« 「擬似外国会社」規定と「レース」 (2) | メイン | 福知山線事件の切り口ポータル by 小僧さん »

競争の方向性

国債や投信販売、「おまけ」を競う・証券各社 (NIKKEI NET)

証券各社が景品や懸賞を使った営業戦略を競い合っている。野村証券が国債を買った個人客に商品券をプレゼントしているほか、大和証券は取引に応じてポイントが増え、食事券や宿泊券に交換できるサービスを提供中。インターネット専業証券では自動車が当たる懸賞も登場した。「おまけ」を付けて投資意欲をかきたて、個人マネーを取り込む狙いだ。

証券会社の顧客にとっては、一見、競争が激しくなって得したという話にも見えるのですが・・・こうした広告宣伝費で勝負ということになると、兵糧勝負になって、法人営業からの収益も見込める大手証券会社が個人投資家向けの専業証券会社を駆逐してしまうということになってしまわないかというのは、どうなんでしょう?
しかも、サービス自体の価格は一度下げたものを値上げすることには、顧客からの抵抗も強いのですが、こうしたキャンペーン的なものというのは、一時的・恩恵的なものという位置付けも可能なので、長期で見たときに純粋な価格競争よりも消費者にとっては望ましくない結果となる場合もあり得るようにも思われます。
競争法上は、略奪的価格設定とか不当廉売と言われるものと、同じような経済的効果を生み出すようにも思うのですが・・・何だか、こういう方向でいいのか気になったので、備忘のためにクリップしておきます。


Posted by 47th : | 11:25 AM

このエントリーのトラックバックURL:
http://WWW.ny47th.COM/mt/mt-tb.cgi/66

このリストは、次のエントリーを参照しています: 競争の方向性:

» 特別料理幻想・・・疲れすぎかなあ・・・金融商品とおまけ from 法務の国のろじゃあ
  47thさんの競争の方向性読んで、toshiさんもおいでになってたんで、金融 [続きを読む]

トラックバック時刻: June 13, 2005 08:47 AM

コメント

こんにちは。私も競争法上の問題点が少し浮かんだんですけど、それよりも「おまけ」と金融商品という組み合わせに違和感をおぼえました。
適合性の原則ということからすると、おばちゃんが「おまけ」目当てに金融商品を買ったら、金融機関の説明義務違反という事態がかなり認められやすいんじゃないかな・・・と。おばちゃんは「おまけがついてるから買った」といえば、あとは説明義務を尽くしたことの立証責任はすべて金融機関側みたいな。
投資サービス法が施行されたりすると、おそらく「おまけ」の付け方まで消費者団体からクレームがついてしまうのではないでしょうかね。競争法とはかなり次元の違う話ですいません。

Posted by toshi : June 13, 2005 01:01 AM

お二人へ
金融商品とおまけの問題はあまり過激にならないように景品表示法の枠組みで競争法上規制されています。
ただ、証券とか銀行の場合は規制対象の元になる「取引価額」が売却代金とか預金額とかになってしまうのでやはり普通の取引と比べると「過激」になる余地はあります(クレジットカードの入会時の景品の選択の余地とは比べ物になりません)。
規制緩和(というか外国の会社からの要求だったのかなあ)により以前より高額の景品をつけやすくなったのも関係してるところはあるんですけどねえ。

Posted by ろじゃあ : June 13, 2005 07:45 AM

>toshiさん
事実として「おまけ」につられて取引を始める人がいるので、そういう面での配慮は大切になるのでしょうね。ただ、そもそも当該金融商品の投資を行うのに適格か(適合性)のスクリーニングや、商品自体に対する説明をきちんと行っているか(説明義務)という証券会社側の行為基準で見る限り、消費者自身の動機が「おまけ」だったかどうかは事情に留まるような気もします。もっとも、よっぽど魅力的な景品で、実質、損失補填や利益保証に近いような場合、そちらの方でも別の問題が出そうですが・・・
>ろじゃあさん
そうですね、確かに景表法がありますね。ただ、景表法でよく分からないのが、こういう扱う金額は大きいけど、事業者が得られる利益はスプレッド部分や手数料だけという取引形態の場合に、うまくカバーされるのかというところで、何となく金融仲介業者の場合には、現行の枠組みではちゃんとした歯止めが利いていないような気もするところです・・・(そもそも金融仲介行に限らず、取引額などによる景表法の画一的規制自体がうまくワークしているのか、というのも議論の余地がありそうですが・・・)

Posted by 47th : June 13, 2005 10:29 AM

多少、論点がずれるかも知れませんが。。。
大手の証券が個人向け国債で大赤字の大キャンペーンを行う事でその他の証券会社が淘汰されてしまうというストーリーは「??」って感じではあります。
そもそも専ら個人を顧客とする地場証券或いはネット証券はそれほど個人向け国債に熱心ではなさそうに私には思われるからです。

初回利率が年0.77%となった第4回債から販売額が伸び、前回10回債の主体別の販売比率は、証券会社43.2%、地方銀行24.5%、都市銀行11.4%、郵便局8.5%、信用金庫6.8%、第二地方銀行4.3%でした。
今回は初回利率年0.45%と久しぶりに低くなっていますので、証券会社では苦戦が予想されますが、恐らく地銀が販売額を伸ばすのではないかと私は予想しています。
 
地銀の営業パターンとして一定方向に動き出したらしばらく継続するであろうと思われ、すでに7回債でピークを打っている証券会社と今回債では販売額が逆転する可能性があると思われます。実際、自行の定期預金から振り返るだけでほとんど努力を要しませんしね。

Posted by HardWave : June 13, 2005 10:44 AM

>Hardwaveさん
なるほど、国債は銀行との競争の方が深刻だったりするんですね・・・
私がよく分からないのが、口座を持つことによる顧客のロックインというのは、どの程度あるんだろうというところです。
銀行と同じで、一度口座を持って振込みとかの設定とかをしてしまうと、多少他の銀行のサービスがよさそうでも、なかなか口座を切り替える気にならない、といったことがあるとすると、口座を開かせるきっかけの部分での競争の比重が大きくなるのではないかという気もしています。

Posted by 47th : June 16, 2005 12:34 PM

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
このブログをご覧になる際の注意点や管理人の氏素性はこちらにありますので、初めての方はご一読を。