« 「バントはアウト一つをくれるから楽」・・・どこかで聞いたような | メイン | 証券市場の公正と信頼? »

秋学期授業終了

本当は昨日、私のとっているクラスは全部終わったんですが、まあ、今日が授業の最終日ということで^^
8月末から始まって3か月・・・何か意外とあっという間でした。
記憶の新鮮なうちに、各科目についてのショートコメントを。

Corporation - John Coates

あのCoatesということで、相当に期待も高かった授業でしたが・・・思ったよりは普通・・・というか、よくも悪くも「学者」というよりは「弁護士」で、Wachtellで若いアソシエイトに次々質問していじめている姿が、よく似合う人でした(笑)。
授業の中での白眉は、やはりM&Aのところでした。それまでのところは、結構ケースブックと条文に沿ってオーソドックスな感じで進んでいたんですが、M&Aのところに入った途端、目の光り具合が違う。
もう、実務も理論も裏の裏まで知り抜いているという自信が満ちあふれていて、学生にあてることもほとんどせず、もの凄いペースで面白かったです。NY Lawyerさんが書いていましたが、Unocalのところの解説は圧巻。日本では差別的自己株式買付というところだけが妙にクローズアップされていますが、全体のスキームの組み方はゲーム理論的な発想に基づいた極めて合理的なもの。
このクリエイティブな防衛策を禁止するとは、SECも罪なことをするものです(笑)。


あと、個人的には、これまで何人かの実際にライツ・プランを設計している弁護士に聞いても、誰も明確に答えられなくしどろもどろになってしまう、ある論点について授業の後で聞いたら、即座に答えが返ってきたのも印象的でした。しかも、考えていたことが同じで、今まで言っていたことが嘘じゃなかったことが確認できたので、一安心^^
Corporation全体をやらせるよりもM&Aだけで聞いてみたかったですね。
キャラクター的にも、なかなか憎めないものを持っていて、昨日の授業の最後には「一人か二人、この授業にいるべきでなかった者がいるけど、後はすばらしかったよ、べいびー」みたいな挨拶で去っていったのですが、今日「一人か二人といったのは、君たちのことではなくて、授業にも全く顔を出さなかった人のことを言ったんであって、心配した人がいたら、申し訳なかった。ごめんね」というメールが来て笑えました^^

Antitrust - Harry First

いや、もうFirstの授業は、これ自体、一種の「そくらてす・めそっど」という名前のエンターテイメントで、素晴らしかったですね。
授業の最初に必ず、monologue調に前回の議論を簡潔にまとめたintroductoryをしてから、流れるようにその日のケースに入り学生を指名。
学生とのやりとりも軽妙で、答えられない生徒には口パクで答えを教えたりとか^^
Antitrustという科目は、経済学的なバックグラウンドが求められたり、判例の変遷もダイナミックで、なかなか「これ」というのがないんですが、その錯綜したケースを教えていく中で、知識ではなく、どう考えるのかということが次第に身に付いていくわけで、これがソクラテス・メソッドの神髄という感じです。
本当に、機会があったら?、Antitrustに興味がなくても、出てみて欲しい授業です。

Corporate Finance - Navin Chopra

過去記事をご参照下さい。
これ以上、言うことはありません。計算機の使い方は覚えました。以上。

Antitrust Law & Economics - Daniel Rubinfeld

ブログでも何度かとりあげましたが、このゼミもよかったです。
ただ、学生の方の問題もあるんでしょうが、Reading AssignmentにあるようなEcon的な議論が意外と少なかったのが残念。
とはいえ、実際の訴訟における経済理論の用いられ方を見ることができたのは、大きな収穫でした。

Quantitative Method - Daniel Rubinfeld

こっちは聴講だったんですが、いや、聴講にしておいてよかった(- -)。
先生が同じなんで、Paper Assignmentも同じ・・・いや、1本でもこんな苦労しているのに、2本も書けません(涙)。
こちらも、独禁以外の訴訟でも、いろいろな形で統計学やregressionが使われているのを知ることをできたのは面白かったです。
・・・しかし、実際のデータ分析なんかは全然なかったので、その意味でのスキルの向上には役立たず・・・実は春学期にSternのMulti Regressionをとろうかと画策中だったりします。

・・・というわけで、Corporate Financeを除けば、秋学期の選択は大成功だったのではないかと勝手に思ってます^^
あとは、テスト頑張らないといけませんが・・・そうそう、ペーパーの方は、一応ニア・ファイナル状態までいきました。あとは、土日に紙に打ち出して、ちょこちょこっと手直しをする予定です。
つまらないものですが、見てみたいという方は、個別にご連絡下さい。では。

Posted by 47th : | 10:27 PM

このエントリーのトラックバックURL:
http://WWW.ny47th.COM/mt/mt-tb.cgi/191

コメント

こんにちは。

もう全て羨ましい限りでございまして、自分の能力をさておき「俺も受けてー」と日本でもだえております(笑)。

統計学の達成のうち、政治で日本でまともに受け入れられたのは、「1%の開票で当確だせるんだぞー」くらいじゃないでしょうか。まだまだ。ひたすらもったいないことです。びっくりするようなことや何千回も実験しないとわからないと思ってたことを、問答無用の当たり前だと教えてくれる、ありがたい分野なんですが・・・


Posted by bun : December 14, 2005 06:32 PM

>bunさん
私も統計学の利用法を知って、日本で余り使われないことがもったいないという気持ちを強くしました。
選挙といえば、2000年の大統領選でのフロリダの投票結果(バタフライ・バロットという投票用紙によって有権者が間違って投票をしたという疑いがかけられている)についての論文も読んだのですが・・・いや、あれは、絶対に間違いですね。昨日、間違いで選ばれちゃった人が何か謝っているんだか開き直っているのかよく分からないスピーチをしたようですが、あれがなければ、世界の歴史が変わっていたかと思うと、いや、何とも・・・

Posted by 47th : December 15, 2005 10:59 AM

はい。間違いだと思います(笑)。

その方は中国でコケにされてましたね。スピーチを終えて舞台から退出しようとしたらドアが開かないんですね。吉本新喜劇かと(笑)。

これ外国メディアでは結構ニュースになっていたように思うのですが、日本では全く報道されませんね。その方がいかに世界でバカにされているかという話も、報道されなさすぎです。

うーむ。こうなったら日本のメディア宛に、常時ダブルプッシュしましょうか?(笑)。

Posted by bun : December 16, 2005 10:43 PM

うまい。うますぎて、切り返しが思い浮かびません(笑)

Posted by 47th : December 17, 2005 10:56 AM

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)

 
法律・経済・時事ネタに関する「思いつき」を書き留めたものです。
このブログをご覧になる際の注意点や管理人の氏素性はこちらにありますので、初めての方はご一読を。