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近況報告-Quantitative Methodのことなど

気がつくと、学生生活も1月ほど経ちました。
大分生活パターンも慣れてきたのですが、何だかブログの更新頻度はご覧のとおり激減(苦笑)・・・いや、実際予習が大変というか、実は結構楽しくて、時間が空くと統計学とか経済学の本をひっくり返していたりするからんですけどね。
とりあえず、まだ1か月しか経っていないわけですが、今学期一番のヒットは、やはりRubinfeld教授のゼミ2つ--Quantitative MethodとAntitrust Law & Economicsです。
Quantitative Methodの方は、まだ回帰分析にも入らずに、割合丁寧に統計学の基礎的なところからやってくれているので、概念自体は自分で統計学の教科書を読みながら勉強したことと大きく変わるわけではないのですが、実際の裁判で統計的手法を用いることで何ができるのかということを織り込んでくれます。
例えば、今週は、Castaneda v. Partida(430 U.S. 482, 97 S.Ct. 1272)という判例を使ったケース・スタディで、統計的手法の実際の利用例を紹介。
テキサス州のHidelago Countyという州では、人口調査によれば79.1%の住人がメキシコ系アメリカ人なのですが、この郡で大陪審の候補者としてリストアップされる名簿の中ではメキシコ系アメリカ人は39%でしかありませんでした。
そこで、この現象が単なる偶然なのか、意図的な人種差別が介在しているのかが問題となるわけですが、ここで二項分布(Binominal Distribution)と中心極限定理(Center Limit Theoreum)を用いることによって、これが偶然である確率は限りなくゼロに近いということが証明され、原告側は差別の存在について一応の証明を果たすことができたという話になるわけです。
こういう具体例が示されると、勉強するときにもフォーカスが合わせやすくなるわけで、おかげで独学のときには今ひとつピンと来なかった部分が霧が晴れたようになったりします。
もう一ついいのは、「現実のケース」ということで、「統計的手法の限界は何か」ということについても、同時に考えさせられるところです。
例えば、このケースでは、そもそも人口調査におけるメキシコ系アメリカ人の推定手法(Last Nameを用いた推定)の妥当性や、全人口の分布と陪審員としての要件(年齢や学歴)を満たしているメキシコ系アメリカ人の分布が異なる可能性が指摘されるわけです。
更に、この事件を最終的に決するためには、単に統計的な結論だけでは不十分で、そもそも「陪審員の候補者選定が人口分布に比例していなければならない」ということが法として要請されているのかどうか、という問題を解決しなくてはならないといったことも議論になります。
というわけで、Rubinfeld教授の薦めていたFreund, Modern Elementary Statisticsをしこしこと読みながら、電卓片手に練習問題を解いたりしているので、ブログを更新するのが遅れたりするわけです。


Posted by 47th : | 11:06 | Law School

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コメント

くだらない枝葉末節な指摘で申し訳ありませんが、「Quantitative」のタイポではないでしょうか。私の勘違いでしたらすいません。

お読みになったら、このコメントは削除しちゃってください。

Posted by ぴて : 2005年09月23日 11:38

>ぴたさん
失礼。多謝です。
普段、スペルチェック機能に頼りすぎなので・・・

Posted by 47th : 2005年09月23日 11:42

なんとなく,このケースって,「差別か差別でないか」という論点以外に,「何かselection biasがかかってないか?」という論点が,非常に大事なように思うのですが。まだinferenceのあたりだとすると,そこまでははるか先かもしれませんけれど。

Posted by もりた : 2005年09月23日 11:53

>もりたさん
いや、もう、まだまだ入り口です^^
CorporationsやCorporate Financeは思いっきり手を抜いて、こっちばっかりやってます。

Posted by 47th : 2005年09月23日 19:35

わあ楽しそう。独学でひとり寂しく先生の理論を学んだ者からすると本当に羨ましい限りです。著作を拝読しただけなんですが先生の著作は理論と応用のバランスが本当に素晴らしくて、机上の空論を振り回す人でも現実におもねる人でもありませんでしたので、さぞかしいい講義をされるだろうと思っておりました。書かれている本読めば、著者がどれだけ講義で学生に気配りする人かは、わかりますものね。

統計学はここで47thさんが書かれた通りで「割合」というグレーなもののオープンで公平な線引きに使えるので、上手に法と経済の間の折り合いをつけるには、もってこいの道具だと思います。面白い問題・分析手法があったらまた是非紹介してください。楽しみにしています。

Posted by bun : 2005年09月24日 10:54

Central limit theorem は日本語だと中心極限定理だと思います。二項分布に限らずもっと弱い条件で成り立つなど中心極限定理は非常に強力な定理ですが、それはさておき。

たぶん、次のような課題はクリアした seminar でしょうから羨ましいものです

統計教育はこれでいいのか!? − 新しい教育環境における計算機統計 −
http://www.jscs.or.jp/onlinesympo/olpd1/keyC.html

Posted by 小僧 : 2005年09月25日 11:38

>bunさん
今のところは基礎的な統計的手法のマスターが中心ですが、後半は実際のケースをテーマに色々と議論をするようなので、また面白い話があれば報告しますね。
>小僧さん
いつもありがとうございます。
・・・っていうか、無理に訳語なんか使わなければよかったようなorz...

Posted by 47th : 2005年09月25日 19:20

 
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