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なんで「風説の流布」なんだろう?

今日はアメリカはMartin Luther King Dayということで学校も休みだったんで、New Jerseyの日本食スーパーに買い物がてら、そこで出店している山頭火でラーメンなんかをすすってたんですが、つらつら考えてみるに、今回の容疑が「風説の流布」というところが、純粋に法的な意味で興味深いですね。

報道の内容を聞いている限りは、今回の件というのは、どこまでいっても、要はライブドアが自分のコントロール下にある企業の情報について開示の内容やタイミングを操作したという話ですよね?

少なくとも証券取引法上は、流通市場において開示すべき内容というのは、有価証券報告書と臨時報告書の提出義務の中にとりこまれていて、これに関する不実記載やmaterial omission(重要事項の不記載)を罰するというのが本来のルートです。

これらの法定開示書類の対象とならないけど市場に影響を及ぼすかも知れない情報については、従来は、取引所規則での適時開示義務と、インサイダー規制で間接的に開示が促されるという状況にあったんじゃないかと思います。

もちろん、文言的には、157条から159条も適用は可能なわけですが、どちらかというと、これらは発行会社以外の第三者による相場操縦を念頭に置いてきたんじゃないかと・・・(あ、でも発行・売出しの時には安定操作が絡むか・・・)

今回、風説の流布を使ったというのは、その意味で興味深いんですよね。もしかしたら、風説の流布が日本版10b-5的な規定として使われていくのかも知れないなという予感もあります・・・ただ、その場合、日本では刑事罰一本槍なんで、立証のレベルが高いとか、罪刑法定主義とのバランスといったあたりが問題となりそうな・・・

まあ、これは、目先の事件が云々というよりも、かなり傍観者的な観点なんですけど、今後、日本における証券取引法の執行が盛んになっていくとすれば、解釈論上の結構大きなターニング・ポイントになるのかもしれません(まだ、起訴すらされていないわけですが・・・)


Posted by 47th : | 22:27 | Securities

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コメント

VLMA2号投資事業組合の出資がライブドア本体であれば、LDM社がマネーライフ社を株式交換で取得する際に、旧株主について開示しなかったというだけで、なんら風説の流布や偽計には該当しないと思います。
しかしながら、組合の出資がLDM社であれば、話が変わります。この場合、LDM社はマネーライフ社の株式交換で密かに自社の株を入手し、さらに粉飾決算によって株価を高騰させたうえで、密かに売却したとすれば、「自社株を秘密裏に売却して利益を得るために、株式交換という偽計を用い、黒字であるという風説を流布した」という構成で証取法違反となるのではないでしょうか?
これと同じパターンでライブドア本体も何度か利益を得ていた可能性もあるのではと睨んでいます。エンロンの時も手口はワンパターンだったような。
ついでにライブドア幹部個人でも一緒に儲けていたなんてこともこういう場合はワンパターンだったりしないでしょうか?

Posted by かず : 2006年01月17日 09:26

>かずさん

エンロンと一緒にしちゃうと(双方にとって)かわいそうだと思うのですが^^;、仰るとおりだとしても、日本では、①会計情報の不実記載、②自己株取得・処分規制(商法)違反、③インサイダー規制違反のお話という具合になりそうなところで、158条が出てくるところが、(あくまで法律家的な観点ですが)非常に興味深いんですよね。
事案関係としても、エンロンの場合は、実体と全く異なる情報(損失隠し)が問題だったわけですが、今回は、どちらかというと、実体とは一致していて、もっぱらタイミングが問題になっているような感じもするところが、いろいろと面白いなという気がしています。

Posted by 47th : 2006年01月17日 11:51

 
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