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中央青山への処分の「重さ」の?

ようやく試験も終わり、そのまま試験の結果も出ていないのに見込み卒業式まで終わってしまっているんですが、何か緊張の糸がゆるんで、すっかりだらけてしまっています。

というわけで、中央青山の業務停止命令については、噂段階でちらっと触れて以後、きちんとフォローしていなかったんですが、その後以下のように金融庁の処分が下っています。

 平成18年5月10日金融庁「監査法人及び公認会計士の懲戒処分について

で、これについて印象を・・・とも思ったんですが、実は正直いって、次の処分の「重さ」をどう考えていいのかがよく分からないところがあります。

(2)処分内容

業務の一部停止2ヶ月(平成18年7月1日から平成18年8月31日まで)
[停止する業務] 証券取引法監査及び会社法(商法特例法)監査(法令に基づき、会社法(商法特例法)に準じて実施される監査を含む。)。ただし、一定の監査業務を除外するものとする(詳細は別紙1)。

これについては、新聞報道などでは契約企業との契約をいったん解除しないといけないとか、この期間は法定監査対象企業に対するサービス提供は一切禁じられるいう感じのトーンも見られます。もしそうだとすると、実質的には、この処分の影響は2か月という短期の問題ではなく、一旦清算しろと言っているのと同じような意味合いになるんでしょうが・・・

ただ、金融庁処分の文言と別紙1の書きぶりを見ていると、ここで停止されているのは法令に直接基づいた行為、つまり「監査証明」に限られているような印象もあります。
特に、業務停止の例外として「6月決算会社」については「8月」だけが除外されていますが、私の理解しているところでは、監査実務の実際としては、決算期直後から現場レベルでは監査法人と会社の密接な連携というのはあるはずですし、それがないと3か月以内に計算書類をファイナライズするというのは難しいはずです。
とすると、6月決算会社について7月は業務停止の対象となっているというのは、こういう実務レベルでの活動まで禁じるという趣旨ではなく、「法律に基づいた監査証明を行うことができない」という意味合いになっているような気がします。この辺りは11月決算の半期報告書についても8月だけが処分の例外とされているのと同じところ・・・というわけで、もし仮に監査証明だけを意識しているのであれば、一見の厳しさとは裏腹に別紙1と合わせて考えると、実質的なダメージはほとんどないということになってしまいます。

もしそうだとすると、この「一見厳しいが、実務的には影響は限定的な処分」を、企業が監査法人の乗り換えをしようと思えばできる時期にやるというのは、絶妙のタイミングを狙った一手ということになります。

レピュテーションを意識し、かつ、監査法人変更を行うだけの余裕やシステム的なバックグラウンドのある企業は契約を解除するでしょうが、大部分の企業は中央青山がこの処分の意味合いと改善策をきちんと説明すれば残ってくれるだろうということであれば、バランス的には悪くない落としどころという気はします。

何れにせよ、その意味で金融庁による短い処分文言をどう解釈するかによって、この処分の「重さ」は全く変わってくるような気がするんですが、何せ情報が不足しているんで・・・この辺り、どなたかご存じの方がいらっしゃれば教えて頂けると幸いです。

何れにせよ、今回の処分は、今後の監査法人への行政・刑事的処分設計を考える上で試金石となるケースのはずですので、処分側が事前にどの程度の「重さ」を想定していたのか、実際の影響との間に大きなズレは生じなかったか、生じたとすればその要因は何だったのかといった辺りの政策評価の視点からのフォローアップがきちんとなされるとよいのですが・・・諸外国との比較も含めて、この辺りを実証的に分析するのは、大学院レベルでのいいペーパーのネタにもなりそうなところですよね(・・・と、誰かがやってくれないかと期待してみたりする)


Posted by 47th : | 18:04 | Securities : Disclosure

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コメント

 郵政公社や東レなど、かなりの数の大企業が監査法人を他に移しているという報道がちらほらと目に付きます。 インパクトはかなり大きいみたいだ、というのが、正直な皮膚感覚ですね。
 
 ペーパーのネタとして面白そうですね^^ 来学期から毎期一つずつ執筆するのですが、ネタに困ったら使わせていただくかもしれません。(笑)

Posted by Taejun : 2006年05月15日 20:18

こんにちは。(遅ればせながら、50万アクセスおめでとうございます。)
私も実証的研究に非常に期待するひとりです。基本的には残るところもたくさん出てくるのではないか、と思っていますが、株主構成や企業の戦略(国際競争力など)によっても、変更に関する方針に違いが出るのではないでしょうか。ということで、企業の方針だけでなく、株主の行動などにも注目してみたいところです。
今後どうなんでしょうか。こういった手法よりも課徴金(利益返還目的といった制度趣旨も問題がありますが)、法人刑罰といった手法をとって、変更の自主性を(行政処分による場合よりも)企業に委ねることにしたほうがいいのかもしれませんし、検討すべき問題がたくさんありそうです。

Posted by toshi : 2006年05月15日 22:03

>Taejunさん
本文にも書いたのですが、レピュテーションを気にする企業は必須でなくても変えるのでしょうし、それはそれなりにインパクトはあるのだと思うんですが、私が気になっているのは、「商法、証取法上変えなくてはいけないのか?」という点なんですよね。どうも、その辺りが金融庁のリリースだけでは分からないというところが、評価の難しいところです。
>toshiさん
toshiさんもお書きになっているように、今回の処分の場合、結局「何が処分の決め手なのか?」「何をすればこうした処分を回避することができたのか?」という裁判であれば、当然事実認定の核として問われるべき部分が、よく分からないところもありますし、サンクションのメニューとその使い分けについて処分される側の利益保護のあり方も含めて考えていかないといけない問題ですよね。

Posted by 47th : 2006年05月17日 01:20

こんにちは。すっかりご無沙汰してばかりです。
Toshiさんが「株主構成と企業戦略(国際競争力など)」というところに
思わず反応してしまいました。しばらくしてから、さざ波?もしくは
太平洋からの漂流物?(それじゃ、だめか?!)ように私の日々の
仕事にもひょっとすると関係が出てくるなぁ?と思っているところです。

是非是非、実証的研究結果・・・を目にできるといいな・・と思っております。
また、これからご質問もみなさんにさせて頂くかもしれませんが
どうぞよろしくお願いいたします。

Posted by にょぶろ : 2006年05月18日 23:10

>にょぷろさん
この問題は、法律事務所にとっても、あんまり人ごとじゃないような気がしている今日この頃です。
実証研究・・・え、まず隗より始めよ、ですか?
まあ、もう少し落ち着いたところで、ちょっと考えてみるということで(汗)

Posted by 47th : 2006年05月22日 00:28

PwCが、法人化して、中央青山と提携を絶縁するとの報道。我が国で独自路線をとれば、提携の解消は当然ですが。
そうなれば、
中央青山は、予想より厳しい状況に追い込まれ、分裂の危機ですまない状況になるでしょう。
提携先がなければ、上場企業はだれも相手しなくなりますから、今の1/4以下、グローバルな業務と投資家を想定する必要のない東陽監査クラスになる恐れあり。
重要なのは、国内規模の争いでなく、アメリカ提携先がなければ、一人前として扱われないような、業界だったといいうことか。

問題は、悪い監査にかかわらなかった部門をどのように切り離し、PwCにもっていくか。
その影響は、PwCが直接我が国企業にアクセスして儲ける機会ができるという意味は、他のKPMG, E&Yは黙っていないということでしょう。デロイトは、一体だからよいでしょうけれど。

もともと あずさ は、朝日だから、40歳以内の若手はみなKPMGに移るかもしれない。そうすると、あずさとの提携も解消されるし、新日本も同様か。

法律事務所は大丈夫でしょう。もともと法律の法域に関する管轄権は海外に及ばないし、アメリカの提携先あっての国内という位置づけでなし。法には国際基準がありませんから、安心でしょう。

Posted by 吉行誠 : 2006年05月22日 01:34

>吉行様
PwCの動きについては、それ自体として色々と是非がありそうなところですが、伝統的には会計事務所も法律事務所も個人の会計士・弁護士の裁量の領域が非常に大きかったところで、ごく一部のパートナーの行為によって組織全体の存続問題に発展する可能性があることを現実として見せつけられたという意味で、法律事務所にとっても必ずしも対岸の火事ではないように思っているところです。

Posted by 47th : 2006年05月22日 12:15

日経によると、いよいよ中央青山の人材がPwCへ移るという報道がありましたねぇ。

海の向こうからじっと見守る私です・・・・
ドキドキ・・・・。

Posted by にょぶろ : 2006年05月25日 10:06

>にょぷろさん
私もどきどきです。
これは金融庁や中央青山にとって「想定内」だったのかどうかという辺りも、気になりますねぇ。

Posted by 47th : 2006年05月25日 10:26

っとと、47thさん
ところで、違う話しなのですが、コロラドからロースクールの友人(といっても1年目?しかも知財系?)が来ます。

時間に余裕があれば是非、ご紹介したいので、10日11日にNYいらっしゃって、余裕がおありでしたら、実行できていませんでした企画、土日の午前中、クィーンズで飲茶大会、ご家族やその他のお友達含めていかがでやんしょう?

詳細はまたメールしまーす♪

Posted by にょぶろ : 2006年05月26日 00:51

>にょぷろさん
面白そうですね^^
メールお待ちしてまーす。
あ、ろじゃぁさんも参加できる日程がいいですかね(笑)

Posted by 47th : 2006年05月27日 23:54

 
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