ようやく一つインクラスのテストが終わって反動が来ていますが、明日ももう一つインクラスがあるんで気は抜けません。
テストの愚痴をぶちまけたいという欲望もあるんですが、ちょっと気になる記事が・・・
阪神・阪急経営統合案、村上氏側が提案…ファンド発表 (Yomiuri Online)
阪神電気鉄道の筆頭株主で、村上世彰氏が率いる投資ファンド(村上ファンド)は3日、インターネットのホームページを通じてコメントを発表し、「阪神と阪急ホールディングスとの統合案は今年2月以前に私どもから阪神に提案し、その際、阪神は拒絶した」と、折衝の内幕の一部を暴露した。
阪神は「4月まで、ある企業との経営統合を、盛んに当方に提案していた」ことも明らかにした。
そもそも、今回の件は大量保有報告書における目的の記載のあり方(どこまでなら「純投資」と言えるのか)とか、それへのサンクションという現行証券取引法における問題点を浮き彫りにしている点でも興味深いと思って見ていました。
つまり、最初は「純投資」ですよ、といって株を買いだしておきながら、やっぱり「経営支配だ」と居直られてしまうことを、どうやって防ぐのかというお話です。
まあ今回の場合は、そもそも45%もとった時点で、誰も本気でそう信じていないかも知れませんが、例えば、5%程度を取得した段階で、この買収者がどの程度まで株を買いますのか、とか、経営関与をしていくのか、という情報は、一般投資家にとっては投資判断において重要な情報ですよね。
大量保有報告書におけるミスリーディングな記載に対するサンクションについては、前から気になっているので、帰国前にはどこかで調べておきたいと思ってはいるんですが・・・おそらくアメリカでは大量保有報告書(Schedule 13(d))の不実記載も投資家による証券訴訟(10b-5)の対象となるリスクがあるので、買収者側も買収計画とか経営関与の意図についての開示を慎重にやっているということだと思うんですが、この辺りは何れどっかできちんとやるとして、今回のポイントは最後の「4月まで、ある企業との経営統合を、盛んに当方に提案していた」という辺りです。
M&Aコンサルティングからの5/3付けプレス・リリースを拝見すると、次のように書かれています。
そもそも、阪急との統合案は、本年2月以前から私どもから阪神電鉄に提案し、その際は阪神側 はこの提案を拒絶したものであります。そして、4月までは、ある企業との経営統合について盛んに 当方に対し提案していました。
日本の証券取引法上よく分からない、というか、余り想定されてこなかったのは、こうした買収者と対象企業との交渉における情報のやりとりや提案に関するインサイダー規制における取扱いです。
買収者と対象企業とが一定の合意に達するためには、ある程度交渉の機密性は求められます。
他方で、買収者と対象企業の交渉の行方は株価に大きな影響を与えますから、投資家としては、その情報を一刻も早く知りたいでしょう。また、もし、秘密にされている情報を何らかのルートで手に入れれば、その情報を使って株式市場で利益を得ることもできるでしょう。
更に、交渉の過程で対象企業が買収者に対して非公開の重要な経営情報を開示したり、あるいは、買収者がデュー・デリジェンスを行って非公開情報にアクセスすることができた場合に、もし買収者が依然として市場で自由に株式を売買できるとすれば、どうでしょう?
何も、この問題は買収者にだけかかってくるわけではありません。例えば、対象会社がホワイト・ナイトに対して非公開情報を開示して、それを下にホワイト・ナイトが市場で買い増しを進めたり、買収者からの株式の譲受を求めたとしたら・・・
買収に絡むこうした情報のやりとりと買収者・ホワイトナイトによる株の買い増し・売却には、本来、常にインサイダー規制との関係が問題になります。
この辺りは、インサイダー規制の原則論だけを振り回しても、妥当な結論が得られるわけではなく、また、平時における情報開示の程度とも関連して、非常にテクニカルな部分に踏み込んだ議論が必要になるのですが、これまで日本では買収が比較的少なかったこともあって、余り議論されてこなかった部分です。
買収防衛策の設計やTOBルールばかりに注目が集まっていますが、買収に絡む制度設計は、買収を取り巻く情報規制(買収者側及び対象会社の情報開示義務の内容、インサイダー規制、相場操縦規制)の設計と不可分一体のはずです。
この「2月以前から・・・提案し、その際阪神側は・・・拒絶した・・・そして、4月まで・・・当方に対して提案」という時期の書き方も味があるんですが、これまで日本の買収関連制度に問題を投げかけてきた村上氏が投じた大きな一石となるような予感もするところです。


















