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村上氏が残すもの

(追記あり) 

今頃、日本では凄い騒ぎなんだろうなと思いつつ、村上氏が日本時間午前11時からの記者会見で「インサイダー取引」を認めたという報道をネットで見ているところです。

M&AコンサルティングのHPには、早速村上氏個人名義で「ニッポン放送株式の売買について」と題するリリースが掲載されています(このPDFのファイル名も泣けます)。

これによると、村上氏の「認めた」事実経緯は次のようなものであったようです。

・・・2004 年11月と2005 年1月にライブドアの堀江社長(当時)をはじめ とする方々が弊社を来訪された際、同社がニッポン放送株式を5%以上取得したいとい う意向をお持ちであると伺いました。
・ただ、当時のライブドア社の財務状況に鑑みれば、ニッポン放送株式を5%以上買い集めることは不可能だと考えており、当該意向は、ライブドアの単なる願望だとしか受け止めておりませんでした。・・・
・しかしながら、上記のライブドアによる株式取得の意向は、証券取引法167 条、同法施行令31 条に規定するインサイダー情報としての5%以上の株式買い集め行為について の決定であると解釈されるものであり、このような情報を知った以上は、MAC アセッ トマネジメント社の実質的なオーナーであり、非常勤取締役である私は、同社によるニ ッポン放送株式の買付けを停止させる義務がありました。
・十分な注意を払わずに上述の義務を怠ってしまったことは、職業として株式投資に関わ る者としては失格であり、ファンド出資者の方々にご心配をお掛けするとともに、皆様 をお騒がせしたことにつきまして、ここに深くお詫び申し上げます。

村上氏が、何故この段階で認めたのかという点については、いろいろな憶測が可能でしょうが、事実については認めて勾留の長期化を避け、情状を確保しつつ、公判では弁護士を前面に立てて「村上氏立件へのハードルとその影響」であげた167条の構成要件解釈に関する点をつき無罪を争うというのが一つの見方でしょうか。

・・・ただ、もし村上氏が、それすらも争わず、およそ上に掲げたような事実関係の下でもインサイダー取引に該当するという先例(※)のみを残して、日本を去ったとしたら・・・この「先例」は166条インサイダーも含めて、日本の証券取引実務に落とす影が村上氏が愛想を尽かした日本市場に残す呪いなのかも知れません。

あるいは、村上氏が「改心」して、およそ上に掲げたような基準の下で、村上氏が心当たりのある犯罪に当たり得る行為を全て検察に情報提供したとしたら・・・

レッドソックスはバンビーノの呪いに86年間苦しめられましたが、さて、村上氏の呪いはどうなるか・・・と、いったら考えすぎなんでしょうか。


(※)要は、上の事実関係においてインサイダー取引が認定される先例がある場合において、以下のような事案がどう扱われるか、という話です。回答編は特に用意しませんが、頭の体操ということで、各自考えてみると具体的なイメージが湧くかも知れません。

  • 上場会社Aは2か月前に外資系ファンドXから5%以上の持分の取得に興味があり経営陣と面談したいという申し出を受けたが、余り著名なファンドでもなく、どれほど真剣かも分からないので、とりあえず返事を保留したままにしておいた。
    その後、Xから何のコンタクトもなかったことから、1か月後、自己株式買付プログラムを信託銀行に委託し、プログラムに従って予定株式数の10%の買付が完了した段階で、XがA社株式を5.1%取得した旨の大量保有報告書が提出された。
    Aは、直ちに自己株式買付プログラムを中止するよう信託銀行に指図した。
    この場合に、Aが信託銀行に依託して行った自己株式買付は167条に違反するか?

  • 上場会社Bの6%の株式を保有するファンドYは、別のファンドZのアプローチでB株式の売却交渉を開始したが、Zが最初に提示した価格が余りにも低かったため、Z側が価格引き上げをほのめかしたにもかかわらず、一方的に交渉を打ち切った。
    その後、別の大手ファンドαがBに興味を示しているという噂が流れたことからXはYはB社株式を2%買い増した。
    その1週間後、ZがB社株式を5%取得した旨の大量保有報告書が提出された。
    Yによる、B社株式の買い増しは167条に違反するか?

(追記)

toshiさんのブログ経由で知った毎日新聞の報道によると、村上氏の見解は検察のそれとは違うようです。

村上代表はこれに先立ち04年9月15日、既に買い進めていたニッポン放送株の処理に困り、堀江前社長や前財務担当取締役の宮内亮治被告(38)=同=に、一緒に同放送株を取得するよう要請。この際「私が17%持っているので、LDで3分の1(約33%)取得すれば同放送を入手できる。ひいてはフジテレビも支配できる」と持ち掛けた。この直後に、LDは資金繰りを検討して経営権獲得に乗り出すことを決め、11月8日に宮内前取締役らが村上代表側に伝えた。
村上代表は5日の会見で「LDの情報を基に利益を上げる意図はなかったが、宮内さんから『やりましょう』と聞いてしまったことが証取法違反に当たる」と説明。特捜部は「過失犯のようなことを言っているが事実と違う。当初から利益目的の仕掛けだったことは明らか」とし、インサイダー取引で30億円以上の利益を得たとみている。

・・・とのことのようですが、LDが33%ものニッポン放送株式を暴騰を招かずに1日で買付できたのは、①フジテレビのTOBにより株価がTOB価格に張り付くという状況と②村上氏とサウス・イースタンというブロック・トレードに応じてくれる機関投資家がいたからであって、11月の時点で「私が17%持っているので、LDで3分の1(約33%)取得すれば同放送を入手できる。ひいてはフジテレビも支配できる」なんていうシナリオとか、村上氏が17%を保持したままでToSTNETに株を出してくれないのに一日で30%の買付が成功するをできるというシナリオをLDが信じていた・・・って、「世の中には不思議なこともあるから、絶対ないとはいえないけど」としか言えませんが・・・なんか頭痛が・・・いや、きっと検察は、もっと現実にありそうな筋立てをちゃんと考えているんでしょうね、きっと。

Posted by 47th : | 00:05 | Securities

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コメント

インサイダーの事例問題に書かれている
>XはB社株式を2%買い増した。
のXの部分は、Yの・・ということでよろしいのでしょうか?

Posted by 通りすがり : 2006年06月05日 06:16

こんにちは。
いやはや、おっしゃるとおりで、いろいろ物議をかもしそうですねぇ。

まったく本題ではないところですが、

>このPDFのファイル名も泣けます

PDFファイル名の「apology」ですが、ウェブスターで調べると、第一義は「a formal justification : DEFENSE」となっています。
http://www.m-w.com/dictionary/apology

有名なソクラテスの弁明も「Apology」ですが、この中でのソクラテスさんはまったく謝罪や反省の素振りなどないわけで。(笑)
このファイル名からも、村上氏のしたたかさが伝わってくる・・・というのはうがった見方にすぎますでしょうか。

Posted by Apricot : 2006年06月05日 06:52

いつも勉強させていただいております。僭越ながらTBさせていただきました。

私としては、今回の会見・リリースが、「村上氏による日本への三行半」ではないかと感じました。これが「海外投資家による・・・」にならなければよいのですが・・・。

ところで、今回のケースでは「検察側の主張」を「村上氏が(少なくとも事実関係は)受け入れた」とされています。そこで一つ疑問なのですが、このような状況下の中で、依然として「インサイダー取引の要件を満たしているかどうか」という部分については論点になりうると思うのですが、被告側が事実関係を認めた上で、法解釈について争う姿勢を見せない場合、裁判所は別の判断を行うことが出来るのでしょうか?もし出来ないとすれば、それこそ「呪い」のような悪しき先例を作りかねないと感じるのですが・・・。

ご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。

Posted by Swind@立石智工 : 2006年06月05日 07:47

47thさんの事例問題は一見、面白いですが、村上ファンド事件とは構図が違いすぎて、たとえ話になっていないように思えます。

村上氏はすでに2004年9月の段階でライブドア側に「ニッポン放送いいよ。少し買ってくれるとうれしい」ともちかけ、それに応じて11月と1月にライブドア側が経営権取得の意思を伝えたとされています。相思相愛ですね。(ライブドアの意思決定時期はライブドア幹部が証言していることでしょう)

検察は、もともと友好関係にあった村上氏と堀江氏らによる一連のやりとりを不可分とし、このディールにおいては「一心同体」のようにみなしている…との報道もあります。もはや単純に「聞いた、聞かない」の次元ではなく、「状況的に村上氏がライブドアの意思を知らないはずはない」と立証するのでしょう。

一方、事例問題では、A社とファンドX、ファンドYとファンドZは友好どころか非協力的で、常識的に相手を信用できる状況にはない。だから村上ファンド事件と同列には扱えないでしょう。特異な事件を無理に一般化して捜査の悪弊を誇張するたとえ話には、少々違和感を覚えました。

※コメント欄では私ばかりが批判的なようで、恐縮しております。

Posted by smart : 2006年06月05日 09:46

>通りすがりさん
あ、そうですね。ご指摘ありがとうございます。
>Apricotさん
なるほどぉ。
ためになりました。ありがとうございます。
>Swindさん
刑事、民事問わず法適用については裁判官の判断事項なので、当事者が認めても裁判所は法律解釈をしなくてはなりませんし、刑事では事実関係についても被告人が認めているかどうかを問わず、検察側は証拠による立証の責任は負います。
ただ、事実的には被告側が争わない中で、裁判所が訴追側とは異なる判断をとることは抵抗があることも確かというところではないでしょうか。
>smartさん
いえいえ、批判的なのは結構ですし、おそらくsmartさんのように、「村上氏への嫌疑が、そんなに大きな影響を及ぼすなんて、本当にあるの?」という感覚は自然なものだろうと思います。
ただ、インサイダー取引の条文の解釈として見たときには、協力的か非協力的かは必ずしも結論を分けるファクターとはならない―むしろ友好的であるということは、共同買付者という観点から見ると、犯罪成立を阻む方向で作用するので、非友好的な場合には、ますますインサイダー規制に該当する可能性が高くなるので、仮に、このままの形で先例として確定すると、その潜在的な影響は上に掲げたような事案にも及ばざるを得ないわけです。
もちろん、そもそもインサイダー規制について弁護士の意見を余り聞いてもらえなかったり、「事案が違う」ということで、上で掲げたような場合には問題ないという意見を述べる弁護士の方がおられる可能性は否定しませんが、慎重な弁護士であれば、こうした先例が確定しまった状態で法的にOKを出すことは非常に難しくなってしまうわけです。

Posted by 47th : 2006年06月05日 10:24

論点はずれるのですが、事例にある自己株式買付プログラムは、取締役が自ら自己株式の買付を行っている間に、未公表のインサイダー情報をすべて公表しきれないというリスクを回避するために、外部に買付を委託することに一つの目的がありますよね。インサイダー取引における主体は、会社ではなく、あくまでも個々の取引を行った個人なので、仮に取締役が会社の機関として情報を取得しても、外部受託者又は同会社の他部門の担当者がそれを知らずに会社のために取引をした場合には、理論上はインサイダー取引には該当しないことになるはずです(実際は、厳格なウォールがあっても、リスクはゼロではないということで、取引を中止する例もあるはずですが。)。ただ、取締役が当初からインサイダー情報を知って(特に脱法目的で)、外部に委託をした場合には、取締役=外部の受託者とみるのですかね・・・ちょっとそのあたりの理屈が気になったもので。

Posted by taka-mojito : 2006年06月05日 13:39

>taka-mojitoさん
お久しぶりです。
お尋ねの件は、それ自体書き出すと長くなりますが、原則はプログラム委託時に存在していたインサイダー情報との関係では、単に信託や証券会社に具体的な執行を委ねただけでは解除されないという解釈だったはずです。もちろん、ここも条文の文言上、争う余地はないと思いませんが、実務的には確かそういう解釈だったんじゃないかという記憶です。
この場合に中止までする義務があるかは解釈は分かれるところですね。上の事例では中止したかどうかは、せいぜい情状(か、何らかの形で違法性の意識が斟酌されるとすれば、その事情)というところでしょうか。

Posted by 47th : 2006年06月05日 14:43

はじめまして blueといいます。
機関投資家の末端にいるものととしては今回の件は複雑です。

 村上氏、堀江氏共に発言が本当だとしても軽率であったと思います。ただ、あの時点で堀江氏がニッポン放送株を購入するスキーム(MSCB、場外での売買等)を想定して話していたとは想定し難いです。
 
 我々の日常業務の企業への取材の中で、「公募増資の可能性は?」とマネジメントに聞いて、「今はまったく考えていないが2年後くらいにはCFが厳しくなってくるため、有利子負債、株式問わず調達を考えている」といわれたとします。
 その株を売却し、2年後に本当に公募増資が行われた場合、これはインサイダー情報による売買とされてしまったら、我々は情報収集が大幅に制限されてしまいます。

Posted by ao : 2006年06月06日 11:33

>blueさん
コメントありがとうございます。
さすがに、そこまでは厳しくならないだろうとは思いますが、潜在的には、色々な影響があり得るのではないかという危惧は私も分かります。

Posted by 47th : 2006年06月06日 18:56

すいません、

>1日で買付できたのは・・・

のくだりが良く分かりません。
9月の時点では、そもそも市場外一発ツモというシナリオ自体まだ無かったと思うのですが・・・。

Posted by nanasi : 2006年06月06日 22:40

>nanasiさん

>9月の時点では、そもそも市場外一発ツモというシナリオ自体まだ無かったと思うのですが・・・。

そうですよね。
存在していないシナリオを、どうやって村上氏とLDはまとめたんでしょうね。
フジのTOBがない状態で大量の市場買付を進めれば、株価は青天井であがってしまいますし、そのような状況では買収資金総額の目途も立ちにくいわけです。
それだけでなく、既に数年かかって村上氏と外資系ファンドが浮動株を買い集め、上場廃止になりかかるほどに株主数が少なくなっていた当時のニッポン放送で、村上氏の17%を手元に残したままで、それ以外の33%を経済的に割に合う価格で買い集めることは、普通に考えれば簡単な話ではありません。(それができるのであれば、村上氏自身や他のファンドが買っているはずです)
当時の状況で33%を取得することができるシナリオというのは、まさにあの特殊な状況を前提としないと考えにくいので、あの状況を前提とせずに現実的に33%取得のどういう画を描けたのかが、よく分からないわけです。

Posted by 47th : 2006年06月06日 23:15

>>管理人様

上記記事によると、11月の段階では、LD側は資金繰りの目処を立てた上で、氏のお誘いに対する基本的な賛同姿勢を示したと読めます。素人考えで恐縮ですが、

>存在していないシナリオを、どうやって村上氏とLDはまとめた

とのご指摘ながら、この段階で買付シナリオを具体的に練ってあったかどうかは余り本質的な話ではないのではないでしょうか?

ところで、2004年のLF社半期報告書を見てみたところ、上位10株主の持分が発行株式数全体に占める割合はおよそ60%でした。確かに、大口株主より買い付けるより方法はなかったでしょうね。まさか、氏は最初から、売ってくれそうな大口さんを知っていたとか?まあ邪推ですが。

Posted by nanasi : 2006年06月07日 01:33

と言ってるそばからこんな記事が・・・。

http://www.excite.co.jp/News/society/20060607150000/20060607E40.070.html

<村上ファンド>村上前代表「この株主は売る」堀江氏に助言(毎日新聞)

 証券取引法違反(インサイダー取引)容疑で逮捕された「村上ファンド」前代表の村上世彰(よしあき)容疑者(46)が04年11月8日、ライブドア(LD)前社長の堀江貴文被告(33)=証取法違反で起訴=らと会談した際、ニッポン放送の株主名簿を示し「この株主は売ってくれる」などと助言していたことが分かった。(以下略)

Posted by nanasi : 2006年06月07日 05:07

>nanasiさん
検察から(?)リークされている情報を全部つなぎ合わせたストーリーがきれいにつながると思われるかどうかは、経験則とか感覚の部分ですので、nanasiさんとはご意見が食い違うかも知れませんね。
いやしくも時価総額1500億円の会社の支配権をとろうという試みが実在していたのであれば、金融機関との交渉や事業計画へのインパクトのスタディなど客観的な証拠も相当にあるのでしょうから、「嘘」がすぐばれることを分かりつつ村上氏があの記者会見をしたとすれば、村上氏にしては、ちょっと間が抜けているかも知れませんね。
検察のストーリーも村上氏が「丸呑み」するのか、それとも、窮鼠猫を噛むのか、何れにせよ、今回の場合、LDと違って上場廃止や一般株主への影響という要素がないので、個人的には村上氏のお手並み拝見という気分だったりします。

Posted by 47th : 2006年06月07日 20:04

こんにちは。

 日本経済新聞社が昨年6月に出版した「真相 ライブドアvs.フジ」という本を読むと、2004年秋時点ではライブドアの幹部は、堀江氏が持ち込んだニッポン放送に対するTOB構想に対して喜び勇んでいたものの、「2004年12月頃には、意欲的な堀江とは対照的に、慎重な意見が大勢を占めた」となっています。
 仮にこの本の記述が正しくて、いったんは「決定」と言えそうな動きがあった後に、後退し、また更に前進した場合には、最初の時点で「決定」が行われたとみなされるものなのでしょうか。

Posted by yoidon : 2006年06月09日 10:10

 
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