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保振がMSCBを使った擬似公募増資に対応

証券保管振替機構が「新株予約権付社債の取扱い対象の拡充について~証券会社の総額買取型新株予約権付社債の取扱いに関する制度要綱~」を公表しています。
「証券会社の総額買取型新株予約権付社債」というのは、要はMSCBを証券会社が引受けて株式に転換しながら投資家に売り捌くという例のスキームです。
内容はテクニカルなので、まあ備忘録程度なのですが、これについているデータを見ると、平成16年中は50銘柄3475億円だった発行総額が、今年に入って5月まで35銘柄3005億円ということで、着実にマーケットは広がっているようです。
まあ、それは証券会社も発行会社も、通常の公募に際して必要になる引受審査とか届出書、目論見書の作成(とその責任)が不要といわれれば、魅力的ですし、実質はその証券会社の顧客にだけディスカウントで上場株を売るようなものなので、証券会社にとっては顧客獲得としてもいいわけで、発行は増えますよね・・・
っていうか、これこそ取引所とか規制機関が、あり方を本気で考えるべき問題だと思うんですけどねぇ・・・


Posted by 47th : | 01:40 PM

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コメント

ブログを立ち上げて2ヶ月なのでこの頃のMSCBの議論にはあまり絡めなかったのですが、友人ともこのMSBCは証取法の根幹を揺るがすん問題があると酒飲みながら(^^;)話したことあります。世の中一部のプロの方々がやってると「まあまあそのへんは・・・」程度で済んでる商品がいつの間にか「素人さんも使える」ってことで一般化すると問題が顕在化するという例は結構あると思うのですが(一部の証券化商品とかね)、これもそんなスジの問題なんですかねえ。保振がどう認識してるのか読んで見ます。いつもありがとうございます。

Posted by ろじゃあ : June 10, 2005 08:13 PM

所謂ITバブル崩壊後のエクティファイナンスのトレンド変化ですが、まず法規制やB/S改善ニーズから銀行などを売出人とする売出しが多く行われるうようになりました。やがて、株式市場が底打ちし、株価が上昇したこと、景気の先行感が改善したことから設備投資資金の調達ニーズが拡大したことから公募増資(新株式の発行)にトレンドが移行していきました。
昨年途中から、景気先行き懸念などから株価が停滞するようになり、目先的に株価に対するインパクトを低減できるCBの発行が増えることとなったものと思われます。
 
何れのファイナンス手法においても、昨今は株式売買のコストが僅かになったことで大きくあり方が変化してきているようです。個人投資家までもがつなぎ売り目的で公募株式に応募してくる、立会い外分売などはネット証券経由の注文が殺到していると聞きました。
もしMPO引受で転換した株式を個人投資家にディスカウントして分売することとなれば、同様につなぎ売り目的の個人投資家が殺到することでしょう。

規制についての議論ではなく、それぞれの信条の話しかと思われますが、こう言う観点の問題(資本市場のあるべき姿)の議論も発行会社、引受証券会社、投資家は考えるべきなのではないかと私は考えます。

Posted by HardWave : June 11, 2005 12:12 AM

>ろじゃあさん、Hardwaveさん
税務の世界では金融技術の発達によって既存の課税の枠組みが危機にさらされていてタックス・シェルターをめぐる議論が盛んになっているのですが、同じ問題は実は税法以外の領域でも起こり得るんですよね。
こうした「会社法シェルター」とか「証取法シェルター」のような領域についても、それをどう取り扱うのか真剣に考える必要があるような気がしていますし、MPOというのは、そのきっかけとなり得るんじゃないでしょうか。

Posted by 47th : June 12, 2005 11:46 AM

>MPO引受で転換した株式を個人投資家にディスカウントして分売することとなれば、同様につなぎ売り目的の個人投資家が殺到することでしょう。

>HardWave様
鋭いですねぇ~。既に松井証券の”夜市”では、ご指摘の現象が起きているようです(一般紙ネタにはなっていませんがhttp://www.matsui.co.jp/about_matsui/topic/20050603.html)。となると、規制をかけることをシゴトにしている方々が「あれは場外取引じゃないか」と目を光らせているという話も、漏れ伝わっています。

最近では立会外分売を売出の、MSCBを公募増資の「抜け穴」と言うべきか「代替手段」なのか、どう位置付けるべきか判断に迷うところです。セカンダリーの話というだけで、プライマリーでは行われている審査手続きや開示の問題が、簡単に片付けられている点にも少なからず、疑問を感じるのですが・・・。

Posted by 悪童 : June 13, 2005 04:28 AM

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