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会社法現代化の大功と微罪

新会社法における定款自治の限界?について、葉玉さんからコメントをいただきました。
・・・やっぱり、ご覧になってるよなぁ・・・葉玉さんだけじゃないよなぁ・・・と思っても、あとの祭りなんですがorz
まあ、思っていることは思っていることだし、隠してもしょうがないからとは思いつつ、ふと、葉玉さんのコメントの次の部分を読んだ後に自分のエントリーを読み直すと、確かにトーンがネガティブに過ぎるような気がしてきました。

私達の感覚では、定款自治の範囲が現在より広がりこそすれ、狭まっているとは思えないのです。
もちろん会社法は強行法規が多いですけど、商法だって強行法規は多いですし。

これは、仰るとおりです。
この前のエントリーだけを読むと、会社法現代化は、まるで規制強化をはかったみたいですが、そういうことではありません。
ガバナンス構造の選択の幅やファイナンス手法の柔軟性は旧商法に比べて飛躍的に広がっています。
組織再編部分の整理・柔軟化や種類株式制度、会社財産分配制度の合理化といった目立ちやすいところ以外でも、資本制度のあり方や計算関係規定の考え方なども非常に考え抜かれていますし、個人的には要綱レベルでの提案のほとんどについては合理的だと思っていました。
その意味で会社法現代化の「功」は、計り知れません。
ただ、そのことと新会社法に不満を持たないということはイコールではありません。
どんな商品でも全体的に満足していても、どこか細かいところでは不満が残るものです。また、そうしたユーザーの不満が商品の改良につながるのではないかと思います。
というわけで、この際、一ユーザーの不満を述べさせていただくと・・・・条文数が多い、とか、条文の体裁が取締役会非設置会社を原則として書いているので直感的に読みづらい、とか、しばしば旧商法であったはずの条文がどこに飛ばされたのか見失うことがある、とか・・・まあ、これは愚痴です。勉強します。はい。
そういうユーザーサイドの怠惰さに起因する不便さは措いておいて、本当に気になっているのは、条文相互間の関係を徹底的につめ、条文の意味をできるだけ明確化しようとする超人的な作業の中で、会社法の基本的な原理で要綱段階では議論されなかった部分についても一定の立場を織り込んでしまった(あるいは、そういう具合に読めてしまう)部分があるところです。
前に少し触れた株主平等原則を明文化した109条や今回の定款規定に関する29条などは、そうした観点で気になっています。旧商法の下で解釈に委ねられていた部分について条文ができること、あるいは、立法担当者が一定の解釈をとられることは、実務的には大きな影響を及ぼす可能性はあるように思われます。ただ、そうした個別の条文の解釈論において生まれるリスクと、全体の会社法現代化というプロジェクトのもたらすベネフィットでは、全く比べものになりません。
・・・というわけで、会社法の個別の条文の解釈についていろいろと愚痴をこぼすとしても、それと旧商法の方がよかったかというのは全く別の話だということは、ご理解いただけると幸いです。


Posted by 47th : | 13:26 | General Corporate

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Q1 内部統制報告書とはどのようなものですか? 金融商品取引法24条の4の4は、「当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年07月30日 14:52

コメント

>会社法の基本的な原理で要綱段階では議論されなかった
>部分についても一定の立場を織り込んでしまった
>(あるいは、そういう具合に読めてしまう)
>部分があるところです。
>前に少し触れた株主平等原則を明文化した109条や
>今回の定款規定に関する29条などは、
>そうした観点で気になっています。

私のBlog記事の主眼も、むしろこの点にあります。
「こういう規定は作ってもらいたくなかった
(もっと謙抑的になってほしかった)」というのが
私の感想であり、「争いのありうる微妙な問題について
それらの規定が一定の回答を与えるものではないと
解釈していこう」というのが私の戦略です。

Posted by いとうY : 2005年12月30日 21:54

47thさんや、いとうYさんのおっしゃることも大変よく分かる一方で、会社法という一本の法律を作るプロセスにおいては、法制的にも政治的にも乗り越えるべき障壁が多いという現実もあります。法制審の時には思ってもいなかったような指摘をあちらこちらから受けて法制審の結論と矛盾しない範囲で変更を迫られたり、法制審でAという結論を採った以上、Bという結論を採るのが論理的であるのに、「Bまでは法制審では論じていない」というご批判を受けたりします。
ただ、私達は、そういうことを引っくるめて、どんどん批判していただいて、次の改正につなげればいいと思っておりますので、47thさんが批判を記事にするのを萎縮される必要は何もないと思います(笑)

Posted by 葉玉匡美 : 2006年01月02日 08:18

>いとうY先生

>「争いのありうる微妙な問題について
>それらの規定が一定の回答を与えるものではないと
>解釈していこう」というのが私の戦略です。

仰るとおりだと思います。
プレッシャーをかけるわけではありませんが、新会社法に関する先生のこれからの御論稿を楽しみにしています^^

>葉玉さん

昭和25年改正以来の大改正ですので、いろいろとご苦労がおありだったこととお察しいたします。

>私達は、そういうことを引っくるめて、どんどん批判していただいて、
>次の改正につなげればいいと思っておりますので、
>47thさんが批判を記事にするのを萎縮される必要は
>何もないと思います(笑)

会社法は私の業務分野にとっても最大のインフラであり、そこに住む者の目から見たときに気づくこともあるということで、そう言っていただくと安心します。
これからも宜しくお願いいたします。

Posted by 47th : 2006年01月07日 10:03

>法制審でAという結論を採った以上、
>Bという結論を採るのが論理的であるのに、
>「Bまでは法制審では論じていない」というご批判を受けたりします。

 葉玉さんが出てきそうにないところで邪推するのは問題かも知れませんが、A=会社設立時の打切り発行、B=資本充実責任の廃止 ですかね。
 だったら、Bの方がよっぽど重要ですよね。Bが出てくるのが分かっていたなら、正々堂々と議論したら良かったのに(次の改正まで待たなければならないんでしょうか)。要綱にAが取り上げられたとき、「なんて詰まらない問題なんだろう」と思っていました。

Posted by mousikos : 2006年01月13日 13:54

 
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