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日本版産地認証制度?

日本酒にも「産地ブランド」・国税庁が新制度 (NIKKEI NET)

国税庁は10月から、日本酒の産地ブランドづくりを後押しするねらいで新しい制度を設けた。仕込み水を地元で調達するなどの条件を満たした商品に限って産地名を冠したブランドの使用を認める。・・・製造地域、仕込み水、酒米、精米歩合などのブランド基準を国税庁が認定する。白山菊酒では「水は白山水系の井戸水」「1等以上の酒造好適米を使う」などが条件になる予定だ。国税庁は年内にも認定する。

ワインとかを飲む人なら知っている人も多いと思いますが、ヨーロッパでは産地認証制度ということで、産地や製法で名乗れる銘柄が決まっています。ハムとかチーズとかも、この産地認証制度の適用があって、何でもかんでもプロシュートと名乗れるわけではないわけです。
私の知っている限りでは、日本ではこういう官製の産地認証制度というのはなくて、「魚沼産コシヒカリ」とか「関サバ」とか、産地名を商標登録して、実質的に産地管理をやろうとしてきたんじゃないかと思います。
確かに民間の商標登録で管理をすると、例えば安い価格で出荷しようとする業者には商標使用を認めないといった形での競争排除とかが起きる可能性もあるので、その辺りに問題なしというわけでもありません。その意味ではこういう「官製」の産地認証制度の導入も検討する価値は大きいと思います。
・・・ただ、それを「国税庁」がやるというのは、どうなんでしょう?
確かに酒税法は、何を「酒類」として課税するかという観点から、いろいろと要件を定めているので、その延長という考え方もあるかも知れませんが、租税回避の逋脱という観点から外延を定めるのと、消費者利益の観点から産地認証を定めるのでは、政策目標や基礎となるデータの種類も変わってくるんじゃないかという気がします。
くれぐれも産地認証を受けた日本酒の税率を高くしたりとかいう方向で、税収確保の道具に使われないといいのですが・・・


Posted by 47th : | 12:58 | Legal News

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コメント

ご無沙汰しております。
(ドリコム時代以来です…)

さて、国税が産地認証制度をやることについて、違和感を感じているようですが、日本酒(の流通)を知っている側から見ると、今までの取り組みをもう一歩進めただけ、という気がします。

たとえば、国税のHPで検索をかけたところ、第86条の6 酒類の表示の基準 2 清酒の製法品質表示基準の取扱い で細かい表示基準が定められています。

http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kihon/36/8-09a.htm

また、品評会も定期的に行っています。

関東甲信越国税局主催のもの
http://www.kantoshinetsu.nta.go.jp/category/toukei/press/data/kanpyou/01.htm

仙台国税局主催のもの(きき酒会)
http://www.sendai.nta.go.jp/kikizake.html

…まぁ、いいものを作ってたくさん買ってもらう=税収増、という趣旨で取り組んでいると思いますが(^^;

ついでに日本酒の区分についてわかりやすい対照表もありましたので、添付しておきます。

清酒の表示早わかり
http://www.sendai.nta.go.jp/taxsnd/syuzei/03hayawakari.html

Posted by とーます : 2005年10月23日 18:36

>税収確保の道具に使われないといいのですが・・・

同感です。INAOもInstitut Nationalと国立ですし、こういう枠組みをある程度「官」が仕切るのも仕方ないとは思うのですが・・・。
お酒って農産物で農水の管轄かと思いきや、本郷のN屋のご主人から「品評会の主催は国税」と聞いて驚いた覚えがあります。でも戦前から税収確保のため、コチコチに国税の支配下にあったんですね。戦前の酒蔵を題材にした漫画「奈津の蔵」にも、国税の査察の時に酒樽のタガの緩みのせいで酒が漏れていたことが発覚し、酒の逸失を脱税行為として処罰されるシーンがあります。署長が「帝国軍隊を維持するための大事な財源を・・・」と訓告し、「非国民」呼ばわりするセリフからも、「なるほど」と、当時の様子がよくわかりました。

現代の話に移ると、長野県は知事のキモ入りで、原産地呼称制度を導入していますよね。そのせいか国産ワイン好きの間では、ソガとか再起の長野ワインは極めてレベルが高いという話を聞いたことがあります。今、HPを見たらワインの他に長野県産には日本酒や米、焼酎もAOC制度があるんですね。国税の制度とは競合することになるんでしょうか?http://www.pref.nagano.jp/nousei/nousei/aoc/nnac.htm

Posted by 悪童 : 2005年10月23日 21:27

>とーますさん、悪童さん
貴重な情報をありがとうございます。
お酒が売れれば税収が入るという意味では、確かに国税と消費者のインセンティブは一致しているのかも知れませんね^^
あとは、国税云々というよりは、産地認証制度自体が認証の既得権益化とか参入障壁になったりする危険も持っているので、その辺りの制度設計をどう考えるかというところなのかも知れませんね。

Posted by 47th : 2005年10月24日 18:48

47thさん、ご無沙汰しております。留学される前はお世話になっておりました。時々ですが、ブログを拝見しております。

コメントは初めてですが、新聞記事だけでは正確なことは分からないものですので、事実関係を補足できればと思います。

今回改正のあった国税庁告示は以下のものです。
http://www.nta.go.jp/category/sake/04/03/02.htm

もともとWTO/TRIPS協定第23条(1)を担保するためのものとしてぶどう酒と蒸留酒に関連してこの告示ができたのですが、今回清酒についても規定することになりました。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/aippi/trips/ta/chap3.htm#law23

地理的表示の保護をどうするかは、国によってかなり立場が異なりますので、話はややこしいのですが、そこまで書くと差し障りがありますので、ここでは控えます。ともかく知的財産もからんでくる話なのです。

ご参考まで。

Posted by 条約おたく : 2005年10月31日 12:36

>条約おたくさん
ありがとうございます。
なるほど、TRIPSが絡んでたんですね。
ここが何故国税マターになったのかは、確かに何か色々とありそうな・・・
面白いことを教えて頂きありがとうございます。

Posted by 47th : 2005年11月02日 11:18

 
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