IN MY FATHERS EYE'Sが終わると、FrancisがDavidを紹介し、Davidがマイクをとって曲を紹介し始める。
Davidのソロからの選曲COLD AND DESPERATE HEARTは、Fransicと会うまで、ずっとソロで弾いていた曲だという。「素晴らしいギタリストのFrancisと会って、はじめてこの曲をギタリストと一緒にやることを考えた」と言われると、Francisは照れているのか、客席の方を向こうとしない。
COLD AND DESPERATE HEARTと題されたインストルメンタルは、凍えるような晴れた冬の朝を思わせる透明感を感じさせる佳曲だ。Francisはピアノの音色を決して邪魔することなく、その旋律の美しさをひきたてるプレイに徹する。
オーディエンスも息をひそめて、二人のプレイに耳を傾け、最後の一音の余韻がおさまってから、控えめな、でも力強い拍手を送る。
続いてDavidが一転してシンセ独特の音色とエフェクトを活かしたトリッキーなキーボードソロを披露し、歴戦のミュージシャンとしての懐の深さを見せつける。
キーボードソロの間、一瞬ステージを去っていたFrancisが戻ってくると、裏拍にアクセントをつけた、ちょっと捻りのある軽快なカッティングのイントロを弾き始める。
LET'S GO DO WHAT HAPPENからの定番ナンバー、RIDING ON THE BACKだ。
Francis Dunnery at Satalla (2) [ June 07, 2005 ]
この頃になると聴いている方も、ほどよく酔いが回り始めたのか、Francisのご機嫌テンションに一緒にサビの部分を合唱する。勿論、ぼくもその中のご機嫌sの一人だ。
途中でFrancisiがソロを弾き出す。アコギで、そこまでやるかと言うほどの音粒の揃ったシーケンシャルフレーズは、HOMETOWN LIVEで聞けるそれよりも遙かにキレを増している。正直、去年のライブで見たときよりもキレ味は鋭い。
うがった見方かも知れないが、Francisの中でIT BITESへの回帰が始まっているのかも知れない。
最後はDavidの弾いたSUNSHINE OF YOUR LOVEのリフに対して、FrancisがSMOKE ON THE WATERのリフで応戦・・・本当に心からこの掛け合いを楽しんでいるのが聴いている方にも伝わってくる。
ノリのいい曲に続いて始まったのは、ソロの3作目にして、今のところFrancisの作品の中ではMy FavoriteのTALL BLONDE HELICOPTERからTOO MUCH SATURN。
インドに行って悟りを開くはずが、思ったようにはいかないというウイットの効いた歌詞を浮遊感のあるひょうひょうとしたメロディにのせて語るこの曲は、ちょっと他のところでは耳にできない。
続いては、うってかわってMANから深みのあるWOUNDING AND HEALING。
"He said I'm gonna break you down, Boy...Then I'm gonna build you up again, stronger than ever before"・・・まるでスポ魂の世界のような、この歌詞がFrancisの声とおだやかなアルペジオにのると、胸の奥まで染みいってくる。
シンミリしたところで、本編のラストを飾るのはソロ・デビューアルバム収録曲のリメイク・・・名曲、HEARTACHE REBORN・・・何度、どんなアレンジで聴いても、この曲は飽きるということがない。
"How can I posiibly love you when I feel so alone ?"
決して大仰になることのない、Francisらしい淡々としたメロディが、余計に切なく胸をしめつける。
・・・そして、Francisは短く"Thank you"と告げてステージを降りて姿を消すが、フロアからはアンコールを求める拍手が鳴りやまない。
ほどなく再び姿を見せたFrancisが、IMMACULATEのインド音楽を思わせるイントロを弾き出す。これは嬉しい誤算。
・・・但し、これはご愛嬌ということで、1st Chorusだけで終わり。しかし、それでもTALL BLONDE HELICOPTERからの名曲を聴けたのはもうけもの。
と、思っていたら、やはりTALL BLONDE HELICOPTERからSUNSHINE。
春の日だまりのようなほっとする暖かみのある曲の持つ懐の大きさに、Francisという間違いなく稀代の才を持ちながら名声に恵まれず、でも、自分の生き方を故郷から離れた場所で見つけた男の凄みを見る。
そして、最後を飾るのは、前回のライブと同じくMANからの佳曲I'M IN LOVE。
このコード進行とカッティングは"cool"という表現がしっくり来る。
もう1曲・・・そんな願いも虚しくFrancisとDavidは客席に手を振り姿を消し、スピーカーからはBGMが流れ出し、今夜のショーは終わりを告げた。
終わってみれば、もう9時を回っている。多少遅れたにせよ、本当にあっという間の時間だった。
こんな時間がホンの15ドルで見られるなんて・・・留学に来て本当によかった・・・幸せって、こういう些細なところに転がっているってことかな・・・
Posted by 47th : | 11:24 PM
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