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ベッカム様の御利益は?

ろじゃあさんの「チケットが売れる必要性」がある枠組みなのかどうか・・・「ベッカムはずし」余波というエントリーで、イングランド(マクラーレン監督)が今度のギリシャとの親善試合のメンバーからベッカム様を「落選」させたことで、チケットの売れ行きががた落ちになったという記事を紹介されているんですが、これを読んだときに、まず思ったのは・・・

  • そもそもWC直後、Euro予選開始前の親善試合は一種のエアポケットだから、元々観客動員は多くないんじゃないの?
  • レアルに言ってしまったベッカムが、イギリスで未だにそこまでカリスマ的な影響力を持っているというのは本当かいな?
    アメリカとか日本だとベッカム様のチームみたいな扱いだけど、客観的にはジェラードやランパード、ルーニーなんかの方が、国内での認知度は高いんじゃないの?
  • WCでもベッカムはFKこそ凄かったけど、後は生彩を欠いていたし、ポルトガル戦でも、どっちかというと新鋭レノンの方が強烈な突破で印象を残していたから、国民的にはレノンを見たいんじゃないの?
  • FAと代表叩きはイングランド・メディアの常道というか生き甲斐だから、眉に唾をつけた方がいいんじゃないの?・・・っていうか、あれだけエリクションをこけおろして引きずり下ろしたのに、早速初戦も終わらないうちにマクラーレン引きずり下ろしキャンペーンを始めるとは、さすがイングランド・メディア・・・

という辺りでした。

ろじゃあさんの紹介されている記事の中では前売りが35000枚ということだったんですが、昨日行われた試合では最終的には入場者数45864人になったようです。

この数字をどう位置づけるべきか、せっかくなので、2002年W杯終了後のイングランド代表のホームの試合の観客動員数を調べて見てみました。(ソースはイングランドFAの公式サイトのこちらから)


対象となったのホームの試合は20試合ですが、まずは基本的な統計数値を見てみると、平均観客数は48187人で、標準偏差は3250人ということなので、もし今回のギリシャ戦の観客数45864人は、この点から見ても、十分に平均的ということになります。

ただ、この20試合の中には、公式戦(Euro2004予選、WC予選)と親善試合があるので、これを分けたものをBOX Plotで見てみると・・・


  一見して明らかなように、WC予選に関しては、ほとんど満員でばらつきがほとんどないのに対して、Euro予選とFriendlyは結構ばらつきが見られます。特にFriendlyは、中心は3500人から50000人強のレンジに集まっているのに、何故か一本線が70000人のところまで延びていたりします。

この時点で既に親善試合として見たときに45000人という数値は、平均以上のかなり優秀な数値に入るということが言えるわけですが、メディアで言われているようなBeckham様の影響力の大きさというのは数字的にはどのぐらいあるのかという辺りも見てみましょう。


 DBというのはDavid Beckhamの頭文字ですが、彼が出場した試合が「1」、出場していない試合が「0」になっています(※)。 これを見ると、ベッカム様が出場している方が観客動員数が多いようにも見えます。

・・・ですが、最初に見たようにWC予選と他の試合の観客動員はかなり違いますので、ひょっとしたら、これはベッカム様が出ていない試合は親善試合やEuro予選に固まっているせいかも知れません。
そこで、この二つの要素を組み合わせた上で、ベッカム様がどのぐらい観客動員に貢献しているのかを見なくてはいけません。

実はベッカム様が出場しなかったのは、20試合のうち4試合だけで、そのうち2試合はFriendly、1試合がEuro予選、もう1試合がWC予選ということになっています。
つまり、「DB=0」のカテゴリーの半分はFrindlyということになるので、その意味では上のDBの1,0比較は余り有益な情報をもたらしません。

では、ちょこちょこっとデータにお化粧をして(※2)、親善試合でのベッカム様の影響というのを見てみるためにBox Plotをしてみましょう。


人によって印象は違うかも知れませんが、サンプル数の少なさを考えると、ベッカム様の観客動員能力は統計的にはとても有意とは言えなさそうです(※3)。

ちなみに、2002年のW杯終了後、最初の親善試合は相手がポルトガルで、ベッカム様は出場していませんでしたが、観客動員数は40058人。その1か月後のホームは、マケドニア相手のEuro予選(公式戦)で、しかも、Beckham様が出場という好条件が揃っていたものの、観客動員数は32095人に留まっています。

この数字から見ても、今回のWC明けの親善試合、相手はギリシャで前売りが45864人という入場者数は優秀とすら言えるもので、代表人気やベッカム落選の影響ということは的外れだと言えると思われます。
なお、イギリスの新聞は、WC直前のジャマイカとの親善試合の入場者の7万人と比較して「凋落」と言っているようですが、このジャマイカ戦の数値は統計的に見ると異常な数値で、2月のオランダ戦、3月のウルグアイ戦は何れも約4万人です。

というわけで、こうやって数字の方を見てみても、今回のお話は、何というか、イギリス・メディアお得意のFAと代表監督叩きのためにする議論だという気がするわけです。

ちなみに、試合の方は見ていないんですが、レノンは先発ではなくダウニングを使ったようですね。
ハーグリーブスでバランスをとりながら、ジェラード、ランパードが中盤で動いて、ダウニング(レノン)がスピード突破でアクセントをつけるというのが新生イングランドのスタイルになるんでしょうか?
ジェラード、ランパードにベッカムは、ちょっと中盤が五月蠅すぎるきらいがあったので、こっちの方が楽しそうな気配ですね^^
まあ、ベッカムのセットプレイや放り込みは、今でも魅力なので、流れを変えるためのカードとしては貴重なんでしょうが、問題は本人が納得するかどうかなんでしょうね。

・・・ということで、MiniTabからしばらく遠ざかっていたのでリハビリ代わりのエントリーでした。
 

(※) 本当は「招集」されたかどうかで区別した方が観客動員力という点ではいいのですが、招集メンバーのチェックは(不可能ではないでしょうが)面倒なのと、Beckhamであれば、招集されてベンチを温めるだけというのはそうないだろうということで、「出場」でフラグを立てています。

(※2)実は、WC開幕直前のジャマイカ戦は親善試合にもかかわらず7万人の観客動員という異常な数値をたたき出していて、明らかに外れ値になっていたりします。これはWCに行く前の代表を見たいという非常に特殊な状況の下での現象なので、一般的な親善試合への影響を見るには相応しくないので除去しています。

(※3)なお、念のためGLSも走らせてみましたが、Match Statusはぎりぎり有意でしたが、DBは有意水準にはありませんでした。これもサンプル数が少ないので、決定的ではありませんが。

Posted by 47th : | 00:44 | Sports

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コメント

 面白いです^^ こういうスポーツの感情先行ネタに統計的見地から切り込むのは、僕も好きです。

 ただ、純粋な好奇心から、Box Plotの横幅について質問が・・・

 これは、線で表されているものは、突発的な乖離値を、ボックスで表している部分はreasonableな値をあらわしている、ということであっているのでしょうか? もしそうなら、横幅を線で表すか、ボックスで表すかを分ける基準は、定量的に決められているのでしょうか?

Posted by Taejun : 2006年08月17日 23:05

>Taejunさん
単線で表されているのは、上下1/4で、Boxが中1/2のはずです。
で、Boxの中の線はMedianだったと記憶しています。
私の使っているのはMinitabなので、他のソフトだとまた表示は違うかも知れませんけど^^

Posted by 47th : 2006年08月18日 10:49

 
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