« サックスとアンジェリーナ・ジョリーの重荷 (1) | メイン | サックスとアンジェリーナ・ジョリーの重荷 (2) »

フランスにおける反iTMS法?の成立

とりあえず分析はおいておいて、クリップだけ。

「国が海賊行為を後援」――Apple、仏法案を批判 (IT media News)

「この法案がフランスで施行されれば、国家の後援による海賊行為につながるだろう」とAppleの広報担当者ナタリー・ケリス氏は語る。「海賊行為に代わ る合法的な手段が顧客の支持を得つつあるという時に、もしこのようなことが起きれば合法的な音楽売り上げは落ち込むだろう」
(中略)
しかしAppleはこの法案に反対しており、これは実際にはiPodの売り上げを伸ばすだろうと指摘している。「ユーザーは十分なプロテクトをかけられな い『互換性のある』音楽をiPodに自由にアップロードできるようになり、iPodの売り上げは増えるだろう。iPodに対応した無料の映画も遠からず出 てくるはずだ」とケリス氏は述べている。

JUST印象だけですが、後段のシナリオは「iPodがデジタル・ミュージック・プレイヤーとして他に比べて十分に魅力的である」限りにおいて正しいのでしょうね。

但し、勿論のことながら、将来的にデザイン・機能・価格の面でiPodと競争力を有するプレイヤーが生まれた場合には、i Tunesによる囲い込みは競争制限的になり得ます。

もっとも、やや悩ましいのは、少なくともAppleにはDRM(デジタル権利管理)システム開発に対する強いインセンティブがあり、これがデジタル音楽市場の成長を促進している面もあるところでしょう。それぞれの著作権者も違法コピー対策のインセンティブを有しているとは言ってみても、各社でDRMを開発しなければならないとすればコストの重複の問題やフリー・ライド問題発生の可能性もあります。また、そうした投資水準が下がることは、単に違法コピーが増えるというだけではなく、ちょっと前にSonyがやらかしたように(あれはCDでしたが)、ソフトのセキュリティ・ホールを利用され副次的被害が広がる可能性もありそうです。
その意味では、圧倒的な市場シェアを背景とした強固なDRM開発のインセンティブを有するAppleの存在がデジタル音楽市場のインフラを提供してきたという側面も無視できないような気もします。

フランスのような形ではないにせよ、アメリカでもiPodとi Tuneの組み合わせによる独占化の動きについては議論があるわけで、色々と考える材料になりそうな話です。


参考ソース

iTMS公開法案、仏下院を通過 (IT media News)

フランスの当局者によると、同法の目的は、iTunesであれMicrosoftのWindows Media Playerであれ、1つのメディア再生ソフトがデジタルオンライン音楽小売市場を独占するのを防ぐことにある。
こうした条項がほかの国、特に欧州諸国でも採用されることを望む。これにより、オンラインカルチャーの供給における独占の台頭を防ぐことができ るはずだ」。国民議会の副議長を務める与党UMPのリシャール・カズナーヴ、ベルナール・カラヨン両議員は21日、このような談話を発表した。
新しい法案では、iTMSのようなオンライン音楽小売業者に対して著作物保護のためのソフトウェアコード(デジタル権利管理=DRM)の提供を義務付け、1つのフォーマットから別のフォーマットへの変換ができるようにする。
どんなハードでもコンテンツを読めるようにする目的で、「関心がある者は誰でも裁判所に要請して、(コンテンツの)供給者から『相互運用』のために必要な情報を提供させることができる」。フランスの新しい著作権法ではこう定めている。
この新条項ではまた、デジタルコンテンツのフォーマット変換を目的とした場合に限り、消費者によるDRM解除ソフトの利用を認めている。このようなソフトの利用は現在、世界のほとんどの国で禁止されている。

 

 

Posted by 47th : | 15:16 | Competition Law

関連エントリー

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://WWW.ny47th.COM/mt/mt-tb.cgi/317
 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
このブログをご覧になる際の注意点や管理人の氏素性についてはAbout This Blogご覧下さい。