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A Night in Istanbul(2)

CLの決勝にふさわしい華やかなオープニング・イベントの余韻も収まらないうちに、キックオフ。
まずはMILANがボールを持つ。KAKAがドリブルを仕掛け、右サイドの裏に抜けようとしたところでファウル。
早くも世界最高のレジスタ、ピルロのFKが生で見られる・・・そんな悠長なことを思っている間にボールがペナルティ・エリアに蹴り込まれ・・・気がつくとボールはゴールネットを揺らしていた。
何が起こったか分からないが、ともかく、あっさりと1点目が入る。
LIVERPOOLファンばかりの中で、思わず立ち上がり拳を突き出すと、実は隣のカップルのお兄ちゃんも立ち上がって大喜び・・・なんだこいつもMILANファンじゃん、ということでハイタッチ。
隣の赤いTシャツを着た親子連れには申し訳ないと思いつつ、大はしゃぎ。
バックスタンドに設置されたスクリーンを見て、得点したのがMALDINIであることが判明。
CL決勝7回目の大ベテランは、なお健在・・・というよりも、この前半のMILANはまさに完璧。


攻めてはMALDINIとCAFUが両サイドを崩したかと思えば、ピッチの真ん中をKAKAがドリブルで切り裂き、そこにCRESPOとSCHEVEが絶妙の飛び出しを見せる。その攻撃の緩急を操るのが、中盤の底にいるPILRO・・・正直、ラファ・ベニテスはMILANをどう研究したのか首をかしげるほどに、MILANの持ち味を出し切らせてしまっている。
その後も何度もチャンスをつくるが、オフサイド判定が厳しい・・・が、その厳しいオフサイド判定を掻い潜ってSCHEVEがデフェンスの裏に抜けて、1対1で勝負するかと思いきや、絶妙のクロスを逆サイドから飛び込んだCRESPOに渡して、難なくGOAL!
その興奮も冷めやらぬうちに、今度は同じくKAKAからのスルーパスに飛び込んだCRESPOが柔らかいタッチでキーパーの頭の上を抜けていく技ありのループシュート!・・・スローモーションのようにボールがゴールマウスに吸い込まれて3点目!!
一方のLIVERPOOLは熟練のDEFENSE陣の前にチャンスらしいチャンスをつくれない。攻めあぐねた末のミドルシュートは、MILANに恐怖を与えることはできない。それでも、時折GELARDにボールが渡ると、的確なロングボールのフィードが一瞬MILANのバランスを崩す・・・が、フィニッシュまでの次の展開が見出せない。
ボール支配率といったデータで見る以上に一方的な試合展開に、さすがのLIVERPOOLファンのテンションも下がり、ハーフタイムに入ったときには、皆俯いて、声もない状態だった。
対するぼくはご機嫌で、暖かい飲み物を買いに足取りも軽い・・・ただ、何か喉に何かがひっかかっている感じがする。
「奢れる平氏は久しからず」「油断大敵」「注意一秒怪我一生」・・・「巨人はロッテより弱かったです」by加藤哲・・・去年のヤンキースvsレッドソックスのプレーオフ・・・
いやな考えが頭を掠める・・・が、MILANは既に去年も今年もその手の「イタイ目」にはあっている(・・・二度あることは三度ある)・・・特にDEFENSE陣は経験豊富な面々だし、いざとなればビリーだっているし・・・さすがに3点はないだろう・・・と、余計な考えを振り払いつつも、「1点ぐらいとられた方がよかったかもな」なんてことを考えていた。
・・・そして、このイヤな予感は、見事に的中する。
わざわざ悪夢のような6分間をブログ上で再現するつもりはない。「魔の6分間」の詳細については、こちらでも見てもらうこととして、素人目にも後半のLIVERPOOLに変化は明らかだった。
まずは守備面で3バックになり、前半に見られたスルーパス1本による裏への抜け出しが封じられると共に、中央で仕事をするKAKAとSEEDOLFの動きが封じられる。自然とPILROにボールを戻してロングボールといった単調な攻撃が多くなる。これは前半で3点をとったことからリスクをとりたくないというのもあったのかも知れない。
もう一つは前半は数少なかったGELARDの攻撃参加。ともかくGELARDを起点として、攻撃パターンに一気にバラエティが生まれる。しかも、本来GELARDにマッチアップするはずのPIRLOの守備面での存在感はいつも以上に希薄で、GELARDをほとんどフリーにしてしまっていた。
3点はとられ過ぎだが、「魔の6分」はある意味で必然の展開だった。
但し、さすがにMILANのベテラン・デフェンス陣は、GELARDの次の起点となっていたRIESEをうまく押さえることでゲームを落ち着かせるが、そうするとCAFUの攻め上がりがなくなり、ゲームは膠着状態に。
それでも、MILANは個のタレントの力でチャンスをつくるが、SHEVEとKAKAの絶対的なチャンスのどちらもLIVERPOOLの神がかり的なデフェンスに阻まれてしまう。
後半も残り少なくなったところで、アンチェロッティがサイドアタッカーのSELGHINOを投入してゲームの流れが変わる。
攻撃面でスペースの空いたサイド攻撃が増えたこともさることながら、それ以上にMALDINIがCBに入って中央のスペースを消すことでLIVERPOOLの攻め手が奪われ、MILANが再び圧倒的にボールを支配し始める。しかし、余りにも時間が短く、そのまま延長に。
延長では、LIVERPOOLは見え見えのPK狙い・・・それでも、MILANはチャンスをつくるが、もう、ここまで来るとLIVERPOOLには何かが憑いているとしか思えない、神がかり的セーブ。
延長後半にはRUI COSTAまで投入。短い時間ながらRUI COSTAがLIVERPOOL守備陣を切り裂いてチャンスをつくるが・・・やはり時既に遅く、タイムアップ・・・

「魔の6分」の前後から会場はイスタンブールにしてイスタンブールにあらず、LIVERPOOLファンは一瞬も休まずに詠い続けている・・・そしてPKの時には会場が揺れるかのようなブーイング・・・もう、始まる前から勝負はついていたのかも知れない。
あのブーイングの中、平常心でPKを蹴ることを期待するのが、そもそも無理だったのかも知れない・・・終わってみれば、5本中、3本のPK失敗・・・勝負あり・・・
既に深夜0時を回り、体の芯まで凍えながら、歓喜に沸くLIVERPOOLファンで一杯のスタンドをうなだれながら降りていく・・・途中でLIVERPOOLファンの兄ちゃんが"Next time, next time"と肩を叩いてくれるのが、いっそう寂しさをます・・・ハーフタイムまでは立場が逆だったのに・・・

シャトル・バスに乗ろうとする、そのときに空が明るくなる・・・勝者を祝う華やかな花火・・・本当は、スタンドから優勝カップを掲げるジョカトーレたちを祝福しながら眺めるはずだったのに・・・
われながら、まさかこんなに悔しい思いをするとは正直思わなかった・・・これは、92年、最後まで優勝を争った阪神が力及ばなかったときに近い・・・ヤンキースが負けたときには、全く感じない類の悔しさだ・・・
・・・ってことは、つまり、ぼくはどうも阪神と同じぐらいにMILANのことを愛しているということらしい・・・ならば、2006年5月17日花の都パリ。再びMILANが今年の無念をバネにFinalに勝ち上がってくることを信じて「行くしかない」。ん、ドイツW杯?・・・ああ、それより、やっぱCLでしょう?(←非国民)

Posted by 47th : | 07:47 PM

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