈に関する点をつき無罪を争うというのが一つの見方でしょうか。

・・・ただ、もし村上氏が、それすらも争わず、およそ上に掲げたような事実関係の下でもインサイダー取引に該当するという先例(※)のみを残して、日本を去ったとしたら・・・この「先例」は166条インサイダーも含めて、日本の証券取引実務に落とす影が村上氏が愛想を尽かした日本市場に残す呪いなのかも知れません。

あるいは、村上氏が「改心」して、およそ上に掲げたような基準の下で、村上氏が心当たりのある犯罪に当たり得る行為を全て検察に情報提供したとしたら・・・

レッドソックスはバンビーノの呪いに86年間苦しめられましたが、さて、村上氏の呪いはどうなるか・・・と、いったら考えすぎなんでしょうか。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 00:05 | コメント (15) | トラックバック (25) | 関連エントリー (7) | M&A

村上氏立件へのハードルとその影響

きっと日本ではテレビや紙媒体も凄いことになっているんじゃないかと思いますが、海の向こうではネットぐらいしか情報源がありません。
それを見ていると、週明けにも立件ということで、基本的なストーリーは12月中に村上氏とLD側が接触した際にLD側の買付情報を村上氏が知って大量保有報告書で明らかになっている買増しを実施したということのようです。
これが基本ストーリーだとして検察の立件に立ちはだかる3つの法的なハードルと、もしそのハードルがクリアされてしまった場合に何が起こるかということを簡単にまとめてみましょう。

いつ「買付」は決定されたのか?

一つ前の記事でも書きましたが、日本のインサイダー規制においては、いつ「決定」がなされたかということが、大きなメルクマールになります。
これは法的な機関決定のタイミングではなく、その会社での意思決定の実態を踏まえて考えるべきとされています。過去の裁判例の傾向を見ると、LDの場合は社長である堀江氏が「決定」をすれば、取締役会での正式決議よりも前であっても「決定」はあったとみなされる可能性は高いでしょう。
問題は、堀江氏の中で、どの段階まで至れば「決定」と言えるかという点です。

例えば、12月に村上氏から提案された際に、ニッポン放送株式の取得も「将来的には」考えていたが、「具体的な」計画になったのは、フジテレビのTOBが開始された後で、ここから資金調達の手法なども具体的に検討し始めて、2月8日に間に合わせた・・・こういう事実関係の中で12月の堀江氏の心境をもって「買付」が「決定」されていたということはできるんでしょうか?

あるいは、12月の段階で堀江氏が社内でニッポン放送株式取得の是非についての検討を指示していたが、まだ検討中の段階であった場合は?

今回の場合は、その核心にいる堀江氏から証言をとることができるかが非常に微妙であり、その意味で堀江氏の内心に頼って事実を構築することにはリスクがあります。

そうすると、法解釈の問題として、「決定」のタイミングを早めることはできないか?、と、考えるのかも知れませんが、仮に上のように「抽象的な計画段階」や「検討段階」でも「決定」があったということになれば、単にファンドが苦しむというのではなく、上場会社の事業活動にも影響が出てきます。
例えば、自己株取得プログラムを決定するに際して、社内に他社との統合の「検討プロジェクト」があったら、当該プログラムによる自己株式取得にインサイダー規制の問題が生じてきますし、それ以上に、一応、東証の開示ルールではインサイダー情報が発生した場合には適時開示が求められていることからすると、そうした段階での適時開示が求められるというような話にもなってきます。

そういう意味で、検察が「決定」時期について、どのような法的解釈をとってくるのかは、ファンドだけでなく上場会社一般の実務にも影響を及ぼす可能性があるわけです。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 13:24 | コメント (8) | トラックバック (4) | 関連エントリー (7) | M&A

ファンドの活動とインサイダー規制

今にして思えばタイムリーな話なんですが、昨日、とある金融関係の人と飲んでいて、次のような質問を受けました。

ファンドが投資先企業にこまめにインタビューをして得た情報で株の売買をやることはインサイダー取引にあたるのか?

日本のインサイダーには、色々と難しいというか答えにくい質問がたくさんあるんですが、これはそうした質問の中でも最も難しい質問の一つです。
で、昨日の段階では、「ケース・バイ・ケースなんで・・・」ということで答えておいたんですが、今後村上氏の案件がどうなるかは別として、もっと広い文脈でファンドとインサイダー規制との関係は注目を浴びてしまうでしょうから、ちょっと一度整理しておいた方がいいかも知れません。

日本のインサイダー規制の基本的な構成

まず、日本のインサイダー規制の基となる条文は証券取引法166条ですので、この条文のエッセンスだけを切り出して確認しておきましょう(ちなみに、これは会社関係者インサイダーの話で、これとは別に買付関係者インサイダー規制があることについては、一つ前のエントリーを参照ということで)。

・・・「会社関係者」・・・であつて、・・・重要事実・・・を・・・知つたものは、・・・重要事実の公表がされた後でなければ、・・・「売買等」・・・をしてはならない。

原文は、ごちゃごちゃしていますが、こういうことであって、「会社関係者」が「未公表」の「重要事実」を(一定のルートで)知りながら、株式を売り買いしてはいけません、というのが基本的なルールです。

従って、あとは、ファンドが会社の関係者にインタビューをして知った事実を基に売買をすることについては、この各要件に照らして考えていけば、答えが出るはずなんですが・・・
 


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 01:06 | コメント (7) | トラックバック (1) | 関連エントリー (7) | M&A

村上氏に買付関係者インサイダーの疑い?

(早速+6/2追記あり) 

インサイダー取引:村上氏を捜査 東京地検特捜部(毎日新聞)

「村上ファンド」を率いる村上世彰代表(46)に証券取引法違反の疑いがあるとして、東京地検特捜部が捜査を進めていることが分かった。05年のライブド アによるニッポン放送株買い占めが公開買い付け(TOB)に準じる行為に当たり、村上代表は買い付け情報を事前に知りながら同社株を売買したとされ、 TOBに関して禁じられたインサイダー取引の疑いがあるという。特捜部は証券取引等監視委員会とも連携し、既に関係者から聴取した模様だ。・・・
関係者によると、この時にライブドアが時間外取引で5%以上のニッポン放送株を買い集めた行為は、証取法上の「TOBに準じる行為」に当たるという。村上 代表は、ライブドアによる株取得情報を公表前に得てニッポン放送株を売買したとされ、特捜部はこうした行為が証取法の「公開買い付け者等関係者等が禁止さ れる行為」としてのインサイダー取引に当たる可能性があるとみている模様だ。

・・・というわけで、この「関係者」というのが誰かよく分かりませんが、この記事が正しいとすると、問題となっているのはライブドアによるニッポン放送株買付に際しての話のようです。
これがどう発展していくのかは、今の時点では予断を控えますが、とりあえず当時旧ブログの方で、今回問題となっているインサイダー取引と通常のインサイダー取引の違いをまとめているので、そちらをご紹介です。

この記事で書いているように、今回問題となっているのは、通常のインサイダー取引ではなく、買付関係者インサイダー取引です。この買付関係者インサイダーの一つの特徴が、問題となる取引は「売買」のうちの、「買い」だけで「売り」は問題とならない点。

というわけで、当時、村上氏はニッポン放送株の処分はやっていましたが、「買増し」はどうだったんだろう?ということで、この買付の前後のニッポン放送株に関するMACアセットマネッジメント(以下「MAC」と略します)の大量保有報告書を確認してみると・・・

  • 1/13 変更報告書(27条の25第1項)
    この報告書では、最後の売買は1月5日803,050株の取得で、この時点で18.57%保有ということになっています。
    こちらは、普通の大量保有報告書なので直近60日間の売買が報告されています。
  • 3/15 変更報告書(27条の26第2項)
    この報告書では、保有株式割合が18.57%から3.44%に落ちたので、証取法27条の26に定める「特例対象株券等」に落ちたということで、直近60日間の売買は報告されていません。 (この辺りについては、isolgue「敵艦スクリュー音、未だ無し!(ニッポン放送株:解決編)」をご覧下さい)

さて、そうすると、MACが証取法の規定を遵守していると仮定した場合、少なくとも、MACの持株割合が10%に下がる前に1%以上買いますことはできない(というか、していない)・・・と、もう少し歯切れよくいうと、(当事者たちはあくまで市場で誰が買ったか分からないと仰っていますが)ライブドアのToSTNET取引の相手方がMACであり、この2/8の時点でMACが8.57%以上の株式をライブドアに売ったのだとすれば、MACは2/8より前に1%以上のニッポン放送株式を買っていないということになります。

とすると、最初に戻って、買付関係者インサイダーが成立するためには、①ライブドアがニッポン放送株を5%以上取得することを決定していて、かつ、②ライブドアの関係者が村上氏にその事実を伝達し、③その事実を知りながらニッポン放送株式を買いましたということが立証されなくてはいけません。
仮に村上氏が1/5の後、2/8までの間に買増しを行っていないとすれば1/5以前の取得の際に、少なくとも①ライブドアがニッポン放送株を5%以上取得することを決定していなくてはならないわけです
まあ、この間に1%未満の買付行為があって、そこを問題視しているという可能性もあるんですが・・・もしそうだとすると、ライブドアは村上氏を信頼して相談を持ちかけたのに、村上氏は、それを使って一儲けした・・・でも、1%以上は買わなかったという話になるわけですが・・・なんか、「せこい」んですよね。出し抜くなら、5%ぐらい噛まして、鮮やかに出し抜けばいいし、1%に満たないステークスのために、相手との信頼関係を損ないかねないようなことをするというのも何かしっくりこないものがあります。

何れにせよ、今回のシチュエーションでは、仮に上記①~③が立証されたとしても、④村上氏による買増し行為が、ライブドアの意を受けて後にライブドアに株式を売却することを合意した上での行為であったとすれば、村上氏とライブドアは「共同買付者」であって、買付関係者インサイダーには引っかからないという解釈の余地も残っているところです(ただ、ここは文言解釈上微妙というのは、旧エントリーをご覧下さい)。
もっとも、当時は、当事者は、確か、お互い市場で売却したのであって誰に売ったかは分からなかったと言っていたはずなので、こういう話になると、当時のライブドアによる株式取得の経緯の際の適法性が怪しくなってくるわけですが・・・

何れにせよ、これまた法的には色々と論点があるということで、今後の推移は冷静に見ていきましょうということで。取り急ぎ。

(追記)

買付関係者インサイダー(167条)という趣旨の報道は、今のところ毎日だけのようですし、磯崎さんも 

「166条じゃなくて167条じゃないか」てなことをおっしゃる方もいらっしゃるようですが、どうなんでしょうか。

と仰っているので、上の話は、あくまで毎日新聞の記事が正しかったらという前提ですので、そこのところはご注意を。

(6/2追記)

その後の新聞報道を見ていると、1月5日以前に、①ライブドアによる買付情報を知っていた、という方向性と、②フジテレビのTOB開始の情報を知っていたという観測が見られるようです。

①ということになると、2月8日の1か月以上前の時点でライブドアが株式取得の「決定」がなされていたことになりますが、その間にフジテレビTOBという大きな状況変化が起きているわけで、これがなかったら取引ボリュームにかかわらず株価がTOB価格に張り付くという特殊な状況は起きなかったわけですから、その意味でも買付「決定」が12月にあったと言えるかは少し微妙。

②ということになると、TOB自体の準備は当然1か月前からやっているでしょうから、「事実」としては存在している可能性は高いわけですが・・・TOB情報を知って株を買い集めることは、市場買付と比べると摘発されるリスクは遙かに高いことを考えると、逆に、村上氏ほどの百戦錬磨の強者が何の法的なロジックもなく、そんな危ないことをやるのか、というところが腑に落ちないところです。


Posted by 47th : | 19:18 | コメント (4) | トラックバック (2) | 関連エントリー (6) | M&A

阪急TOB・・・しかし、対決姿勢は変わらず

阪神電鉄を巡る攻防については、昨年のニッポン放送とは別の意味で色々と面白い・・・というか、何かよく分からないことが起きますねぇ。

日本では、きっと報道も凄いのでしょうが、とりあえず、私の方では、現状の整理をしておこうかと思います。

阪神・阪急のプレス・リリース

まずスタート・ポイントになるのは、5月29日付の「阪急ホールディングス株式会社と阪神電気鉄道株式会社の株式交換による経営統合ならびに公開買付けの実施に関するお知らせ」(pdf)ということになります。

色々と興味深い点は多いんですが、まず気になったのは「経営統合の目的」の中に入っている次の部分(下線は引用者付加)。

上記に基づき、阪急ホールディングスは、阪神電気鉄道の特定の大株主にご賛同いただき、一定の資本関係 を構築し、阪神電気鉄道との経営統合を円滑に実現するために本公開買付けを行うことを決定するとともに、阪 神電気鉄道との間で、本公開買付けの成立を条件として、両社の定時株主総会において承認が得られた場合に は、平成18 年10 月1日を株式交換の効力発生日として、株式交換の方法により阪神電気鉄道を阪急ホールディングスの株式交換完全子会社とすること等を内容とする契約を締結しました。

これを読むと、「特定の大株主」さん(笑)にもうご賛同頂いたのかと思ったんですが、M&Aコンサルティングが同日付で公表している「阪神電鉄と阪急ホールディングスの統合について」(pdf)を見ると、どうもそうでもなさそうです。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 01:23 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (2) | M&A

メモ:投資ファンドによる買収と労使関係

こちらははぐれバンカーさん経由の情報です。

厚生労働省は投資ファンドに対し、買収した企業の労働条件にも一定の責任を持つよう、新しいルールを設ける方針だ。投資ファンドが買収企業の人員削減や賃 下げを求めた場合、従業員側が投資ファンドと直接、交渉できる仕組みなどを整える。投資ファンドによる企業買収が相次ぐなか、被買収企業の労働条件が著し く悪化しないようにする仕組みが必要だと判断した。(NIKKEI NET 5/22/06)

3月末には報告書のたたき台が公表されているのですが、このたたき台の範囲では「仕組みを整える」というニュアンスとは若干異なる印象を受けます。

要は団体交渉当事者としての「使用者性」が投資ファンドに認められるかということであり、「基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位」にあるかどうかをケース・バイ・ケースで見るという以上のことは言っていないように見えるのですが、最終報告書はここから更に踏み出すということなんでしょうか。

何れにせよ注目ですが、実際のM&Aの契約では、支配権移転後の雇用確保などについても規定されることが多いのですが、こうした実際のM&A で用いられている規律について労働法上どのように取り扱われるかはよく分かりません。

今回の研究会の委員は、学者の方たちだけで、実際にM&Aに携わっている法律家やファンド、あるいは、組合代表者は委員に入っていません。もちろん、ヒアリングはなされていますし、委員の方々は実務にも通じていると思われるのですが、ヒアリングの焦点や問題関心の設定自体に実務家の視点が入りにくいという構造には若干気になる部分が残るのは偽らざるところです。

まあ、とりあえず、最終報告書に注目しましょう。


Posted by 47th : | 09:37 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

メモ:METI「競争政策研究会報告書」公表

ろじゃあさんのところ経由で知った話ですが、経済産業省から「競争政策研究会報告書」というものが公表されています。

とりあえず備忘までなんですが、概要をみる限りは、非常に荒っぽく言ってしまうと「(日本国内ではなく)海外における日本企業のシェアを確保するために、独禁法の企業結合審査基準を緩和せよ」という主張のようです。

何となく在りし日の産業政策論のリバイバルのような香りがしないわけではないのですが、これだけ見ると「日本国内の競争確保と消費者保護」を主目的とする独禁法のあり方とは、根本的な発想において相当の差があるわけで公正取引委員会がどう反応するのか非常に興味深いところです。


Posted by 47th : | 09:01 | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

阪神・村上氏の交渉と情報規制

ようやく一つインクラスのテストが終わって反動が来ていますが、明日ももう一つインクラスがあるんで気は抜けません。

テストの愚痴をぶちまけたいという欲望もあるんですが、ちょっと気になる記事が・・・

阪神・阪急経営統合案、村上氏側が提案…ファンド発表 (Yomiuri Online)

阪神電気鉄道の筆頭株主で、村上世彰氏が率いる投資ファンド(村上ファンド)は3日、インターネットのホームページを通じてコメントを発表し、「阪神と阪急ホールディングスとの統合案は今年2月以前に私どもから阪神に提案し、その際、阪神は拒絶した」と、折衝の内幕の一部を暴露した。
阪神は「4月まで、ある企業との経営統合を、盛んに当方に提案していた」ことも明らかにした。

そもそも、今回の件は大量保有報告書における目的の記載のあり方(どこまでなら「純投資」と言えるのか)とか、それへのサンクションという現行証券取引法における問題点を浮き彫りにしている点でも興味深いと思って見ていました。
つまり、最初は「純投資」ですよ、といって株を買いだしておきながら、やっぱり「経営支配だ」と居直られてしまうことを、どうやって防ぐのかというお話です。
まあ今回の場合は、そもそも45%もとった時点で、誰も本気でそう信じていないかも知れませんが、例えば、5%程度を取得した段階で、この買収者がどの程度まで株を買いますのか、とか、経営関与をしていくのか、という情報は、一般投資家にとっては投資判断において重要な情報ですよね。
大量保有報告書におけるミスリーディングな記載に対するサンクションについては、前から気になっているので、帰国前にはどこかで調べておきたいと思ってはいるんですが・・・おそらくアメリカでは大量保有報告書(Schedule 13(d))の不実記載も投資家による証券訴訟(10b-5)の対象となるリスクがあるので、買収者側も買収計画とか経営関与の意図についての開示を慎重にやっているということだと思うんですが、この辺りは何れどっかできちんとやるとして、今回のポイントは最後の「4月まで、ある企業との経営統合を、盛んに当方に提案していた」という辺りです。

M&Aコンサルティングからの5/3付けプレス・リリースを拝見すると、次のように書かれています。

そもそも、阪急との統合案は、本年2月以前から私どもから阪神電鉄に提案し、その際は阪神側 はこの提案を拒絶したものであります。そして、4月までは、ある企業との経営統合について盛んに 当方に対し提案していました。

日本の証券取引法上よく分からない、というか、余り想定されてこなかったのは、こうした買収者と対象企業との交渉における情報のやりとりや提案に関するインサイダー規制における取扱いです。

買収者と対象企業とが一定の合意に達するためには、ある程度交渉の機密性は求められます。
他方で、買収者と対象企業の交渉の行方は株価に大きな影響を与えますから、投資家としては、その情報を一刻も早く知りたいでしょう。また、もし、秘密にされている情報を何らかのルートで手に入れれば、その情報を使って株式市場で利益を得ることもできるでしょう。
更に、交渉の過程で対象企業が買収者に対して非公開の重要な経営情報を開示したり、あるいは、買収者がデュー・デリジェンスを行って非公開情報にアクセスすることができた場合に、もし買収者が依然として市場で自由に株式を売買できるとすれば、どうでしょう?

何も、この問題は買収者にだけかかってくるわけではありません。例えば、対象会社がホワイト・ナイトに対して非公開情報を開示して、それを下にホワイト・ナイトが市場で買い増しを進めたり、買収者からの株式の譲受を求めたとしたら・・・

買収に絡むこうした情報のやりとりと買収者・ホワイトナイトによる株の買い増し・売却には、本来、常にインサイダー規制との関係が問題になります。

この辺りは、インサイダー規制の原則論だけを振り回しても、妥当な結論が得られるわけではなく、また、平時における情報開示の程度とも関連して、非常にテクニカルな部分に踏み込んだ議論が必要になるのですが、これまで日本では買収が比較的少なかったこともあって、余り議論されてこなかった部分です。

買収防衛策の設計やTOBルールばかりに注目が集まっていますが、買収に絡む制度設計は、買収を取り巻く情報規制(買収者側及び対象会社の情報開示義務の内容、インサイダー規制、相場操縦規制)の設計と不可分一体のはずです。

この「2月以前から・・・提案し、その際阪神側は・・・拒絶した・・・そして、4月まで・・・当方に対して提案」という時期の書き方も味があるんですが、これまで日本の買収関連制度に問題を投げかけてきた村上氏が投じた大きな一石となるような予感もするところです。


Posted by 47th : | 21:48 | コメント (2) | トラックバック (1) | 関連エントリー (1) | M&A

阪急・阪神の統合の行方?

阪急、阪神株取得を確認 村上氏側と交渉へ (asahi.com)

阪急ホールディングス(旧阪急電鉄)は24日、臨時取締役会を開き、村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が持つ阪神電気鉄道株(発行済み 株式の約46%)を取得する方針を確認した。株式公開買い付け(TOB)を想定しており、阪神との経営統合を打ち出したことになる。阪神電鉄も25日に臨 時取締役会を開き、賛同を確認する予定。実現すれば大手私鉄同士では戦後初の再編となる。ただ、村上ファンド側は売却するかどうかについてコメントしてい ない。
 阪急は臨時取締役会の内容を明らかにしていないが、阪神株の買い取り価格や投資総額の上限を議論した模様だ。今後も必要に応じて随時、取締役会を開くと 見られる。村上ファンド側と価格面で折り合えば、TOBを実施して取得する。TOBは、対象企業の発行済み株式の3分の1超を取得する場合に義務づけられ ている。

球団名はどうなるんだとか、そういう話もあるんですが、そもそも独占禁止法的にも興味深い事例です。

私は関西の土地勘がないので、よく分からないんですが、関西出身の友人によると結構競合している路線が多いという話も聞きますので、市場の画定とか競争減殺の危険とか正当化事由といった辺りで、公正取引委員会の企業結合規制に対するスタンスを見る上で一つの試金石となるのかも知れません。

また、仮に村上ファンドと買付価格について合意が成立した場合に、公開買付けによる買付を行う場合に買付価格もさることながら、最低買付数・上限買付数をどうするかといった辺りも注目ではないかと思いますが、とりあえずメモだけということで。

 


Posted by 47th : | 14:08 | コメント (5) | トラックバック (1) | 関連エントリー (1) | M&A

遅ればせながら、ソフトバンク・ヴォーダフォンについて (3)

前回からちょっと間があいてしまいました。

スキームを忘れてしまったという方のために、スキーム図を再掲します。

前回は①の100%子会社の設立と②買収資金の貸付けのところまで話しましたが、買収資金の貸付けについては共同主幹事7社が発表されています(4/4付プレスリリース)。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 12:42 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

再生プレミアム分配の難しさ (2)

前回は債権者間の利益移転問題について説明しました。

これを解消するために、例えば債権放棄や金利減免のようなリストラクチャリングが実施されるわけですが、問題は債権だけではなく、エクイティ・ホルダーとの間でも生じ得ます。

例えば、先ほどの会社Aの例に戻ってみましょう。

今、会社Aは既存債権者に対して現状に見合った状況になるために500億円の債権放棄を依頼したとしましょう。こうすれば、新債権者は安心して入ってくることができます。
しかし、既存債権者はこれでは面白くありません。なぜなら、自分たちが500億円放棄したことによって、余剰キャッシュフローが20億円(270-150-100)発生するわけですが、これは株主のものになってしまうからです。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 18:18 | コメント (6) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

再生プレミアム分配の難しさ (1)

まず、最初に誤解のないように書いておきますと、個別の事案において、ある処理が妥当かどうかということを判断するような情報は私は持っていませんし、それについて再生の文脈だから何でもありと形式的に割り切るつもりはありません。

また、今回の某再生中の会社でのスクゥイーズ・アウトにおいて一般株主に提示された価格が適正なものであるかどうかについては、何ら判断する材料も持っていません。さらにいうと、最近のエントリーで繰り返す書いているように、たとえ法的に違法ではないとしても、そのことが当然に法律以外の公平さに対する観念やモラル、倫理に照らして許されることになるとは思っていません。
むしろ私自身がこれまでの経験の中で感じていることは、法律の技術論以上に、利害関係者の(必ずしを賛同ではないとしても)「納得」を得るための努力の積み重ねが重要だというもので、その意味では件のスクゥイーズ・アウトに多くの一般株主の方が納得できないと考えているとすれば、そうした過程に問題がなかったかは批判的に検討されるべきであり、再生に携わる者としては他山の石としなければならないと思います。

ここまで予防線を張ってまで、敢えてセンシティブな問題に立ち入るべきでないという気もしたのですが、toshiさんのブログを拝見していて、余り文献などでは触れられない(ように見える)けど、再生案件における一般株主の利益に関する問題を考える上では、通常のMBOにおける支配権プレミアム(一般株主から支配株主への利益移転)ではなく、再生プレミアム(債権者・スポンサーから一般株主への利益移転)の分配のあり方が実質的な面で大きな問題となり得るということについて視点を提供することは有用ではないかと考えエントリーを立ててみることにしました。

(ちなみに今回の記事と合わせて、(長いんですが)以前に書いたシリーズ「ダイエー支援決定を読む」もご覧頂けると、再生の場面における債権者と一般株主との利益配分の難しさについて、感覚を掴んでいただけるかも知れません)


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 18:16 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

遅ればせながら、ソフトバンク・ヴォーダフォンについて (2)

前回は今回のディールの基本情報を見たわけですが、今回はLBOの基本的な法的ストラクチャーについて見てみましょう。

LBOの基本的構造は下の図のとおりです。

 


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 19:50 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

遅ればせながら、ソフトバンク・ヴォーダフォンについて (1)

正直、これを典型的なLBOと呼んでいいのかは微妙なところもあるんですが、とりあえずスキームとしてはLBOですし、規模としてもLBOとしては空前の規模ということもあり、一応、時流にのって、このブログでも触れてみようかと思います・・・って、自分でも何故かよく分からない後ろ向きさ加減ですが、とりあえずデータの整理から始めてみましょう。

ディールに関する基本情報

まずは、公式情報として両社のプレス・リリースです(以下、ソフトバンクを「SB」、Vodafone Group PLCを「VD」、ヴォーダフォン株式会社を「VDJ」、買収用のソフトバンクの100%子会社("Bidco")を「BC」と略します)。

もう一つ重要な情報源としてR30さんの起こした孫社長のインタビューとQ&Aの速記録と同氏のインプレッションもあげておきます。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 15:08 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

GMスズキ株放出

(3/8 初出 3/12 追記の上、再UP)

とりあえず、後でもう少し解説を加えるかも知れませんが、参考になりそうなリンクとチャートです。

コングロマリット・ディスカウントの解消 

GMがスズキ株式の大部分を放出しました。

こうした事業部門の放出(divesture)は、一般に企業価値を向上すると言われています・・・というと、分かっている人には自明のことなんですが、日本では「会社の切り売り」は悪とかいったことが人口に膾炙していますし、読者の中にはM&A業界でない方も多いんで、まずはそっからおさらいしていきましょう。

コングロマリットというのは、一つの企業体の中で様々な事業分野を持つ企業形態を意味しますが、アメリカでも日本でも大企業が色々な分野の事業をやっていることは、そんなに不思議な話ではありません。
少し考えても、複数の事業をばらばらの会社でやるよりも、一緒になって重複している間接部門を統一すればコストは安く上がりそうです。また、事業が多角化している方が景気の波にも強く、安定した経営ができるようにも思えます。

というわけで、1960年代、70年代のアメリカ企業の多くが多角化経営に走ったわけですが、結果は、余り芳しくなく80年代には、コングロマリット・ディスカウントという言葉が聞かれるようになりました。これは、一つ一つの事業をばら売りした方が、全体の企業価値よりも高いというもので、つまり、1+1+1が3ではなく、2.5になっている状態が生じてしまったわけです。

このコングロマリット・ディスカウントの理由として言われるのが次のようなものです。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 00:52 | コメント (3) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

かくして、アメリカの平和は守られた

(3/11 追記あり) 

Dubai Company to Transfer U.S. Ports to American Company (New York Times)

DP World, the United Arab Emirates state-owned company that had agreed to buy several port terminals in the United States, said today that it will transfer those properties to an American-owned company, bowing to a political groundswell against the acquisition.
The decision came just hours after a delegation of Republican leaders in Congress told President Bush in an Oval Office meeting that Congress would act within days to block the company's acquisition of the United States port terminals in the name of national security, lawmakers present said.

ここしばらく話題になっていた、アラブ系企業(DP)による米国の港湾運営会社の買収は、結局DPが買収をあきらめることで落ち着いたようです。

DP側としても、これ以上こじれるのは得策でないと判断したようです。
が、この問題が起きた当初、私は、正直、まさかこんなことが起きるとは思っていませんでした。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 20:37 | コメント (8) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

ATT-BellSouth Merger

こちらも分析はとりあえず後回しですが、忘れないようにメモだけ。

合併比率はBLS株1株に対してAT&T株1.325の割合となっており、前日の終値をベースにすると1株当たり37.09ドル、総額670億ドルのディールということです。

ちなみに、Form 8-Kに添付されている合併契約書をAntitrustの授業で学生の一人が演説を始めた隙にスキミングした範囲では、このケースでのディール・プロテクションは、次のようなものです。

  • No-shop
  • No-talk
  • Termination Fee ($1.7B) 

< 続きを読む >

Posted by 47th : | 19:31 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

M&Aの株価への影響

最近、しばしば本職が不明な状態になりつつあるので、久々にM&A関係の記事を。
といっても、木曜日にあるM&Aのテストのために、ごく簡単にM&Aが株式リターンに与える影響について表をまとめただけのものです。
表の中の数字のほとんどは、合併のアナウンスメントの42日前と126日後(又は上場廃止)の株価を比較したものです。
対価がStockの場合には、Bidderの株価はネガティブな反応を見せている辺りとか、ポイズン・ピルがある場合のTargetのリターンがそうでない場合のリターンを上回っている辺りが注目でしょうか。

授業で使ったパワーポイントの内容をテスト用にまとめただけで、原典の確認はしていないので、これに関する難しい質問はご勘弁を(笑)

type

target

bidder

Overall Average

25-30%

1-3% (public company deal)
   2-3% (private/ subsidiary)

Tender Offer

36 %

2.5%

Mergers

17% (MBO: +19%)

3.4%

Auction

31%

3.5%

No Auction

22%

0%

Cash

28%

0.7%

Equity

17%

4.5%

Poison Pill

30% (otherwise 23%)

N/A

Insider Trading

40% (otherwise 21%)

N/A


Posted by 47th : | 18:12 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

新日本無線へのTOB-Interesting Case Study

村上ファンド、新日本無線にTOB (NIKKEI NET)

村上世彰氏が代表を務めるエム・エイ・シー(東京・港)は21日、新日本無線の全株式の取得を目指しTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。新日本無線株は、日清紡が子会社化を目的に今月9日からTOBを開始しており、今回の買い付けは対抗的なTOBとなる。日本ではこうした対抗的な買い付けが実施されるのは珍しい。

TOBの理由についてエム・エイ・シーは、日清紡の買い付け価格が新日本無線の潜在的企業価値を下回る水準であるためとしている。買い付け価格は1株900円と、現在実施されている日清紡のTOB価格より60円高い。期間は11月21日から12月15日で、新日本無線株の50.01%以上(議決権ベース)を取得できない場合はすべての応募株券の買い付けを行わない。

ということで、早速、M&AコンサルティングのHPをチェックすると、プレスが出ていました。

新日本無線への公開買付け開始に関するお知ら (株式会社エムエイシー)

この中で、公開買付けの目的について、次のように述べられています。

本公開買付けは、新日本無線の株主としての観点から、平成17 年11 月8 日に発表された日清紡績株 式会社(以下「日清紡績」といいます。)による新日本無線への公開買付けに異議を唱えるものであります。日清紡績による公開買付けは資本市場の観点から非常に歪な資本異動である上に、以下の点において、新日本無線及びその親会社である日本無線株式会社(以下「日本無線」といいます。)の株主価値最大化に反しているものと考えています。

< 続きを読む >

Posted by 47th : | 22:15 | コメント (6) | トラックバック (3) | 関連エントリー (0) | M&A

会社法トリビア:アメリカでは20%以上の公募増資に株主の承認が・・・

昔から、一度ちゃんと読まないといけないと思っていながら、放っておいたものの一つに、株式発行に関するNYSE Ruleがあります。
会社法現代化の試案が講評された頃から、「アメリカの取引所ルールでは20%以上の新株発行は株主の承認がないといけない」という話が、まことしやかにささやかれていたんですが、何でもありのアメリカの会社法の世界を垣間見ていた者からすると、正直いって「本当かいな?」という思いもあって、いつかちゃんと見てみないととは思っていたんですが・・・会社法現代化でも、早々と新株発行に株主総会という話は消えたので、優先度が落ちて放っていたんですが、今日のCorporationの授業で出てきたのをきっかけに読んでみると・・・
よく話題になるのは、NYSE RUle (Listed Company Manual) 312.03(c)だと思いますので、見てみましょう。

(c) Shareholder approval is required prior to the issuance of common stock, or of securities convertible into or exercisable for common stock, in any transaction or series of related transactions if:
(1) the common stock has, or will have upon issuance, voting power equal to or in excess of 20 percent of the voting power outstanding before the issuance of such stock or of securities convertible into or exercisable for common stock; or
(2) the number of shares of common stock to be issued is, or will be upon issuance, equal to or in excess of 20 percent of the number of shares of common stock outstanding before the issuance of the common stock or of securities convertible into or exercisable for common stock.

< 続きを読む >

Posted by 47th : | 14:15 | コメント (7) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

新しいフェーズ到来の予感(気のせいか?)

磯崎さんHardwaveさんのブログをチェックしていて気づく。そうか、楽天がTBSにねぇ・・・
まだ、全然分析もしていないし、そもそも、そんなに深くつっこめない事情もあるのですが、楽天のプレスリリースからすると、楽天はこれまでにもTBSと提携協議を進めてきていたという話もあるようで・・・今回の楽天の究極の目的は本当に提携なのかも知れません。
もちろん、提携というのは力づくではできません。
ただ、他方で相手の顔色をうかがうだけでは、交渉はできません。
友好的に進めようとしても、相手方がのらりくらりとしているのであれば、相手を前向きにさせるためのカードが必要です。
今回のように水面下の交渉経緯を、突然パブリックにされてしまうと、対象会社の身動きは結構とりにくくなるもので、アメリカでは、こういうのをBear Hug(要するに抱え込んで身動きがとれなくしてしまうという意味ですね)といい、アメリカでは一つの常套手段となっています。
M&Aの実務をやっている弁護士によると、このBear Hug Letterのドラフトというのが、一つの醍醐味ともいいます。というのも、相手の態度を必要以上に硬化させることなく、それでいて、確実にプレッシャーを与えることができるかどうかというマニュアルやひな形の存在しない世界で、状況判断能力や創造力が試される領域だからです。
日本では、若干誤解されて紹介されているような気もしますが、敵対的買収と友好買収の境界は非常に曖昧です。実際には、コストや不確実性の高い敵対的買収は(何か隠れた目的でもない限り)誰も望みません。むしろ、敵対的な手法は、「最終的に友好的な買収を実現させるための戦略の一つ」という位置付けです(オラクルとピープルソフトですら、最終的には両経営陣が合意の上で合併契約が調印されたことを思い出してみましょう)。
これまでの、いくつかあった「敵対的」買収というのは、どこか「敵対的」であることに意義を見出しているような、その意味で、何が買収者の目的なのかが非常に分かりにくいものでしたが、今回の楽天の行動は、「TBSとの友好的提携」という最終目標を実現するための、「戦略的敵対的買収」とでも呼べるものではないかという気がしています。
ちょっと気が早いのかも知れませんが、敵対的な買収手法が戦略的に用いられるというのは、また一つ日本のM&A市場が新しいフェーズに入っていく兆しのような気もします。
もちろん、こういう新しいフェーズでは、単なる形だけの買収防衛「策」は、それほど大きな意味合いを持ちません。「防衛」自体も交渉の上での一つの選択肢でしかなく、買収対象となった会社にとっても、大事なのは、全体として達成したい目的、あるいは、守りたい価値をきちんと見据えて、そこに着地するための全体戦略を立てることです。
・・・というわけで、今後の両社の対応には要注目です・・・(ただし、残念ながら、私の方では、諸般の事情により、(多分、)これ以上個別につっこむことは支障がありそうですが・・・)


Posted by 47th : | 10:44 | コメント (3) | トラックバック (5) | 関連エントリー (0) | M&A

タイガースよりスバルを救って。。。

<米GM>富士重工株の4割をトヨタに売却へ (毎日新聞)

トヨタ自動車は5日、米ゼネラルモーターズ(GM)が発行済み株式の20.1%を保有する富士重工業の株式について、8.7%を取得すると発表した。取得額は約350億円で、筆頭株主になる。
(中略)
GMは99年、富士重と包括提携を結び、00年に筆頭株主になった。同様に出資するいすゞ自動車、スズキと合わせ、GMグループのアジアの拠点に位置づけたが、提携効果が出せず、富士重の05年4~6月期は11億円の最終赤字になった。自らの経営が悪化しているGMは、富士重との提携を続けても効果が上がる可能性は少ないと判断し、関係解消に踏み切る。
 トヨタと富士重の提携の具体的な内容は未定。「生産・開発面で協力したい」(トヨタの木下光男副社長)としており、カーナビを使った次世代通信技術の開発や富士重独自の「水平対向エンジン」、ハイブリッド車技術などが軸になるとみられる。

日本にいるときは4年間インプレッサに乗ってました。戻ったら、またインプレッサかレガシーと思ってるのに・・・誰か、どっちかというと、スバルを救って・・・
いや、トヨタが悪いといっているわけではないけど・・・同業だし、何かちょっと車に対するポリシーが違うような気がするし・・・いや、これこそ単なる感情論なんですけどね。


Posted by 47th : | 09:52 | コメント (5) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

事業信託制度の目的は?

企業の事業信託制度を創設・政府、2007年にも

政府は企業が一部の事業を他社に信託して運営を委ねる「事業信託」の仕組みを2007年にも設ける方針だ。企業は特定の事業のリスクを分離できるほか、不振事業を他社に預けて再建することも可能になる。医薬品や先端技術開発など多額の費用がかかりリスクを伴う事業分野の展開や、同業他社に競争力で劣る生産部門の再生に役立つとみている。

・・・ということなんですが、「特定の事業リスクの分離」や「不振事業の再建」は、別に株式会社を使った子会社化やJV化でも可能だと思うんですが・・・
少なくとも、アメリカのビジネス・トラストでも事業を実質的にコントロールしている人間は無限責任を負うとしている州が多いようですし、その意味では事業リスクの遮断というレジームの点で株式会社よりも有利といえるかどうか・・・
「不振事業を他社に預けて再建」するといっても、アップサイドが出たら事業を取り戻すなんていう都合のいいディールが可能だったら、現行法でも営業の賃貸でも何でもできるんで、普通は、そんなうまい話はないので、資源を投じて不振事業の再建をしようという場合には、その相手に一定の持分を与えてJV化したりするんだと思うんですよね・・・
というわけで、何か法的に考えると、ちょっと眉唾なところが・・・あとは、会社ではなく「信託」なんでということで、会計上、連結のときの取り扱いを変えることができる(リスクの高い事業や不振事業を簿価で連結から外せる?)とか、税法上の取り扱い(パス・スルー)を狙うという途はあるのかも知れませんが・・・個人的には、実質的なリスクや経済的利益の所在が同じものについて会計や税法上の取り扱いが異なる(制度間arbitrageを認める)というのは、合理性があるのか?もあるところです。
まあ、新聞記事で見ているだけですし、企業に選択肢を与える方向での改正であれば、あとは使うか使わないかは企業次第ということで、(もっと検討すべき課題が他にあるんじゃないかという機会費用の部分は別として)とりたてて強く反対するほどのことでもないんですが・・・ちょっと不思議な感じがしたので。
どなたか、具体的なメリットやニーズについてご存じの方がいらっしゃったら、ご教示いただけると幸いです。(ちょっと、自分でも調べてみるかも知れませんが)


Posted by 47th : | 10:14 | コメント (8) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

Google、NASAと提携

グーグル、NASAと宇宙関連で共同研究・開発 (NIKKEI NET)

インターネット検索サービス最大手グーグルは28日、米航空宇宙局(NASA)との間で、宇宙関連の幅広い分野で共同研究・開発を行うことで合意したと発表した。

 バイオ、スーパーコンピューター、関連産業の事業化などが研究開発の対象。NASAが保有するシリコンバレー(米カリフォルニア州)の敷地内に、グーグルが延べ床面積約9万3000平方メートルに上る研究棟と研究者用住宅を備えた複合施設を建設する。

昨日、ろじゃあさんが宇宙エレベーターの話をしていて、こういうプロジェクトにどうやってファイナンスをつけるんだろうというのがあったので、その意味では何かタイムリーな話題だなあ、と思いつつも、グーグルのビジネス・ジャッジメントとして見たときに、どれだけ合理性があるのかについては、今ひとつわかりにくいところがあります。
Schmidt(GoogleのCEO)のコメントなんかでは、「月面の映像がリアルタイムでネット配信されたら凄いだろう」みたいなことを言っているんですが、それだけなら、契約で映像配信権みたいなものだけ取引すれば済むことだし・・・「Google Earthに続いて、Google MarsやGoogle Moonを立ち上げるんだ」と言われても、しばらくは月面ドライブはしなさそうだし・・・とか、思ってしまうところも。
NASA側の説明はもう少しましで、「NASAは莫大な情報を処理しきれなくなってきていて、GoogleのようなInformation Technologyを持っている会社の助けが必要」といっています・・・ただ、これも、組織内の情報整理技術のノウハウならGoogleなどよりもOracleやSAPの方が持っているんじゃないの?、という疑問が・・・その点を措いたとしても、これはNASAにとってメリットな話で、NASAがGoogleに何かを支払うならともかくとして、実質的には資金的なところは「Google持ち」のようなので、何か不思議。
・・・というわけで、果たしてこれは70年代に石油会社が潤沢なキャッシュフローを持てあましてコングロマリット化に走った歴史の再現なのか?、それとも、いっけんすると誰もが首を傾げるようなビジネスを見事に収益化してきたGoogle一流の第六感の産物なのか?・・・非常に興味深いところです。


Posted by 47th : | 08:57 | コメント (2) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

畏るべし隣国

Group Led by Chinese Appliance Maker Bids for Maytag (New York Times)

The Maytag Corporation said last night that a consortium led by Qingdao Haier, a Chinese appliance maker, had offered to acquire all its outstanding stock for $16 a share.

Interest by the consortium, which also includes the Blackstone Group and Bain Capital, could ignite a takeover battle for Maytag, which agreed on May 19 to be acquired by another group, led by Ripplewood Holdings, for $1.13 billion, or $14 a share.

長銀の買収で有名なRipplewoodと買収合意ができていたMaytagという電器製品メーカーに中国企業を中心とするコンソーシアムがビッドをかけたという話です。
興味深いのは、このコンソーシアムにはBlackstoneとBainという米大手PEファンドも参加していること。
その意味では、米国PEファンドの資金が中国企業による米国大手電器メーカーの買収をサポートするという興味深い構図になっていることと、最近、はやりのPEファンドのコンソーシアムによる買収という側面の両面を持っていることになります。
レノボによるIBMのPC部門の買収もそうですが、中国資本の米国進出の動きが加速しています。


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 11:08 | コメント (4) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | M&A

ビッグ・ディールに横やり

2005年の米国を代表するビッグ・ディール2つに対して、横やりが入っているようです。

MCI-Verizonの場合

A Campaign to Derail Verizon-MCI Deal (New York Times)

A large hedge fund said yesterday that it planned to mount a campaign against Verizon's $8.5 billion takeover of MCI, hoping to coax Qwest Communications International into reviving its previous offer for the company.

< 続きを読む >

Posted by 47th : | 13:13 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

IPOにおける投資銀行の利益相反問題

Ruling Allows Suit Accusing Goldman of Conflict in Stock Offering

A state appeals court ruled on Tuesday that a lower court could hear a case about whether an investment firm hid a conflict of interest for its own profit when it was hired to help a start-up company take its stock public.

事案の内容はというと・・・


< 続きを読む >

Posted by 47th : | 11:14 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | M&A

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
このブログをご覧になる際の注意点や管理人の氏素性についてはAbout This Blogご覧下さい。