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開発におけるPrivate Normsの可能性と限界 (1)

上限金利厳格化問題については、消費者金融において見られるBehavioral Biasとその法的規制へのインプリケーションと、上限金利規制よりも弊害の少ない政策対応手段の可能性についても書きたいんですが、そんなことをやっていると卒業が危うくなるんで、とりあえず学生の本分に戻ってペーパーの執筆とテスト準備に復帰します。

で、ペーパーなんですが、また、こうやってブログに書きながら、構成をまとめてみることにします。

今回ペーパーを書かなくてはいけないのは、Kevin Davis教授のFinancing Developmentというゼミです。発展途上国の開発金融の現状と課題について資料を読み、議論をして、実務家の前でグループ・プレゼンテーションをした上で議論するというゼミでした。教授の問題意識や議論の組み立てにたまに?がつくことがあったりはしましたが、全体的に見れば、今まで知らなかった開発金融について色々と勉強することができたので、非常によかったと思います。

ただ、何せ土地勘のない分野なのでペーパーのアイディアには一苦労。Microfinance関係で何か書こうかなとも思ったんですが、それこそMicrofinanceに上限金利規制は必要かとか回収手法に規制を設けるべきかみたいな議論をしても、途上国におけるライフラインとしてのMicrofinanceの重要性にまで踏み込まないと説得力がないんでボツ。

結局、これまでの知識と連続性を保ちながら扱えるテーマということで着目したのが、Equator Principlesです。

Equator Principlesというのは、途上国へのプロジェクト・ファイナンスによる融資におけるIFC(International Financial Corporation)の定める環境に関するセーフガードの遵守等を国際的な主要金融機関の協調によって達成しようとする枠組みです。

途上国に対する開発国からの投資の場面では環境や労働に関する問題がいろいろとあるわけですが、これを公的な枠組みで規制することについては、そもそも国家的なコンセンサスが難しいことや、たとえ一定の合意ができたとしてもそれをエンフォースすることが難しいことなどから、なかなか進展しません。そこで、最近は民間主体によるイニシアティブが重視されている・・・ゼミで紹介されたときには、こうした説明と共に一つの疑問が提示されました。

それは、こうした民間主体のイニシアティブによる国際的な規範の実効性はどう確保されるのか?という点です。

これが国際的にも有数の主要金融機関同士の合意であることから、このEquator Principleが大規模なプロジェクト・ファイナンスにあたっての取引費用を削減する効果を持っている限りにおいては、参加金融機関は相互に監視のインセンティブを持っており、また、違反した金融機関に対してはその後のシンジケートへの参加を拒否するなどの制裁手段も有していることから、一種のカルテルと同様の実効性を持ち得るのではないか-ゼミの場では、そう思いついて発言をしたのですが、それが結構印象に残っていました。


そのときに気になったもう一つの理由は、こうした民間主体による協調行為が、本当に途上国発展にベネフィットをもたらすのかという点でした。というのも、反トラスト法に毒されてしまった私の目には、このEquator PrinciplesはStandard Setting(標準規格設定)と同じに見えたからです。

ちょっと前に「自主規制」強化と競争法 (1)というエントリーでとりあげたように、この種の「業界による自主規制」は、政府規制では達成できない社会的に有益な目的を達成できる可能性の一方で競争を減殺することによって社会的に非効率な結果をもたらす場合もあり得ます。
開発の世界では、こうした民間イニシアティブの「規制」は望ましいものだという前提の下で、むしろEquator Priniciples程度では不十分だというような論調もあるわけですが、私にはそれは「本当かいな?」という気がしたわけです。

そこで、Equator Principlesに代表される、こうした開発投資の文脈におけるPrivate Normsが、①どのようなロジックで機能し、②その途上国開発に対するインプリケーションを分析してみよう・・・ということで、教授にペーパーテーマを伝えたら「それは面白い」という話になったんですが・・・調べれば調べるほど色々と出てくる上に、会社法の世界と違って土地勘がないので、今ひとつ頭の中がクリアーにならないところもあるということで、ここまでのところで考えているところのアウトプットをやってみて、道筋と方向性を整理してみます。

Posted by 47th : | 11:10 | Law & Development

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