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預保の方針転換は何をもたらす?

預保機構、公的資金返済で新ルール・自主判断で売却も (NIKKEI NET)

預金保険機構は28日、大手銀行などに注入した公的資金の返済に関する新ルールを発表した。機構が保有する銀行の優先株について、銀行から申請がなくても自主的な判断で普通株に転換、売却できるようにする。株価上昇で保有株の時価総額が注入額を大幅に上回っているうちに株を売却して公的資金を着実に回収し、国民負担を抑えるのが狙いだ。
(中 略)
新ルールは株価上昇などで優先株の処分が「極めて有利な状況にある」場合、機構が自主判断で処分できるとした。

金融庁のプレス・リリースと預金保険機構の発表した考え方を見てみると、「極めて有利な状況」の判断状況は次のようなもののようです。

優先株式等の商品性や株価の状況等から見て、適正な価格による処分により確実に利益が見込まれ、かつ、その時点で処分を行うことが極めて有利な状況にあること
(注)優先株式については、普通株式の株価が転換価格の150%程度以上で概ね30連続取引日推移していれば、処分により確実に利益が見込まれる状況にあると判断することとする。

ということで、あんまり話題にならないようですが、預金保険機構が持っている優先株の多くは転換価額調整条項がついているので、えげつないかどうかはともかくとして、金融的な意味合いでは、ちょっと前に話題となったMSCBと大して変わらないわけです。
MSCBについては去年の年末から年始にかけて磯崎さんと絡みながら、いろいろと議論をしたのですが、そのときにMSCBのポイントは引受人が転換権をどのように行使するかという「見込み」の形成に関する情報がちゃんと開示されているかどうかだという話をしたりしました(詳しくは、こちら) 。
で、このときに、私は、邦銀に注入されている転換価額調整条項付優先株式については、投資家は「預保がいきなり前触れもなく行使したり、普通株式を引き受けることはない」と「予想」しているので、あんまり株価に影響を与えていないんじゃないかと思ってたんですが、今回、その行動方針が変わったわけです。
このプレス・リリースから見ると、大体50%のプレミアムというのが基準になりそうな感じですが、これを受けてまだ優先株式が残っている銀行の株価がどう動くのかが興味深いところです。
優先株式が残っている銀行とそうでない銀行との間でARに有意な差が出るのか、とか、優先株式の残っている量とARに相関が見られるのかとかやってみると面白そうな気もします。更に優先株式の転換条件によって差が出るのかとか、ボラティリティでコントロールしてみるとどうか、とか・・・
・・・と、アイディアは湧くんですが、優先株式の条件とかボラティリティとかのデータは手に入れるのが面倒くさそう・・・とか言っててはいけないんでしょうが・・・来週MPREのテストだし・・・
気が向いたら、何かするかも知れないということで、とりあえずデータ元になりそうなところだけ貼り付けておきます。

Posted by 47th : | 06:36 PM

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