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「阪神タイガース上場」の意義と可能性

プロ・スポーツ・チームと上場についてというエントリーで触れた商事法務さんのメルマガに投稿したコラム記事なんですが、せっかくなのでブログに転載です。

阪神電鉄株式の40%弱を取得した村上世彰氏の主催するM&Aコンサルティングは、阪神電鉄の経営改革の一環として阪神タイガースの上場を提案したようである。
ヨーロッパでは、一時期に比べれば少なくなったとはいえ、中村俊輔の在籍するセルティックやイタリアのユベントスをはじめとして尚多くのサッカー・クラブが上場している。しかし、同じくプロスポーツの盛んな米国では、そもそも上場したプロスポーツ・チーム自体がごく僅かな上に、それらもまたここ数年で再び非公開化している。
ヨーロッパにおいては、各クラブがスタジアムの建設費用を負担しなければならないために資本市場へのアクセスが必要になったという事情があった。これに対して、自治体がスタジアムを提供する米国においては、上場は寧ろオーナーの持分換金手段の一つに過ぎず、それだけでは情報開示のコストに見合うだけのメリットが見出せなかったことが、こうした状況の違いを生んだとも言われる。
上場はファッションではない。コストに見合うベネフィットが得られなければ、上場を断念することは、ビジネスを営むオーナーとしては当然の判断である。阪神タイガースの上場にあたっても、まずは、こうした視点からの検討がなされるべきであろう。
もっとも、仮に上場することがオーナー側にとってメリットがあることになった場合でも、果たしてプロ野球球団が資本市場から評価されるかという問題もある。昨年のパ・リーグの球団売却騒動を持ち出すまでもなく、親会社に依存しなければ成り立たないビジネス・モデルのままでは、上場したとしても普通の投資家にはそっぽを向かれるだけである。
村上氏は上場後の株主層として球団のファンを想定しているとも報道されているが、企業としての本質的な価値を無視したところで価格形成がなされれば、投機相場で株主となったファンが被害者となることすらあり得る。「普通の」投資家による適切な評価があるからこそ、「ファン」株主も安心して株式市場に参加できるのである。 今の日本のプロ野球球団が、「普通の」投資家に評価されるかどうか、あるいは、そのためには何が欠けているのか、そうした視点で「上場」について考えることは、「企業」としてのプロ野球球団のあり方を見直す契機となり得る。球団の宣伝広告や、あるいは一時的な世間の耳目を集めるためではなく、本当の意味で球団上場の意義と可能性が検討されることを、一プロ野球ファン、あるいは一阪神タイガースファンとして願ってやまない。

・・・私のコラムはともかくとして、商事法務さんのメルマガは、法律関係の重要なニュースが参照資料のリンク付で紹介されているので、何かと重宝しています。こちらから登録できます。無料ですので、まだの方は是非お試しになってはいかがでしょう?


Posted by 47th : | 23:34 | Sports

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コメント

コラムを書かれてたの思いっきり見落としてましたよ。
商事法務も折角のコラムなんだから、あんな気付き難いメルマガの末尾に
載せるんじゃなくって、頭の方に載せるべきですよね。

Posted by HardWave : 2005年10月21日 07:41

HardWaveさんへ
商事法務の担当者を擁護する訳ではないのですが、メルマガやるのにも相当担当者ベースでいろいろな曲折があったかもしれませんので暖かい目で見てやってくださいませ。前から、メルマガに法務コラムをというのは提案してたんですが、いろいろ交渉の上47thさんのご玉稿に恵まれたのでOKが出たんだと思いますし。確かに巻頭コラムでしかるべきだと思ってます、ろじゃあもね。

Posted by ろじゃあ : 2005年10月21日 12:04

47thさんへ
私的通信・・・
阪神が4連敗くらいました。
ロッテが31年ぶりの日本一になりましたとさ(TT)。
来年もがんばりましょう・・・。

Posted by ろじゃあ : 2005年10月26日 08:57

47thさん
ブログ拝見しました。いつも勉強させていただいております。
TBさせていただくのでよろしくお願いします。

また、随分前の話ですが、移転前のブログで、47th氏が3月8日に書かれた「TOBルール「強化」の証取法改正案ねぇ・・・」を当ブログでご紹介させていただきました。

Posted by foresight1974 : 2005年10月29日 09:25

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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