畏るべし隣国 [ June 21, 2005 ]
Group Led by Chinese Appliance Maker Bids for Maytag (New York Times)
The Maytag Corporation said last night that a consortium led by Qingdao Haier, a Chinese appliance maker, had offered to acquire all its outstanding stock for $16 a share.
Interest by the consortium, which also includes the Blackstone Group and Bain Capital, could ignite a takeover battle for Maytag, which agreed on May 19 to be acquired by another group, led by Ripplewood Holdings, for $1.13 billion, or $14 a share.
長銀の買収で有名なRipplewoodと買収合意ができていたMaytagという電器製品メーカーに中国企業を中心とするコンソーシアムがビッドをかけたという話です。
興味深いのは、このコンソーシアムにはBlackstoneとBainという米大手PEファンドも参加していること。
その意味では、米国PEファンドの資金が中国企業による米国大手電器メーカーの買収をサポートするという興味深い構図になっていることと、最近、はやりのPEファンドのコンソーシアムによる買収という側面の両面を持っていることになります。
レノボによるIBMのPC部門の買収もそうですが、中国資本の米国進出の動きが加速しています。
CNOOC May Make $20 Billion Cash Bid for Unocal (Bloomberg)
CNOOC Ltd., China's largest offshore oil and gas producer, may bid about $20 billion in cash for Unocal Corp., the eighth-biggest U.S. oil company, trumping an offer from Chevron Corp., people familiar with the plan said.
今年の代表的案件の一つであるCheveronによるUnocalの買収にも中国企業がビッドをかけるという観測が強まっています。
どこの国でもそうですが、こうなってくるとただでさえ強い中国警戒論に拍車がかかるのは自然ななりゆきかも知れません。米中では、中国繊維に対するセーフガード発動の問題もあり、かつての日米のような経済摩擦問題が深刻化する可能性もありそうです。
ところで、米国の巨大案件に嘴を挟むだけの資金力を持っている中国企業が、日本企業に狙いを定める日も遠くないかも知れません。
Posted by 47th : | 11:08 AM
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» Chinese Oil Giant in Takeover Bid for U.S. Corpo... from LLM留学日誌
Chinese Oil Giant in Takeover Bid for U.S. Corporation(NY Times)
かの有名なUNOCAL社がC... [続きを読む]
トラックバック時刻: June 23, 2005 01:08 PM
既に日本企業の一部で中国の企業集団に買収されているところがあります。以下は昨年秋の品質管理学会の講演会で一橋大の関満博教授が紹介した例です。(当時のわたしのメモ)
話のマクラはNHK教育テレビ放送の番組。
企業再生法の対象になった中堅の印刷機メーカー・アキヤマを買収した上海電機集団。
カラー8色(両面ということ)印刷機の製造は世界で6社(アキヤマ・コモリ・三菱重工・ローランド・ハイデル・?)。アキヤマはこの機種の一号機を開発した会社。
着任した52歳の社長、「心配は無用、リストラはしない、既にリストラされた人も(技術があれば)再雇用するから呼び戻しなさい」。
中国から研修生を呼び、アキヤマの技術者にマンツーマン指導させる。研修生談、「いつか我々は世界最高の印刷機を作ります」。
中国の海外技術導入は、「技」、「熟練」、「技能」を買う段階に。
アキヤマは2年で業績改善。社長を日本人に。中国人社長は誰を後継に選んだか。35歳の若手。ボーナスは7倍の査定差(中国では14倍)。
以上が、NHKの番組で放映された内容。関は以下を補足。取材が終了して・・・、オンエア前に内容をチェック、上海電機集団はふたつの修正(ウソ)を要求。「中国部品を採用してCDを狙ったが部品の入荷が安定しない・・・ウソ:日本の視聴者の安心のため」、「30%のCDを狙ったが25%に止まった・・・ウソ:じつは35%を達成、競合他社対策」。
この上海電機集団は7月(注:昨年)には池貝鉄工(旋盤などの日本の工作機械の草分け企業)を買収した。彼らはなかなかいい買い物をしています。たしかに「畏るべし隣国」です。
少し脱線させます。いずれにしても、二、三十年の視野で考えるならば、中国は相応のポジションにつくことは間違いないでしょう。そのとき日本はこの隣国とどのような位置関係でどのようにつきあうのか。「反日」や「靖国」のようなものに眼を奪われて、そういう中長期的な視野を持つことをなおざりにしている、いまのこの国の人たちの近視眼が、わたしには、ひどく気になります。少なくとも、小泉さんや安倍さんのような視野の狭い人が首相だったり、その候補というのでは、勝負ははじめからついてしまうような気がします。(長文、失礼)
Posted by 滴水 : June 22, 2005 07:30 AM
>滴水さん
大変興味深い話ありがとうございます。
アメリカでも、既に中国の方々は深い根を張っていますし、そうした異文化への進出というのに極めて高い能力を持っている民族という印象があります。
中国との関係に限らず日本というのは異文化とのつき合い方が非常に不得手なのかも知れませんね。でも、今米国で大きなプレゼンスを誇っている日本企業は、不得手であることを明確に意識して、それを克服するためにたゆまぬ努力をしてきたはずなので、決して「できない」ということではないのだと思います。
足りないのは、そうした外に見えにくい困難なタスクに一身を賭する気概なのかも知れませんね。
Posted by 47th : June 22, 2005 10:57 AM
47thさん、こんにちは。NY Timesを見てへえーと思ってエントリを書いていたら、既に買収観測がでていたんですね。TBさせてもらいました。どうなるか楽しみですねということ以上には何も書いてないんですが^^
Posted by neon98 : June 23, 2005 01:32 PM
>neon98さん
盛り上がってますよね^^
昔、日本企業がアメリカ企業やビルを買いにきたときにも、こんな感じだったんでしょうかね?
どうなるのか、いろんな意味で楽しみです。
ちなみに、Unocalのアドバイザーは、あのワクテルらしいので、この場面での進め方も面白そうです^^
Posted by 47th : June 24, 2005 12:45 PM
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