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Bushの演説

図書館からうちに戻ってテレビを見ていると、突然、ブッシュ大統領のスピーチが始まりました。
話題はもちろんKatrinaのことです。
Videoはこちら、Transcriptはこちらにあります。
アメリカの直面する史上最大級の災害のついて、国民に何を伝えるのかと思い、興味深く聞いていたのですが・・・
聞いていると、延々と被災者の人たちに対する色々な支援プランやそのための予算を述べて、途中では、家族と会うための資金援助のための電話番号を繰り返し読み上げたりするのですが・・・何だか不謹慎かも知れませんが、途中で新聞の勧誘か、金融商品の説明を受けているような錯覚を覚えてきたりして・・・「アメリカ合衆国大統領」としてのメッセージや国民に訴えかける「何か」を感じることができませんでした。
一つ一つの施策の当否は分かりませんが、「大統領」に求められているのは、国民の気持ちを結びつけ、勇気や自信を与えることであって、細かいメニューを読み上げることじゃないでしょう?・・・そんなことを思ってしまいました。
もう一つ気になったのは、今回の被害拡大の要因の一つなっている所得格差や人種差別の問題についてのスタンスです。さすがに、この問題を避けて通るわけにはいかないとは思っているのか、「貧困」や「minorityの利益保護」には言及するのですが、彼が言うのは、復興される「ルイジアナでの」minorityへの優遇措置でしかなく、今回被災地とならなかったところに潜在的に眠っている国民の断絶の問題には触れなかったことです。
アメリカの国民の断絶は、ABCの行った世論調査でも表れています。
この中にある人種別の世論調査では驚くほどきれいに人種問題への意識のあり方が違うことがうかがえます。
「客観的真実」として、今回の被害の拡大に人種の問題があるのかどうかは私も分からないし、そもそも被害の全貌がつかめていない現状では、誰にも分からないというのが実際だろうと思います。
その客観的真実に至る情報のない世界におけるdefaultの「見方」に、これだけの断絶があるということ自体に何か意味があるような気がします。
この断絶は、勿論ブッシュ大統領一人の責任ではなく、アメリカ建国以来の一種の十字架なのでしょうが、それでも、こうしてその問題が顕在化する「きっかけ」があった以上、この困難な問題に正面から取り組むことが「大統領」として責任・・・と考えるのは、余りにも感情的なのかも知れませんが、今夜の演説を聴いて、何れにせよ、私の中のブッシュ大統領の評価は(元々低いのですが)、いっそう下がったというのが正直なところです。
まあ、それなら日本の総理大臣はどうなの?ということになるわけですが・・・ まあ、こちらは、衆院選も圧勝したところですし、この支持率を背景に頑張っていただくことを期待しておくことにしておきましょう。


Posted by 47th : | 11:26 PM

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コメント

久々の2日間完徹(^^;)。そろそろ意識朦朧フェイズに入りつつありますが、47thさんはお元気ですか(←いつもと違う入り方・・・ご海容を)
個人的な印象でしかないのですが、今回の一件は、インパクトとしては公民権運動のころと同様のインパクトをアメリカ国民に与えつつあるのかなあと思ってたんですけど必ずしもそうではないんっすかねえ。
ろじゃあも今回の件で「夢のアメリカ」の土台にある問題を久方ぶりに意識させられてしまった気がします。「アラバマ物語」あたりのころと本質的なところはちっとも変わってない・・・ってことはないのでしょうが。
今回のイラク派兵に関しても移民の方々が志願して兵士になるシステムをいろんなところでとりあげてましたが、これとて「永住権」という制度の根底にある、ある種の目に見えない、けど暗黙の何かがあることはアメリカの方々は認識しているのでしょう。それが「自由の国アメリカ」のやり方だし、活力の源泉だったのかもしれないのですが。
だからこそブッシュさんは・・・たぶん意図的に今後の制度のところに力点を置かざるを得ないところがあるのではないかと思うんすけどね。

Posted by ろじゃあ : September 16, 2005 04:26 PM

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