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ホワイト・ナイトは囚われの姫(?)を救えるか?

日本から無事にNYに戻ってきました。
・・・が、ブログの更新はごぶさた気味となりまして・・・m(_ _)m・・・
時差ぼけに苦しんだり、1か月不在にしている間にたまったちょこまかしたことを処理したりというのもあったのですが、ほとんどオオカミ少年状態となっている論文をさすがにここで完成させないと永遠に日の目を見ないだろうということで、ちょっと気合いを入れたりしておりました(おかげさまで(上)は今度の商事法務に掲載されるかと・・・)。
まあ、共著の形態なので、ところどころトーンとかについては個人的見解と100%一致しない部分もありますが、ブログを読んでいただいている方には、その辺りのトーンというかニュアンスの違いを読み比べて頂くのも、また一興かと思います。
で、その論文を書くに当たっても、ある意味「生きた教科書」として非常に興味深い夢真vs日本技開の件ですが、ちょっと速報性はないのですが、「遂に」というか「やっぱり」というか、ホワイト・ナイトが出現したようです。

株式会社エイトコンサルタントによる公開買付け賛同に関するお知らせ(8/8)

株式会社エイトコンサルタント(以下「エイトコンサルタント」といいます。)は、本日、当社株式に対する公開買付け(以下「本件公開買付け」といいます。)及び本件公開買付けによりエイトコンサルタントが当社株式の50.10%を買付けることを条件に当社と業務提携を行うことを公表いたしました

買付価格は1株当たり118円で、50.10%というのは最低買付数(買付予定株式数に満たなかったら買付は行わない)で上限は設定していません。日本技開は、夢真の公開買付けを「部分買付」ということで批判していますから、ホワイト・ナイトとしては上限なしの全株買付というのは最低条件ということでしょう。
こうしたホワイト・ナイトの出現は、夢真と日本技開のパワーバランスに色々な意味で影響をもたらすわけですが、必ずしも日本技開側の防衛という面だけで見れば、都合のいい話ばかりではないような気がします。
あんまりレブロンだユノカルだの細かい話に入るのも何なので、ごく大ざっぱにいうと、具体的なホワイト・ナイトが出現したことによって、日本技開の経営陣が妥当と考えるハードルの水準が目に見える形になったということは大きな点のような気がします。
特に、日本技開側の防衛策は、いわゆる事前警告型で、その目的は株主に対する情報提供と熟慮期間の確保ということになっています。
そういう面からすると、情報提供の面では、エイトコンサルタントが公表している「必要情報のご提供」と夢真が公表している「企業価値向上へ向けた提携の検討資料」との比較で、前者が後者に比べて株主にとって有意な情報を提供しているかという面が問われることになるような気がします。
次に熟慮期間の点では、エイトコンサルタントは公開買付期間を60日間としているわけですが、例えば夢真が(現在のところは買付期間延長の予定はないとしていますが)買付期間を明日までに延長したりすれば、この部分での差異はなくなってきます。
・・・となると、残る違いは価格と買付方法です。
価格については、どちらも全額現金のオファーですから、単純に比較すればいいわけで、問題は買付方法ということになります。もっとも、今回、118円という価格について日本技開経営陣は適正な価格であると認めたわけですから、夢真が買付価格を118円以上に挙げるようなことがあれば、最早買付価格が低いという批判はできなくなるわけです。
前に夢真の買付方法には強圧性があるという話をしたのですが、ではエイトコンサルタントのそれはどうかというと・・・過半数の買付に成功した後の上場方針について、次のように言っているんですよね・・・

なお、本公開買付けにおいては買付けを行う株式数に上限を設定いたしませんので、本公開買付けの結果次第では、日本技術開発の株式は、株式会社ジャスダック証券取引所の株券上場廃止基準に従い上場廃止となる可能性があります。日本技術開発の株式について上場を維持するか否かについては、現時点では未定でありますが、日本技術開発との間で今後の方針をさらに協議してゆく予定です。

・・・ということは、エイトコンサルタントの買付に応募せずに残ったら、流動性のなくなった株式を保有し続けなければいけなくなる可能性が結構あるわけで・・・株主としては公開買付けに応募せざるを得ないというプレッシャーを感じることになります。また、上場を維持したとしても、日本技開はエイトコンサルタントの上場子会社となってしまうわけですから、夢真の場合と同様、上場子会社となった後の少数株主の利益保護をどう確保するかという問題を残します。
こうした点での強圧性を回避するためには、上場廃止になった場合にも、公開買付価格と同価格で現金株式交換を実施するような形で応募しなかった株主の退出機会を確保しなければいけないはずで、それがないと「強圧性」の点で夢真の買付方法を一方的に批判することは難しくなります。
これは、単にエイトコンサルタントがそこまでコミットしたくなかったということかも知れませんが、もうちょっと穿った見方をすると、上場廃止をコミットしてしまうと、取締役の判断基準としてユノカル基準ではなく、より厳しいレブロン基準が適用されるという可能性を日本技開側の弁護士さんが考えたのかも知れません・・・この辺りは、確かに日本技開側のアドバイザーとしても悩みどころだろうと思います。

いずれにせよ、ホワイト・ナイトの出現は、必ずしも日本技開側にとって有利、夢真側にとって不利とは限らないわけですが、まずは夢真側の公開買付期限である明日までに夢真側が何かアクションをとるのか、要注目といったところではないでしょうか?

Posted by 47th : | 01:23 PM

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