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「経営・知的資産小委員会中間報告書(案)」の公表について

前に「裏側」情報の開示は投資家を救うか?というエントリーで触れた産業構造審議会新成長政策部会経営・知的資産小委員会中間報告書(案)が公表されました(・・・長い名前・・・)
企業価値研究会と違って、本体は6ページのコンパクトな意見書なので、気軽に読めると思うのですが、内容は、ちょっと考える必要があるんじゃないかという気もします。


例えば定量的指標として「仕入先企業との取引年数・客単価の変化」とか「原価の変化に対する出荷価格の価格弾力性(価格転嫁能力)」とか・・・いくら自主的といったって、そこまで開示させるんでしょうか・・・クローズドでやれば、下手すればカルテルもので、まさか国内で開示されたこの情報交換で米国司法省に訴えられたりとか・・・あり得ない話でないところが怖い。
あと、開示項目に挙げられているものの中には、既に商法・証取開示にあるものも含まれているような気が・・・ちゃんと比較していないので、厳密にいうとカバーされていない部分があるのかもしれませんが、セグメント情報的なものとか、内部統制体制みたいなところは・・・
あと、社会との共生は「環境関連投資額」(←そもそも、この定義が・・・環境の場合には、直接的な投資額以上に機会費用も大きいので、そちらも見ないといけないような・・・)とか、「SRIファンド採用数」とかで見ていいのでしょうか・・・専門じゃないんで分からないんですが、M&Aのデュー・ディリで環境リスクを見るときの項目とは一致していませんねぇ・・・
そのほか「ファイナンス力」って何ですか・・・とか・・・
いかん、揚げ足どりばっか・・・だけど、ちょっとこっちの方が、企業価値報告書よりもダイレクトにあらゆる上場企業に影響のある話なので、これでいいのかよく見ないといけないような気がします。

ちなみに、前回の記事で指摘した不実開示の問題については、あっさり「今後の課題」ということのようです。

7.今後の課題等
◯ 知的資産経営の開示は、適切な内部管理による裏打ちのないものであれば、その 開示情報の信憑性は失われてしまい、そして、開示情報の信憑性が確保できなけ れば、開示メカニズム全体としても機能不全に陥る。そこで、知的資産経営に対 する内部統制のあり方、開示される情報に関する第三者による監査・保証等につ いて、今後検討が必要。
◯ 開示の場としては、まずはIR等の任意の自主的な開示からスタートするが、知 的資産経営の重要性についての理解が増し、知的資産経営報告書が重視されるよ うになれば、制度的な位置づけを明確にした責任のあるものとする必要があり、 これらについても今後検討が必要。

Posted by 47th : | 01:57 PM

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産業構造審議会新成長政策部会 経営・知的資産小委員会中間報告書(案)の公表につい [続きを読む]

トラックバック時刻: June 16, 2005 06:36 PM

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