Takeover Defense の全エントリー

上場・買収防衛は何のため?

(9/14 追記あり) 

東証に買収防衛策要求、金融相懇談会の最終報告書で(YOMIURI.ONLINE)

与謝野金融相の私的懇談会「証券取引所のあり方等に関する有識者懇談会」が13日にまとめる最終報告書で、東京証券取引所に対し買収防衛策の導入検討を求めることが明らかになった。
欧米の取引所などによる経営支配の懸念を未然に解消するためだ。しかし東証は、上場企業の買収防衛策について「株主利益を損なう恐れがある」として慎重な対応を求め、自らの防衛策導入にも否定的な姿勢を示しており、東証の対応が注目される。

まず、東証の擁護からするとすれば、東証自身は買収防衛策について「市場の評価を向上させることにより当取引所の基礎体力(足腰)を回避することで被買収リスクを回避」というのを基本方針とした上で、括弧書きで「他の上場会社が導入している一般的な買収防衛策の導入についても検討」としていたようですから(懇談会に西室社長から提出された8/29付け資料(pdf))、「欧米の取引所などによる経営支配の懸念」対策としての買収防衛策というアイディアは東証のイニシアティブによるものではないのでしょう。

当たり前といえば当たり前なのですが、私自身は買収防衛策そのものにはネガティブではありません。ただ、買収防衛策は単なるツールに過ぎません。

何のために上場を目指して、何のために買収を防衛するのかが、明確に意識されているのであれば、買収防衛策もありだと思いますが、そこが曖昧なままだと、そもそも防衛策をどう設計するかも定まりません。(一切支配権の移転を認めないのであれば、黄金株のようなものが簡便でしょうし、買収過程のコントロールであれば既存のライツ・プランが適しているでしょう)

何れにせよ、これを受けて更に東証の中でも議論がなされるのでしょうし、その中でツールの部分ではなく、そもそも論の部分で議論が深まっていくことが期待されます。

(9/14追記)

金融庁から「わが国証券取引所をめぐる将来ビジョンについて(論点整理(第三次))」が公表されています。

実際に公表されたものについては、上の報道とは違って、次のように大分穏当なトーンになっているようです。ちょっとフライング気味の報道だったようですね。

いわゆる買収防衛策導入の是否については、法令による主要株主規制 の下で、市場評価の向上や安定的な株主との関係構築により対応するこ とを基本とすべきとの考え方が取引所側から示された。他方で、この問 題については市場関係者等の意見も交えながら検討を継続し、実際に上 場する時点における市場環境等も十分見極めた上でその導入について 改めて判断していく必要性も認められよう。

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Posted by 47th : | 23:05 | コメント (3) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

何故ライツ・プランは機能するのか( or機能しないのか) (2)

前回は、ライツ・プランというのは買収者が取得した株式の価値を希釈化させて、買収費用を高めるものであって、絶対的に買収を阻止する仕組みのものではないという話をした上で、この「追加費用」というのをどう考えるかが買収防衛策の機能的な面でのポイントだという前振りをしたわけです。

ホワイト・ナイトはM&Aを殺す?

と、直接にライツ・プランの機能を云々する前に、「支配権市場」という「市場」が成立することがどういうことか、次のような議論から始めてみましょう。

しばしば、買収対抗策の中でも「ホワイト・ナイト」を探すことは、より高い価格をつける買い手を探してくるものだから、株主利益に適った買収防衛策であるという話を耳にします。
つまり、1000円でTOBをかけられたときに、対象会社経営陣が1100円でTOBをかけてくれるホワイト・ナイトを捜してくることに成功すれば、株主は100円高い価格をもらうことができるので、株主利益に適っているという話です。

このストーリー自体は、いったん買収が起きてしまった後の状況を前提にすると、正しい話なのですが、「後からホワイト・ナイトを連れてくることができるという可能性」が買収者のインセンティブに与える影響を考えると、実は、株主にとっては必ずしも手放しで喜べる状況ではなかったりします(※)。

少しややこしい話になりますが、順をおって考えてみると、こういうことです。

まず、最初の買収者が株価が割安な企業を探して、その評価をするためには、それなりのコスト(探索費用)がかかります。もちろん、買収が成功すれば、この費用も回収できるわけですが、逆に言うと、買収が失敗に終わると、この費用というのは無駄になってしまうわけです。

ところで、「いい買収先」の探索には色々なやり方があるわけですが、一番、「楽」なやり方は何でしょう?

 


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Posted by 47th : | 09:57 | コメント (1) | トラックバック (0) | 関連エントリー (1) | Takeover Defense

何故ライツ・プランは機能するのか( or機能しないのか) (1)

日本ではお盆休みで、誰がどこを参拝したという話が話題になっているようですが、私にはその問題を論じる能力も気力もないので野次馬モード。
上限金利規制の話の続きも悪くないかなと思ったんですが、ちょっと目先を変えてtoshiさんのブログのコメント欄で話題になっていた買収防衛策の機能について簡単に整理してみようかなというところで。

ライツ・プランの効果:経済的価値の希釈化

「買収防衛策」というと、何だか買収を完全に阻止することができる万能のツールのような印象も与えるんですが、残念ながら?、あるいは、幸いにして?、アメリカで一般的なフリップ・イン型ライツ・プランをベースに日本に現在導入されている買収防衛策は、一応理念としては(※)、そういう絶対的なものにはなっていません。

ごくごく簡単に言ってしまうと、無断駐車を防ぐために空地に鉄条網を貼り巡らすのではなく、出入りは自由にできるけど、看板にでかでかと「無断駐車は壱萬円」と書かれているようなもんです。

今の日本のライツ・プランというのは、大体20%でトリガーされて、トリガーされると買収者以外の株主の持株数は2倍になるという感じになっているんですが、この仕組みをベースに買収防衛策を無視してTOBを行った場合に買収者がどれぐらいの「罰金」を課されるかというと・・・時価総額が1000億円、株式数が100で、(非現実的ですが)プレミアムなしのTOBを行ったと仮定すると、次のような感じになります。


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Posted by 47th : | 12:28 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (1) | Takeover Defense

阪急TOB・・・しかし、対決姿勢は変わらず

阪神電鉄を巡る攻防については、昨年のニッポン放送とは別の意味で色々と面白い・・・というか、何かよく分からないことが起きますねぇ。

日本では、きっと報道も凄いのでしょうが、とりあえず、私の方では、現状の整理をしておこうかと思います。

阪神・阪急のプレス・リリース

まずスタート・ポイントになるのは、5月29日付の「阪急ホールディングス株式会社と阪神電気鉄道株式会社の株式交換による経営統合ならびに公開買付けの実施に関するお知らせ」(pdf)ということになります。

色々と興味深い点は多いんですが、まず気になったのは「経営統合の目的」の中に入っている次の部分(下線は引用者付加)。

上記に基づき、阪急ホールディングスは、阪神電気鉄道の特定の大株主にご賛同いただき、一定の資本関係 を構築し、阪神電気鉄道との経営統合を円滑に実現するために本公開買付けを行うことを決定するとともに、阪 神電気鉄道との間で、本公開買付けの成立を条件として、両社の定時株主総会において承認が得られた場合に は、平成18 年10 月1日を株式交換の効力発生日として、株式交換の方法により阪神電気鉄道を阪急ホールディングスの株式交換完全子会社とすること等を内容とする契約を締結しました。

これを読むと、「特定の大株主」さん(笑)にもうご賛同頂いたのかと思ったんですが、M&Aコンサルティングが同日付で公表している「阪神電鉄と阪急ホールディングスの統合について」(pdf)を見ると、どうもそうでもなさそうです。


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Posted by 47th : | 01:23 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (2) | Takeover Defense

EU会社法・証券取引法の試験問題

昨日受けたHopt教授のEU Corporate Law & Securities Regulationは、2時間の制限時間で概ね次のような内容の問題でした。(括弧内は配点)

 

I.1. EU委員会が現時点でCorporate Law Action Planを見直すに当たって、あなたがそのカウンセルだとしたら(40%)

(a) 課題事項から落とすべきと思うものはどれか?

(b) 逆に、より力を注ぐべきと思うことはどれか?

I.2.、以下の問に簡潔に答えよ。(10%)

(a)ヨーロッパ会社(European Companu)は有用か?

(b)One-tier BoardとTwo-tier Boardのどちらが望ましいか?

 

II.1 以下の事例についてヨーロッパ法の観点から答えよ。(40%)

ヨーロッパの上場企業のCEOとCFOは米国上場企業に対する友好的公開買付けの交渉のために米国にわたっていたが、基本合意締結にこぎつけた。しかし、会社としての正式な承認のためには取締役会での承認を得なくてはならないため、その承認を得るために彼らは帰国の途についた。その途上で、彼らは自社の法務部門と大株主であるインベストメント・バンクのトップに電話をかけ、基本合意について合意が成立したことを伝えた。

(a) 彼らの行為は適法か?会社はどの時点で開示義務を負うか?噂が流れた場合はどうか?

(b) 電話会社の職員Aは、その電話の内容をたまたま聞くことができたため、当該会社の株式を即座に購入した。また、インベストメント・バンクは、当初、当該会社の株式を売却する予定であったが、その情報を聞いて売却をとりやめると共に、自社の顧客である機関投資家に対して当該会社の株式の購入を推奨した。彼らの行為はヨーロッパ法に違反するものか?

II.2 以下の問に簡潔に答えよ。(10%)

(a) 企業買収指令12条について、国際的企業買収に関して問題となる点は何か?

(b) ヨーロッパSECは設立されるべきか?

 

・・・というような内容で日本語なら2時間で何てことはないんですが、時間のプレッシャーがある中で英語で書こうとすると結構ぎりぎりで・・・書きやすいII.の方から始めたら最後の方はもうきつきつでした。

ちなみに、ドイツ人の悩みに共感を示さない私は、I.(a)の筆頭にEuropean Private Companyと並んで、最低資本金制度なんて、オフショア設立が認められるのであれば議論しても無駄で、もっと総合的に債権者保護を考えるべき、と、あっさり言ってしまいました。まあ、Hopt教授は、ドイツ人にしてはかなりリベラルで、ご本人が授業中に最低資本金制度について数年かけてStudyをやれと言われても、何やっていいかわからないと仰っていたのでOKだと信じているんですが。


Posted by 47th : | 12:03 | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

阪神・村上氏の交渉と情報規制

ようやく一つインクラスのテストが終わって反動が来ていますが、明日ももう一つインクラスがあるんで気は抜けません。

テストの愚痴をぶちまけたいという欲望もあるんですが、ちょっと気になる記事が・・・

阪神・阪急経営統合案、村上氏側が提案…ファンド発表 (Yomiuri Online)

阪神電気鉄道の筆頭株主で、村上世彰氏が率いる投資ファンド(村上ファンド)は3日、インターネットのホームページを通じてコメントを発表し、「阪神と阪急ホールディングスとの統合案は今年2月以前に私どもから阪神に提案し、その際、阪神は拒絶した」と、折衝の内幕の一部を暴露した。
阪神は「4月まで、ある企業との経営統合を、盛んに当方に提案していた」ことも明らかにした。

そもそも、今回の件は大量保有報告書における目的の記載のあり方(どこまでなら「純投資」と言えるのか)とか、それへのサンクションという現行証券取引法における問題点を浮き彫りにしている点でも興味深いと思って見ていました。
つまり、最初は「純投資」ですよ、といって株を買いだしておきながら、やっぱり「経営支配だ」と居直られてしまうことを、どうやって防ぐのかというお話です。
まあ今回の場合は、そもそも45%もとった時点で、誰も本気でそう信じていないかも知れませんが、例えば、5%程度を取得した段階で、この買収者がどの程度まで株を買いますのか、とか、経営関与をしていくのか、という情報は、一般投資家にとっては投資判断において重要な情報ですよね。
大量保有報告書におけるミスリーディングな記載に対するサンクションについては、前から気になっているので、帰国前にはどこかで調べておきたいと思ってはいるんですが・・・おそらくアメリカでは大量保有報告書(Schedule 13(d))の不実記載も投資家による証券訴訟(10b-5)の対象となるリスクがあるので、買収者側も買収計画とか経営関与の意図についての開示を慎重にやっているということだと思うんですが、この辺りは何れどっかできちんとやるとして、今回のポイントは最後の「4月まで、ある企業との経営統合を、盛んに当方に提案していた」という辺りです。

M&Aコンサルティングからの5/3付けプレス・リリースを拝見すると、次のように書かれています。

そもそも、阪急との統合案は、本年2月以前から私どもから阪神電鉄に提案し、その際は阪神側 はこの提案を拒絶したものであります。そして、4月までは、ある企業との経営統合について盛んに 当方に対し提案していました。

日本の証券取引法上よく分からない、というか、余り想定されてこなかったのは、こうした買収者と対象企業との交渉における情報のやりとりや提案に関するインサイダー規制における取扱いです。

買収者と対象企業とが一定の合意に達するためには、ある程度交渉の機密性は求められます。
他方で、買収者と対象企業の交渉の行方は株価に大きな影響を与えますから、投資家としては、その情報を一刻も早く知りたいでしょう。また、もし、秘密にされている情報を何らかのルートで手に入れれば、その情報を使って株式市場で利益を得ることもできるでしょう。
更に、交渉の過程で対象企業が買収者に対して非公開の重要な経営情報を開示したり、あるいは、買収者がデュー・デリジェンスを行って非公開情報にアクセスすることができた場合に、もし買収者が依然として市場で自由に株式を売買できるとすれば、どうでしょう?

何も、この問題は買収者にだけかかってくるわけではありません。例えば、対象会社がホワイト・ナイトに対して非公開情報を開示して、それを下にホワイト・ナイトが市場で買い増しを進めたり、買収者からの株式の譲受を求めたとしたら・・・

買収に絡むこうした情報のやりとりと買収者・ホワイトナイトによる株の買い増し・売却には、本来、常にインサイダー規制との関係が問題になります。

この辺りは、インサイダー規制の原則論だけを振り回しても、妥当な結論が得られるわけではなく、また、平時における情報開示の程度とも関連して、非常にテクニカルな部分に踏み込んだ議論が必要になるのですが、これまで日本では買収が比較的少なかったこともあって、余り議論されてこなかった部分です。

買収防衛策の設計やTOBルールばかりに注目が集まっていますが、買収に絡む制度設計は、買収を取り巻く情報規制(買収者側及び対象会社の情報開示義務の内容、インサイダー規制、相場操縦規制)の設計と不可分一体のはずです。

この「2月以前から・・・提案し、その際阪神側は・・・拒絶した・・・そして、4月まで・・・当方に対して提案」という時期の書き方も味があるんですが、これまで日本の買収関連制度に問題を投げかけてきた村上氏が投じた大きな一石となるような予感もするところです。


Posted by 47th : | 21:48 | コメント (2) | トラックバック (1) | 関連エントリー (1) | Takeover Defense

阪急・阪神の統合の行方?

阪急、阪神株取得を確認 村上氏側と交渉へ (asahi.com)

阪急ホールディングス(旧阪急電鉄)は24日、臨時取締役会を開き、村上世彰氏率いる投資ファンド(村上ファンド)が持つ阪神電気鉄道株(発行済み 株式の約46%)を取得する方針を確認した。株式公開買い付け(TOB)を想定しており、阪神との経営統合を打ち出したことになる。阪神電鉄も25日に臨 時取締役会を開き、賛同を確認する予定。実現すれば大手私鉄同士では戦後初の再編となる。ただ、村上ファンド側は売却するかどうかについてコメントしてい ない。
 阪急は臨時取締役会の内容を明らかにしていないが、阪神株の買い取り価格や投資総額の上限を議論した模様だ。今後も必要に応じて随時、取締役会を開くと 見られる。村上ファンド側と価格面で折り合えば、TOBを実施して取得する。TOBは、対象企業の発行済み株式の3分の1超を取得する場合に義務づけられ ている。

球団名はどうなるんだとか、そういう話もあるんですが、そもそも独占禁止法的にも興味深い事例です。

私は関西の土地勘がないので、よく分からないんですが、関西出身の友人によると結構競合している路線が多いという話も聞きますので、市場の画定とか競争減殺の危険とか正当化事由といった辺りで、公正取引委員会の企業結合規制に対するスタンスを見る上で一つの試金石となるのかも知れません。

また、仮に村上ファンドと買付価格について合意が成立した場合に、公開買付けによる買付を行う場合に買付価格もさることながら、最低買付数・上限買付数をどうするかといった辺りも注目ではないかと思いますが、とりあえずメモだけということで。

 


Posted by 47th : | 14:08 | コメント (5) | トラックバック (1) | 関連エントリー (1) | Takeover Defense

宣伝:「企業買収防衛戦略2」&「会社の値段」(再アップ)

(3/31:アマゾンのリンク等を追加して再UPしました。)
Takeover_Defense_2.jpg

日本では発売になったようで、アマゾンでもお求めになれます。(・・・でも、また著者名が・・・orz)
商事法務のHPでは、詳しい目次とはしがきも見られますので、こちらもどうぞ^^

(以下元記事です)
商事法務のメルマガからの引用です。

上場企業の適正な買収防衛戦略はどうあるべきか。最新の立法動向を踏まえた最先端の実務と理論を紹介!
『企業買収防衛戦略2』武井一浩/中山龍太郎 編著(487頁 4,620円)

ということで、3月下旬から4月上旬にかけての発売を予定しているということで宣伝です。


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Posted by 47th : | 09:54 | コメント (3) | トラックバック (2) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

もてすぎて困っちゃう・・・LSEの場合

(3/11 追記あり) 

London Rejects Bid by Nasdaq (New York Times)

The London Stock Exchange, Europe's biggest stock market, announced yesterday that it had received and rejected a $4.1 billion informal cash offer from Nasdaq, an indication that the arms race among the world's leading exchanges is escalating.

ということで、アメリカの三大取引所の一つNASDAQがロンドン証券取引所に対して41億ドル(4700億億円)相当の買収オファーを出したところ、LSEは丁重にお断りを申し上げたようです(LSEのプレスリリース)。

LSEによれば、現在の株価に対して僅か8%のプレミアムでは、全くもって不十分ということのようです。

これに対して、NASDAQは、1株950ペンスのオファーは十分に魅力的なはずだと主張しています(NASDAQのプレスリリース)。とりあえずは、今後ともLSEの経営陣と交渉を続けて、友好的な買収を目指すといっています。まあ、敵対的買収も考えられないわけではありませんが・・・8%のプレミアムでは、いきなり勝負を挑むにはちょっと分が悪い気もします。

何れにせよ、LSEはここ1年ぐらいEU圏内の他の取引所からも狙われてきた歴史がありますので、今回のNASDAQの動きが、またそうした動きに火をつける可能性もありそうです。

今回の買収の遠因は、上場によって資本市場での資金調達力を身につけたNYSEに対してNASDAQとしてもEU取引所との統合で生き残りを図ったという図式だとも言われます。

とりあえずは、週明けのマーケットの反応が興味深いところです。

また、長期的にみれば、日本の取引市場の立ち位置を考える上でも、示唆に富む状況ではないかと思いますが、とりあえず眠いので、速報までということで^^

(3/11 追記)

neon98さんが、「証券取引所の戦略」というエントリーの中で、今後の取引所の方向性について考察を加えていらっしゃいますので、是非ご一読を。


Posted by 47th : | 01:01 | コメント (1) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

嗚呼、りぷとんよ・・・(紅茶ではありません)

既にNYUの同級生のNY Lawyerさんのブログで触れられているように、明日は元デラウェア衡平法裁判所判事で、現NYU Corporate Law DivisionのDirectorで、ワクテル・リプトンのオブ・カウンセルでもある(長い・・・)Allenによる特別講義があります。

というわけで、さっきの記事を書き終わった後で、ようやくReading Assignmentとして指定されていたMartin Lipton, Twenty-Five Years After Takeover Bids in the Target's Boadroom: Old Battles, New Attacks and the Continuing War, 60 Bus. Lawyer 1369 (2005)を読み始めました。

Martin Liptonといえば、ライツ・プラン(ポイズン・ピル)の発案者として知られる会社法分野では伝説の領域に入りつつある大弁護士で、3年前にMartin Lipton, Pills, Polls, and Professors, Redux, 69 U.Chi.L.Rev. 1037 (2002)の日本語訳を商事法務に3回連載(1641号(2002)80頁、1643号(2002)26頁、1644号(2002)23頁)で載せて頂いたりしたんで、勝手に親近感を抱いていたりしたわけです。

Pills, Polls, and Professors, Reduxは、BebchukやFishelといった並み居る(敵対的な)学界の論客を前にした講演が元になっているだけあって、反対派の立場にも注意深く配慮しながら、Bebchukの主張は委任状勧誘を通じて株主意思を反映するという現在のライツ・プランの枠組みと矛盾するものではないという形で、うまく反買収防衛派?の意見を止揚する形で、現在のアメリカの買収防衛実務は、実務的な観点と理論的なバランスの一つの調和点にあるという主張を展開しており、おそらく、細かいところではツッコミの余地はありつつ、全体としては非常にバランスのとれた意見だったからこそ、日本語訳を紹介しようということになったわけですが・・・正直、25 Years Afterは、way too beyondです。

掲載紙がBusiness Lawyerという比較的実務家寄りの雑誌ということで油断?があったのかとも思ったのですが、同じBusiness Lawyerに掲載されているAllenと現役デラウェア州衡平法裁判所判事のStrine,Jr.によるWhen the Existing Economic Order Deserves a Champion: The Enduring Relevance of Martin Lipton's Vision of the Corporate Law, 60 Bus. Lawyers 1383 (2005)を読んで、何となく「これか」と思ったのが、NY Lawyerさんも触れていたJensenの転向の話。

Allen=Strine, Jr.によると、リプトンも参加した2004年11月のロンドンの学会でJensenが、証券のミスプライシングは制御不能なスパイラルに入る場合があるという話をしたことが、Allen=Strine, Jrの表現によると「その朝、反対派のオピニオンリーダーが、その立場を変え、25年にわたる公開論争においてリプトンを勝者の立場に押し上げたことは、リプトンにとって望外の喜びであった」と・・・

邪推するに、2002年のシカゴのシンポジウムの段階では、リプトンは理論的には自分の立場が弱いということを意識して、反対派を必要以上に刺激するのを避け、むしろ現状の追認という形での妥協を考えていたところ、思いがけず買収防衛策反対派の理論的拠り所であるエイジェンシー問題の始祖であるJensenが、その立場を崩したということで、理論的にも自分の勝利を確信したということではないかと・・・

しかし、「なんか変だな」と思って、ちょこっと調べてみたところ、件のJensenの講演原稿を発見(The Agency Cost of Overvalued Equity and the Current State of Corporate Finance)。とりあえずAbstractだけ見てみると、問題としているのは株式のOvervalue(過大評価)で、少なくともManagementの方が企業価値に対する情報を持っているとか、無形的な価値が株価には反映されていないとかいったUndervalue(過小評価)ではないようです(なお、OvervalueとUndervalueでは、発生のメカニズムが異なり、過小評価についてはミスプライシングを是正しようとするインセンティブを持つ者がたくさんいるが、過大評価に関しては誰もバイアスを修正するインセンティブを持たないのでミスプライシングが増幅されるという理屈(のはず)なので、過大評価も過小評価も市場が効率的でないという点では同じ・・・というのは乱暴な理屈ですね)。しかも、この問題そのものは、別にそれほど目新しい話でもなく、Behavioral Financeでは古くから取り扱われている問題の一つではないかと思いますし、こうしたOvervalueされている企業は普通M&Aのターゲットにはならないんで・・・これがリプトンの立場を支えると思ったとすれば(あくまで邪推ですが)、ちょっと早合点ではないかと思うんですよね。

ただ、このJensenの転向に刺激されたのか、リプトンの筆は絶好調です。エイジェンシー・コストはばかげている(ridiculous)と切って捨て、しまいには「ビジネスは科学として取り扱うことはできない」と、およそ理論的なアプローチを全て否定するかのような歯切れのよさは抜群です。

しかし、そうしてリプトンの歯切れがよくなればよくなるほど、私の中でのリプトンへの憧れが、何か苦いものに変わっていくのを感じざるを得ません。

リプトンは、1981年の論文の中で触れたMcGraw-Hillの買収について$40のオファーを断ったのは正解であり、その後McGraw-Hillの時価総額は8億ドルから170億ドルまで増加していると述べ、1985年頃から急激に右肩上がりになっているMcGraw-Hillのチャートを自信満々に「証拠」としてつきつけます。

そこで、私も、その自信満々のチャートにS&PとDowのトレンドも追加して、いかにリプトンの言葉が正しいかを検証してみました。

 

 そうです。ついここ2,3年ほどS&Pこそ上回っていますが、1990年代においては市場のインデックスを遙かに下回っている青い線が、リプトンが自信満々でチャートをつけたMcGraw-Hillの株価です。

私は買収防衛策は必要だと思っていますし(その理由について整理した企業買収防衛第2巻は3月発売予定です^^(宣伝))、リプトンの実務家としてのセンスは今でも尊敬しています。
ただ、訴訟やM&Aの交渉ではなく、こうして政策論を語ろうとする場合には、やはり学問的誠実さというのは必要だと思うわけです。ところどころ、うなずける主張もあるのですが、その論理展開については、Pills, Pollsにはみられた学問的誠実さを余り感じることはできませんでした。

何というか、昔からファンのアーティストの新譜が昔の名曲のできの悪いイミテーションばかりだったような感覚というんでしょうか、何とも、寂しい思いを感じずにはいられませんでした・・・


Posted by 47th : | 01:02 | コメント (6) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

日本における敵対的買収に関する実証研究例

経済産業研究所(REITI)は、企業法にかかわる人間にとっては非常に興味深いディスカッション・ペーパーをWEB上で公表していて、私のように海外にいる人間にとっては非常に助かるので、折りをみてチェックしているんですが、今日、久々にチェックしたら大変興味深いディスカッション・ペーパーがアップされていたので、メモ代わりに。

胥 鵬「どの企業が敵対的買収のターゲットになるのか」

とりあえず、授業を受けながら、ざっと目を通しただけなんですが、計量的分析のアプローチを含めて、いろいろと考える材料になりそうな論文です。今学期受講しているregressionの授業の終わりまでにはlogit analysisもやると思うんで、そしたらまたゆっくりと考えてみたいと思いますが、とりあえず、実証分析の結果が正しかったとして、そこから導き出される結論についても、色々と議論の余地がありそうなところです。

ざっと見た範囲ですが、村上ファンドとSPJの行動原理が、米国のファイナンスの教科書に比較的忠実なターゲットの抽出を行っていることはいいとして、そのことから「村上ファンドやスティール・パートナーズのようなモノ言う株主の圧力は、1980 年代に米国の敵対的買収が企業価値向上に貢献したように、早期退出を促し企業価値を高める役割を果たす可能性が大きい」と結論づけられるかどうかという辺りがポイントになるのではないかという印象です。

いずれにせよ、こうした具体的データをベースにした研究が盛んになることは、個人的には嬉しいところです^^


Posted by 47th : | 12:25 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

イベント・スタディ的に見るオリジン東秀争奪戦 (2/17)

ついさっき、件の事件については何も書かないと言った舌の根も渇かないうちに何ですが、株価を見ていたら純粋にイベント・スタディとして面白かったので・・・

ちなみに赤い線がオリジン東秀、青いのがドンキ、緑の線はTOPIXです。

どこが面白いかというと・・・

  • TOBの開始と共にオリジン東秀の株価はジャンプし、ドンキの株価は大幅に下がっている。

    アメリカの実証研究でも、買収のアナウンスで株価のリターンが若干下がると言われているのですが、ドンキの場合には20%弱のネガティブ・リターンが見られるのがびっくりなところ。
    「M&Aで株価を上げる」なんていう話をどこかで聞いたことがあるかも知れませんが、実証研究的には、M&Aで株価が上がるというのは、必ずしも普遍の真実ではないわけです(もっとも、どこぞの会社はEPSが異様に大きかったので、ブートストラップ・ゲームがはまった可能性はありますが)
    日本の市場の効率性をどこまで信用するかにもよるのですが、オリジン東秀の発行済株式数が約1800万株で400円のジャンプなので(その後200円ほどおちていますが)、約72億円(その後の下落を考えると36億円)のゲインで、ドンキの方が約2200万株で800円の下落ですから、176億円のロスというところで、差し引きで考えると100億円から130億円のロスが出ているということで、一見すると市場はこの買収は全体的な効率性を向上するものではないと判断しているようにも見えます。ただ、16日はトピックスの方も大きく下がっているので(5%ぐらい?)、ゲインを上方修正、ロスを下方修正しなくてはいけないので、もうちょっと差は縮まるかもしれませんね。
    あと、この時点での市場の反応を見る限りは、ドンキがオリジンの少数株主の犠牲の下に利益を吸い上げるというシナリオとは、ちょっと整合性を欠いているようにも見受けられます(もしそうだとすればドンキの株価は上昇するはずなので)。

  • ドンキのTOB開始直後にオリジン東秀の株価が跳ね上がった後、大きく下がっている

    もう一見して明からですが、TOB開始直後にオリジン東秀の株価が思いっきりジャンプした後、翌日ぐらいには半分ぐらい戻っています。
    これが、「敵対的」であるということが分かって買収が完了する確率が低いと判断した結果なのか、それとも、単に市場がオーバーリアクションを見せただけなのかは、これだけでは分かりませんが・・・後者だとすれば、この辺りが日本の市場の効率性の一つの限界を示していることになりますね。

  • イオンの参入でドンキの株価もあがっている

    オリジン東秀の方は少し上がった後に、すぐに元の水準に戻っていて、こっちも面白いんですが(マーケットのオーバーリアクション?)、ドンキの株価が上がっているのが面白いところです。
    まあ、合理的に解釈すれば、市場は「ホワイトナイト参入」→「ドンキTOB失敗」→「ドンキ、オリジン株売却で利益」というシナリオを予想したという辺りでしょうか?
    ドンキのオリジン株平均取得価額は見ていないんですが、予想されるキャピタル・ゲイン額とここでの時価総額の上昇額を比べてみるのも面白そうです。

  • TOB不成立でオリジンの株価は下がり、その後落ち着いている

    前段の部分を合理的に解釈すると、市場はドンキがTOB価格をつり上げてくると見たのかも知れません。
    後段の部分は、この僅かの間にドンキはオリジン株を15%も買っているのに、オリジンの相場に全く影響を与えていません。これはこれで、結構、興味深い現象かと。

  • ドンキ49%取得発表で両者の株価が下落

    で、この最後のオチも面白いところで、色々な解釈があり得るんですが、個人的にツボなのは、1/16の市場の反応と矛盾しているように見えるところです。
    1/16の時点でも上限株式数の設定があったわけで、ドンキが過半数を取得して少数株主はオリジンに残るというシナリオ自体は1/16の時点でドンキがTOBをかけて成功した場合と状況は変わりません。
    にもかかわらず、市場は全く異なる反応を見せているわけです。
    この1か月の間で、ドンキによるオリジン買収成功の場合の効率性評価に大きな影響を与える事実があったとみるのか、それとも、1/16か2/16の何れかの反応が不合理だったのか?
    個人的には、極めて興味深い現象です。

で、ついでにイオンの株価を見てみると・・・

 

こちらの方は何が面白いかというと、TOBに参入した時点では、それほど大きなアブノーマル・ロスは見られないのに、ドンキのTOBが不成立になると大幅なアブノーマル・ロスが出ているという辺りでしょうか?

普通に考えれば、もしオリジンを買うこと自体がイオンの利益にならないと考えているのであれば、参入した時点で株価にロスが見られなくてはいけないし、逆に、ライバルがドロップして価格の競り上げを回避できたのであれば(しかもオリジンの株価を見ていると、市場はビッドでのTOB価格の上昇を期待していたようにも見えますし・・・)、ドンキのTOB不成立はポジティブに評価されるはずですが・・・

いやはや、いろいろ考えてみると面白いところです。


Posted by 47th : | 20:03 | コメント (5) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

公開買付制度WG報告書(案)公表

公開買付制度WG報告書(案)が公表されましたね。
条文になってみないと今ひとつ分からないところもありますが、とりあえずご紹介と備忘用に。


Posted by 47th : | 00:11 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

ライツ・プランの廃止に関する株主との合意の効力?

もう一つ、買収防衛策絡みでの興味深い判断について、備忘録がわりに。

A Trial Against News Corp. Is Allowed to Go Forward (New York Times)

A Delaware judge has ruled that a trial against the News Corporation can proceed in a lawsuit filed by 13 institutional pension funds that accused the company of reneging on an agreement to let shareholders vote on a takeover defense.

Last year, the News Corporation promised shareholders that, in exchange for their approval of the company's move to Delaware from Australia, any poison pill adopted after the move would be allowed to expire in a year unless shareholders voted on an extension.
・・・
Shortly thereafter, the Liberty Media Corporation increased its News Corporation stake to 17 percent, and the News Corporation adopted a poison pill.

Last month, the media and entertainment giant extended the pill for two more years "without a shareholder vote, in contravention of the board policy," court papers say.

The 13 investor plaintiffs, who manage $300 billion in pension funds in Australia, Britain, the United States and the Netherlands, sued the News Corporation on five charges ranging from breach of contract to fraud.

The News Corporation asked that the case be dismissed, saying board policy was not irrevocable and could therefore be changed.
・・・
In a 26-page opinion released on Tuesday, he said, "If a board enters into a contract to adopt and keep in place a resolution (or a policy) that others justifiably rely upon to their detriment, that contract may be enforceable, without regard to whether resolutions (or policies) are typically revocable by the board at will."

But the judge also expressed reservations about why sophisticated investors, like the Dutch government's giant Stichting Pensioenfonds APB, had failed to negotiate "enforceable agreements to protect their interests."

ちょっと背景事情までは知らないのですが、要するに、取締役会が機関投資家との間で「今後、ライツ・プランを入れる場合には株主総会での承認がない限り1年間で期限が切れるようにする」という約束を交わしたのに、実際に買収の脅威が生じたら、取締役会が約束を破って2年間の有効期限を持つライツ・プランを導入したということのようです。
会社側は取締役会決議は基本的にいつでも撤回可能なものでなくてはいけないと主張して訴訟却下を求めたのですが、裁判所は取締役会の方針に関する契約でも履行可能な場合があるとして、discovery(証拠開示手続)の上でtrialに進むことを認めたようです。
デラウェア州会社法141条では取締役会の権限はかなり強く、付属定款(bylaws)でもこれを縛ることはできないとしているのですが、もし、今回のように契約でその権限が縛れるようになるとすると、取締役会と株主とのパワーバランスに大きな影響を及ぼす可能性があり、その意味で私の目には非常に重要な判決のように思えるのですが、どうでしょう?


Posted by 47th : | 12:15 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

!?-2/3超で強制公開買付け?

TOB、3分の2超えれば全株買い付け・金融審報告書案 (NIKKEI NET)

金融審議会(首相の諮問機関)の作業部会は16日、TOB(株式公開買い付け)制度の見直しについて報告書案をまとめ、大詰めの議論に着手した。保有割合が3分の2を超える買い付けでは残りの株式もすべて買い取らせるルールを設けることなどで合意。ただファンドによる株式の大量保有を迅速に開示させるルールでは異論も多く結論が出なかった。

・・・これ本当なんですかね?
ってことは、子会社上場も50%超2/3未満までしか認められなくなるっていうことでしょうか?(理屈の上では、そうでなくてはおかしい)
どういう経緯でこうなったのかは分かりませんが、ただでさえ玉虫色の証券市場の制度が、ますます玉虫色で光り出すような感じが・・・で、1/3ルールの方の強制公開買付はどうするんでしょう・・・誰か、この方向性を「体系的に」説明できる方がいたらご教示頂ければ幸いです。

(追記)
読売の記事では、この強制公開買付け導入は触れられずに、期間延長や撤回可能な場合の拡大だけですね。これなら想定内なんですが。。。

買収者が買い付け撤回も、金融審がTOB見直し案 (YOMIURI NET)

敵対的M&A(企業の合併・買収)時代の到来に合わせて、買収者がTOBの撤回や価格引き下げをできるようにする一方、TOBを仕掛けられた企業にもTOB期間を延長したり、買収者に質問する権利を認めるなど、攻守双方のバランスを取っている。

Posted by 47th : | 13:47 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

驚天動地?・・・「想定内」と言って欲しかった

勉強、勉強、と言いながら、備忘録代わりにこれだけクリップ。

村上ファンド、日本無線を非難 (NIKKEI NET)

村上ファンドは8日、日本無線が日清紡による新日本無線のTOBに応じたのに対し、「まさに驚天動地。取締役による株主への裏切り行為」と強く反発するコメントを発表した。

正式なプレスリリース本文はこちらから。こちらも「笑止千万」「茶番」といった言葉が用いられてかなり強く非難がなされています。これまたケース・スタディとしては興味深いんですが、真面目に勉強しないといけないので、今日はさわりだけでお許し下さい。


Posted by 47th : | 11:08 | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

CARの推移でみる新日本無線TOB

ゼミの発表やらペーパーでてんぱっているので、更新がとぎれがちですが、ちょっと新日本無線TOB前後の株価の動きを、ごく単純なイベント・スタディの手法で見てみましたので、ご参考までに。

CAR_1102_1125.jpg

データは11/2から11/25まで、リスクフリーレートは10年もの国債、βはブルームバーグの公表している値を使って、TOPIXとのARをシンプルに計算しただけのものです。(株価、指数値は全て各日の終値ベース)
このチャートの中では、Day 4 = 日清紡によるTOB(840円)の発表、Day 12=村上ファンドによる対抗TOB(900円)の発表となっています。(明らかにCARがジャンプしているので、一目瞭然ですが^^;)。
まあ、一社だけの動きを云々することは、本来は適切ではないんですが、ここまでの株価の動きだけでも、市場の効率性を考える上ではなかなか興味深い事象が・・・
金曜日には日清紡がTOB価格上昇を発表しているので、それに対する反応も注目ですね。


Posted by 47th : | 14:18 | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

企業価値を高めることは買収防衛の「王道」?

toshiさんも紹介されていた、日経新聞に載っていた鹿子木判事のインタビュー記事を読みました。
なかなか耳に痛いお話も・・・

「企業防衛に関する紛争では、やや法律事務所主導で紛争が拡大している傾向が見受けられないでもないようです。小手先の防衛策に頼るのではなく、真摯な経営努力により企業価値の向上を図ることが重要。防衛策フィーバーのような状況には疑問を禁じえません。」

別に紛争を意図的に拡大しているつもりはないんですが、買収防衛策の導入に法律事務所がそれなりに大きな役割を果たしていることは否めないところです。
それに対して、「王道ではない」と苦々しく思われる方が多いのも、もの凄く分かるんですが、ただ、「企業価値を高めることが買収防衛の王道」みたいな論調には、必ずしも納得できないところが・・・


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Posted by 47th : | 09:45 | コメント (2) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

「ジェット・ストリーム・アタック」はworkableか?

昨日のゲーム理論に続いて、今日もちょこっとそんな感じのネタで。
磯崎さんがTBSの例に学ぶ買収防衛策は機能するか?(その2)で、toshiさんのコメントを引用されながら「ジェット・ストリーム・アタック」対策について、次のような疑問を呈されています。

(toshiさんのコメント引用部分はじまり)
あと、共同ではないけれども、15パーセント保有者のうしろで、二人目が15パーセントを保有して「待っている」ようなケース、ライツプランだとどうやって防衛するのでしょうか。二人目には丸腰で戦えというも問題じゃないか、とたしか東大の神田教授が夏ころに発売された「商事法務」の座談会で発言されていたように思います。(ちょっと記憶があいまいですが。間違いがございましたら、またどなたかご指摘ください)
(toshiさんのコメント引用部分終わり)
「黒い三連星によるジェットストリームアタック」対策をどうするかですね。(「マチルダさーん!」)
要するに、新株予約権という弾を撃った後に、授権枠の「弾切れ」が発生しちゃうということですよね?

この3匹のドムがガンダムを取り囲んでいるというシチュエーションは、現実では決して珍しくなかったりするわけで、その意味では確かに心配しなきゃいけない話だろうと思います。
これを何とかするには、もう会社がニュータイプに脱皮するしかないわけですが、重力に縛られている地球人には、それもよう叶わんところです。
ただ、そもそも3匹のドムがいれば、当然にジェット・ストリーム・アタックは成立するんでしょうか?


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Posted by 47th : | 09:00 | コメント (6) | トラックバック (3) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

買収防衛とゲーム理論

楽天とTBSの件には、種々のしがらみがあるんでコメントできないんですが、色々と人のブログを見ていると勉強になります。
ただ、ふと思うのは、技術論的なところで議論もさることながら、全体のパッケージで考えれば、NPIが2000円で引き受けても、その後3000円で楽天に株を売れるなら、別にそんな決定的な障害にはならないわけで・・・まあ、あんまり個別案件に踏み込むのはやめますが、敵対的買収のように各プレイヤーのとる戦略によって利得が変わってくる状況には、ゲーム理論がかなり有効な分析用具として機能するわけです。
例えば、ゲーム理論のごく基礎的な知識を使って、ある防衛策が「機能する買収防衛策」として備えるべき「最低限の条件」は何かということを考えてみましょう。


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Posted by 47th : | 15:27 | コメント (4) | トラックバック (0) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

確かに私も憂鬱なんですが・・・

門外漢の私でもお名前ぐらいは知っている西尾幹二先生のブログ(これだけの方がブログを書いているところが既に凄い・・・こうしたエネルギーが大切なんですよね。きっと)の共同管理人をされている福井さんからニレコ事件は決着したが・・・にTBを頂きました。
実はTBを頂いた記事についてはLa Quatorze Juilletさんのところで紹介されていたので、既に拝見していました。
いろいろな論点が含まれている記事ですし、福井さんはUCバークレーで経済学のPh.Dをとられた経済学の専門家ということで、せっかくの機会ですので、胸をお借りするつもりで経済学的な論点にも踏み込みながら、少しコメントをしてみようかと思います。


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Posted by 47th : | 20:28 | コメント (5) | トラックバック (3) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

ニレコ事件は決着したが・・・

ニレコの新株予約権、高裁も発行認めず (NIKKEI NET)
「ポイズンピル」三たび差し止め、東京高裁決定理由要旨 (asahi net)
東京高裁決定全文

というわけで、原決定、異議審決定ときて、抗告審でもニレコの新株予約権は発行差止めということになりました。法的には、更に最高裁に特別抗告するという途も残っていますが、ニレコのプレス・リリースによると特別抗告は行わず、発行中止を決定したとのことです。
まずは、この関係での他の方々のブログをクリッピングしておきます。


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Posted by 47th : | 11:47 | コメント (8) | トラックバック (3) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

「擬似外国会社」規定と「レース」 (2)

前回書いたように、疑似外国会社の問題というのは、決して新しい問題ではないわけですが、とはいえ会社法現代化の「字面」というのは厄介で、現在、存在している疑似外国会社の取り扱いをめぐって、今後、いろいろ問題が出てくることが予想されます。

一度死にかけた「疑似外国会社」規定

ただ、この「厄介さ」というのは、別に想定外というわけではなかったはずで、実は、会社法現代化の過程で一度は疑似外国会社規定そのものを撤廃する方向へと針が大きく振れた時期があります。
2003年10月に公表された会社法現代化に関する要綱試案の段階では、疑似外国会社規定を廃止する案が選択肢の一つとしてあげられていて、パブリック・コメントの結果でも、この廃止案の支持率が高かったために、一度は「疑似外国会社」規定は廃止寸前までいったのですが、最終的には「疑似外国会社と取引する者の取引安全を重視」して疑似外国会社規定は若干の修正の下で存置されることになりました。


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Posted by 47th : | 17:15 | トラックバック (4) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

ニレコ新株予約権異議審決定

ニレコの新株予約権、発行差し止めを支持・東京地裁 (NIKKEI NET)

産業用制御機器製造のニレコが敵対的買収防衛策のポイズンピル(毒薬条項)として導入した新株予約権の発行を巡り、東京地裁は9日、ニレコの異議申し立てを退け、株主である投資ファンドの申請を受けて発行を差し止めた仮処分命令を認める決定をした。

ということで地裁決定に引き続き、私の目にとまった異議審決定関係のブログの記事をクリップさせて頂きます(決定本文を除いて前回同様目にとまった順です。順次追加予定)。

例によって例のごとく、内容に関する具体的コメントは仁義にもとるので、最終的な結果が出るまでは口をつぐまざるをえないわけですが、1点だけ、ちょっと分からなくなるというか・・・煮え切らないなぁ、と、思うのは・・・


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Posted by 47th : | 13:15 | コメント (9) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

株主総会の「法的」権限と買収防衛策

(6/6 追記・訂正あり)
ニレコ決定は、ブログのネタとしては最適なのに、直接に書くのがはばかられるのでフラストレーションを感じているのですが(笑)、黙って他の方の意見をROMっていると楽しかったりします。
ひょっとして、究極の「開かれた司法」とは、判決がブログで公開されてTBとかコメントがつけられるようなことを言うのかも知れませんね。判決の人気度?も、コメントやTBの数で分かったり・・・関係ないスパムが多量について終わりというのもあるかも知れませんが^^;
まあ、そういうお馬鹿な妄想はどうでもいいのですが、ニレコ決定とか、その周辺に漂う株主総会至上主義みたいなものについて、どうも会社法の基本的構造が脇に置かれているんじゃないかと思うことがあるんですよね(・・・って、要は総会至上主義の発想がいやというだけなんですが・・・)

会社法は株主総会の権限について、こう言っています

商法230条ノ10[総会の権限]
総会は本法又は定款に定むる事項に限り決議を為すことを得

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Posted by 47th : | 16:29 | コメント (9) | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

信託型プランのコスト?

磯崎さんが「ニレコの新株予約権差し止めと日本買収防衛の未来」で信託型ライツ・プランのコスト面について、次のようなコメントを。

信託銀行というのは一行で数千億円規模の収益があるわけですから、その「有力収益源」ということは、業界全体で少なくとも数百億円の売上増が見込まれるということでしょうか?信託型を導入するのが上場企業1000社としても、1社あたり年間数千万円? やはり、導入企業側からすると(SPCの設立運営コストどころじゃなく)コストがかかるということかも知れませんね。:-)

具体的に「おいくら」というのは、信託型ライツ・プランのプレスを見ても書いていないのですが、仮に「数千万円」として、これを高いとみるか安いとみるかは、信託銀行が提供してくれるサービスの内容にもよってくるのではないかと思います。


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Posted by 47th : | 16:24 | トラックバック (1) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

ニレコ新株予約権差止め地裁決定

ニレコの新株予約権差し止め・東京地裁が仮処分決定 (NIKKEI NET)

判決全文 (東京地裁主要判決速報)

この訴訟には私の所属事務所がかかわっているので、そちらに不利なことはやっぱり書けないし、かといって、一方当事者に有利な内容しか書けないという縛りの中でブログを書くのも楽しくないので、この件については、直接には触れませんが、自分の備忘もかねて、他の方のブログの記事をクリップ(以下、順番は私が見かけた順です。順次追加予定)。

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Posted by 47th : | 14:07 | コメント (4) | トラックバック (6) | 関連エントリー (0) | Takeover Defense

マンUにみる英国買収規制事情(1)

「マンU」といえば、英国を代表するサッカークラブMancehster United(official HP)で、スペインに渡る前のベッカム様のチームとして日本でもお馴染みですが、本職の方ではプレミアのタイトルは早々にチェルシーに奪われ、チャンピオンズ・リーグでもリバプールの後塵を拝する形になってしまい、今や最後に残ったカップ戦のタイトルを、これまた地味なシーズンを送ったアーセナルと争うという、何だかビミョーな展開になっているわけです。
しかし、ここに来て、何だかあんまり嬉しくないような話題で盛り上がりを見せ、日米のメディアでも「マンU」の名前が踊っています。


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Posted by 47th : | 13:44 | コメント (5) | トラックバック (0) | 関連エントリー (1) | Takeover Defense

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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