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郵政民営化 pro or con ? (3)

前回前々回で、郵政民営化について経済的な側面からみていって、どうも郵政民営化には賛成できないという話をしたのですが、では小泉さんのいう郵政民営化は廃案になった方がいいかというと・・・

これまで書いてきたように、私自身は民主党のいうように郵便事業と郵貯・簡保事業を分離して考えて、前者については公社形態を維持しつつユニバーサル・サービス維持を可能な範囲で合理化をめざし、後者については段階的な縮小化を目指すというのが、合理的な筋道だと思っているのですが・・・では、それが既存の政治状況の中で可能なのか、という話があるわけです。
これは私の知識の話なので、ひょっとしたら状況は変わってきているのかも知れませんが、地方での選挙を勝ち抜く上で、絶対に押さえておかなくてはいけない「地元の有力者」というのがあります。いろんなパターンがあるんですが、特定郵便局の局長さんというのは、この「地元の有力者」の中でも、かなり重要で、選挙ということになると、各地の郵便局長さんにちゃんと支援してもらえるかがキーになっています・・・と、ここまで書いてググってみると特定郵便局に関しては、WEB上に色々情報が載っているのを発見しました。例えば、集英社新書の辛坊治郎さんのコラムに、こんなことが書かれています。


上記の“特定郵便局長の一般的特徴”にはもう一つ付け加えるべきものがある。それは、6)自民党支持者である、という特徴だ。前記のように、特定郵便局長は公務員であるので、おおっぴらに選挙運動は出来ない。しかし、このおよそ二万人の特定郵便局長が核になって、その家族、関係者等が、少なくとも数十万票規模の集票マシーンとして働いているのもまた周知の事実なのだ。

「集票マシーン」というのは凄い表現ですが、郵便局長さんが地方の選挙におけるキーパーソンであることは、その通りなのかなと思います。
・・・で、ここまでご推察のとおり、この状況で「段階的に郵政事業を縮小する」と言っても、いちいちその「段階」ごとに郵便局長さんの猛反対を潜り抜けなくてはいけないわけで、その労力たるや想像を絶するものが予想されるわけです。
・・・ということは、いくら民主党の主張する、あるいは、私が個人的に妥当と考える郵政事業の改革案が合理的だったとしても、政治的には実現がほとんど不可能な「絵に描いた餅」に過ぎないんじゃないかという気もしてくるわけです。
そういうところからすると、「民営化」でいったん行き過ぎなぐらいに郵政事業を政府から突き放したあとで、段階的に本来あるべき妥協点に進める方が抵抗という意味では少ないのかも知れないということもあるかもしれません。
例えば、いったん郵政事業全部を民営化すると言った後で、やってみるとうまくいかない部分が具体的に見え始める・・・その段階で、「ユニバーサル・サービス維持が必要な郵便事業については補助金を出す代わりに、金融保険事業についてはナロー・バンク化してリスクを少なくしましょう」といった形で多少の揺り戻しをやっていく方が、今の状態から「郵便事業は維持するが、金融保険事業は段階的に縮小する」というよりは、遙かに郵便局長さんの支持は得やすいわけです。
・・・そういう政治的なコンテキストを考えると、確かに(少なくとも見かけとしては)、ここで多少極端な形での民営化というのをやることには意味があるようにも思えてくるわけです。
ここでよく分からないのは、小泉さんをはじめとした今回の郵政民営化の推進者が、そうした「先の先」までを読んで、あの多少極端とも思える民営化を推進しようとしているのかどうかというところなんですが・・・小泉さんの発言だけ聞いていると、やっぱり今の形の民営化、というか、「民でやれることは民に」以上のことは考えていないように思われるし・・・とはいえ、小泉さんやそのブレインが多少なりとも合理的、というか、したたかな人々であれば、自民党の強力な支持母体である郵便局長を単に敵に回して終わりというのも、何というか余りにも「青い」というか・・・。
もっとも、こうした「先の先」の話は裏にしまっておかないと、民主党に足許を救われるわけで、表には出せないので(自分たちが本気でうまくいくと思っていない政策を国民に押しつけていると、格好の批判の種を作っちゃいますよね)、もう「憶測」とか「妄想」の域に達してしまうわけですが・・・
でも、もしそこまでの深謀遠慮があるとすれば、今回の郵政民営化は、小泉さんの言うとおり国家百年の計にとって大切な話ということになるかも知れません。
それは、単に郵政だけに留まらず、他の旧来からの利益団体が絡むところへのテコ入れに対する一つのモデル・・・旧勢力からの強い反対をこらえながら一度大きな舵を切って、そこを乗り越えた後で再度利益団体と友好的関係を再構築しながら段階的に本来予定している着地点を目指すという政治手法につながるわけで、そういう話だとすれば「郵政民営化ができなくて、どんな改革ができるのか」という発言も何となく理解できるような気がします。
そして、これは旧来からの利益団体を支持母体としつつ、政権党として経済・社会環境の変化に対応していかなくてはならない自民党のジレンマへの一つの有力な回答となる可能性も持っているような気もして、その意味で小泉さんは自民党百年の計も描いている・・・といったら、何だか小泉さんを持ち上げすぎのような気もするのも確かなところで・・・いかんとも悩みどころなんですが・・・
実際、これまでのところで、私は、小泉さんの政治手法というのは余り好みではないし、経済政策に関する基本発想についても、余り親和的ではないのですが、こうした「妄想」をしていると、実は小泉さんというのは、ある国民層からは反感を持たれることを敢えていとわず、ひたすら浮動大衆層へのイメージ戦略を重視するという割り切りをもってやっていたのかしらん・・・などとまで思ってしまうのですが・・・うーん、これはこれで、ここまで来るとかなり「妄想」ですね(苦笑)。
・・・というわけで、こんな虚々実々の政治的コンテキストのことを考えながら、自民党と民主党のどちらが、私の頭で考えるところの合理的な郵政民営化につながるのかというと、自民党なのかも知れないなどと思ってきたわけです。
というわけで、何だかぐにゃぐにゃと紆余曲折した末に私の結論としては、民主党案に正論としての魅力を感じつつも、現実的なところを考えると、今回の小泉さんの郵政民営化については賛成という辺りです・・・まあ、そんなこと言ったって、選挙権ないんですけど・・・失敗orz

・・・というところで、こんな半ば「妄想オチ」につきあって下さった方々、どうもありがとうございました。「妄想しすぎだろうそれは」というのも含めて、コメントなど引き続き歓迎しております。

Posted by 47th : | 10:23 | 時事

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トラックバック時刻: 2005年08月15日 20:56

コメント

うぬぬ、最後まで読んでからコメントすべきでしたか・・・(笑)。

もうそうなると歴史に決めていただくことになるのでしょうかね。確かに民主党は地方の有力者を軽視しがちだとは思います。それぞれの地方の旧帝大を出てそれぞれの地方で有力者としてその名をとどろかせていらっしゃるみなさんですね。手強いんですよ。実際。私は大学に行く時点で彼らとのつきあいかたを決めてしまってそのままであります。

手っ取り早く小泉純一郎本人にここに来てご説明願いましょうか?今なら大抵のお願いは聞いてくれそうな気がしますから、まんざら妄想企画とも言えないでしょう(笑)。

Posted by bun : 2005年08月15日 20:17

>bunさん
首相官邸からTBついたら、びっくりますよね^^
でも、そのぐらいやってくれたら、個別の政策への賛否はともかく、支持しちゃうかも知れませんね。
公職選挙法も、余り堅苦しいことを言わずに、政治家のダイレクトな声が聞けるようになればいいんですけど。

Posted by 47th : 2005年08月16日 13:57

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
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