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知的資産経営開示ガイドラインの公表

前に「裏側」情報の開示は投資家を救うか?と「経営・知的資産小委員会中間報告書(案)」の公表についてでとりあげた経済産業省の産業構造審議会新成長政策部会経営・知的資産小委員会がまとめている知的資産経営の開示ガイドラインが公表されました。
財務情報以外の情報で投資家にとって、より有用な情報を提供しようというプロジェクトの趣旨そのものは賛同できるのですが、その手法としての開示の内容やその責任関係といった技術論的な部分では、依然疑問が残ることも確かです。
例えば・・・


最近独占禁止法にはまっている身として気になるのは、「対外交渉力/リレーションシップ」の項目であげられている次のような項目のあたり・・・

  • (指標③-1)主力事業における主力製品・サービス別シェア加重平均
  • (指標③-3)客単価の変化
  • (指標③-5)原価の変化に対する出荷価格の弾性値(価格転嫁能力)
  • (指標③-6)原材料市況変化に対する仕入原価の弾性値(交渉力)

で、もう少しよく見ると、マーケットシェアの開示が望ましい理由としては次のようなことが・・・

マーケットシェアが高い製品やサービスを持っていることは、その製品やサービスに関してそれだけ顧客基盤が強く、当該事業に関して高い価格支配力を持ち得ることを意味する。価格支配力は、超過収益の実現を可能にするものであり、そうしたシェアの基盤に関する優位性が持続可能であれば、超過収益力も持続することになる。こうした潜在力を主力事業全体として見るために、主力事業における製品のシェアを売上高で加重平均した値を活用する。
ただし、シェアの大きさは価格支配力の潜在力を示すものではあっても、それが実際に利益に結びついているかどうかという点については、他の指標(例えば②-1-3)と比較して評価する必要がある。
その際、マーケットシェアが高いにもかかわらず、超過収益力が発揮されていないとすれば、それも経営の状況を示す一つのメッセージとなる。例えば、それは超過収益力のチャンスを逸しているとも言えるし、消費者等に還元しているとも言えるし、将来的な経営方針の変更により超過収益を実現するチャンスを有しているも解釈され得る。

別に「高い価格支配力」=「違法」ではないのですが、価格支配力が強い場合には独禁法上問題が生じやすいのも事実。ましてや、意図的に「価格支配力による超過収益力を実現」しようとすれば、その手法の適切さが問題にされる確率も高いわけで・・・
何か、実際の運用にあたって大丈夫なの?という気も。
あと、こういう主観的な評価要素や将来的な不確実性を含む情報の開示の適切性に関する法的責任についても、今ひとつ明確でないような気がします。
というわけで、これって実際の運用にあたって、結構しびれる事態が出てくるんじゃないかという予感もあるところです。企業のIR担当者の方々とか監査法人の方々は、これをどう受け止めていらっしゃるんでしょうね?

Posted by 47th : | 10:30 | Securities : Disclosure

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コメント

独禁法わかる先生とか入ってんですかねえ?
いまちょっと事情があってPDFが開かないのでなんともいえませんが。この手の分野ではよくありがちのお話かもしれません(^^;)。

Posted by ろじゃあ : 2005年10月16日 14:23

>ろじゃあさん
どうなんですかねぇ・・・元々、知的「財産権」と独禁法との関係も色々と議論のあるところで、それに加えて(財産権として独自の法的保護の対象となっていない)知的「資産」との関係は更に微妙なところで・・・実は、ゼミのペーパーのテーマで、関係のある話を選んだので、ちょっとここら辺気になっています。

Posted by 47th : 2005年10月17日 19:13

私は難しい話は分かりませんが、最近ガイドラインが花盛りですが、ガイドラインを出すことでプレゼンスを示そうとする官庁のこのattitudeはなんとかならないんですかね。「これを評価する者(資本市場)への参考指針」だなんて、偉そうだし随分とおせっかいな話だと思うのですが。。

Posted by NYlawyer : 2005年10月21日 23:30

 
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