坊主にくけりゃ袈裟まで・・・ [ January 26, 2006 ]
今週前半ブログに力を入れすぎたせいで、つけが回ってきています。
コメントやTBへの対応が、遅れると思いますが、どうかご容赦を。
昨日の記事のVaboさんのコメントを拝見して、ちょっと考えが変わったので、筆が滑らない範囲で、実際に企業法務をやっている弁護士の目からみて、面白い記事をクリップしてみようかな、と。リンク切れがあるかも知れないので、ご賞味はお早めに(また新しい記事があれば追加するかもしれません。あと適宜不適切な表現は手直ししてますんで^^;)
(追記)なお、以下の記事についての論評は、「違法」という文脈や検察の捜査の正当性を支えるものとしては「?」があるという趣旨で書いているものです。その点をおいて、紹介されている取引をみれば「怪しさ満点」の会社であったという雰囲気はよく分かります。ただ、「怪しい」と「違法」は全然別の話ということで・・・
- ライブドア子会社、休眠会社買収…株交換受け皿狙う (YOMIURI ONLINE)
有限会社から株式会社への組織変更は手続的なしばりや増資のためにキャッシュが必要な場合には、手頃な休眠会社が見つかれば、それと合併させてしまう方が楽なんですよね。別にそれ自体は、何ら違法でもないし、とびぬけて変なスキームではありません。
- ライブドア、アダルト関連会社に休眠会社売る (Yahoo News-読売新聞)
これも休眠会社ネタ。もちろん、休眠会社を売ること自体が犯罪なら、私もお縄(笑)・・・アダルト関連会社に休眠会社を売ることも適法・・・ここには違法の「い」の字もありません。
ただ、ちょっと気になるのは、報道のとおり、休眠会社に3000-4000万円の値がついたところ。組織再編税制を考えると、繰越欠損を使うのも簡単ではないんで、休眠会社の相場は、まあ上の記事でも出ているぐらいのお値段のあたりで、それからすると随分と奮発しているという感は否めません。
ネタとしては悪くないと思いますが、つっこむならこの対価の決め方の部分でしょうね。繰り返しになりますが、休眠会社を売ることそのものは違法でもないし、相手がアダルト関連会社でも悪くはないと思います。
- ライブドア、無価値企業「健全」と仮装 (YOMIURI ONLINE)
このタイトルの付け方も凄いですね。債務超過会社と株式交換はできないというのは、その通りですが、その場合の対処法として株式交換前に増資をして債務超過を解消しておくというのは、むしろ資産の評価換えや時価評価(のれんを勘案)を使って実質債務超過ではないという形をとるよりも、はるかに「安全」あるいは「保守的」な方法だとされているんですが・・・書き方一つで犯罪みたいに見えるんだから、不思議ですねぇ・・・
(もちろん、その結果達成された株式交換が偽計取引の一環だということの一つの「事情」として、価値のないものを無理矢理買ったといいたいのかも知れませんが、BSやあるいは清算価値で債務超過かどうかとのれん(営業権)を勘案した企業価値がないことは全く別の話で、買収側が売主に対して交渉上「価値はほとんどないんですが」と言うこともあり得ない話ではないわけです・・・本当に実質的に値段がつかなかったのであれば売主がスキームに協力するはずはないので、交渉の中で言われた「価値はない」という(ブラフかもしれない)言動ではなく、最終的に(実質的に)売主にいくら支払われたのかがポイントのはずですよね)
ちょっと気になったのは、利益還流の仕組み(01/23)(asahi.net)。同じ取引の図だと思うんですが、ファンドと個人株主の間でLD株式の売買がなされていますが、このタイミングは何か気になるところです。
- ライブドア粉飾、連結決算外を装う 子会社利益で黒字化 (asahi.net)
「ライブドアが支配する同組合が全株式を保有するロイヤル社とキューズ社は、子会社化の公表前の時点ですでにライブドアの連結決算対象の子会社になっていた。」・・・これこそが、今回、最も争点となり得るところで、もし、こういう形でファンドの連結を考えなくてはいけないとしたら、実務に大きな影響を及ぼすところなんですが・・・その一番の争点が既に決着がついたことになった上で、「粉飾」だったというのは、ちょっと論理的には説得力がありません。
この手の論理は結構多く見られるんですが・・・私は検察ですら、現在のファンドの実務を大きく覆すような大胆な論理はとらないんじゃないかと・・・それ故に中心罪状は証取法158条であって、個々の取引は違法であっても「全体として」というロジックをとりたがっているんではないかという、(希望的)観測を持っているところです
- 投資組合に届け出義務、立ち入りも可能に…金融庁検討 (Yahoo News-読売新聞)
あと、面白いので、これもついでに。ここに書いていること自体は、別に面白いことが書いているわけではありません。発想法としてもある意味非常に健全です・・・ただ、実際に起きることは何かというと・・・皆カリブに旅立つだけではないかと・・・それとも鎖国?
(要するに、国内でファンドの規制を厳しくしたとしても、それによる手続コストが増えれば、ケイマンなどのカリブ諸国にファンドやSPCにシフトするだけではないかという意味です。従来、海外にシフトしていたビークルを国内に呼び戻すべくいろいろな法改正や施策がなされてきたのですが、その動きがまた戻るかも知れない、と・・・金融の世界は本当にボーダーレスになりつつあるんで、国内の規制を厳しくするだけでは、自己満足で終わってしまうんですよね・・・ただ、これは別に新聞記事が悪いという話ではなく、金融庁の規制の方向性自体の問題です(最終的に株式分割と同じで市場秩序に委ねるという形になる可能性もあるでしょうし))
- ライブドア、分割当日に関連会社株売却・約34億円の収入 (NIKKEI NET)- 1/26 18:30追加
これが本当ならライブドア「くさいぞ」と思って中身を見ると、要は、①子会社株式が株式分割で株価上昇、②子会社株式を一部売却して利益を得た・・・これが、「子会社の業績がよかったので株価が上昇した際に子会社株式の一部を売却して利益をあげた」という話なら、まさか非難されないんでしょうから、結局は、「株式分割で株価があがった」という部分を問題としていることになっちゃいますよね・・・うーん
ただ、株式分割で株価が上がることそれ自体は、何ら違法じゃないんで、一時的に需給が逼迫する間に、意図的に買い注文を出して株価をつりあげるといった行為(これは明らかな相場操縦ですが)とか子会社にインサイダー情報があって、それを株主としての権利行使に際して知った(か、まあ普通は一次情報受領者でいくんでしょうけど)とかいう事情がない限りは、原因が何であれ、市場で形成された株価で子会社株式を売却して利益を上げることは違法でもなんでもありません・・・この株式分割が違法であるかのような表現もよく見るんですが・・・検察ですら、おそらく問題としているのは、株式分割そのものではなく、一連のスキームのはず(まあ、この辺りはneon98さんのエントリーでも見ていただいた方が宜しいかと)
それよりも個人的な疑問としては、もし報道されていることが事実だとすれば、売る物をどうやって入手したのか(予め保振に預託していた?)という点と、どうやって市場の需給バランスを崩さずに売り抜けたのかが気になるんですが・・・
あと、株価つり上げが主眼 近鉄球団・ニッポン放送買収名乗り (asahi.net)もあげておきます。これも、球団やニッポン放送の買収に名乗りをあげたこと自体は違法でも何でもなく、それによってLDの知名度があがって株価があがったのも違法ではありません・・・ここでは「株価『つり上げ』」自体が悪いものであるかのように思われているんですよね・・・少なくとも、捜索差押えや堀江氏の身柄拘束の根拠となったのは、株価を上げる試みそのものではなく、その手段が法的に許されないもの(違法)であったかどうかだということは忘れないようにしたいところです。
- 高知競馬のホリエモンが出走中止に 堀江氏の逮捕受け (asahi.com)-1/26 19:45追加
だんだん本来の趣旨から離れている気がしないでもないんですが、将来自分で見直したときに、「ああ、そういうこともあったね」と思い出せるように。松木調教師は「馬は健康なので、次走に向けて馬主と相談したい。本当に馬には罪はないのですから」と話している。
同感です。
とりあえず、今日のところは、こんなところで・・・ふむ。何か、こういう具合にブログのネタを提供してくれていると思うと、そんなにカリカリしなくていいかもという気になってくるのが不思議なところです。
Posted by 47th : | 02:38 PM
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[economy]自分で判断することの非合理@bewaad Institute@Kasumigaseki
bewaadさんにとりあげられたとたんにア... [続きを読む]
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未だにライブドアのやったことの仕組みがつかめず、どのくらいグレーなのかブラックなのか検討もつきません。会計や金融の法律って難しいですね。isologueで... [続きを読む]
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ライブドア関連の報道を見てて、おかしいと思うのは、
「なぜホリエモンは違法な事件をおかしたのか」
と違法を犯したという前提で語るものが多いことです... [続きを読む]
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今回のライブドア事件に関しては、色々な報道が各社からなされていますが、「いかに [続きを読む]
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私のような法律しかわからない者(それも怪しいですが)とは、まったく異な... [続きを読む]
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最近のライブドア関連の報道についての47thさんのブログから。 坊主憎けりゃ袈裟 [続きを読む]
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以前のエントリ「ライブドア事件をめぐる報道」には色々コメントをいただき、大変ありがたく思っています。いろいろと考えさせられることもあり、「まさにブログを書... [続きを読む]
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ホリエモン 今度はインサイダー疑惑
ライブドアがジャック・ホールディングス(現ライブドアオート)の子会社化を発表する直前の昨年8月25日の東京証券取... [続きを読む]
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誤解を恐れずに言えば、人の心はお金で買えるのです。女はお金についてきます。
2006年01月23日、証券取引法違反の容疑で逮捕されたライブドア元社長・堀... [続きを読む]
トラックバック時刻: January 30, 2006 06:50 AM
マスコミ、代表権のない平松社長の言動をいちいち真に受けて記事にするところも結構、笑えませんか。どれほどの意味があるっちゅうねん。
Posted by ぶらっくふぃーるず : January 26, 2006 05:38 PM
ぶらっくふぃーるずさんに座布団3枚あげてというと実態のない座布団譲渡といわれるような気がする(^^;)。
法人でなんかあったらとりあえず登記をあげる・・・とかってマスコミの担当者でも昔はやってたような気がするけど、そういうことも実務的には廃れてきてるんですかねえ・・・なんてことまで余計なお世話の老婆心。
Posted by ろじゃあ : January 26, 2006 06:52 PM
他にも買収対象会社の役員に対して買収契約の際に「口外するな」と言ったとの記事もありましたが(http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/photojournal/archive/news/2006/01/24/20060124k0000e040068000c.html)、通常のM&Aでは秘密保持契約を結ぶのでNDAと捉えられなくもないですよね。どういう趣旨での発言かにもよりますが。タイトルだけを見ると悪事を口外するなみたいな感じにもとれますから書き方ひとつでどんな方向にでも持っていけるんやなぁ、と感心しておりますわ。
Posted by 匿名法務部員 : January 26, 2006 06:56 PM
こんにちは。ライブドアに関する「情報」の流通市場についても、株式分割直後にみられたような、需給のアンバランスを見ることができますね。
ニュース等の情報について市場メカニズムで考えることができますね。ニュースの「需給」について、国民の関心が高い突発的な事件・事故が発生すると需給に大きな格差が生じ、国民が求めている良質な情報が大きく不足する。この需給の格差を埋める力がどのように働くか、が問題なのですが、今のところ、ご指摘のように、こうした状態の時には、粗悪で適当な情報が垂れ流されてその場をしのぐことで解決されている。そしてこうした状態のときに垂れ流された情報についてはほとんど責任を問われない。福知山線の事故のときにも発生直後、置石説というのが流されてその場がしのがれました。
需給の格差を埋める方法として、良質な情報の供給が増やすか、需要を減らすか、大きく2通りの方法がありますね。
Posted by bun : January 26, 2006 07:43 PM
どうもありがとうございます!!!
・・やはり、私はほとんど違和感を感じずに
「へぇー、そうなの」と、スルーしていた記事ばかりでした...
(情けない事ですが・・・予期した通りでしたので、想定の範囲内?)
先のコメントで、"匿名法務部員"の方も
>タイトルだけを見ると悪事を口外するなみたいな感じにもとれますから
>書き方ひとつでどんな方向にでも持っていけるんやなぁ、と感心しておりますわ。
と書いていらっしゃるように、
・色々な視点があること
  (当たり前ですが、つい忘れてしまいます..)
・視点の立ち位置次第で、どうにでも怪しく見せられる事
  (火の無い(かもしれない)所にも、煙はあったようにほのめかす事は、出来るのですね..)
・それをマスコミから一斉にされたら、ほぼ抵抗(防御)は出来なそうな事
  (推定無罪の刑事裁判と違い、反論コメント=「嫌疑は無い事の立証責任」を、
    疑われる被疑者側がしなければならず(~しないと、やはりクロといつのまにか断罪されてしまう)
    更にそれが、一挙にあちこちから山ほど求められたら...
    ・・・もし私なら、ほぼサンドバッグ状態になるしかなさそうです)
と言う事を、痛感しています。
今回ご指摘の記事も含めて
改めて、「もし、わが身に起こったら」を想像してみますと...
本当に、ただひたすら怖い限りです。
(ライブドア&堀江さんのやり方は好きではないですが、そういう次元ではない気がして、そら恐ろしいです..)
長文、失礼しました。
47th様、お忙しい所 本当に有難うございました。m(_ _)m
Posted by vabo : January 26, 2006 08:18 PM
今回の件は、“錬金術”を“派手にやりすぎた”点に『お咎め』があった、とみればよいのでしょうか。
個々の行為は合法でも、カラクリ全体としては違法であると。
ただ、そうであれば、先日の、発注ミスに乗じて“故意に”買っちゃった『大企業(証券会社でしたか)』は許されちゃうのでしょうか?。それこそ“市場を熟知したプロ”が瞬間的に判断して錬金した、っていえませんかね。結構な額でしたし。返したからいいのかしら。
Posted by 金鉱マン : January 26, 2006 08:22 PM
面白い記事のリストありがとうございます。
仕事中にもかかわらず全部チェックしてしまいました。
エンロンの時期に米国ローにいましたが、その時に何人かの教授達がマイケル・ミルケン(ジャンク・ボンドの帝王?)の時は、成り上がり者がエスタブリッシュメントにつぶされたという側面もないわけではないよねと口をすべらせていたことを思い出しました。たしか、シカゴ大ローの会社法の教授が、ミルケンの摘発の仕方は予測可能性を奪うという批判的論文を出していたような記憶が・・・。定かでないですが・・・。
それから、エンロンの時もSECではなく、Eliot Spitzerが大活躍でしたよね・・・。政治家になれたんですかね彼は。日本の検察はもっと純粋と思いますが・・・。
Posted by doughousha : January 26, 2006 09:51 PM
フォーリンアトニーさん、
ここのサイトが恐らく一番、LDの件でプロフェッショナルが集まり易いようです。
検察が後出し的に事実を出してくるので難しいけれども、ここらへんで一つ、特別コーナーとして「ホリエモンを弁護するなら、どうする?」とでも題して、弁護士会計士、投資銀行の方を中心とする技術論(最初に、ご意見ご感想は通常ブログに、とお願いした上で)を集めてみて下さいませんでしょうか。成功すれば日本で初だと思います。
推測や感情を述べ連ねるのもいいですが、せっかくなので。
自分もまあ、あえていえばsecurities lawyerですが、刑事なのであまり智恵は出そうもありません。しかし、お開きになれば少し書き込みたいことがあります。
すみません直前のtestは間違ってあがってしまいました。よろしければ抹消いただけると幸いです。
Posted by 株屋のねえちゃん : January 26, 2006 09:56 PM
>ぶらっくふぃーるずさん、ろじゃあさん
・・・まあ、まあ。色々と意見はあると思いますが、私なんかは、この状況の下では法的な枠組みからはイレギュラーでも一つの手としてはあるかなぁ、などと、思っています。現に監査法人の変更、内部調査といった対応も迅速のようですし。
>匿名法務部員さん
確かに「口外するな」と「秘密を保持する」じゃ、えらい違いですね(笑)
>bunさん
情報の需給といえば、マスコミの報道では情報価値が逓減ではなく、あたかも逓増しているようなんですよね。
これって、やはり文化的な背景なんですかね?
人と違う見方をできるのがクールじゃなく、みんなと同じ話題で盛り上がれるのがクールっていうところが彼我の文化の差なのか・・・
>Vaboさん
喜んで頂けて幸いです^^
ふと思うのが、こういう内容について、検察が入る前にマスコミが独自調査で発表していれば、どうなったんでんしょうね?
株価は下がったでしょうが、今回のような混乱は起きなかっただろうし、ライブドア自身が株主の信頼を取り戻すために何かアクションを起こさないといけない立場になっていたんじゃないか・・・と
検察のやったことの尻馬に乗るのではなくて、そういう形でメディアには頑張って欲しい気がしています。もちろん、今までそういう努力をしてきていないということではなく、純粋に、企業行動の規律に占めるメディアの役割にはソフトなエンフォースメントの一形態として期待を寄せているということで・・・今日の某ホテルの建築問題のasahi.comの記事なんかは、工事の前後の写真まであって、迫力がありましたし。
Posted by 47th : January 26, 2006 11:24 PM
>金鉱マンさん
全てがあわさったカラクリの問題だと思うんですが、カラクリ自体はあちらこちらにあって、ある見方からすれば美しくないし、ある見方からすれば正当だし・・・どれが大丈夫で、どれが違うのか・・・断片的な情報を頼りに、今まさにその線を一生懸命ひいている人たちがどこかにいるんでしょうね。
>doughousyaさん
ミルケンを縄にとらえて名をあげたのは、確か元NY市長のジュリアーニでしたよね。ジャンク・ボンド自体は、立派な金融技術だったわけですが、LBOと一緒に胡散臭いもののように扱われたというのを見ていると洋の東西は余り問わないのかも知れませんね。
Spitzerは、まだAttorney Generalとして元気いっぱいにやってますよ。最近はヘッジ・ファンドがお気に入りのようですが^^
>株屋のねえちゃんさん
「ホリエモンを弁護するなら、どうする?」ですか・・・
うーん、多分、私の関心は堀江氏個人の弁護ではなく、企業としてのライブドアの防御にあって、堀江氏の身柄拘束も会社としての内部調査や自主的対応を困難にするという点で望ましくないと思っていたんで、ちょっと私のところでは役不足かも知れません。
もう少し一般論として、今回の検察の対応を踏まえて、企業としての危機管理をどうするかということは、いつか書こうかなとは思っているんで、その辺りでお許し頂ければと思います。なお、そういう点については、既にぶらっくふぃーるずさんが先見の明を発揮されているので、そちらもどうぞ(・・・と人にふってみる^^)
Posted by 47th : January 26, 2006 11:39 PM
はじめまして。いつも楽しく拝読させていただいて
おります。
新聞記事というか、2006/01/26の日経の経済教室で
上村達男先生が、「ライブドア事件の全体のからくりを
構成する個々の手法は単独でも偽計取引その他の違法
行為であり、そうした違法行為をいくつも積み重ねて
できた全体の仕組みも、より大規模な偽計取引といえる。
日本は、企業法制を大幅緩和して米国型の自由を選択した
以上、法規制の運用も米国同様、実質に即して判断し、
不正を排除するのが当然だ。」
というような主張をしていらっしゃるようです。
一方で、個々の取引は、明文規定では、合法だけれども、
全体でみると、実質的に偽計取引である、という立場の主張
もあるみたいです。少なくとも、報道されている事実からは、
どの部分が明確に偽計取引にあたるのかは、はっきりとは
しない、というblogもたくさんあるみたいですね。
米国では実質に即して規制されている、との上村先生の
お話なのですが、米国の実務経験のフォーリン・アトーニー
さんのご感想等お聞かせ願えればとおもい、記事の紹介を
させていたしました。
では、今後も、blog楽しみにしております。
Posted by とおりすがり : January 26, 2006 11:56 PM
コメント有難うございます。
調子に乗って、再度考えてみました。(法律も経済も素人で、恐縮ですが...)
>ふと思うのが、こういう内容について、検察が入る前にマスコミが独自調査で発表していれば、どうなったんでんしょうね?
仰る通り、混乱はあまり生じなかったのではないか、と思います。
また、私も、現在抱いている怖さは感じなかった(関心も持たなかった?)ような気がしています。
(前提:”検察が入る前”=反論や防御の機会+時間がきちんととれる時点、と解釈しました)
私が今回怖いと感じた点は、
・逮捕されたため、防御(反論、反証)を行う機会が、実質的に奪われている
  (逮捕される以前の数日も、捜査対応の忙しさを考えると、ほぼ無かったと思います)
・その間に、マスメディア等の裁判以外の所で、防御(反論)の機会がないまま 一方側の主張のみで既成事実化してしまう
  (これでは、事実どうこう以前の欠席裁判ではないか、と思います)
・報道も、捜査根拠の是非の検証が見られず、結果として判明した内容(の一面)のみしか報道されない。
  (この"内容"も、まだ1面の見方である事=白黒判明には早い事を、47thさんのエントリーで理解しましたが
    それ以前の、手続き(強制捜査執行時点での判断基準)の是非は、殆ど報道されてないと思います。
    ・・・「報道での検証対象にすらならない」事は、怖い気がします)
です。
結局、「もし自分がその立場に置かれたとしたら」を想像してみたのが、
今回の出発点になっています。
(数日前の47thさんのエントリーが、きっかけですが。)
現状ですと、もし自分が報道の集中砲火を喰らう立場に陥ったと想像したなら、
((周囲全てから悪者と決め付けられ、下手をすると(自殺)等まで考えかねない))
ような気が、してなりません。
(本当にしたか、とかの「内容の是非」がどうこう、に関わらず
  それ以外の己を取り巻く状況の方から追い詰められかねない、と思うので。)
・・・いま私の感じている怖さは、この点に尽きます。
ライブドアも堀江氏にも、元々あまり関心はないのですが。どこか他人事と思えない気がしてなりません。
Posted by vabo : January 27, 2006 02:42 AM
一部補足を・・・
ライブドアマーケティング株を予め保振に預けていた?の件ですが、日本では、(ネットではない)BRICKな証券会社で普通に取引のある客であれば、基本的に預けてない株でも(自宅の金庫に入っている株券でも)電話一本で売れます。受渡日までに株券を渡せばいいだけです。
Posted by Apricot : January 27, 2006 04:56 AM
度々すみません。
47thさんのコメント中「メディアに期待すること」の部分が先程は抜けてましたので、私なりに再度考えてみました。
> 検察のやったことの尻馬に乗るのではなくて、そういう形でメディアには頑張って欲しい気がしています。
> もちろん、今までそういう努力をしてきていないということではなく、
> 純粋に、企業行動の規律に占めるメディアの役割にはソフトなエンフォースメントの一形態として期待を寄せているということで・・・
> 今日の某ホテルの建築問題のasahi.comの記事なんかは、工事の前後の写真まであって、迫力がありましたし。
私としては、
・47thさんの仰る、”マスコミはもっと独自調査すべき”は、その通りだと思います。
  (これは、対象が「国家」「企業」に「公人」も含め、是非張り切って欲しいです)
・但し、その際には「何を求めどこへ突き進むか」についての方向感覚や、
  価値基準(問題意識の持ち方)が、大切な前提なのでは?
と、思いました。
一般に、報道する立場の難しさとして
①受け手ニーズの代弁の要請(=大衆の知りたい視点で書くべき、との要請)
②公正中立である事自体の困難さ
③自己検証の必要性(自分は中立⇒正しいと思うと、特に相手に対して容赦や加減がなくなるため)
がある、と考えてます。
中でも最近は特に、①の「世論の望む事を報じる」傾向や圧力が、強まっているように感じます。
(具体的な、現場の方から聞いた等の根拠は無い、個人的な推測ですが..)
    ↓
もし、「世論の望む事を報じる」が正しいとの風潮が本当にあり、
また、記者本人も、それが全て(読者ニーズを満たしているから良い)と思い込んでしまった場合には、
「独自意見を探すよりも、世論が出来てからその後で尻馬に乗ってしまう」事で足りてしまい、
その結果、「世論の力を背景にしての袋叩き & 反対意見が非常に乏しい」
という状況にすぐ陥ってしまう環境、を招くのではないか、という気がします。
・・これが、47thさんの描かれる状況と、現状が逆になっている要因の一つではないでしょうか?
(すみません、もしこの場合であるとしても、良い対策は思いつきませんが...)
以上です。
全て一人で考えた仮説で、専門家の理論や現場の実態も殆ど知らない者ですので、
おかしな箇所や専門的な見方など、もし何かお気付きの事ございましたら、ご指摘頂けると幸いです。
Posted by vabo : January 27, 2006 07:17 AM
マスコミが主導して抵抗できない堀江氏を袋叩きにしていることに皆さんのような専門家達が危機感を感じられるのは非常に健全な事と思います。このような件では海外のインテレクチュアルがどう思っているかが気になりますが、47thさんの周辺ではどんな反応でしょう?おそらく旧来のエスタブリッシュメントが派手な革命的反逆児をいじめているというような反応と想像しますが。むしろ何が違法なの????という反応かもしれませんが。
Posted by G2 : January 27, 2006 08:04 AM
おっと、僕にふられてますね、はずかしい。。。(自分のほうは全然クリエイティブな感じでないので。。)ところで、47thさんのところ、最近とみにアクセス数が増えている感じに見えます。コメントの量と頻度がすごいですね~
Posted by ぶらっくふぃーるず : January 27, 2006 10:20 AM
上村教授って、ToSTNeTが問題となったときもそうでしたが、どちらかというと規制推進論者的な印象を抱いています。江頭先生などをはじめとする最近の自由化路線とはちょっとズレがあるような…。どうなんでしょう。
アメリカ型の実質規制は、いずれは導入が望ましいと考えていますし、投資サービス法ではそちらのアプローチになるという話も耳にしたことがあるのですが、そのためには、いきなり刑事、しかも強制捜査、というのではなくて、例えば公取委にあるような段階的エンフォースメントが必要なのではないでしょうか。また、アメリカとの比較において刑事責任を問題とする際には、アメリカの有罪率は決して高くはないし、無罪推定も比較的機能しているという違いに留意する必要があると思います。
素人ですので、誤り等があったら申し訳ありません……。
Posted by gen : January 27, 2006 10:36 AM
fujiです。
全く素人の発想なのですが皆さんはライブドアの株を持っていらっしゃるのでしょうか?株主として一連の事実は知ってたのでしょうか。知っていても株を買ってたのでしょうか。ライブドアが儲けの仕組みを開示していたとしたら、これはいける!と思ってやはり株を買ってたのでしょうか。株の本が本屋さんにずらりと並んで、株なんて買ったことも無い人がネット証券で株式購入を始めようとしている昨今です。ライブドア株はそんな素人でも安心して買える株だったのでしょうか。弁護を引き受けるなら、という発想も面白いですし、もし、わが身に起こったら、という考えも経営者としては当然でしょう、でもだんだん最近のコメントを拝見していると保護されるべきものは一体なんなのか分からなくなってきました。(注:私はもってませんけど)
Posted by 皆さんは株を持ってるの? : January 27, 2006 11:14 AM
いろいろ意見があるのはいいですが、議論が錯綜してしまいますね。検察のやり方についての問題は、公権力の強大な権限に対する畏怖とその濫用のおそれについての、健全な視点からの問題提起だと思いますが、この議論と嫌疑の実体法的な評価の議論とは別のタイプです。前者は刑事手続、後者は刑事実体法ですから、一応区別して考えた方がいいでしょう。
これらの問題と、マスコミの報道のあり方への疑問や批判、これももっともな指摘が多いですが、上記の問題とは別の、性質の異なる問題ですよね。刑事実体面にしろ、手続面にしろ、まだ議論するのが早い部分がある(事実を知らないので、検察への批判も難いし、他方、実体法的にライブドアの危ない取引に違法性すれすれ、もしくは実質違法が入っているとの個人の印象はあるのですが、ブログであってもあまり無責任に議論をするのも、と差し控えていると置いていかれそうです。。。。(かなりストレス溜りますが))
マスコミの件では、彼らの取材や報道については、被疑者の人権をあまり考慮していないのは今回に始まったことではなく、特に報道が過熱したりする場合では視聴者・読者の側に情報への希求が強いだけに寛容になる(?)ためか、歯止めが利かなくなると思います。記事にならない場面での記者会見でのやり取りなどでも、質問の仕方などでもひどい質問の仕方、一方的に色を塗る質問の仕方が時折見られるのは悲しい現実です。質問の仕方が適切でないのは、マスコミだけではなく、国会などでもそのようですが、訓練が足りないのか、いいモデルを見ていないからか、どこに原因があるのでしょうか。パブリック巣ピーキングの教育が足りないから、人前での話しが下手だという国民性の表れなのでしょうか。
マスコミが実質的に行使している社会的な「権力」は、国家権力であれ社会的な強者であれ、それらの不当な面・違法な面を議論する方向に用いられれば、その濫用への歯止めとして有効でしょうが、それが個人に向かう場合、その結果は非常に残酷ですね。堀江氏に対しての意見や立場とは別に、報道のあり方については、今回もかなり問題を露呈しているように思います。
最後に、報道の受け手としても、無批判に報道をそのまま信じてしまうこと、それは危険なことだとつくづく思いました。同じ事実も見方が変われば全然伝わり方が変わるのは確かですし、先入観に基づいた見方をそれがわかり難い形で報じられると、誤解を招くこと甚だしいです。調査報道のような、地道な努力が期待できるようになるのはいつなのでしょうか。まだ週刊誌などの方が、新聞やテレビの「劇場型」報道よりはいい面があるかもしれません。良質でない報道に対して、その消費者として、Noということによって初めて、少し変化が生じるのかもしれません。あまりに内容がひどいので、テレビもほとんど見なくなって久しいですが、きっと連日騒がしいのでしょうね。マスコミにも筋の通った方がいるのは間違いないですが、まだ少数派のようですが、消費者の側の声ももう少し大きくなると変化が見られるかもしれない。少しそんな希望を抱きました。
この件、47thさんのブログをはじめ、多くの方の努力でいろいろ考えさせられました。ありがとうございました。
Posted by 辰のお年ご : January 27, 2006 11:55 AM
明快なご返答、ありがとうございます。
そうですね、所属事務所の主要顧客の性格上、なかなかそういうことはできないと思います(いままでよくここまで率直に書かれるとむしろ感心していました)。
仮処分のときはLD側に三井安田がたちましたし、大手でも買収側の弁護をしてみるか、という傾向も出てきたところ、これで一気にやるところがなくなるでしょう。刑事など、いくらLDが金を積んでも、引き受けるところがないかもしれませんね。
今回、もし本気にLDを弁護するなら、すくなくとも4種の専門家による緊密な協力が必要だと思います。①刑事に詳しく、検察に知り合いの多い人(伝わる形に表現してくれる人)、②証取法の解釈について情報を収集処理できる専門家(数は非常に少ない)、③スキームの実務および現況に詳しい実務家、④会計士。
映画などにはソロが功名心からがんばって一転...なぞとよくありますが、現実は個人ないし小さな事務所では処理できない内容だと思います。
Posted by 株屋のねえちゃん : January 27, 2006 03:29 PM
>とおりすがりさん、genさん
上村先生の仰ることを論評する能力も気概もありませんが、アメリカの証券取引は「重要な事実」についての虚偽開示・不開示を厳しく規制していますので、一般論としては私も日本よりも実質判断の傾向は強いと思っています。
ただ、その一方でgenさんがご指摘のように、①ノーアクション・レターやセーフ・ハーバー・ルール等の開示などによってSECの規制方針に関する情報も広く開示されていること、②事後のエンフォースメントにあたっても、実質的な防御機会の確保が図られており、③サンクションについても個人への刑罰だけでなく、対象会社との間で改善策について合意するといった形で事案とその悪性に応じた柔軟な対応がとられているといった辺りで、そうした「抽象的なルールのもたらす不安定性」を手続的なルールの重視で補っていると考えています。
今回の件でも、証取法158条の抽象性を活用するのであれば、その弊害をコントロールするための手続的な枠組みと合わせて考える必要があるのではないかというのが、私自身の一貫した問題意識となっています。
Posted by 47th : January 27, 2006 05:27 PM
>Vaboさん
そもそも「世論」というのは、何なんでしょうね?
マスコミが先なのか世論が先なのかとか、この点について、bewaadさんが非常に興味深いことエントリーを立てていらっしゃっていますんで、そちらも是非ご覧になってみて下さい。
経済的に考えるとみんな同じコンテンツに飛びつくと価値が少しずつ下がっていくので、情報に付加価値をつけたり、違う見方をしてみたりということが合理的なはずなんですが・・・その辺りが、新聞記者さんのブログで言われているような既存メディアの構造的な問題(記者クラブ制)とかとつながっているのかも知れませんね。
>Apricotさん
株式分割の場合、法的な効果発生日から実際の新株券のデリバリーまでの間があって、その間理屈上は代替物件での取引ができるものの実務的にはいやがられるので、そこが需給バランスの一時的なアンバランスの原因だったような朧気な記憶があったんですが・・・保振に入れている株券はみなし預託で法的効果の発生の日に預託がみなされるので問題ないというのはきいていたんですが・・・私が勘違いしていたんですかね?・・・ただ、そうすると、株式分割直後デリバリーまでの間の株価の上昇の理由が今ひとつ分からなくなってくるんですよね・・・
Posted by 47th : January 27, 2006 05:54 PM
>G2さん
うーん、あんまりこまめにチェックしているわけでもないので、本当に印象だけですが、こっちでは情報ソースが日本のマスコミの報道なんで、事実関係の認識は同じようなもので、「出る杭は打たれる」的な日本文化の発露みたいな、結構紋切り的な論評ですね・・・多分、アメリカでもビジネス関係の記事を書いている記者と海外の時事を紹介する記者は専門が違うんじゃないでしょうか・・・
>ぶらっくふぃーるずさん
いえいえ、ご謙遜を^^
メール遅くなって申し訳ありません(私信)
>fujiさん
仰るとおり、こういうやり方の全てが開示されていれば、確かに投資家の判断も変わっていたんだと思います。
その意味では、何らかのアクションが求められていたんだと思います。ただ、より副作用の少ない是正の途がなかったのかは問われるべきだと思いますし、何が本当に問題だったのかを把握しないままにライブドアが使っていたスキームは、およそ全て悪いことであるかのように扱われることは避けなくてはいけないと思っているところです。
とはいえ、批判する側も「坊主にくけりゃ袈裟までにくい」という状態になり易いことも確かです。その点では、仰るように、こちらも冷静にならないといけませんね・・・気をつけます。ご指摘ありがとうございます。
Posted by 47th : January 27, 2006 06:05 PM
>47thさん
>保振に入れている株券はみなし預託で法的効果の発生の日に預託がみなされるので問題ないというのはきいていたんですが・・・私が勘違いしていたんですかね?・・・ただ、そうすると、株式分割直後デリバリーまでの間の株価の上昇の理由が今ひとつ分からなくなってくるんですよね・・・
まさに保振に入っているものに対してまで、たんす株券と同様、新株が刷られるまで新株相当の株数を流通させなかったという金融庁の処置が、LDの100分割および、その後の100分割会社が高騰した原因です。
これについては、ネットトレーダ(今の素人ではないですね。数年前からやっている人達)が一番頭に来ていたことで、保振分だけでも、分割日の翌日から新株が市場で売買できれば、LDのマジック(流動株の不足から高騰するというマジック)は発生しにくい構造だったのです。
みずほ証券の事件で発覚(上のような個人ネットトレーダに発覚)したことは、証券会社の自己売買部門では株券がなくっても約定日までに株券が用意できる場合、株券がなくっても売買できる仕組みだったということです。
この問題(新株発行までの期間の流動株問題)は、やっと半年以上たって、今年?(すみません、私の記憶でかいています。)から、保振分は翌日売買可能となり100分割等が行われても、流動性株数の問題はほとんどなくなったはずです。逆に米国のように1株の商い単価を平均化するためにも、大型分割は必要だとおもうのですが。現在、5分割までという制約を東証が行っていますが、これは東証のシステム問題であって、本来は分割即日流動性を持たせれば、どのような分割も株価は中立というのが、株を売買している人達(個人投資家もふくめて。)の常識です。
弁護士さんや会計士さんは、色々な制約があり株の売買を頻繁に行わないので、いまの制度下でも、実運用面でなにを行えばLDのような抜け道を1つでも実行されれば、その後の穴をふさげれるかということ、あまりご存知ないですね。
Posted by 胡桃 : January 27, 2006 09:56 PM
こんにちは。コメントありがとうございました。勉強に
なりました。
ところで、公開したIT企業で、昔その筋系と取引があって
問題になった事例がいくつかあって、ライブドアも上の記事
でアダルト系と取引があったということでその筋系とも少し
関係があるのかな、と想像してしまうのですが、「その筋
系」と取引がある事自体は特に違法ではないんでしょうか。
(すごいアホな質問ですみません。) 倫理的に問題がある
というだけなんでしょうか。 銀行融資の審査や株式公開等
でも「株主の個性」ということで、株主に「その筋」が
いないかというのを調べたりすることがあるようなのです
が、「その筋」の人というのは法律のなかでは、どのよう
に扱われているのでしょうか。一般人?と同じように
権利・義務があるのでしょうか。それとも、どこかで権利が
制限、義務が強化されていたりするのでしょうか。何か
今回の事件もどこかでこの辺の問題とも関係して
いなくもないような気がしますので・・・。
Posted by とおりすがり : January 27, 2006 10:57 PM
>辰のお年ごさん
含蓄の深いコメントありがとうございます。
証券市場に長く携わってきた方は、どういう視点でご覧になっているのだろうと、ご意見をうかがいたいと思っていました。
未だに悩ましいと思っているのは、クラス・アクションのない日本では証券市場の秩序を守るために国家権力の積極的な関与も必要なことは確かというところと、その一方で158条のような包括的な規定が使われる中で従来の刑事手続きの枠組みが用いられてしまうと、必要以上の抑止効果をもたらしてしまうんではないかというところです。
まだ、私自身、きれいに整理できていませんが、いろいろと考えていきたいと思っています。また、ご意見をお聞かせいただければ幸いです。
>株屋のねえちゃんさん
いや・・・所属事務所の都合とかそういうのではなく^^;、単に私には個人の刑事弁護について語れるほどのexpertiseがないだけで・・・
大手事務所でも、企業の危機管理は寧ろ一つの得意分野ですし、今回のような事件でもコンフリクトがなければ危機管理としてかかわるということはあり得ると思いますし、むしろ問題とされている取引に関与していなかった法律事務所が危機管理段階でかかわるという形は十分にあり得るんじゃないと思います^^
仰るように、こういう場合の対応は複合的なスキルが必要になりますから、そういう需要は出てくると思いますし・・・困難な状況こそ弁護士の腕の見せどころというところもありますからね^^
>胡桃さん
保振りのみなし預託も機能していなかったというのは、恥ずかしながら存じ上げませんでした。ありがとうございます。
そうすると、ますます投資組合の売却した物件をどこから手に入れたのかが気になりますね。何だか、もし報道のとおりだとすると、その辺りはポイントになりそうな気もします。
Posted by 47th : January 27, 2006 11:02 PM
>とおりすがりさん
そういえば、そういう話もありましたねぇ・・・微妙な話なので、ちゃんと調べずにいうことはできませんが、原則は何れかの組織に属しているというだけで法的に差別を設けることはできないのではないかと思います(結社の自由)。数少ない例外の一つが暴対法ですが、ダイレクトに指摘団体と取引している事例はそんなにないと思うので、あとは上場段階でのチェックなどで勘案されるとか、コンプライアンスの一環として考慮するというところではないかと・・・歯切れが悪く申し訳ありません。
Posted by 47th : January 27, 2006 11:10 PM
>47thさん、
>そうすると、ますます投資組合の売却した物件をどこから手に入れたのかが気になりますね。
これは、新株が刷られるまでの間にだれが一番多く株を手元にもっているか?ということから明らかです。貸株により、匿名投資組合が売り方の株を入手したのです。
ここで、いまの株をやる素人が間違う点ですが、大株主は保振に預けないのは常識です。大株主の株はほとんどのケース手元におきます。でないと安定株主としての存在意義はないですからね。
みずほ証券事件では、大株主にお願いしても株券が調達できないほど売ってしまったので、溶け合い以外方策はなかった(笑。
Posted by 胡桃 : January 27, 2006 11:16 PM
補足です。
>47thさん、
>保振りのみなし預託も機能していなかったというのは、
あくまで、この保振りのみなし預託は、こういう新株流通での機能が目的ではないです。本来の目的は、贋株券の流通や自己株の流通に対して、市場での投資家を守るための無株券化への一環が基本です。本来は、分割即流通を実現するためにも無株券化が必須なのですが(安定株主の株券はどうするか?というと、保振りではなく、発行会社での管理簿上で管理する。)、便法としての利用方法があるということです。
あと、貸し株等の制度をおそらく法律家の方々は罪悪視するかもしれませんが、貸し株がなければ正常な市場での株価流動性は確保できません。
もう1つ。今回のLDのスキームで個々に使用された手法は、証券市場では過去常識的な商いの範疇での行為であり、LDの連中が抜け穴を見つけたと証明することに抵抗感を見出す人も多いです。大株主が、匿名投資組合に貸し株する行為そのものは、貸し株が妥当である限り、借り手が異なれば真っ当な行為ですから。
今のニュース情報をみるに、よく実質支配という言葉が踊っていますが、制度面での不備が実質支配という状態を生み出すのであって、経済犯罪行為を取り締まる場合、ロジックの立て方が逆ではないか?とも思うのですが。私が被疑者になると仮定した場合、この実質支配という状態を作りだした制度面の問題を指摘し、制度から生まれる結果はあくまで将来予測であるがため、認否を拒否しますが(笑。これを弁護士さんがうまくサポートしてくれるか、なかなかいい弁護士さんはいないな~~と、TVに出られる弁護士さんなどを拝見していると思います。
Posted by 胡桃 : January 28, 2006 12:20 AM
>>胡桃さん
興味深い情報ありがとうございます。
法律家から見ても、保振というのは、株券は有価証券であるという建前と流通促進のためのペーパーレス要請の狭間の間で制度的にも分かりにくい制度ですが、実務では更にややこしい運用があるということなんでしょうね(余談ですが。証券会社のDDでも保振口座はやっかいなところの一つですから・・・)。
>貸し株等の制度をおそらく法律家の方々は罪悪視するかもしれませんが、
いや、少なくとも普通のビジネス・ロイヤーは罪悪視はしていないと思いますよ、たぶん(汗)・・・少なくとも、私は貸株そのものに抵抗はありませんよ^^
Posted by 47th : January 28, 2006 12:49 AM
>47thさん
抱腹絶倒の傑作そろいですね。。。最後まで爆笑でしたよ。
さて、実はブログ以外にもcafeglobe(http://www.cafeglobe.com)というサイトの掲示板でこの問題のトピックスを立てているのですが、ここのブログの引用をお許しいただけないでしょうか?
正直、47thさんの見識を「まるで自分が考えたように」書き続けることは気が咎めますので。。。
ご紹介にあたっては全責任を持ちたいと思います。
よろしくお願いします。
Posted by foresight1974 : January 28, 2006 09:18 AM
>foresight1974さん
基本的にいったんブログで書いちゃった以上はリンクフリーだと思っているんで、どうぞぉ^^
掲示板だと、いぢめられそうで怖いですけど
Posted by 47th : January 28, 2006 10:57 AM
米国法で、RICOを適用し、ドレクセルを挙げたケースが90年にあり、ライブドアの事件と似ているなと思いながら見ています。29日の毎日新聞のネットニュースでは、本件でも組織犯罪処罰法適用検討とあります。犯罪収益没収の法改正、今国会提出ですし、「一滴の汚水がすべてを汚染する」の論法も輸入されそう。わざわざ検察が乗り出したのは、法改正の地ならしかと。
Posted by rico : January 29, 2006 12:53 AM
47thさんのJanuary 26, 11:24 PMのコメントについてですが…
> ふと思うのが、こういう内容について、検察が入る前にマスコミが独自調査で発表していれば、どうなったんでんしょうね?
> ライブドア自身が株主の信頼を取り戻すために何かアクションを起こさないといけない立場になっていたんじゃないか・・・と
> 検察のやったことの尻馬に乗るのではなくて、そういう形でメディアには頑張って欲しい気がしています。
いま報道されているのと同趣旨の内容を、検察が入る前にマスコミが独自調査で報道していれば、多分ライブドアは弁護団を結成して「名誉毀損」だの「風説の流布」だのとマスコミを訴えたでしょう。疑惑報道を「その通りです」と認めたり謝罪するなんてあり得ないと思う。まあ、弁護士にとってはビジネスチャンス到来ですね。
マスコミは高まる訴訟リスクに脅えているとか。報道内容が真実だと証明できればリスクは少ないのでしょうが、マスコミは捜査機関のように不正の決定的証拠を押収したり、取調べで罪を自白させることができないので、状況的には真っクロな不正を見つけても簡単には報道できないのだ…と聞いたことがあります。
弁護士さんがマスコミを「検察の尻馬め。努力不足だ」と非難するのも一理あるでしょうが、一方で名誉棄損訴訟などを通じて言論への制約を強めてきたのも弁護士の先生方であることを考えると、何だか複雑な気がします。
Posted by ししおどり : January 30, 2006 02:29 AM
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