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金融庁と中央青山の危機管理

風邪と花粉症のダブルパンチで頭痛がひどくて、明後日の締切までにエッセイとペーパーを書き終わるなんて、本当にできるのか、かなり不安です。
まあ、こういう気分は日本にいるときは珍しくなかったんですが、すっかり感が鈍っているんで不安です。

というわけで、ブログを書いている暇もあらばこそなんですが、やはり、相当話題になっているニュースについては、少しインプレッションを、というわけで、とりあえずNIKKEIの記事を。

金融庁は8日、中央青山監査法人に対し、カネボウの粉飾決算などで所属会計士の不正を未然に防ぐ内部管理体制に重大な不備があったとして、週内にも監査業務の一部停止命令を出す方針を固めた。期間は1―2カ月となる見込みで、すでに監査を担当している一部企業への監査業務も停止の対象となる。・・・
中央青山への処分は公認会計士の監査を公的な立場から審査する公認会計士・監査審査会に諮ったうえで正式決定する。同審査会は9日に開かれる予定。

この処分が、どの程度の影響を持つのかという話も興味深いといえば、興味深いんですが、こればっかりは処分の具体的内容を見ないと分かりませんし、日本の場合は、(良くも悪くも)個人の会計士の先生への信頼が大きい部分もあるので、ネットの影響というのはそれほど大きくならないかも知れないという気もしています。

むしろ、この記事を見たときの私の野次馬的関心は、「(9日の)公認会計士・監査審査会に諮ったうえで正式決定する」という部分。

neon98さんの記事を拝見すると、一時期は「全面業務停止」という報道もなされたようですし、審査会に諮る前に結論が決まっているような書きぶりになっているところからしても、金融庁としては意図しないリークだったという気がするんですが・・・これを見て思ったのは、当の中央青山は、事前にこの処分についてどの程度相談されていたのか、ということと、金融庁と(もし事前に知らされていたとすれば)中央青山は、今回のような情報のリークがあった場合の対処について、どういう具合に考えていたんだろうということです。

とりあえず、今金融庁と中央青山のHPを見たところでは、どちらもこの話題は触れていません・・・が、潜在的な影響の大きさを考えると、それなりの情報管理と危機管理は当然やっていなければならないはずです。
まあ、監査法人は上場していないので、個別に依頼者と連絡をとって理解を求めればいいのかも知れませんが、これが上場金融機関や顧客が一般人の場合には、かなりの混乱が起きそうな話です。

そういう意味では、こういう処分に際しては処分自体の内容もさることながら、余計な混乱を避けるためのソフト・ランディングのための手順というのは、やはり重要ですね・・・と、思ってアイフルの時はどうだったんだろうと振り返ってみると、4月10日の値の下がり方が若干気になるものの、11,12,13については滲み出しの徴候は(ぱっと見)見られないので、一般的には(当然ですが)相当に気を遣っているということではないかと。
ただ、情報というのはかなり意識的に管理していても、漏れるときは漏れますし、その漏れ方のせいでまとまるはずのディールが壊れることもあるんで、M&Aなんかでも終わりが近づくにつれ、こういうリスク・シナリオというのは重要になります。
今回の場合の、金融庁と中央青山の対応はネットからだけでは何とも分かりにくいんですが、個人的には、その辺りにも興味が湧きます。

最後に、また正式発表があってから考えたいとは思いますが、組織ぐるみの意図的な行為ではなかった場合に、内部統制体制の不備という理由で厳しい処分を下すべきかどうかについては、いろいろと考えるべきポイントがあるような気がします。特に、この場合の「あるべき監査水準」を余りに高く設定してしまうと、実質的に結果責任を負わせてしまうことになり、過度に監査法人が保守的になったりといったことも生じてしまいます。
世の中では、監査法人の責任を強めれば企業不祥事は解決するという見方もあるようですが、前例の乏しい金融取引や企業再編について「前例がないから」とか「会計基準にあてはまらないから」という理由だけでストップがかけられてしまうと、経済活動のダイナミズムは大きく損なわれます。
会社の場合は、それでもうまくいった場合の利益が大きければ「リスクをとっていきましょう」という話もありますが、監査法人にとっては、もらえる報酬は限度があるのに、万が一後で違法と言われた場合のリスクは「廃業」・・・という話になりますから、必要以上にコンサバになる理由はいくらでもあります。

アメリカやヨーロッパでも、第三者専門家をゲートキーパーとして使うことによって、過度の萎縮効果があることは十分に意識された上で、制度設計について議論がなされているわけですが・・・さて、日本の場合はどうなのか、今回の件は一つの試金石になるのかも知れませんね。

 


Posted by 47th : | 01:59 | Corporate Governance : Compliance

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コメント

ろじゃあです。
TBさせていただいたのですが、ちょい調子悪いかもしれません。
昔はなんだかんだ言っても政治家の一部がこの手の話についての最終的な絶妙な妙手というものをどこかの段階でひねり出すような醍醐味があったような気がするんですけど(それが霞ヶ関の官僚によるサジェスチョンによるものだとしてもですけどね)、どうもシャープに叩くあるいは切れ味の美しさみたいなものが重視されているのではなかろうかという気がすることが多くなったような・・・。
それだけだったら誰にでもできるんですけどねえ(^^)。
そしてその水面下で何らかの関係者が足をばたばたさせながら自体の収拾に奔走しているかと思うと・・・今回の件はそれでもまだ落としどころは模索したほうなんですかねえ。
法政策学と立法技術論がもう少しなんというか・・・目に見えるルールとして確立しないといけないと思うんですけどねえ。

Posted by ろじゃあ : 2006年05月09日 03:43

夕方時点ではこのようなコメントが掲載されていましたよ。

http://www.chuoaoyama.or.jp/pr/press/prpre060509_0101.html

Posted by Tomoki : 2006年05月09日 08:45

ご無沙汰しています、悪童です。
>金融庁としては意図しないリークだったという気がするんですが・・
とのご意見ですが、これだけの話を何らの確証もなく独自の判断で一面トップ記事にできるハズもないので、私としては処分する筋からのアドバルーン記事、つまり世間の反応を見るべく、ある程度”作為”があったと思います。というのは同じ書き手の立場から見ると、文中に数字を入れるのは結構神経を使うところで、単なる観測記事であれば、数字とこれだけ5W1Hはきっちりと入れられません。また本当に純粋なリーク記事(ヘンな表現ですが)であれば、後から「遺憾」とのコメントか、関係者処分など何らかの動きがあるので、特にそういうことが見られないところからすると・・・。

ところで今回の報道によらず、某紙では正式なリリース前に朝刊ベースで報道されることが恒常化していますが、個人的に「??」との思いを持っております。勿論、メディアが大本営発表記事だけを送信し、権力から猿轡を嵌められるなどあってはならないことですが、例えば今朝の「J社、第三者割当増資を6月に実施」という内容は、法令違反の疑い濃厚・・・。本当に情報管理に気を遣っているのか、疑いたくなります。

すみません、久しぶりだったので筆が滑っちゃいました。

Posted by 悪童 : 2006年05月10日 00:23

横レス失礼します。
悪童さんのコメントと磯崎さんの今日のエントリーを併せて読むと面白いっす。
新聞というメディアとRSS配信が並列するようになると新聞は記事を「正式なリリース」で取得する時点から作成し、朝刊か夕刊という形で出さないといけないわけで。
せいぜい対抗しようとしてもネット配信でしょう。まだテレビの方がこのルールだと競争力があると思いますけど。
公正な情報のリリースを徹底するならこの方式でないといけないかもしれません。
でもそれこそ朝刊の意味が相当失せますよね。
だからといってコンプライアンスと無縁というのはどうもねえ・・・(^^;)
横レス失礼いたしました。

Posted by ろじゃあ : 2006年05月10日 02:26

>TB&コメントを頂いた皆様
PWCが別法人設立とか、何かよく分からない動きも出ていますが・・・すみません、現在、試験とペーパーの追い込み中につき、深く考える余裕がありません。
また、落ち着いたところで、まとめてみたいと思います。

Posted by 47th : 2006年05月10日 12:21

試験とペーパーに集中してくださいまし。
なんか知りませんけど結構いろんな展開があるかもしれないということは確かみたいなんですけどねえ・・・。

Posted by ろじゃあ : 2006年05月10日 15:11

 
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