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ビッグ・ディールに横やり

2005年の米国を代表するビッグ・ディール2つに対して、横やりが入っているようです。

MCI-Verizonの場合

A Campaign to Derail Verizon-MCI Deal (New York Times)

A large hedge fund said yesterday that it planned to mount a campaign against Verizon's $8.5 billion takeover of MCI, hoping to coax Qwest Communications International into reviving its previous offer for the company.

MCIといえば、VerizonとQwestからビッドをかけられた末に、額面金額では劣るVerizonのオファーを受け入れたということで話題になったわけですが、ヘッジ・ファンドが今更のように委任状勧誘でゆさぶりをかけてきたということのようです。
既にMCI-Verizonの契約はまとまっている以上、これが覆るとも思えません・・・というわけで、私の興味は、このディールが覆るかどうかというよりもこのヘッジ・ファンドの「狙い」の部分です。
このファンド、MCIだけでなくQwestにも株と社債を持っているようなので、ディールが覆るかもしれないという観測が流れることそのものに何か狙いがあるのかも知れません。
委任状勧誘自体は正当な行為なわけですが・・・市場の思惑を使うのも、一つの立派なヘッジということなのか・・・興味があります

Gillette-P&Gの場合

In a Lather Over the Gillette Deal (Business Week)

With Gillette shareholders scheduled to vote on the company's $57 billion merger with Procter & Gamble on July 12, Massachusetts Secretary of the Commonwealth William F. Galvin is turning up the heat in his investigation of the fairness opinions used to justify the deal.

こちらで「横やり」を入れているのは、マサチューセツ州の司法長官(Attoney General)で、ディールにあたってGilletteに出されたフェアネス・オピニオンがフェアだったかどうかを調査中とのこと。
とはいえ、株主の大半はディールには満足しているようなので、記事の論調も、これでディールがふっとぶという可能性は低いと見ているようです。
ただ、この問題の背景には、合併にあたってGilletteのCEOがゴールデン・パラシュートとして巨額の退職金をもらった上に、合併後のP&Gからも多額の報酬を得る職につくことが予定されている点などで経営陣の私的利益が追及されているんじゃないかという見方が背景にあるようです。
買収防衛にあたって経営者の自己保身を防ぐためのシステムが、友好的買収にあたって私的利益を追及する動機になるというあたりが皮肉なところです。

Posted by 47th : | 01:13 PM

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