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オンライン・ギャンブル・ビジネスのギャンブル

At PartyGaming, Everything's Wild (New York Times)

A giant in the online gambling business, PartyGaming is an often-overlooked megasurvivor from the dot-com crash of the late 1990's.・・・This week, the company will go public in what is expected to be the largest offering in years on the London Stock Exchange, one that will make billionaires out of its ragtag assortment of founders and major stockholders ・・・But there will be no Wall Street investment houses lapping up fees in the giant deal, no victory dances in the offices of American corporate lawyers. That is because PartyGaming, based in Gibraltar, has no assets in the United States, and its officers or directors could risk being served with a civil suit - or an arrest warrant - if they came to the United States on business.

The reason? The Justice Department and numerous state attorneys general maintain that providing the opportunity for online gambling is against the law in the United States - and PartyGaming does it anyway. Indeed, of its $600 million in revenue and $350 million in profit in 2004, almost 90 percent came from the wallets and bank accounts of American gamblers.

ジブラルタルに本社を置くPartyGamingが、今週ロンドン証券取引所に上場を果たします。オンライン・ポーカー・ビジネスを行うPartyGamingの売上げの4分の3は米国からのものなのですが、実は、米国の司法当局はオンライン・ポーカーは違法だと主張している・・・ということで、PartyGamingのオファリング資料には、米国の司法当局が違法と主張しているということを堂々と記載しつつ、上場を果たそうとしているという話です。


米国司法当局の主張の根拠となっているのが、1961年に制定されたInterstate Wireline Actです。これは電信を使った"sports event or contest"への賭けを禁じるものですが、実は、ルイジアナの連邦裁判所と第5巡回裁判所は、ここでいう"contest"にポーカーは含まれないと判断しており、その意味では米国司法当局が主張している解釈が米国の裁判所で採用されるかという点でまず微妙な問題があるようです。

また、たとえ米国司法当局が違法だと考えたとしても、米国内に一切の財産を有しない企業に対する訴追がうまくいくとは限りませんし、これに加えて海外に拠点を有するネットカジノを国内法で違法として禁圧することはWTOルールに反するという判断も出ているところで、米国司法当局による訴追には色々な障害が待っているところです。

更に、ことここに至って適法であることを立法で正面から認めるべきだという動きも出ているようです。実際、オンライン賭博が摘発しようがないのであれば、国内産業として合法化して競争に曝す方が消費者保護になるという考え方もあるかも知れません。禁酒法と同じことで禁止を徹底することが難しいものを下手に禁止すると、却ってルールを破る者による独占を許す結果にもなるわけですから、おそらく今の状況からするとアメリカにとっては、オンライン賭博の合法化というのは一つの合理的な選択肢になるかも知れません。

ところで、この問題は色々と示唆に富んでいるところで、例えば日本では賭博関係の規定が刑法上存在しており、ギャンブルは犯罪化されています。その一方で建前としてはお金をかけてはいけない麻雀に関しては雀荘が無数にあり、家庭用の麻雀セットも堂々と販売され、指南書も数多くあるわけですが、表向きは「スポーツ麻雀」でかけるものは「チョコ」ということになっています(笑)。でも、そのうちジブラルタルに本社を持つ会社が日本人向けに現金をかけたオンライン麻雀を提供してくるかも知れません。
そのときに、日本はどう対応するのか・・・その判断を迫られる日は意外と近い気がします。

Posted by 47th : | 12:03 | Legal News

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コメント

いつも興味深く拝読させて戴いております。

ものすごーくマニアック且つ細かい話で恐縮ですが、
>海外に拠点を有するネットカジノを国内法で違法として禁圧
>することはWTOルールに反するという判断も出ている
という部分について、コメントさせて戴ければと思います。

47thさんは、上記記述部分においては、アンティグア-バーブーダ v.米国オンラインカジノサービスパネル事件を念頭に置かれていると推察致します。
上記事件におきましては、下級審に相当するパネルではかかる判断が取られたのですが、
上告審に相当する上級委員会は、パネルの判断を覆し、米国のネットカジノ禁止措置は、ごくごく一部を除き、WTOルールに違反しないと判示しているので、若干趣旨が異なるのではないかと考えます。

細かい部分は省略しますが、
パネル(下級審)においては、
米国の国内法は、GATS第14条に規定する一般的例外措置に該当しないためGATS違反と判示されたのですが、
上級委員会(上告審)においては、
米国がオンラインギャンブルサービスを国内法で規制することは、越境サービスの禁圧に当たる(=WTOルールに違反する)ものの、「公の秩序維持」を目的としており第14条に規定する一般的例外措置に該当するため許容される、と判示しており、米国の国内法はGATS違反ではないとされたところです。
(ただし、オンライン競馬サービスについてのみ国内法の適用範囲が曖昧で国内のオンライン競馬サービス事業者のみ適用除外とされているように読めるのでGATS違反としています。)

ご参考まで。

<<上級委員会報告書結論部分>>
http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/285abr_conc_e.pdf

<<上級委員会報告書本体>>
http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/285abr_e.pdf

Posted by S : 2005年06月30日 02:10

>Sさん
ありがとうございます。
やっぱりNYTといえども新聞記事を丸呑みにしてはいけませんね(汗)
通商法関係は勉強中の身なので、また色々と教えて頂ければ幸いです。

Posted by 47th : 2005年06月30日 12:21

 
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