ふぉーりん・あとにーの憂鬱

龍さん、お元気そうでなによりです。執筆にあたりこのブログもずいぶん参考にさせていただいた御礼に謹呈したのですが、こうやって宣伝いただきまた「借り」ができてしまいました（笑）。
一般人が気軽に読める会社法の本、是非出してください！こないだＮＨＫの「クローズアップ現代」でもやってましたが、今日本では新書ブームだそうです。私の本の出版社にこのブログの紹介かたがた伝えておきますよー。

こんにちは。まだ47ｔｈさんの部分だけですが、拝読しました。

まず本文と脚注のバランスが素晴らしいと思いました。たとえば「公開企業」「上場企業」の分別など類書を読むといつも疑問に思ったままはぐらかされてきた部分で、「ああ、この著者、株やってないから逃げたんだな」という理解で先延ばしし続けてきたところであります。この説明がこれからも多くの議論を照らすことでしょう。よく踏み込まれたと思いました。

私が書けることとしてひとつあげるとすれば、ゲームの理論やエージェンシーの話は企業行動を考える上でそのまま使えるぴったりの大きさの「ものさし」なのでいいのですが、パレート最適の「効率性」(pp138)については正直少し違和感を感じました。あの「効率性」は国の単位の効率性でありまして、ぶっちゃけた話企業行動を論ずる際のものさしとしては相当に大きすぎるのではないかと思います。私が指摘するまでもなく、既に悩ましく迷われたでしょうから蒸し返していたら申し訳ないですけれど。

企業買収防衛戦略を考える上で拠って立つべき「効率性」については、たとえば果たして短期的にも長期的にも（つまり動学的にも）一切の非効率が許されないものかどうか、許されるとすればどのようにどこまで許されるのか、ゲームの理論やエージェンシーの問題や従来の効率性とどのような関係をもっているのか、等々の問いに答えられる形で、独自に定義した方がいいのではないか、と思っております。

もっともこれは多大に経済学側の仕事不足ということでしょうし、たとえば、じゃ、bunがやれよ、というとこの人はオヤジギャグ飛ばしてマクロの国に逃げ帰ってしまうし（笑）、ということで何だか申し訳ない気もしておりますが。

＞bunさん
お買い上げ、本当にありがとうございます
「効率性」に関しては、ご案内のようにパレート基準は緩やかな基準なので、ミクロの世界が中心のローエコでも使われているのですが、本来は社会の成員全体の効用を考慮しないといけないところ、しばしば構成員の範囲が文脈に応じて暗黙に定義されているところは、ご指摘のようにちょっと本来の用法からは外れているのかも知れません。
さすがに新しい効率性基準までつくるのは荷が重いんですが^^;、動学的な部分については、寡占市場モデルを使った改良の余地は大きいと思います。非合理性の問題と合わせて、この辺りは今後の課題です。
また、お気づきの点があれば教えてください＾＾