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日本が遠い国に見える瞬間(その2)


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Posted by 47th : | 22:06 | 時事

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コメント

 こんにちは、いや、面白いですね、コレ(っていうか腹が痛い)。あからさまなリーク記事で、こういうのを発信しそうな方達を想像すると経済部の記事だろうと思ってリンク先に行くと政治部国政担当だったので?と思いましたが、知財本部(Kさん主導?(少なくともこのネタは))と見てあぁなるほどと納得というかなんというか。「本年度中に知的財産戦略本部において策定される『国際標準総合戦略』を踏まえ」予算増額要求しているようですが、Zさんの査定で難航している様子がイキイキと記事に描かれてますね、「バラマキ公共事業」呼ばわりされてるようで(笑)
 ってこれジョークじゃない記事なんだから笑い飛ばすのはマズイんですね、きっと、すみません。

Posted by そらまめRRZ : 2006年10月24日 03:34

>そらまめRRZさん
さすが見方が違いますね(笑)
私としては、願わくばジョークであって欲しいと思っているんですが、ジョークじゃないんでしょうねぇ

Posted by 47th : 2006年10月25日 20:30

私も昔、同じ気持ちを抱きつつ、日本に帰国しました。すぐ慣れますよ(笑)。とは言っても、遠い国感は今でも抱きますが。諦観してはいかんのでしょうね。

Posted by 本石町日記 : 2006年10月25日 23:31

>本石町日記さん
そうなんでしょうね(笑)
でも、自分のルーツと若干でも距離を置いて物事を見ることのできる視点そのものが留学の成果という気もするので、これはこれで大事にしていこうかなと思っています。

Posted by 47th : 2006年10月26日 12:39

一部方面(リンクはしませんが)で話題になった、韓リフ先生の「経済政策を歴史で学ぶ」の四章等々を読まれるとしかたないかな、という気分になれるかもしれません orz
私の頭が足りないので誤読している可能性大ですが...

Posted by 小僧 : 2006年10月26日 12:54

金型職人の方々が日本から流出しないだけの枠組み整備を真剣に考えることの方が重要だと思うんですけどねえ。
質の高い標準を維持できるだけの現場の担い手の「遺伝子」が機能する枠組みがなくなったら何のための標準なんだか・・・

Posted by ろじゃあ : 2006年10月26日 15:37

>小僧さん
韓リフ先生の例の御本は帰国後真っ先に読む本リストに入れているのですが、そう聞くと益々楽しみになってきます。
確かに日本人の経済観・・・というか、そもそも「経済」に対する態度というのは、相当に歴史的な所産なんでしょうね。

>ろじゃあさん
仰るとおりで、特許とそのライセンス料で食うという発想そのものが、米国流の付加価値観の呪縛に囚われているとも言えますよね。
「ものづくり」の遺伝子が保護されるような制度やシステムのあり方を考える方が、よっぽどクリエイティブだし、やらなきゃいけない話ですよね。

Posted by 47th : 2006年10月26日 20:31

47thさんへ
内部統制対応やコンプライアンスシステムを作る場合にも同じような現象が見受けられることがあると思います。
その意味では、今回の高校の単位の問題についてのお話と源流は被るところがあるのではと。

Posted by ろじゃあ : 2006年10月26日 22:26

実際に日本の企業は決してStandard Bodyの使い方が上手くはなく、色々な所で損をしている、逆にヨーロッパあたりの企業は実力以上の発言力を持っている、とは見てて思いますけど。で、上手くやっている企業・産業のノウハウというのはそのままでは他に出て行きにくいでしょうから国が音頭を取って情報共有などノウハウの移転を手伝うのは結構なことだと思いますが。この次のコメント欄にお書きの通り、「よいルールが作られるためには、情報を多く持つ主体が積極的にルール作りに関与していくことも重要」だとも思います。

それで得られる利益はマクロ経済から見れば大きなものではないでしょうし、経済成長戦略として語るのはどうかと思いますが、それほど変な話とも思えないのです。

教えていただきたいのですが、例えば会計ルールなどの世界では、そのルール自体の正しさやバックにある国・地域の研究のレベルのみが標準としての地位に反映し、ルール適用主体の交渉力などが関係する余地はないのでしょうか?

Posted by 技術屋 : 2006年10月27日 21:17

> 技術者様
「交渉が下手」とは昔から相も変わらず喧伝されているような印象があります。それにも係わらず焼け石に「塾」ごときでなんとかなるのならば、実は大したことでは無かったということではないかと。(反語表現

> 47th さん
皮肉になってしまいますが。
歴史的な所産かといわれると良く分かりませんが、「品格」だの「美しい」だのが流行るのは『徳の高さ』に萌えている方が多い証拠であり、そのほうが、それなりの読書力があれば最初からそれなりに理解できエキサイティングなことがたくさん、なのかもしれません :-|
『徳』でなんとかできるのならば「「法の支配」の実現なんて簡単な話で」しょうね :-P

Posted by 小僧 : 2006年10月28日 05:18

>小僧さん

「反語表現」とありますから、実際には官民一体となってリソースの中で打てる手はすべて打ってなおかつ欧米に弾き返されているのが現状だ、とお考えなんですよね。もちろんそういう分野もあるでしょうし、大きなカネが動いたり一般人にも目立つのはそういう分野なのかもしれません。

でも、そのレベルのこともできてない分野って結構あって、そこで損してる部分はチリもつもればで馬鹿にできないと思いますよ。例えは悪いかもしれませんが「整理・整頓・清潔・清掃ごときで業績が改善するのなら、その企業の抱えてる問題は大したことは無かった」というような意見に聞こえます。

必要な予算なんてたかが知れてるでしょうし、過大過小両方の評価にめげず地道に進めてほしいと思います。

Posted by 技術屋 : 2006年10月28日 11:53

>技術屋さん
色々な要素があって、例えば、「国際競争力」というつかみどころのないものを絶対的な目標に掲げている点や、それを国が主導でどうこうするということの難しさと色々あるのですが、この政策にある根本的な誤解の一つは「交渉力」と「交渉技術」を同視して、「教えること」で「交渉力」が向上すると思っている点です。
確かに、「交渉技術」はハーバード流交渉術という本もありましたが、教えることができます。ただ、曲がりなりにも欧米の企業も含めて交渉をやってきた者からいうと、「交渉技術」が結果にもたらす影響は極めて軽微です。
交渉の帰結では、そうした「教える」ことでは涵養できない、元々当事者が有する「交渉力」、より具体的には交渉が決裂した場合に、それぞれの当事者がとり得るポジション(外部機会とかBATNAとか呼ばれますが)が決定的に重要です。
仰るところの「実力」のとらえ方次第だと思いますが、いくら技術的に優れていても、それを単独で市場に展開できる力がなければ、交渉で優位に立つことはできません。
会計ルールの例を出されていますが、理論的な優越性云々もさることながら、結局、市場規模においてアメリカの証券市場の影響力が大きいため、彼らは他の主体に対して「どうぞご自由に」ということができます。
これに対して、日本が「では自由にやらせていただきます」といっても、十分な資金が入ってこなければ、企業の資金調達は米国やヨーロッパに逃げてしまいます。
もちろん、長期的にみれば、それが投資家の支持を集めるためには、ある程度の水準は必要ですが、それが常にベストである保証はありませんし、制度には常に移行に伴うコストが伴いますので、既にクリティカル・マスを確保している側は絶対的に優位です。
交渉は、こうした総体としての「交渉力」から成り立つものであって、小手先の交渉技術をいくら磨いてもほとんど意味はありません。もし、本当に交渉技術で何とかなる話なら、経験のあるアメリカの法律事務所を高いフィーで雇えばいいだけです。
こうしたものが、「塾」で何とかなるものではないことは容易に分かっていただけるのではないかと思います。
もう一つ反証をあげれば、マイクロソフトでもアップルでもグーグルでも、事実上の技術標準をかちとったのが政府の政策のおかげと考える方はいないと思います。それどころか、政府は独禁訴訟などで、一つの企業がそうやって圧倒的な市場支配力を有してしまうことを防止しようとしてきました。
それでも、スタンダードをとってきたのがアメリカの企業の歩んできた歴史です。
こうした実際の歴史が証明しているものと相反した方向が、どうやって「塾」として成立するのか、少なくとも私には全くイメージが湧きません。

Posted by 47th : 2006年10月28日 11:58

>小僧さん
「徳」の高さ萌えですか・・・なるほど。
確かに徳知主義なら、エンフォースメントなんてヤボな話ですね・・・っていうか、弁護士なんていらない・・・そうか、だから明治時代には三百代言とか言われてたのか・・・orz

>技術屋さん(後のコメントの方へ)
だめかも知れないけど政府としてはチャレンジしてみれば、というご意見かと思うのですが、その上では少なくとも、こうした理論的な積み上げを欠く政策を実行することに伴う3つのコストを勘案しなければいけないと思います。
まず、内情をよくご存じの上のそらまめRZZさんのコメントにも出ていますが、政府の政策資源配分というのは、非常にシビアで、「あることをすればあることはできない」という状況にあります。この政策に予算が配分されれば、その分、どこか他の予算は削られる可能性が高いわけで、口当たりのよさで資源配分がなされれば、本当に実効的な政策に対して資源がつけられない可能性が出てきます。
二つめは、こうした理論的な積み上げに乏しい政策が、世間の批判を交わすためだけに行われる可能性です。
三つめは、こうした政策を公表することによって、内外からの政府の政策能力に対する信頼が揺らぐ点です。
こうしたコストを勘案すると、私は、こういう類の思いつきのレベルを出ない政策については、もっと厳しい目で見るべきだと考えています。

Posted by 47th : 2006年10月28日 12:09

国際標準化の現場にいる技術屋です。私が誰だか特定されかねないので、普段とは異なるペンネームで投稿しています。

技術標準化の現場の人間としては、47th様よりは技術屋様の方に共感しますね。「教えることは出来る」事柄は沢山あると思いますし、最低限のことすら出来ていないが故に日本が存している場面は沢山見ているからです。

MSやGoogleやAppleがデファクト標準となっているのは政府の政策のおかげではない、それは仰るとおりです。では3G携帯の標準として米国の技術であるCDMAが採用されているのは純粋な民間努力でしょうか?3Gの世界ではCDMAをのぞくと標準化技術はほぼ欧州勢に独占され、日本は手が出せません。第2世代の標準化争いで敗北したのが未だに尾を引いています。日本の携帯電話メーカーは全てどんどん弱体化しており、外国メーカーへの身売りの日も近い(sonyは既にそうなっています)と業界内では囁かれていますが、その一因として標準化争いでの敗北があります。他にも原因あるけど、重要な一因です。

米国はいいのですよ。あそこは超大国だから。1カ国だけで、世界を相手にNoと言うことが出来ます。それでも大変だったから、CDMAの時には特許戦略と搦めて米国は標準化の世界でかなり強引な工作をやりました。その結果米国勢のうち、Qualcommという会社だけは携帯の世界で存在感を保っています。

では日本は。世界中から一致団結して圧力をかけられた時、米国のようにNoと言えるとでも?

欧州だって1カ国ではNOと言えない。だからこそ、欧州勢はETSIという機関を舞台に2Gで得た優位を絶対に手放さないよう、慎重に慎重に標準化に臨んでいます。実にいろいろな仕掛けをしますよ、彼らは。

私とは畑違いですが、国際会計基準は欧州が作りました。欧州は一致団結したからこそ、米国に対して「自分たちはこの方法でやる」と主張できています。日本はできていない。またしても欧州の標準化戦略にやられている。欧州勢は、正面から米国や日本と戦っても勝てないことを知っているから、こんな搦め手から米国、日本を縛りにくる。畑違いながら標準化畑にいる人間には、そう見えます。

金型職人が流出しないようにする方策が必要だ、仰るとおり。政府予算は限られておりここが優先度が高いか要検討である、仰るとおり。でも、標準化はさして重要じゃないとか、教えることが出来るものはないとか、は断固として違うと主張します。

Posted by 通信屋 : 2006年10月29日 06:22

打てる手を打っていたのならば、もう少しましだったでしょう。そうではないのに「塾」ごときでなんとかなるのですか。と申し上げているのです。

> 標準化はさして重要じゃないとか、教えることが出来るものはないとかは断固として違う
とは思います。印象論で間違っているかもしれませんが、標準化やら交渉事にはかなりの能力とコストが掛かるはずですし、標準規格を作ってはいそれまで、とはいかないでしょう。ですから「塾」ごときでなんとかなるのですか。と申し上げているのです。国家プロジェクトで「塾」を作らないと経営陣がコミットしてくれないのならばそれはそれでなんともならないような気がするのですが。

注: 「塾」が矮小化された存在でないのならば話は別ですが

Posted by 小僧 : 2006年10月29日 11:30

>通信屋さん
上のコメントで申し上げましたが、標準設定の現場において広義の意味での「交渉力」が必要であることは私も否定致しません。ただ、その「交渉力」の問題は、MBA交渉術のような「塾」で何とかなるものではないのではないかということが私の申し上げたいことです。
仮にそうした「交渉技術」だけの問題であれば、そういうことに手慣れた弁護士やコンサルタントを雇う方が、国が「塾」をつくり教えるよりも費用対効果は高いでしょうし、どうしても企業内にそうした人材が欲しければ、海外のMBAで開設されている講座を用いる方がやはり効率的です。
国がやろうとしているのは、そうした「交渉技術」に留まるものではないとすれば別ですが、それを超えた広義の意味での「交渉力」を「塾」で育成できるノウハウがあるとすれば、既に米国でもヨーロッパでもビジネススクールやシンクタンクが先を競って、そうしたノウハウの提供ビジネスを開始しているでしょうが、実際には、そうしたノウハウは欧米のトップスクール、シンクタンクでも持っていません。
もし、そうした未だ世界にない「交渉力」育成のノウハウを日本が官製でやるなら、その心意気やよしかも知れませんが、そのノウハウを完成し、それを究極の目標である国産標準の世界標準化までつなげるのは、いつの時期になるのでしょう?
もちろん、小僧さんが注で仰っているように「塾」が、私が予想しているようなMBA交渉術の真似事を教えるような矮小化された存在ではなければ、私の上の前提は全て崩れます。
そうだとすれば、私にとっては嬉しい誤算です。もしそうであれば、そのときは、その野心的な試みを興味深く見ていくつもりです。

>小僧さん
微妙にお考えになっていることは違うのかも知れませんが、「塾」ごときで何とかなるものなのですか、というのは全くの同感です。

Posted by 47th : 2006年10月29日 22:06

ああ、「塾」という言葉に反応しておられたのですね。それなら理解できます。

小僧氏
> 標準化やら交渉事にはかなりの能力とコストが掛かるはずですし、標準規格
> を作ってはいそれまで、とはいかないでしょう。

47th氏
> その「交渉力」の問題は、MBA交渉術のような「塾」で何とかなるものではな
> いのではないか

これは仰る通りです。たとえば、現代の標準化は、特許戦略との連動が必須です。特許もないのに標準化してどうするの?です。そして分厚い保有特許というものは、長い年月をかけないと築けない各社の競争力そのものであり、塾で改善できる筈もありません。

ただ、それでも、政府が旗を振ることは効果があると思いますし、塾で教えることが出来るレベルの入門ですら、意味はあると思いますね。標準化というコストセンターの維持費をどこから捻出するか。ほとんど人件費だけだから、たいした金額ではないのですが、それでも不況になると捻出に苦しみます。そして標準化では担当者が長年かけて築いた人脈が物を言いますので、不況になると切る、では交渉力ががた落ちになります。政府が標準化の重要性を訴え続け、多少なりとも予算措置して頂けると非常に助かる、これが実情です。そして、塾で教えることはあるのか、ですが、たとえば上記の特許戦略との連動。標準化技術それ自体は特許化できません。そんなことをしたら皆が敬遠し、標準化できないから。ではどうするか?この事例くらいは教えられるでしょう。

Posted by 通信屋 : 2006年10月29日 23:11

初めてコメントさせていただきます。
推測するに、塾というのはたぶんこんなものをイメージしているのではないでしょうか?
http://www.ansi.org/education_trainings/course_descriptions/descriptions/course208.aspx?menuid=9
たぶんここで対象としているISO会議は専門家同士の会合なので、法律屋等を雇って出すというわけにはいかないのでしょう。
ちなみに昨年のNHKスペシャルでもそうした会議の様子を取り上げていました。ひょっとしたらこの番組も今回の動きにも影響を与えたのかもしれません。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/050828.html
あと、会計ルールについてですが、今回の政府案と同様のことを謳っている会計大学院がありましたので、ご参考まで。
http://www.cgsa.jp/new/prog/prognew.html

Posted by 暇人 : 2006年10月30日 08:09

こんにちは。

私もこれまでの意見をかえておりませんで、47thさんのご意見に賛成です。そりゃ確かにそれなりの額の予算と人がついて、賢い人が何かするわけですから、100%無駄ということにはならないでしょうが、投資に見合う効果かどうかで評価されるべきですから、そんなことを褒めるわけにはいきませんよね。1兆円の経済効果をもたらす政策が実現できても、100兆使っていたら、ただのアホです。やめてほしい。現にいくら使ったかを隠しながら「私はこれだけの成果を実現しました」とアピールするなんて、実によくある手垢のついた欺瞞に過ぎないのですが、結構これで騙されている。確かにある見方をとれば人のやることに失敗や無駄はひとつもないといえますが、それは個人の人生訓に属する話で、それで政策を評価してはいけません。

実際、政策を支えている思想について考えてみれば、安易に「ああすればこうなる」(養老孟司)と考えすぎで、根本的な思想とか方向性は、全く間違っています。こんなことやらないで他に資源を回した方がいいだろうと思います。

ちょうど今起こっている問題で例えれば、世界史を必須にしたことと、それが履修されなかったことの間の因果について、もっと考えてみる必要があると思います。必須にしなければもっと普通にきちんと学ばれていたかもしれないし、学ばれていただろうと思います。この「塾」も、「裏」で世界史の問題と同様の問題を引き起こすことでしょう。47thさんが辟易されている通り。

他にも中央と地方とを問わず、現に実施されている政策を見ると、東京都がカラスを退治したとたんに、ハトの害で悩まされるようになった、とか、分野の枠を取り払って眺めてみると、どれも似たような形の間違いばかりが目に付きます。つまり安易に、「ああすればこうなる」と考えすぎだということです。ことごとく「こうなって」いないのに、誰も責任を取る人がおらず、「ああしてもこうならなかった」話ばかりが、国民の負担で、うずたかく積まれている。その安易さにメスを入れられるのがローエコ的な視点である、という従来からの貴殿の主張にも全く賛成です。

Posted by bun : 2006年10月30日 19:14

>通信屋さん
まさに国際標準の影響を受ける立場にある企業が従来十分な関心を払わなかったことについて、政府が旗振りをしただけでどうにかなるのかについて私はやはり懐疑的ですし、そもそも政府に旗を振ってもらわないと意思決定ができないとすれば、そうした体質そのものが日本企業の交渉力を低下させてきたものであって、今回のような政策はそうした体質を助長するだけのような気もします。
とはいえ、技術屋さんと合わせて、ご意見は非常に参考になりました。何れにせよ、今回の政策がどのようなものになっていくのか、その具体的な姿については引き続き注目してきたいと思います。

>暇人さん
興味深い情報をありがとうございます。
アメリカについて言えば、ISOの設定については、常に知的財産権や競争法との関連がありますので、各企業において法律家は関与していると思いますが、何れにせよ、こうした「交渉技術」で何とかなるという発想には懐疑的にならざるを得ません。
もちろん、「交渉技術」それ自体としては、本来まとまるべき交渉をまとめたり、協力を前提としたポジティブサムなスキームをまとめるという意味では重要なのですが、基本的な力関係(交渉力格差)をどうこうするようなものではないので、「交渉技術を磨いて会議で勝つ」というのは、どうも私のイメージとは違うんですよね。
ただ、やるのであればご紹介頂いた大学院のように分野を絞ってケース・スタディを徹底的に詰めるべきでしょうし、そうした役割というのは、それが有用であれば民間で提供できるものだと思います。

>bunさん
この発想について、世界史問題と同じ匂いを私が感じていることまで見抜いていただき、もう何もいうことはありません。
オズの魔法使いでは、世の中には全てを解決する魔法使いがいるという考えは幻想以外の何者でもないと突き放した上で、全て個人の努力によるものだという点で、これまた夢がないわけですが、さりとて、無垢に生きていれば地蔵が金銀財宝を持ってきてくれるというのも、何とも夢がありすぎなんで、「中庸」であることの難しさと大切さを最近とみに感じるところです。

Posted by 47th : 2006年10月30日 21:27

小僧氏
> 国家プロジェクトで「塾」を作らないと経営陣がコミットしてくれないのなら
> ばそれはそれでなんともならないような気がする

47th氏
> そもそも政府に旗を振ってもらわないと意思決定ができないとすれば、そうし
> た体質そのものが日本企業の交渉力を低下させてきた

仰ることは本質を突いていると思います。

ただ、現場担当者はこうした抽象論では動けないことはご理解下さい。また「xxは駄目」「xxは本質ではない」という議論は生産的ではありません。私の印象では、政府の担当者は皆様のご指摘は理解した上で、では具体的に取るべき行動は何か、という問題意識から提言しております。

とりあえず非専門家である皆様にご理解頂きたいのは、MSやGoogleは自助努力だけで世界標準になったではないか、だから政府の関与など不要だ、は間違いだと言うことです。日本が誇る、自助努力をベースとした品質管理にISO 9000という黒船がやってきて仕事の進め方を軒並み否定され、関係者が屈辱に震えたのはそれほど古い話ではありません。ISOでは政府は正式メンバではありませんが、陰に陽に影響力は持ち、メンバ参加したり、議長を務めることは(どの国でも)珍しくありません。

通信は、どの国でも政府が明示的に関わります。電波割り当て、ナショナルミニマムの維持、緊急通信(110他)、等々。このため標準化でも、最終的には政府としての意志決定が必要となる場面は多いのです。政府の関わり方として現在の方法がベストかは大いに議論すべきかと思いますが、全てを民間の自助努力で解決すべき、はあり得ません。

***
では現場担当者は思う改善点、を少し書かせて頂きます。

当たり障りがないよう(爆)長期的な話に絞りますと、英語力ですね。それも、書く英語力です。正しく敬語を使い、婉曲表現を適切に使った英文を書く能力です。

日本は(少なくとも通信関係の会合では)信用されています。日本の担当者がつたない英語で振り絞るように言うコメントは、皆が好意的に聞きます。日本が「動く」といえば動く。逆もしかり。技術標準化会合の場で、第一に必要なのは技術力です。日本はこれに関して高い評価を勝ち得ています。長年かけて日本が築いた信用です。

ではもう一歩二歩進み、役職者として座を仕切るために必要なのは何か。合意文書を書き下す能力です。錯綜した議論をまとめ、関係者全員が納得する合意文書を書く能力です。英語にも敬語や婉曲表現があります。日本語以上という人もいます。それらを駆使し、鋭く対立する議論の妥協点を「これでどうだ?」と微妙な言い回しを使って書き下す能力。これが座長には要求されます。

日本語ならば国際標準化会合でも座長が十分に務まる技術者を日本は豊富に擁しています。だが座長が務まる技術力を持ち、かつ英語での敬語表現を的確に使いこなすことが出来る人間は限られます。しかもそうした方々は組織のキーマンであることが多く、標準化の場には引っ張り出せない場合が多いです。もう少し英語力があれば、そうした人材の層の厚みが増し、日本の標準化での発言力は劇的に向上するだろうと私は思っています。

聞き取れない?喋れない?それは重要ではありません。座長は、聞き返す権限を持っています。敬語表現が的確に使えるほどの英語力があれば、多少のリスニングはできるものです。それでも聞き取れないような発言は、ネイティブでも訳が分からなくなるような発言と思ってよい。「で結局、おまえの提案は何だ」と聞き返せば十分です。それよりも書く能力が重要です。

映画で英語を覚えよう。そうした英語力が必要な人もいるのでしょう。でも、ビジネスに必要な英語はそうした方法では身に付きません。学生言葉で喋れても駄目なのです。それよりはwww.iht.comに登場するような英語を書く能力が重要です。

Posted by 通信屋 : 2006年11月02日 04:05

>通信屋さん

私のお願いに応えて、コメントを再投稿して頂きありがとうございます。

個別の点については、やはり「交渉力の本質」について考えているところにかなり隔たりがあると思いますが、それでも現場にいらっしゃる方の実感をお聞きすることは大変に参考になります。
なお、合意文書を書き下すことについては、一応、我々企業法務の弁護士はそれを生業としていますので、是非、そうしたリソースも活用して頂ければと思います。

Posted by 47th : 2006年11月08日 14:27

しばらくアクセスしていない間に議論が進んでいたのですね。すみませんでした。

>通信屋さん、
私が言いたかったこと、言わなければならなかったことを丁寧に御説明いただき本当にありがとうございました。
私は47thさんの
>もし、本当に交渉技術で何とかなる話なら、経験のあるアメリカの法律事務所を高いフィーで雇えばいいだけです。
という発言から、ああもう現場の技術者とは全然違う視点での話をされているんだな、と萎えてしまい、以降のコメントを続ける気力をなくしてしまいました。
政府の担当者はそれなりに現場の事情を把握して動こうとしているという印象は私も持っています。必要以上に話を膨らませて変な方向に持っていこうという人もいるかも、という危惧もありますが、うまく現場の役に立つ制度になるといいなと期待しています。

>47thさん、
私も狭い世界しか知らないので、私が知らないIEEEやISOの技術分野、あるいは他のStandard Bodyには、日々のWorking GroupのChairingを上手く廻すために法律事務所を使っているような企業さん、あるいはそういう分野を得意とする法律事務所もあるのかもしれません。非常に興味がある分野ですので記事等あればぜひご紹介ください。

Posted by 技術屋 : 2006年11月09日 23:27

>技術屋さん
誤解を招く言い方をしてしまったようで申し訳ありません。
むしろ、私が申し上げたかったのは、「交渉技術」の問題であれば、それをアウトソースすることで何とかなるけど、そうではないのではないか?(会議の場にいっての立ち回りで何とかなる問題ではないんではないか?)ということでした。
ただ、現場にいらっしゃる方が、違う感覚を持たれるのであれば、それを否定するほどの確証があるわけではありません。
何れにせよ、政府のイニシアティブがよい方向に(何がよい方向なのかと言うこと自体も議論の対象となり得るので難しいと思いますが)向かって欲しいとは思っています。

Posted by 47th : 2006年11月10日 13:45

>47thさん、

コメントありがとうございます。

私が意図していて、おそらく通信屋さんも意図されていることの一つは、日本人技術者が積極的にWorking Groupでチェアを取り、「本来まとまるべき交渉をまとめたり、協力を前提としたポジティブサムなスキームをまとめる」といった地道な日常作業を継続的に繰り返す中で(こういったWorking Groupでは色々な作業を何年も継続して行います)、ピアのメンバーとしての立場では分からない他のメンバーの本音を掴んだり、他のメンバーに貸しを作ったりすることができる。そしてその積み重ねが、例えば自分に有利なアジェンダセッティングができるといった形で利益として帰ってくる、ということです。
47thさんは、参加者が条件を固めた上で天下分け目の会議に臨み自分に有利な落とし所を探る、という交渉を想定してらっしゃるようにコメントからは読めました。なのでこれ以上話を続けても噛みあわないなと。

小僧さん、
> 国家プロジェクトで「塾」を作らないと経営陣がコミットしてくれないのなら
> ばそれはそれでなんともならないような気がする

47thさん、
> そもそも政府に旗を振ってもらわないと意思決定ができないとすれば、そうし
> た体質そのものが日本企業の交渉力を低下させてきた

については通信屋さんからもコメントが付いてますが、私は単純に今までしかるべきレベルの人間が気付いてなかった、伝わってなかったという面もあるのだと思います(いやもちろん気付いていた業界も当然あるのでしょうが)。「今までやってなかったというのはきちんと詰めた上でやれなかったのだろう」というのは(恥ずかしながら)ちょっと違うのかも、という業界もあります、ということで。

Posted by 技術屋 : 2006年11月11日 14:16

>技術屋さん

確かに持っているイメージが違っていたようです。
ただ、私が存じ上げている日本企業の技術関係の人々を思い浮かべると、そうした地道な活動の中で信頼を得ることについては、今さら学ばなくても、まさに日本人の得意とするところじゃないかという気もしますし・・・ただ、確かにその誠実さが裏目に出てしまうこともあるのかも知れないという気もします。そうだとすると、利害の対立する場面では、自分の利益を主張することを意識させるような意味での教育も意味があるのかも知れませんね。

技術屋さんや通信屋さんのお話を聞いて、少なくとも、私が最初に印象で思ったのとは違う部分があることも分かってきました。
議論につきあっていただき、本当にありがとうございます。

また、何かお気づきのことがあれば、何卒宜しくお願いいたします。

Posted by 47th : 2006年11月11日 21:14

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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