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夢真vs日本技開~ちょっとフォロー

何だか一時帰国中の方がばたばたしていて更新もままならないんですが、とりあえず夢真関係で色々と動きがあったので、ちょっとだけフォローを。

東京地裁決定

まずは、夢真が申し立てていた株式分割の仮差止め申し立てに対して東京地裁が却下決定を出しました。まだ、東京地裁のHPには載っていないようですが・・・個人的な好みでいうと、①不公正発行差止めは株式分割には直接適用も類推適用もないことと、②権限分配秩序違背は取締役会決議無効事由とはならないこと、③「公開買付制度を利用して株式を取得し営業を行う権利」は実体法上の権利ではなく、分割差止め理由ともならないことの3点で決着するところで、今回の株式分割決議が権限分配秩序違背かどうかという傍論部分を長々と論じるという辺りは、ちょっと首を傾げたくなるところです。
仮処分段階で証拠関係も乏しいのですから、そうした実体面に敢えて入らずに、含みを残してもよかったのではないんでしょうか?
今回のように日本技開側の株式分割に権限違背は認められないと積極的に認めてしまったことで、次に述べる新株予約権発行が法廷に持ち込まれたときの判断に微妙な影響を落とすこともありそうな、なさそうな・・・
ところで、夢真が、272条を使わなかったのは、何故なんでしょうね?


日本技開によるフリップ・イン型新株予約権発行決議

ところで、元々、今回の株式分割差止めの帰趨というのは、夢真の買収に際しては「おまけ」みたいなもので、今回の訴訟で日本技開に軍配があがったからといって、情勢が大きく変わるような性質のものではなかったわけです。
というところで、日本技開の次の一手が注目だったわけですが・・・
対抗策としてフリップ・イン条項(差別的行使条件)付新株予約権の株主割当無償発行ということになったようです。(日本技開からのプレスリリースとその補足説明)
まあ、確かにこれなら夢真の動きを封じることはできるわけですが・・・この新株予約権の発行は9月の定時株主総会での承認を要件としているとのことなので、俄然定時株主総会が天王山という趣を持つことになりそうです。
もちろん、夢真側が総会を待たずに訴訟に訴えるということもあり得ますし、そもそも取締役選解任議案を巡っての攻防も注目の的でしょうね。
・・・・で、まあ、相変わらず外野的には面白い話なんですが、私の感覚からいうと、ニッポン放送事件のときと同じで、何だか「防衛『策』」という手段それ自体が目的化してしまっているような違和感を覚えるところです。
敵対的でも何でも、基本は1対1の交渉というか、ちょっと乱暴な言い方をすれば「喧嘩」なわけで、大事なのは使う道具じゃなくて「勝つこと」・・・将棋にたとえれば、飛車角なく歩積みでも勝ちは勝ちだし、いくら飛車角金銀持ち駒にしても、自分が積まれれば負けということで・・・麻雀にたとえれば、ラス場でいくら四暗刻単騎てんぱっても、トップに中のみであがられたら終わりということで・・・サッカーにたとえれば、いくらスペクタクルなサッカーしてても、PKで・・・(以下省略)
まあ、そんなことを思いつつ、まだまだしばらくはこの攻防に注目していきたいと思います。

Posted by 47th : | 12:38 | Takeover Defense : Defense Mechanism

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夢真対日本技術開発株の決定が東京地裁のホームページに掲載されました。 これも、鹿子木裁判長。 全文は、こちら(東京地裁) いずれもう少し詳しく書く... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年08月02日 09:00

» 夢真vs日本技開(2) from 広報法務と危機管理〜弁護士の視点から〜
東京地裁平成17年7月29日決定について (日本技術開発の株式分割差止仮処分命令申立事件)   第1 本件の事実関係(決定文に基づく) H... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年08月25日 04:49

コメント

お忙しそうですね。
東京地裁でやっと全文が読めるようになりました。(なんか、新株予約権発行時における司法判断のヒントみたいなものが書かれているようにも思われますね。)
といっているうちに、すでに夢真側から新株予約権発行差止の仮処分を提起する、とのリリースがあったようです。
はたして、企業のリスク管理という面からみて、ここまで費用を計上して企業買収と防衛を行う意味があるのか、疑問を禁じえません。「勝つこと」に意味があるのならば、たとえば敵対的買収に特有の「デューデリ」が困難な点をついて、(多少ダーティーかもしれませんが)日本技術開発側にも、買収をあきらめさせる方法はあるようにも思えますし、(ここまでバトルを繰り返すのは)なにか防衛策をとること自体に意味があるのでは・・・と私などは勘繰ってしまいます。
「なぜ272条を使わなかったのか」という疑問は、株主の6ヶ月間の株式保有要件が本訴口頭弁論終結時にさえ具備されていればよいのか、という問題と関連するのでしょうか。また、お時間のあるときにでも教えてください。

Posted by toshi : 2005年08月01日 13:36

はじめまして、ずっとこのブログを読んでいるMENMと申します。

フリップ・イン条項(差別的行使条件)に対して、ちょっと疑問があります。つまり、何故防衛者は買収者を排除して、新株予約権を発行できますか?敵意買収者と言っても、やはり防衛者の株主ですね。一部分の株主を除いて利益を配分することは法的には、問題がありませんか?株主平等の精神に違反しているではないでしょうか。(まあ、米国ではこのようなポイズンビルよくあるそうですけれど)

とても素人の質問ですが、もし説明していただけたら非常に有難いと思っています。

Posted by MENM : 2005年08月02日 03:53

まちがったコメントを残したようです。(すいません)
夢真HDは「仮処分」に関するリリースはされておりませんでして、日経の記事に基づく情報でした。訂正させていただきます。

Posted by toshi : 2005年08月02日 04:41

>toshiさん
レスが遅くなりました。単に6か月要件を満たしていないとうだけなんですかね、やっぱり・・・
そうすると株主提案権も行使できないわけで、何だかちょっと準備不足という感じもしますね。
仮処分の方は定時株主総会の行方を見ながら決めるようですが、裁判所にしてみれば、また短期間での判断を迫られることになるわけで・・・何だかちょっと同情してしまいます。
>MENMさん
株主平等原則との抵触については、非常に大きな問題なのですが、法務省・経産省の出した買収防衛指針や経産省の企業価値報告書などで合理的な防衛策については株主平等原則は形式的に適用されるものではないということで、その整理の下に現在の実務は動いています。
もっとも、これもまだ法廷で争われたことはないわけで、実際に法廷に持ち込まれたときに、裁判所がこうした行政的見解をどの程度尊重するかは見てみないと分からないところですね。

Posted by 47th : 2005年08月11日 13:33

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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