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『ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学』

先日、日本から商事法務や和書をまとめて送ってもらい、早速、読み始めているのですが、やはり最初に手にとって読み始めてしまったのは、『ベッカー教授、ポズナー判事のブログで学ぶ経済学』です。
 知っている人ならベッカーとポズナーという名前だけで身構えてしまいそうな本ですが、表紙と背表紙の二人のイラストで和ませてしまう辺りは、いい狙い。

 内容は、このブログでも時々とりあげているBecker=Posner Blogの2005年秋までに公開されたうちの12本のトピックと、Economist紙に連載されていたものから選ばれた20本のコラムの邦訳です。

ブログについては、オリジナルを読んだものもあるのですが、改めて読むと新鮮なものも多く、楽しんで読むことができました。

邦題ではブログの部分については、「ベッカー教授とポズナー判事のブログ対決」というサブタイトルがつけられているので、あたかも経済学者と法律家との間で激しい論戦が戦わされているかのようですが、実際には、両者の立場はかなり似通っているので、結論の方向性は同じで、その理由付けが若干異なるとか、補足が入っているという感じです。

で、これを読んだ方は、アメリカでは、判事も、あるいは法律家は、皆、ベッカーと同じぐらいに経済学的な思考様式をとるのかと思ってしまう方がいるかも知れませんが、もちろん、ポズナーは明らかに規格外ですので、その辺りはご注意を。

ただ、それぞれの主張はラジカルなようでいて、その論理はかなり詰められていますし、現実との関わりも強く意識されています。
私が個人的に感じたのは、後半のEconomist紙のベッカー単著のコラムと、ブログでのベッカーのトーンの微妙な違いです。単著コラムの方は、時に意図的なアジテーションや論理的な飛躍を感じさせる部分があるのですが(まあ、私がマクロ音痴のせいかも知れませんし、訳者によるコラムのセレクト(好み)もあるからかも知れませんが・・・何せコラム編の冒頭を飾るのが「"創造的破壊”が作用しやすい環境を作ろう」ということでシュンペンター賛歌から始まりますし(笑))、ブログの方はより中立的・論理的なトーンで、少し極端な立場をとる場合にも反対説や自らの立論の弱点について言及しているように感じます。

考えてみるに、①ブログということでスペースの制約がない、②ポズナーからのコメントを必ず得るため(あるいはポズナーの考察に対するコメントの形態をとるため)、他の論者がとり得る立場に配慮する、③コメントによるPeer Reviewを予め意識しているという辺りが理由でしょうか。

個々のトピックについては、私自身が異なる意見を持つものも少なくありませんが、ベッカーとポズナーが提示する議論の枠組みには、強い共感を覚えます。

経済学的な思考が何かということを真摯に知りたい方は、是非ご一読を。


Posted by 47th : | 19:01 | Book Review

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